化学工学論文集
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11 巻, 6 号
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  • 木村 典夫, 岩田 政司, 小松 和義
    1985 年 11 巻 6 号 p. 621-627
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    粉じん負荷を伴う繊維充てん層フィルタにおけるエーロゾル粒子の捕集機構について検討し, さえぎりモデルを用いた繊維充てん層フィルタの捕集効率の推定法を与えた.
    エーロゾル粒子は炉過過程が進行するにつれて繊維表面上に堆積し, このことがフィルタの捕集効率を飛躍的に向上させる.本報では, 繊維前面に捕集粒子層が形成され, この捕集粒子によるさえぎり効果が繊維充てん層フィルタの炉過過程における支配的機構であると仮定し, 円柱まわりのHappelの流れ式を用いて粉じん負荷に基づく単一繊維効率の増加分を推定するための近似式を導いた.また, 捕集粒子層の平均充てん率を考慮するため, 補正係数Kの実験式をさえぎり助変数NRおよび流入粉じん負荷m0の関数として求めた.
  • 高橋 正博, 竹内 寛
    1985 年 11 巻 6 号 p. 628-633
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    D2EHPAによる塩化物水溶液からのCdの抽出平衡と反応機構に関する研究をn-ヘプタン, ケロシン, トルエン, m-キシレンのそれぞれの溶媒を用いて行った.分配比はパラフィン系の炭化水素溶媒の方が芳香族系の溶媒に対する値よりもかなり高い.抽出種はn-ヘプタンではCdR2・3HR, 芳香族系ではCdR2・4HRであることを見出した.また, それぞれの溶媒系に対する抽出平衡定数は水溶液中の塩化カドミウム錯体の総括的な安定度定数を考慮することによって決定された.
    D2EHPAのn-ヘプタン溶液によるCdの抽出速度を平界面攪拌槽で測定した結果, 初期抽出速度は水相中の全Cd濃度および有機相中のD2EHPA濃度に比例し, H+濃度に逆比例することを見出した.また, 反応機構についても検討した.
  • 中嶋 義弘, 藤原 一郎, 後藤 藤太郎
    1985 年 11 巻 6 号 p. 634-639
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    省エネルギーを図るための蓄熱槽の特性を改善するために強制成層型蓄熱槽の概念を提案し, 理想的な蓄熱特性を有すると考えられる完全成層型蓄熱槽および特性が劣るであろうと予想される完全混合型蓄熱槽と比較するためにこれらの3種類の蓄熱槽の特性の評価の方法を検討し, 簡単な計算方法により, 3種類の蓄熱槽の特性を評価, 比較しうることを示した.同じ条件で3種類の蓄熱槽の特性を評価, 比較し, 8区画に区画した強制成層型蓄熱槽では蓄熱に伴うエクセルギー損失は完全混合型蓄熱槽の約5分の1になり, 完全成層型蓄熱槽の特性に近づけうる可能性があることを示した.
  • 高松 武一郎, 橋本 伊織, 橋本 芳宏
    1985 年 11 巻 6 号 p. 640-646
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    2入力2出力システムにおける制御ループ間の干渉を評価する新しい幾何学的手法を示した.この評価法を用いると, 蒸留塔の操作量は5つのグループに大別でき, 多数の組み合わせが考えられる蒸留塔の両製品組成制御のための操作量のペアーでの干渉の大小は5本の伝達ベクトル軌跡を描くだけで評価できることがわかった.そして制御ループ間の干渉を小さくする制御方式として, 留出液組成制御用に濃縮部の気液流量比を, 缶出液組成制御用に回収部の気液流量比を用いる方法が導き出された.この制御方式は設定値変更に対する制御応答が優れていることが, シミュレーションによって確認された.また, この制御方式は簡単な構造で実現でき, さらに, 流量変化の外乱に対してはほぼ完全に不感になることも明らかにされ, 優れた制御方式であると考えられる.
  • 井土 忠厚, 山岡 誠一, 沈 東海, 後藤 繁雄
    1985 年 11 巻 6 号 p. 647-654
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    一酸化炭素と二酸化炭素の共メタン化をニッケル粉末 (触媒) とシリコン油 (不活性溶媒) を含む懸濁攪拌槽反応器を用いて250℃, 大気圧で研究した.
    共メタン化の速度式を得るために, 一酸化炭素および二酸化炭素のそれぞれの速度を測定した.懸濁攪拌槽反応器において, 液固間の物質移動抵抗および粒子内の拡散抵抗は無視できたが, 気液間の物質移動抵抗は無視できなかった.真の反応速度の表式は不活性溶媒のない充填層反応器でのものと同じであった.二酸化炭素の水素化は1.23×10-3mol/m3以上の濃度での一酸化炭素によって阻害された.その阻害の程度は水素濃度に強く依存した.
  • 油川 博, 須田 章博, 星野 照彦
    1985 年 11 巻 6 号 p. 655-661
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    限外濾過, 圧搾脱水, 酵素や菌体の固定化, ゲルクロマトグラフィーなどの技術は, ゲル状物質と深い関連をもっており, ゲルのレオロジー特性を明らかにすることが最近重要な課題となっている.上述の技術においては, ゲル状物質は圧縮応力をうける場合が多い.したがって, 本論文においては, 圧縮応力に対するゼラチンゲルのレオロジー特性について検討した.その結果, 二要素Voigtモデルが適用できることが明らかとなった.このモデルに基づいて弾性係数および粘性係数を求め, これらのレオロジー定数に及ぼす圧縮応力, ゼラチン濃度, 温度, pHの影響について実験的に検討した.
  • 板谷 義紀, 新井 紀男, 架谷 昌信
    1985 年 11 巻 6 号 p. 662-667
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    固体微粒子分散半透過性液体 (FPSS) を収熱作動流体に用いる体積受熱型ソーラーコレクターの収熱速度および効率に与える分散濃度・液体層深さ, 液体層の底面のふく射物性などの諸条件の影響を明らかにするため, グラファイト微粒子を分散させたジエチルフタレートの静止層を上部よりXeランプ加熱する場合を例として, 実験的および理論的検討を行った.
    その結果・理論計算結果と実験結果は満足のいく一致を示すとともに, 本受熱方式は面受熱方式に比べ容易に高い収熱効率が得られることが明らかとなった.また, ある分散濃度において収熱効率のピークが見られ, このピークは液体層深さに関係なく一定の光学的厚さにおいて認められた.
  • 田中 真人, 伊積 孝, 吉村 浩喜
    1985 年 11 巻 6 号 p. 668-673
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    自由液表面からの気体の巻き込みと巻き込まれた気泡の定常分散が開始される攪拌速度が翼形状, 邪魔板枚数翼位置, 液深, 槽径, 表面張力のような因子を変化させることによって, また, ドラフトチューブを設置することによって測定された.検討されたすべての翼 (6枚羽根デスクタービン, 4枚羽根角度付ファンタービン, 3枚羽根プロペラ) に対して, 邪魔板の設置とその枚数の増加は気体巻き込み攪拌速度を増加した.4枚邪魔板条件に対して, 次のような実験式を得た.
    Nre2di/g=A (σ/σ0) 3.6 (di/DT) -3.6 (hL/DT) c (hL-hi/hL) d
    ここで, A, c, dは翼形状に依存している.
    デスクタービンを除く翼に対して, ドラフトチューブの設置とその長さを長くすると気体巻き込み攪拌速度を増加した.さらに, 邪魔板とドラフトチューブを同時に設置するとすべての翼に対して気体巻き込み攪拌速度を増加することがわかった.
  • 竹内 文章, 狩野 武, 山田 聡, 福田 栄則, 山中 樹好
    1985 年 11 巻 6 号 p. 674-679
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本論文は数種類の粒度にふるい分けした石炭粒子を試料として風洞実験装置による飛散現象の解明および飛散防止技術について報告する.石炭は粒径180μm程度の粒子が限界摩擦速度が最低になり, 風速10~15m/sの場合に飛散量が最大になる粒径は, 200~600μmの間に存在する.飛散しにくい微粒子は, 飛散しやすい粒子との混合によって飛散量は増大する.また層表面上に粗粒子が存在することによって飛散量は増大し, それらを最大にする混合割合があることを示す.
    水による飛散防止は, 風速の程度および効果の持続時間に限界があるが, 飛散防止用の薬剤を用いることによって飛散を完全に防止することが可能であり, その濃度, 散布量を決める上の基礎資料および実際の現場で用いる上の知見を示す.
  • 透過および貫流がない場合
    白戸 紋平, 山崎 春夫, 村瀬 敏朗, 岩田 政司
    1985 年 11 巻 6 号 p. 680-686
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ダイナミック濾過では, 濾室内部でローターを回転させる動力を制御することによって, 排出ケークの固体濃度を所定の値に維持する、この動力に影響を及ぼす因子を求めるために, ローターとして7種類の溝付回転円板および溝なし円板を用いて透過がない円筒状の濾室内部で回転するローターのトルクを測定し, 回転円板の流体摩擦抵抗および濾室内部の流れに及ぼす溝付円板と濾室寸法の影響について実験的な検討を行った.
    回転円板の溝効果は, 新たに定義した因子を用いると溝数および溝幅の影響を考慮して評価できる.一方, 濾室の寸法効果は, 円板と濾室の半径比および軸方向間隔と円板半径との比の2つの因子で表すことができ, これら諸因子を関数とすると, 乱流条件における回転円板の流体摩擦抵抗係数について相関式が求められる.また, 濾室内部の速度分布を与える核流部と回転円板の周速度の比Kの値も同一の操作因子で表すことができる。これらの相関関係より, 動力および濾室内部の流れは, 回転円板の溝, 濾室の半径方向の間隙および円板の回転速度に大きく依存することが明らかとなった.
  • 諸橋 昭一, 大井 信一, 松原 勇, 八嶋 三郎
    1985 年 11 巻 6 号 p. 687-695
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    同体摩擦法によるぜい性砕料の温度上昇に関する実験的検討を行った.使用した試料は石灰石, 大理石およびカッ石である.所定の摩擦速度および摩擦荷重における円柱形試験片の温度上昇は熱電対法で測定した.二次元定常熱伝導による解析を行った結果, 円柱形試験片の温度上昇は摩擦仕事に比例することがわかった.これは実験結果とも一致した.このことより, 摩擦速度と摩擦荷重は温度上昇に対して等価関係にあると説明できる.また, 円柱形試験片の温度上昇分布を調べてみると, 中心軸が最大になり, 外周方向へ行くにしたがって減少していった.さらに, 真実接触面の温度上昇を推定してみると, ふつうの摩擦速度および摩擦荷重でも表面温度は非常に高くなることが明らかになった.これゆえに, 砕料の温度上昇は粉砕効率やメカノケミカル現象の発生に密接に関連していると考えられた.
  • 船田 一郎, 浅原 一彦, 広瀬 泰雄
    1985 年 11 巻 6 号 p. 696-701
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    高純度酸素製造用空気深冷分離プロセスの複式精留塔上塔を設計するためには, 原料供給流量, 塔底および塔頂製品流量を与えて, 精留計算を行い, 理論段数, 原料供給段位置, 塔底および塔頂製品組成濃度を算出する.しかし原料供給段位置によってこれらの結果は大きな影響を受けるので, 上塔を最適設計するためには, あらかじめ最適原料供給段位置を算出することが必要となる.本研究では上塔底部の酸素ガス純度が最大濃度となる原料供給段位置を最適原料供給段位置と定義し, 非理想系多成分系精留塔理論段数計算を行って, 精留性能に大きく影響を与える諸因子, すなわち標準状態において, 製品酸素1m3製造するのに必要な複式精留塔の原料空気量 (Air/O2), 製品ガス酸素濃度, 理論段数および最適原料供給段位置の相関をあらかじめシミュレーションをして実用的な線図に表す.この線図を用いることにより, 上塔の最適設計条件と最適原料供給段位置を合理的に決定することができるし, また種々の最適設計に対処することもできる.
  • 藤沢 延行, 白井 紘行
    1985 年 11 巻 6 号 p. 702-707
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    凹面壁に沿うポリマー希薄溶液の乱流境界層において, 遠心力に起因するテイラー・ゲルトラー型の渦が発生する条件を理論的に求める方法を示すとともに, その発生条件をゲルトラーパラメータで判定し, その臨界値とトムズ効果を表すパラメータ群との関係を明らかにした.その結果, ポリマーの伸張粘度およびトムズ効果による乱流摩擦抵抗の減少はいずれもテイラー・ゲルトラー渦の発生を促進することが判明した.また, その発生条件に対するレイノルズ数の影響を検討し, レイノルズ数が大きくなると, ポリマーの添加によって臨界ゲルトラーパラメータは減少し, 凹面壁に沿うポリマー希薄溶液の乱流境界層内にテイラー・ゲルトラー渦は発生しやすくなることを示した.
  • 川口 敏雄, 平 軍二, 若杉 敏久, 巽 竹次
    1985 年 11 巻 6 号 p. 708-714
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    酢酸ビニル合成に用いるアセチレンを, 大型移動層吸着装置で精製した.天然ガスの部分燃焼法で製造された粗アセチレンは, 不純物としてメチルアセチレンのような重アセチレン化合物を1%含有している.これを, 破砕活性炭を用いた移動層吸着装置を通して, 重アセチレン化合物を0.1~0.3%にまで除去精製した.
    実験は, 塔径100, 320, 1000mmの三種類の試験装置を用い, 物質移動に関するデータのほか, 装置設計や, 運転上考慮すべきスケールエフェクトを検討し, 最終的に塔径2.2m, 塔高17.5m, 内容積38m3の工業的装置を建設した.
    これらの装置を用いた実験の結果としては, 塔径が増大するにつれて, 活性炭の降下速度に偏りが見られること, HETPが大きくなることが挙げられる.
    これらの点を除けば, 工業装置の運転は非常に容易で, 酢酸ビニル合成に対する精製の効果も著しく, 不純物副生率小, 触媒劣化速度の低減という好ましい結果がみられた.
  • 村瀬 敏朗, 中倉 英雄, 森 英利, 白戸 紋平
    1985 年 11 巻 6 号 p. 715-720
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    通気脱水における粒子層の最終平衡含水率の推定方法を検討した.解析に際しては, 粒子層を種々な半径の毛細管の集合と見なし, 毛細管の毛管ドレン高さがその毛細管に作用する空気圧と毛管吸引圧との差に比例すると考えて, 毛管キャピラリー曲線を用いて粒子層内部の残留飽和度分布を求めた.次いで, その残留飽和度分布から決定できる因子Zav.を定義して層全体の平均残留飽和度の簡易推定式を導き, 通気脱水における最終含水率が遠心脱水の場合と同様な方法で容易に推定できることを示した.
    ガラスビーズ, 相馬砂および炭酸カルシウムの充填粒子層の実験結果は, 修正キャピラリー数JNcap.=1.1~4.6の範囲において, 本報の理論推定値とかなり一致した傾向を呈した.
  • 伊藤 直次, 白田 利勝, 吉留 浩, 只木 〓力
    1985 年 11 巻 6 号 p. 721-728
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    吸熱反応を伴う粉粒体の回転炉内での反応進行機構を解析した.ナダレ運動に起因して毎回変わる粒子群の公転軌道とそれらの反応履歴を考慮に入れたモデル式を導き差分法にて解いた.
    モデル反応として選んだヨウ素酸マグネシウム四水塩の脱水反応を回分式回転炉にて行い, 反応率とナダレ運動域の温度の時間的変化を測定した.さらに, 粒子群の炉内循環流れの流動様式に関係する反応率分布を調べるために, 反応下, サンプリングした粒子の反応率を1個ずつ測定した.
    計算結果と観察結果とを比較対照したところ, 粒子群の炉内での循環運動はピストン流れに近いことが明らかになった.さらに, 実験的に得られた反応率および温度変化データは, モデル式を解いて得られた曲線にほぼ一致した.
  • 山口 学, 小林 淳志, 大堀 康司, 片山 俊
    1985 年 11 巻 6 号 p. 729-734
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    直流電場を利用した流通式解乳装置を試作し, ケロシンースパン80 (乳化剤) -食塩水系のW/O乳化液を用いて, その解乳特性を実験的に調べた.その結果, 30~50vol%W/O乳化液はφwwi〓0.02程度まで油水分離された.解乳操作において乳化液の電極間での滞留時間は重要な因子であることがわかった.また, 電気解乳による乳化剤の劣化度は小さく, 解乳油相は連続して再利用できることがわかった.
  • 小島 紀徳, 山下 敏, 古澤 健彦, 坂東 芳行, 倉石 迪夫, 西村 誠, 安藤 成司, 石原 茂雄
    1985 年 11 巻 6 号 p. 735-742
    発行日: 1985/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
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