化学工学論文集
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12 巻, 4 号
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  • 青木 正則, 後藤 哲郎, 西脇 俊朗, 山中 行一, 片岡 勲
    1986 年 12 巻 4 号 p. 375-381
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    液体から沈降性固形物と浮上性固形物の両方を分離・除去する新しい固液分離水槽を開発し, その性能について検討を行った.
    本水槽は円形で, 固形物を含む液体が接線方向に流入するようになっている.水槽の側壁下流付近の放流口から固形物を分離した液体が流出する.水槽中心に設けたオーバフロー管からは浮上性固形物, 底部排出口からは沈降性固形物を多く含む液体が流出する.
    本水槽は, 従来のスワール分水槽と比較して, 分離機能, 排出機能ともに優れていることが明らかとなった.そこで, 本水槽についてより詳細な実験的検討を行った.その結果, 分離率が一つの無次元数でほぼ一義的に定まることを明らかにし, 分離率を求める実験式を示した.
  • 生三 俊哉, 森 晴彦, 増田 弘昭
    1986 年 12 巻 4 号 p. 382-387
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    円管流路内を流れるエアロゾル粒子は内壁面に沈着し, 充填率の小さい粒子層を形成する.この粒子層の表面形状と内部構造を, 単極荷電された粒子および非帯電粒子に対して検討した.粒子層の表面粗さは単位面積あたりに沈着した粒子の質量 (粉塵負荷) とともに増加した.この表面粗さは非帯電粒子よりも単極荷電された粒子の方が大きい.走査型電顕写真により, 粒子層は凝集粒子から形成されており, 非帯電粒子よりも帯電粒子の方がより疎に充填されていることがわかった.これら粒子層の充填率は粉塵負荷の増加につれて大きくなり, 次第にそれぞれの最大値に近づく.さらに, 粒子層の構造の相違は, 帯電粒子の電気的分極を考慮した簡単な計算機シミュレーションにより定性的に説明できることがわかった.
  • 清水 健司, 久保田 徳昭
    1986 年 12 巻 4 号 p. 388-392
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    硝酸バリウム結晶の (111) 面の成長結晶表面のステップの挙動を反射型ノマルスキー微分干渉顕微鏡で観察した.
    結晶表面の成長スパイラルは, いくつも共存していてそれらスパイラルは微結晶の付着によっても発生した.ステップの移動速度は, ステップ同士の干渉, 添加した不純物イオンNa+および結晶表面荒さにより変化した.破損した結晶面には, 結晶破片が付着していて, 新しい層は, それらの結晶破片を覆ってしまう.さらにその面では巨大ステップが形成しやすく, 引き続いてステップのオーバーハング, インクルージョンが起こる.
  • 新井 紀男, 二宮 善彦, 中井 孝和, 架谷 昌信
    1986 年 12 巻 4 号 p. 393-400
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    NH3を経由するVolatile NOおよびN2生成をNH3/H2/O2/Ar気相反応系について実験的ならびに理論的に検討した.反応実験は, 反応温度970~1400K, 酸素濃度2000ppm以下の条件のもとで流通式管型反応器を用いて行った.得られた実験結果は, 反応ガスの昇温過程をも考慮した素反応モデルに基づく理論計算結果と比較され, 本実験範囲において次のような点が明らかになった.
    1) NH3の分解に伴う主生成物は, N2であり, 一方, NO生成は, 極めてわずかであった.
    2) NH3からのN2生成は, H2とO2の共存により促進される.
    これらの実験的傾向は, 本研究で提案された反応モデルに基づく理論によって説明することができた.以上の結果より, NOおよびN2生成の主反応経路について検討を加えた.
  • 山下 善之, 松本 繁, 鈴木 睦
    1986 年 12 巻 4 号 p. 401-407
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    積層材の一次元非定常伝熱特性を解析するため, 構成要素の温度と熱流束との関係をs領域において積層数の関数として解析的に求めた.また, いくつかのみかけの熱物性値による均質材近似における誤差と限界を定量的に評価した.
    さらに, その結果が非定常法による温度拡散係数の測定法と密接にかかわっていることを実例によって示し, 積層材に適用する際の問題点について考察した.
  • 山田 昌治, 倉光 鋼太郎, 牧野 和孝
    1986 年 12 巻 4 号 p. 408-413
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    著者らによって提出された粉体層崩壊モデルは, 崩壊曲線推算法の基礎として適用できる.しかし, 同モデルにおける有効なパラメータ探索法については十分な検討がなされていない.そこで, 本報ではこのような観点から, 粉体層崩壊モデル中のパラメータの基本的な特徴を系統的に考察した.その結果, 次のような知見が得られた.
    1) 探索すべきパラメータの数がm, n, s, dの4つからm, s, dの3つに減った.
    2) 単軸圧密および引っ張り特性の解析解を導出した.これにより, パラメータの迅速で高精度な探索が可能となった.
    3) パラメータmは応力比ηに依存し, パラメータs, dは応力比κ, λに依存する.
    4) 本パラメータ探索法の有効性を実験的に検証した.
  • 西 泰英
    1986 年 12 巻 4 号 p. 414-419
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    流動層の諸特性, すなわちΔPu曲線のタイプ, 最小流動化速度, 最小流動化時の層の空間率, 層膨脹および層の圧力損失についての実験的研究を揺動条件下で行った.揺動の影響を揺動周期, 最大傾斜角度, 支点から分散板までの距離, および層幅を変えて調べた.
    ΔPu曲線はいくらかのタイプに分類され, そのタイプは揺動条件および層幅によって決まった.最小流動化速度および最小流動化時の層の空間率は揺動が激しくなるとともに減少した.揺動や傾斜は層の膨脹を抑えるとともに, 層高および圧力損失の変動幅を増加した.層の傾斜や揺動はチャネリングやスラッギングを増加した.
  • 安西 晟, 福間 三喜, 室山 勝彦
    1986 年 12 巻 4 号 p. 420-426
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    固体粒子を高濃度に含んだ固相回分, 気-液相上昇流式のスラリー気泡塔における気, 液, 固各相のホールドアップの軸方向分布と液相容量係数klaとを, 内径15cm, 高さ1.05または1.55mの塔を用いて測定した.流動化媒体として空気-水および空気-グリセリン水溶液を, スラリー粒子として平均粒径0.16および0.23mmガラス球 (密度2500kg/m3) を用いた.
    投入粒子量を増大させると, 低ガス流速では塔下部の粒子濃度の均一な濃厚粒子層とその上部の希薄粒子層とからなる粒子濃度分布が形成された.そしてガス流速の増大により粒子は塔頂へ向かって拡散し, 粒子濃度は塔下部で大きく塔上部へ行くに従って連続的に減少する分布形が形成された.一方, ガスホールドアップは軸方向についてほぼ一定であった.
    klaはガス流速の増大によって増大し, 粒子濃度の増大によって減少した.スラリーのみかけの粘度を考慮して, klaを次式によって相関した.
    kla=3.09×10-7 {(1-φs/0.60) /μl} 1.50Ug
    ただし, φss/ (1-εg) [-], kla [1/s], μl [Pa・s], Ug [cm/s] であり, 各変数の適用範囲は, 0.8≦Ug≦8.0, 0.001≦μl≦0.002, 0≦φs≦0.4である.
  • 森原 淳, 小山 俊太郎, 野北 舜介
    1986 年 12 巻 4 号 p. 427-432
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    気流層の常温流れモデル炉を用いて, トレーサ応答法により粒子滞留時間を測定し炉形状の影響を検討した.モデル炉には, 上, 下端に絞りを設け, 旋回方向に向けたバーナを上下2段に設置して旋回流を形成させた.上端絞り径, 下段バーナ旋回円径を小さくするほど, また, 上段バーナ高さを低くするほど粒子滞留時間は増大した.これは, 形状により炉内の周方向速度分布が変化し, 粒子に加わる遠心力が変化するためである。旋回流型気流層の粒子滞留時間と, 計算により求めた栓流型気流層の粒子滞留時間との比Tは, 遠心力と重力との比である遠心効果Zの関数として次式で表せることを明らかにした.
    T=0.122×Z0.501
  • 轡 義則, 西谷 紘一, 欅田 榮一
    1986 年 12 巻 4 号 p. 433-439
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本論文では, 混合整数線形計画 (MILP) モデルで表されるプロセスシステムのフレキシビリティ解析を行った.まず, モデル中のパラメータがある範囲内で変化する時システムの仕様を満たす運転の存在を調べる問題 (フィージビリティテスト) を, 不確定パラメータの空間で設計者が要求するトレランス領域がシステムのもつトレランス領域に含まれるか否かを判定することによって解く方法を開発し, その方法に基づくアルゴリズムを作成した.次に, プロセスシステムが不確定パラメータのどの程度の変化にまで対応できるかという, システムがもつフレキシビリティの大きさを求める問題を, 先のフィージビリティテストアルゴリズムを繰返し用いて解く方法を示した.応用例として, MILPモデルで定式化された熱交換器システムのフレキシビリティ解析を行い, 本論文で述べた解法の有効性を確認した.
  • 轡 義則, 西谷 紘一, 欅田 榮一
    1986 年 12 巻 4 号 p. 440-446
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    プロセスシステムでは運転中, デマンドやプラントパラメータ等の不確かさに対応するため, 操作量の変更ばかりでなくユニット機器の運転・停止を含む運転パターンの変更が行われる.本論文では, 運転パターンごとに不確かさに対してシステムがもつ対応能力 (フレキシビリティ) が決まっていることを考慮して, 所定のフレキシビリティをもつシステムを設計する手法を開発した.それは, (i) パラメータの確率分布を考慮した混合整数線形計画法による最適設計と (ii) その設計について要求されるトレランス領域内のすべての点に対してシステムの仕様を満たす運転が存在するか否かを調べるフィージビリティテストからなる2段階法である. (i) で得られた設計が所定のフレキシビリティをもたない時, システムがもつトレランス領域を広げるための設計変更を行い, (ii) を繰返す.デマンドやプラントパラメータの不確かさの下で決められたフレキシビリティをもつスチームパワーシステムの設計を行い, 本手法の有効性を示した.
  • 駒崎 良夫, 須田 精二郎
    1986 年 12 巻 4 号 p. 447-452
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    AB5型の六方晶構造をもつ, RNi4.8Al0.2 (R : 希土類成分) 合金の水素化, および水素化物の脱水素化反応速度を測定し, その解析を行った.解析では, 反応速度に影響を及ぼす各種要因を定量的に検討し, 水素化物の平衡圧力と雰囲気中の水素圧力との圧力差が, 水素化物濃度に比較して, 大きな推進力となることを明らかにした.希土類成分Rに関しては, La, NdおよびPrの含有量の多い混合物の方が水素化, 脱水素化ともに反応速度が速いことを見いだした.また, MmNi4.5Al0.5-水素化物の文献データとの比較により, Niの一部をAlで置換することで, 反応速度が迅速になることが確かめられた.La単体および希土類成分の混合物からなるRNi4.8Al0.2-水素化物を定圧系で水素吸蔵反応を起こさせた場合, 反応速度定数と反応の推進力である平衡圧力と操作圧力との圧力差を掛けたN-値は, 従来の反応速度定数K-値と異なる挙動を示し, 最大値を示す温度領域が存在することがわかった.
  • 菅原 勝康, 高井 康, 菅原 拓男, 大橋 弘保
    1986 年 12 巻 4 号 p. 453-458
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    陰イオン交換膜セレミオンAMVと4種類の酸, 塩酸, 硫酸, シュウ酸およびリン酸の分配平衡, みかけの拡散係数ならびに拡散の活性化エネルギーを測定した.そしてDonnan平衡の理論をもとに, 塩酸では溶液相と膜相における塩素イオンの活量係数比, また多塩基酸では選択係数KHSO4SO4, KHC2O4C2O4, KH2PO4HPO4をパラメータとして, 分配平衡の実測値をシミュレートした.また分配平衡およびみかけの拡散係数の値から, 膜内微分拡散係数を膜内濃度の関数として算出した.
    この結果, 陰イオン交換膜内に硫酸水素イオンやシュウ酸水素イオンが選択的に取り込まれること, またいずれの酸においても膜内微分拡散係数が, 膜内水素濃度とともに増加することがわかった.さらに多塩基酸では, 活性化エネルギーが, フィード溶液濃度に依らず, ストリップ溶液の濃度増加とともに増大する傾向がみられた.
  • インパルス応答法に基づく検討
    小川 浩平, 黒田 千秋, 井上 一郎
    1986 年 12 巻 4 号 p. 459-464
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    タービン型, 傾斜タービン型 (上昇流および下降流回転), かい型の攪拌翼形状が通気攪拌槽の性能に及ぼす影響について, インパルス状にトレーサーガスを注入し槽内局所の吸収されたトレーサーガスの液中濃度の経時変化を実測し, 槽内最終平均濃度, 混合度変化および槽内に存在する濃度むらに注目し, 翼回転速度および通気流量を変化させて検討を行った.槽内最終平均濃度はかい型翼を用いた場合が最も濃く, 混合速度も同翼が最も速い結果が得られた.しかし, 操作条件に対する混合現象の推定の容易さ, すなわち制御容易な操作範囲の広さという点も総合すると, 傾斜タービン翼 (上昇流回転) が最も優れていると考えられる.また十分混合が進行した後にも槽内には各攪拌翼形状ごとに特有の濃度むらがしばらく存在することを示し, 通気攪拌槽としての性能を検討する際に十分考慮する必要があることを指摘した.
  • 河越 幹男, 大竹 伝雄, 野田 泰夫, 川島 陽介, 井内 哲, 伊藤 真吾, 高橋 照男, 北村 吉朗, 浅野 道男, 伊永 隆史, 竹 ...
    1986 年 12 巻 4 号 p. 465-497
    発行日: 1986/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
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