化学工学論文集
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11 巻, 5 号
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  • 栗山 雅文, 都田 昌之, 原田 英二, 今野 宏卓
    1985 年 11 巻 5 号 p. 497-501
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    空気流中で振動しながら回転する球からの伝熱について実験的に検討した.その結果, この種の複合対流下における球の伝熱係数は, 振動球, 回転球および球の強制対流の個々の場合について得られた伝熱相関を利用して推定できることがわかった.
    また, 本実験結果に基づいて固気混相流中の粒子一流体間の伝熱について考察した.その結果, 固気混相流においては, 粒子一流体問伝熱に及ぼす気流の乱れや粒子の回転の影響が無視し得ないことがわかった.
  • 大嶋 哲, 島田 和夫, 武松 敏弌, 鈴木 守夫, 湯村 守雄, 栗木 安則, 吉留 浩
    1985 年 11 巻 5 号 p. 502-507
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    石炭液化反応器の特性を明らかにするために, 小型装置でも大型装置と同様の流動特性を持つself-inducing型の攪拌機付の石炭液化用連続攪拌槽反応器における液化反応条件付近での液化油と水素化アントラセン油および水素ガスによるガスホールドアップと物質移動係数について検討し, 次の結果を得た.
    1.攪拌翼先端からのガス吹き出しに必要な最小回転数は圧力に関係なく, SawantとJoshiの式で良好に相関される.
    2.ガスホールドアップは, 圧力に関係なく, 攪拌機回転数の増加に伴って増加し, 温度の高い方が大きな値となる.また, ガスホールドアップは, 温度の変化に伴う液体粘度の関数として表すことができる.
    3.攪拌槽自由表面の気-液間物質移動係数は温度の上昇に伴って増加し, 液相として有機溶剤を用いて測定された値と比較的良く一致する.
  • 川崎 博幸, 田中 久弥
    1985 年 11 巻 5 号 p. 508-514
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    垂直円管内の気液上昇並流における壁面一流体間の平均物質移動係数を0.95, 1.6, 2.8cmの管径について測定した.
    本実験条件下では, 流動パラメータFについて気泡の強制上昇域から自由上昇域に至る広い流動範囲にあり, 前者の領域における平均物質移動係数は (ug0+ul0) とDをそれぞれ代表速度と代表寸法として定義した無次元数について,
    Sh=0.34Re3/5Sc1/3 (D/L) 1/3
    また, 後者では, ub0の影響を主流と同じ密度の流体の流れに換算した速度u0で評価し, u0Dを用いた無次元数について
    Sh=0.72Reb3/5Sc1/3 (D/L) 1/3
    のそれぞれ相関式で良好に整理することができた.
    ここで, 各領域におけるそれぞれ (ug0+ul0) およびu0を用いて表される運動量ならびに運動エネルギーの加成性をこれらの中間域における混成流れに対して仮定すると, 強制上昇域から自由上昇域に至る領域では, 次式のようにパラメータKについて統一的に整理することができた.
    Sh=0.34(1+12K)3/10Re3/5Sc1/3 (D/L) 1/3
    ただし K= [{(ρlm) /ρm} 1/2F] 2である.
  • 今井 正直, 古崎 新太郎
    1985 年 11 巻 5 号 p. 515-519
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    D2EHPA-SHELLSOL®-Kを有機相としてランタンの抽出平衡を298Kにおいで測定した.有機相抽出種は, 単一成分の溶媒と一致しLaR3・3HRであることを示した.ランタン並びにD2EHPAの二相間の分配平衡は, 素過程の平衡を考慮した機構を用いて説明することができた.また, 界面活性剤Span 80®が有機相に添加された系についても測定したが, 抽出平衡に影響は現れなかった.
  • 落下滴の影響
    千葉 陽一, 鈴木 睦, 大谷 茂盛
    1985 年 11 巻 5 号 p. 520-527
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    水蒸気の滴状凝縮における落下滴の清掃効果を調べるため, 別途水蒸気により調製した凝縮液を, 滴状凝縮している垂直伝熱面の上端に, ノズルより液滴として加え, 伝熱量の測定と凝縮面の写真撮影を行った.この結果, 熱伝達係数は, 加える液滴を増すに応じて, はじめ増大し, つづいて最大に達し, その後徐々に減少していくことがわかった.しかし, 通常の場合, その熱伝達係数は液滴を加えない場合の値まで下がることはなかった.
    滴の動くことが熱伝達に対してもたらす効果を調べるため, 表面状態が時間とともに変化する時の熱伝達を二次元モデルで計算した.その結果, 熱伝達は表面状態の変化する速さとともに増加することがわかった.滴状凝縮では滴の動くこと自体伝熱増進に寄与していることが考えられる.
  • 加藤 尚武, 吉田 享弘, 中道 孝一
    1985 年 11 巻 5 号 p. 528-533
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    キシレン異性化反応は触媒の活性が時間とともに変化する反応の1つであり, その特性変動を考慮したプロセスの運転は単なるPID制御では困難である.そこで, 近年, 制御工学の分野で活発に検討されているモデル規範型適応システム (MRAS) を用いてキシレン異性化反応器の制御実験を行った.その結果, MRASとPID制御を組合わせれば特性変動があっても良好な制御成績が得られることがわかった.
  • 辻川 浩雄, 大沢 利男, 井上 博愛
    1985 年 11 巻 5 号 p. 534-541
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    外径17mm, 長さ50mm, 厚さ1.4mmの多孔質Vycorガラスの外側にベンゼン-窒素の混合気体を送り, 内側へ透過させた.取出側の流れが混合拡散を伴うピストン流であると考えることにより, ベンゼンの透過係数のバラツキを小さくすることができた.透過係数にアレニウス型の温度依存性を考え, 測定温度における飽和蒸気圧で無次元化した供給側と取出し側の平均分圧に対してプロットすると一本の線で表すことができた.窒素の透過係数は無次元化した供給側のベンゼン分圧で整理することができ, 無次元ベンゼン蒸気圧が0.4程度 (毛管凝縮蒸気圧に相当する) までは岡崎らの式でその挙動を表すことができたが, それ以上では毛管凝縮による細孔の閉塞のため透過係数の低下が著しかった.この部分の挙動を毛管凝縮量と関係づけるモデルを作ったところ実測との一致は良かった.この結果, ベンゼンと窒素の分離係数として10ないし3000という大きな値が得られた.表面拡散係数についての整理も行った.
  • 松田 仁樹, 石津 貴, 李 寿〓, 架谷 昌信
    1985 年 11 巻 5 号 p. 542-548
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    以下に示すCa (OH) 2/CaO可逆熱化学反応を化学蓄熱に応用することを前提として, 本反応に対する反応速度論的検討を行った.
    CaO + H2O 〓 Ca (OH) 2 + 104.2kJ/mol
    CaOの水和およびCa (OH) 2の脱水の両反応実験は, 試料粒径<5μm, 反応温度356.2~723.2K水蒸気濃度1.5~15.7vol%の実験範囲において, ミクロ熱天秤による重量変化よりおのおのの反応速度を測定した.
    その結果, 熱重量分析法によって得られたおのおのの反応実験結果はCaO・H2O*反応中間体の存在を仮定する複合反応の考え方に基づいてグレインモデルを適用することにより統一的に説明でき, それぞれの化学反応速度式は固体濃度および水蒸気濃度推進項に関していずれも1次で表されることが認められた.さらに, これら両反応の総括の反応速度定数は非線形で表示され, CaOの水和反応の場合には約473.2Kにおいて極大値を示すことなどが認められた.
  • 山東 睦夫, 藤井 篤, 野口 哲男, 外山 茂樹
    1985 年 11 巻 5 号 p. 549-554
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ガラス管内に平らな集熱板を持ち, ガラス管の下に白色乱反射板を取付けた真空ガラス管型集熱器に関して, 有効透過吸収係数 (τα) eの太陽光入射方向依存性を考慮して, 瞬時集熱効率を計算する方法を導いた.理論計算による集熱効率特性と実測によるそれとはほぼ同じ傾きを持ち, 集熱器からの熱損失に関する理論計算の正しさが証明された.理論計算された集熱効率ηthと実測された集熱効率ηmは太陽光の入射方向の変化に関してほぼ同じ傾向を持ち, 理論計算式から算出された (τα) eの入射方向依存性も実際の集熱器のそれとほぼ一致することが示された.
  • ラグランジュ速度相関および乱流拡散の実測データに基づいて
    佐藤 行成, 山本 一夫
    1985 年 11 巻 5 号 p. 555-562
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    著者らがすでに報告した, トレーサ粒子の挙動を光学的に追跡する方法によるラグランジュ測定装置を用いて, 乱流発生格子下流のほぼ等方性の乱流場において, 流体の拡がりの2乗平均Y2, 変動速度のrms値v', 乱流渦の混合距離ΛL, ラグランジュ速度相関係数.RL (τ) 等の測定を行った.
    それらの結果を, 従来のオイラー測定による積分スケールΛfや2重速度相関係数f (r) と比較検討したところ, 次のような知見を得た.1) β=ΛLfの値は, 乱流レイノルズ数.Rλ=20~70の範囲では, β=0.6~0.3の値をとり, Rλが増大するにつれて減小する.2) RLの時間τに対する分布は, τ=r/v'をβ倍した時間βτに対して得られるfのものと類似した形状をとる.
    また, 乱流減衰の影響によって, 拡がりY2 (t) の増加の仕方が弱められ, とくに拡散時間が長く経過するに従い, その傾向が顕著になることを解析的・実験的に確かめた.
  • 中川 克巳
    1985 年 11 巻 5 号 p. 563-566
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    水中の2個の気泡の固有振動数に与える気泡間距離の影響を, 浮遊気泡法および音波のパルス応答法によって実験的に研究した.
    2個の気泡の相互作用によって影響された振動数Fを, L/D0が0.6から29.3の範囲にわたって測定した.ここで, Lは気泡の表面から表面までの距離で, D0は気泡相当径である.
    L/D0の値は約3より大きくなるに従って, Fへの影響はほとんど認められなかったが, 約3より小さいときはわずかな影響が見られた.
    さらに, これらの実験結果は水中で振動している2個の球状気泡の固有振動数に関する島の理論と良好に一致した.
  • 新垣 勉, 村瀬 和典, Hassan Mohamed Salah, 名倉 克守, 外山 茂樹
    1985 年 11 巻 5 号 p. 567-573
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    傾斜平板裏面または上面に施した平行細線による溝内部の層流・定常・液膜流れについてRitz有限要素法による数値解析を行い, また, 境界条件の設定に必要となるメニスカス形状については, 界面の圧力差と毛管力との平衡関係に基づき理論的に決定された.
    溝内部の速度分布は, 主に溝幅と液膜厚さに依存して三つのタイプに分類でき, それぞれ高流速域の位置に明らかに相違が認められた.また, 抵抗係数CDRe数との間にCDK/Reの関係が成立し, Kは1.7~2.8の範囲の値となった.上面溝と裏面溝との比較では, 前者の流量が大であり, その相違は溝幅が広く液膜厚さが薄い場合ほど顕著となった.メニスカス形状については, 溝幅が狭く液膜が厚い場合には, 円弧で近似してさしつかえないが, 逆に溝幅が広く相対的に液膜が薄い場合にはこの近似は適用できない.
  • 気液両相の同時解析
    佐藤 恒之, 堤 英伸, 米本 年邦, 只木 〓力
    1985 年 11 巻 5 号 p. 574-580
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    気液両相に物質移動抵抗が存在する場合の層流濡壁塔における高濃度ガス物理吸収現象を, Navier-Stokes方程式および拡散方程式などのいわゆる移動論方程式の差分数値解法により理論的に推算した.数値解析に際しては, シュミット数が極端に異なる気液両相を同時に解析するため, 気相本体に比較して気液界面近傍の気相を液相とともに細分化した差分格子を用いる方法を採用した.そして同時に行った純水によるアセトン蒸気の吸収実験結果との比較により理論解析の妥当性を検証するとともに本吸収系における供給ガス濃度比および気液流量の変化ならびに重力加速度等の影響を明瞭にすることができた.
  • 竹下 健二, 北本 朝史
    1985 年 11 巻 5 号 p. 581-588
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    DNBA-n-オクタン系における炭素同位体の分離特性について検討し, CO2の吸収特性, CO2-カルバミン酸間における炭素同位体の交換速度, 平衡分離係数を測定した.
    作業流体はDNBA (ジ-n-ブチルアミン) とn-オクタン (不活性溶媒) の混合液であった.作業流体へのCO2の吸収は化学吸収 (DNBA) と物理吸収 (n-オクタン) の和で表された.作業流体は90℃以上でCO2を吸収しなかったが, 低温ではCO2を多く吸収した.DNBAはCO2を化学吸収し, カルバミン酸を生成した.カルバミン酸の生成反応および解離反応は可逆的に進行した.
    炭素同位体の平衡分離係数は低温において大きな値になった.気液間の交換速度は物理吸収によるCO2濃度とカルバミン酸濃度の相乗積に比例していた.CO2-カルバミン酸系の分離プロセスにとって低温・高圧の操作条件は有効であることがわかった.
  • 大佐々 邦久, 三分一 政男, 中倉 英雄
    1985 年 11 巻 5 号 p. 589-595
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    高分子凝集剤を添加した場合の凝集沈降実験をゲート型パドルを備えた大型試験槽 (容量10l) を用いて行い, 最適攪拌条件に及ぼす固体濃度, 凝集剤濃度および凝集機構の相違などの影響について調べた.固体と凝集剤との組み合わせは, カオリンーカチオン性ポリマーおよび上水汚泥-ノニオン性ポリマーとした.凝集機構はそれぞれ荷電中和および架橋吸着作用と思われる.凝集効果は残留濁度により評価した.その結果, 次の知見を得た. (1) 最適急速攪拌条件は, 速度勾配値G=610s-1および攪拌時間T=90sとなった. (2) 緩速攪拌条件はGTとの積, GT値で評価できた. (3) 緩速攪拌下における最適GT値は, 単位固体質量当りの凝集剤量に反比例した.この関係は固体濃度範囲100~500mg/lにおいて固体と凝集剤の両組み合わせに対して成立した.
  • 安西 晟, 多田 豊, 山口 学, 小林 淳志, 片山 俊, 南澤 正敏, 遠藤 一夫, 川崎 博幸, 田中 久弥, 渡辺 藤雄, 架谷 昌 ...
    1985 年 11 巻 5 号 p. 596-619
    発行日: 1985/09/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
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