化学工学論文集
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10 巻, 6 号
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  • 稲葉 敦, 山川 敏雄
    1984 年 10 巻 6 号 p. 657-666
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    管型反応器を用いて, 赤泥を触媒として, 水素圧力24.6MPa, 反応温度450℃の条件で, 三池炭, 太平洋炭, ヤルーン炭ブリケットの直接水添液化実験を行った.
    触媒および石炭の灰分の収支から, 直接水添液化中の管型反応器の閉塞は, 抽出液化の場合とは異なり, 反応管内での触媒の沈降が原因であることが推察された.
    重質な溶媒を用いて, スラリー流速を大きくすれば, 触媒および石炭灰分の収支が向上することを経験的に把握した.また, 触媒および石炭灰分が流出するための溶媒およびスラリー流速の条件は, 炭種によって異なることを示した.
  • 松本 幹治, 菅沼 彰, 青木 隆一
    1984 年 10 巻 6 号 p. 667-674
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ビン高さ/ビン直径の比が小さい浅いビンとその比が大きい深いビンに試料粉体CaCO3 (P-30) をふるい充てんした場合における, 両ビン内の粉体層の応力あるいは充てん状態を解析した結果, 以下の知見が得られた.1) 壁面近傍における水平・垂直応力比はいずれの場合も空隙率の減少につれて直線的に増大した.2) 平均圧密応力の対数値と空隙比の関係はいずれの場合も直線関係にあった.3) 浅いビンでは同一水平断面内における垂直応力は測定点によらずほぼ一定であった.この結果, 一面剪断試験装置で測定した壁面摩擦係数を用いることにより, 粉体層の応力状態はJanssenの式でよく表現できた.4) 壁面近傍に存在する粉体層の応力状態を表すモール円はいずれの場合もEYLに接せず, むしろWYLに接する状態に近かった.5) 浅いビン内の粉体層の状態を表す諸関係式を用いて, 投入時の深いビン内の粉体層の状態をある程度推定することができた.
  • 小川 浩平, 黒田 千秋, 井上 一郎
    1984 年 10 巻 6 号 p. 675-680
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    比較的長い試験円管 (内径5.04mm, 長さ500mm) から流出するポリアクリルアミド水溶液 (1.7, 1.5, 1.0, 0.5重量%の4種) の噴出流を写真撮影し, 噴出流の最大径, 最大径に達するまでの時間および距離と, Weissenberg数およびReynolds数との関係を明らかにし, 試験円管内の平均滞留時間と試験流体の遅延時間との大小関係が, 噴出流の膨張にとって重要な因子となることを示した.また, 噴出流の膨張の経時変化を流体要素が歪みを緩和する経時変化として確率論的に考察し, 試験流体のPAA濃度および操作条件にかかわりなく, 歪みを緩和する平均時間で無次元化した時間に対する歪み緩和確率密度分布は, 情報エントロピーが最大となる指数分布で表示できること, およびその歪み緩和における粘弾性は2要素フォークトモデルで代表でき, 試験流体の流量増大とともに歪み緩和を促進する弾性力の効果は粘性力の効果より大きくなり弾性力の効果と粘性力の効果との比は, 流量の1/3乗に比例して変化することを明らかにした.
  • 井上 義朗, 伊藤 龍象
    1984 年 10 巻 6 号 p. 681-691
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    電場を付加した電解質溶液層内に, 濃度差による不安定な密度成層が形成されるとセル状の対流が生じる.このような系にイオン透過性の隔膜を挿入した場合について理論的な解析を行った.
    液層深さに比べて膜厚が十分小さい場合には, 物質移動および流動に及ぼす膜の影響は無次元の膜パラメータPmだけで評価できる.
    対流発生状態の違いや膜層中における濃度攪乱の違いに対応する二つの解析モデルを設定し, それぞれについて対流発生条件, 平均シャーウッド数とレイリー数, 膜パラメータPmとの関係を求めた.
  • 井上 義朗, 佐伯 周治, 伊藤 龍象
    1984 年 10 巻 6 号 p. 692-697
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    イオン透過性の膜を含む電解質溶液層内に, 不安定な密度成層が形成された場合に生じるセル状対流の実験を行った.対流開始時間, 対流の発生から定常状態に至るまでの物質移動速度の経時変化および定常状態の平均物質移動速度と膜透過係数の関係を実験的に調べた.また著者らが先に報告した種々の解析モデルによる計算結果と比較検討した.
    膜の挿入は流体層を安定化させるため, 対流開始時間を遅らせ平均シャーウッド数を低下させ, さらにレイリー数の変化に対する平均シャーウッド数の変化を抑制する働きをもつ.
  • 長本 英俊, 井上 博愛
    1984 年 10 巻 6 号 p. 698-706
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    exo型酵素のグルコアミラーゼとendo型酵素のα-アミラーゼの複合酵素系による可溶性澱粉の加水分解反応について, pH5.1, 温度40℃で研究を行った.可溶性酵素の複合系では, グルコアミラーゼの場合のミカエリス定数よりも大きい澱粉濃度において, グルコース生成速度はそれぞれの酵素による生成速度の和で表された.コラーゲン膜内の複合固定化酵素による反応では, 二種のアミラーゼによる協同効果はオリゴ糖の生成に認められ, グルコース生成には認められなかった.
    可溶性α-アミラーゼと固定化グルコアミラーゼの複合酵素系によるグルコース生成速度は, 固定化グルコアミラーゼ単独の場合よりも大きいという知見を得た.解析の結果, α-アミラーゼによる分解生成物であるマルトオリゴ糖を固定化グルコアミラーゼが協同的に作用するためであることが示された。
  • 今井 正直, 古崎 新太郎
    1984 年 10 巻 6 号 p. 707-713
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    攪拌槽におけるW/O/Wエマルションの平均外部滴径を, 顕微鏡写真により, 流動条件下で測定した.分散系のSauter平均径 (d32) は, Weber数 (We) に対して次のように相関された.
    d32/D=0.057We-0.5
    ここにDは, 攪拌翼の直径 (3cm≦D≦7.5cm) である.平均滴径に対する分散相ホールドアップ (φ) の影響は, 0.02≦φ≦0.25の範囲で認められなかった.しかしながら, 高速の攪拌になるにしたがって, 分散相ホールドアップの影響がゆるやかに現れてくる.また, φが大きくなるにしたがってd32Weに対する依存性は小さくなる.
  • 三宮 晃, 市村 浩一, 矢野 元威, 原納 淑郎
    1984 年 10 巻 6 号 p. 714-720
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    触媒の担体として広く用いられている Neobead-Cは不純物として硫黄化合物を含んでいる.そして, この硫黄は IR吸収スペクトル測定により SO42-の形で存在することが明らかとなった.本報では Neobead-C中のこの硫黄化合物が触媒前駆物質である担持 NiOの水素による還元に与える効果を調べた.
    この硫黄化合物は773Kでの水素還元ではほとんど除去されない.水素還元-酸素酸化を繰り返し, 水素, 酸素の消費量, 捕集された H2S, SO2の量を測定し, Neobead-C中の SO42-イオンの還元プロセスを考察した.
    NiOの還元に必要な量論量より過剰の水素が消費されているにもかかわらず, Neobead-Cに担持した NiOは773Kでは還元されにくい. Neobead-Cと同様, 還元-酸化を繰り返した結果から, Nioの還元性は SO42-により抑制されることが明らかとなった.
    還元-酸化の繰り返し実験から, 1回だけ含浸, 〓焼を施したγ-AM3.5とγ-AI13.5中の NiOの還元率は除去された SO42-と担持 Niのモル比 (S/Ni) が0.3になるまで0.3に達しない.しかし二回含浸, 〓焼した γ-AM6.0は (S/Ni) 比が0.1近傍になるまで還元率は0.5に近づく.
    これらの事実は前者の触媒では1回しか〓焼していないが, 後者の触媒は2回の〓焼で担体と強く結合し, 初めに担持したNi部分は還元しにくいことを示唆している.
  • 鈴木 道隆, 八木 章, 渡辺 球夫, 大島 敏男
    1984 年 10 巻 6 号 p. 721-727
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    3成分球形粒子ランダム充填層について, 粒子層の重要な性質のひとつである空間率を推定する簡単なモデルを提出した.このモデルは, 均一径粒子充填層の空間率ならびに各粒子の体積基準の混合分率と粒径から3成分充填層の空間率を推定するものである.
    このモデルの妥当性を検証するために, モデルによる計算結果と3成分球形粒子 (ガラスビーズ) ならびに不規則形状粒子 (ガラス破砕片) の充填実験結果を比較したところ, 両者はほぼ一致した。本モデルは3成分球形粒子ならびに不規則形状粒子充填層の空間率を推定する際に有用である.
  • 千葉 陽一, 大谷 茂盛
    1984 年 10 巻 6 号 p. 728-735
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    垂直平板上における水蒸気の滴状凝縮シミュレーションを差分計算法により二次元モデルで行った.ここでは既往の他の研究者のいずれのモデルとも異なり, 蒸気温度および二次元伝熱体 (金属) の冷却水側表面温度を一定にとった.凝縮は金属面の蒸気側表面において, 蒸気と蒸気側金属表面との温度差に応じて進行する.当然の結果として金属面上における滴分布および金属の温度は変化する.
    計算の結果, 水蒸気の滴状凝縮熱伝達係数は熱流束の影響を受けて変わること, また素地金属の熱伝導率の影響を受けて変わり, 熱伝導率が大きくなるほど大きくなることが明らかとなった.銅板上における熱伝達係数の計算値は (17~25) ×104W/ (m2・K) であった.この値1は実測されている値と極めて近いものである。
  • 倉前 正志, 松本 政秀
    1984 年 10 巻 6 号 p. 736-743
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    常温で使用されるウィックをもったヒートパイプについて, 管壁軸方向伝導を考慮したモデルに基づき, ドライアウトに達した後のその熱的挙動について解析し, 実測結果とも併せて検討を行った。その結果, 限界点を越えた加熱量に対する管壁軸方向温度分布, 特に加熱部端温度上昇の度合いはヒートパイプ熱輸送に関する軸方向伝導の寄与を表すパラメータY*の値によって大きく支配され, Y*の大きい (Y*>104) ヒートパイプではわずかのドライアウトで蒸発部端温度が急激に上昇するが, Y*の小さい (Y*<102) ヒートパイプではドライアウトが進行しても加熱部温度がさほど上昇しないことが明らかにされた.また, この結果に基づき, 従来ヒートパイプの設計に利用されている毛細管限界熱輸送量の内容について考察を行った.
  • 衝突加速度による払い落とし
    内藤 牧男, 椿 淳一郎, 神保 元二
    1984 年 10 巻 6 号 p. 744-750
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    濾布上に集塵捕集した粉塵層に対し, 衝突加速度により捕集面に払い落とし応力を作用させ, 払い落とし実験を行った.濾布は, 汎用のカレンダー処理を施したテトロン製フエルトを用い, JIS8種の関東ローム粉を, 4.5cm/sの一定風速で集塵した.衝突加速度は, 落下高さにより変えた.実験は, 集塵条件 (捕集粉塵量), 払い落とし条件 (衝突加速度) をパラメータとして行った.
    結果より, 剪断方向と垂直方向による払い落としでは, 集塵条件, 衝突加速度が同じにもかかわらず, 払い落とし開始条件, 進行過程, 最終状態が異なる事を明らかにした.さらに, 剪断, 垂直方向の払い落としを組合せた実験を行うと, 組合せ方により払い落としに与える効果が異なる事も明らかにした.以上の結果のうち, 特に粉塵層が一様な層を形成する集塵条件による払い落とし結果は, 粉体層の引張りおよび剪断疲労破壊現象の観点より, 定性的に説明する事ができた.
  • 岡崎 健, 西川 隆, 大竹 一友
    1984 年 10 巻 6 号 p. 751-757
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    層流一次元微粉炭燃焼炉, サイクロン, バグフィルタ, 電気集塵器から成る実験装置を用い, 微粉炭燃焼における灰粒子の物理的, 化学的性状, および電気集塵特性を, 特に, 揮発性でかつ灰粒子の電気的性質に大きな影響を及ぼす硫黄の灰粒子表面への濃縮挙動に重点をおいて, 燃焼場や炭種との関連を含めた一貫した立場から検討を行い, 次の点を明らかにした.
    1) 灰粒子表面の化学的性状は, 粒子形状, 粒子表面構造ばかりでなく, 粒子径, 粒子の温度履歴, さらに, 炭種や燃焼条件にも強く依存する.
    2) 微小粒子に付着する気相析出型のすすが, 粒子表面への硫黄の濃縮を促進し, このため, その濃縮挙動は, 炭種や燃焼条件の影響を強く受ける.
    3) 電気集塵特性は, 炭種によっては, 硫黄のような電気集塵性能に影響を及ぼす揮発性元素の集塵器内での濃縮挙動に大きく依存する.
  • 梶内 俊夫, 白神 直弘, 宮川 一郎
    1984 年 10 巻 6 号 p. 758-763
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    層流領域と乱流領域においてテーパー管拡大流れによる圧力差を実験的に検討した.
    テーパー部に積分形エネルギー収支式を適用して層流領域におけるテーパー管による圧力差の推算式を得た.テーパー管における乱流と層流の散逸エネルギーの比は直管内流れにおける同様な比の値に等しいと仮定して, 乱流領域におけるテーパー管による圧力差をレイノルズ数およびテーパー角と関係づけた.
    テーパー管による圧力差が0となるレイノルズ数とテーパー管内に剥離を生ずるレイノルズ数をそれぞれ試算し, 実験結果と比較検討した.
  • 浅野 強, 井内 哲, 五十嵐 平太郎, 白神 直弘, 井上 一郎, 佐藤 行成, 伊藤 孝, 田口 明弘, 山本 一夫, 上山 惟一, 橘 ...
    1984 年 10 巻 6 号 p. 764-778
    発行日: 1984/11/10
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
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