化学工学論文集
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12 巻, 6 号
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  • 川口 敏雄, 若杉 敏久
    1986 年 12 巻 6 号 p. 627-634
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    酢酸亜鉛担持活性炭触媒による, 器底径3.28m, 酢酸ビニル生産能力50tons/日の同一形式の流動触媒反応器を二基用いた既存の操業装置でのアセチレンからの酢酸ビニル合成の最適運転条件について, 不純物の副生率, 触媒使用率・原単位などの面から検討を行った.
    不純物副生率は運転条件の影響を大きく受けるが, 原料収率の点からはあまり考慮する必要がない.
    触媒使用率の面からは, 固定層反応器の操業と同様に, 経時変化に伴う活性の劣化に見合うだけ反応温度を漸次上昇せしめる方式が有利である.しかし, 運転の安定化, 不純物副生率を考慮すると, 二系列の反応装置を低温反応列と高温反応列とにし, 低温反応列に高活性の新触媒を仕込み, 高温反応列には低温反応列の抜き取り触媒を仕込む方法が最適と考えられる.
    最適な運転条件として, ユーティリティーの使用量も考慮すると, 空間速度100 1/h, アセチレン対酢酸モル比2.5, 低温反応列温度447K, 高温反応列温度463Kが得られた.その時の推算新触媒使用率・原単位は6.7l/ton酢酸ビニルとなり, 操業実績とよい一致を示した。
  • 山本 博, 内海 良治, 櫛田 昭
    1986 年 12 巻 6 号 p. 635-639
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    平たたみ織り網を球形粒子が通過したと仮定したとき, その織り網の目開き寸法を検討した.粒子が通過しなければならぬ網の空間は, 網表面上の2本の横糸の間と, 縦糸と2本の横糸に囲まれた内部の三角形状になっている, 空間部分の二つがあることを示した.三角形状の空間部分の大きさを幾何学的計算から推算し, ガラスビーズとけい砂でふるい分け実験を行い, その値と比較した.実験結果は, 原試料の粒度分布, ふるい上とふるい下の個数による粒度分布および部分分離効率曲線によって検討した.その結果, 計算式の値は実験値と一致すると結論できた.
  • 豊田 活, 加藤 覚, 川崎 順二郎
    1986 年 12 巻 6 号 p. 640-646
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    合成ゼオライト4Aを充填した固定層によるN2ガス中からのCO2およびC2H4の2成分吸着分離を検討した.実測したCO2の1成分系吸着平衡は従来から報告されているLangmuir式よりもLangmuir-Freundlich式でより良好に表された.また, 合成ゼオライト4Aが2種類の吸着席を持つという考えに基づいて拡張Langmuir-Freundlich式を修正し, さらに, これに吸着質間の相互作用を考慮した経験的な修正を加えることにより新しい吸着平衡式を提案し, この式で実測した2成分系の吸着平衡を良好に表すことができた.また, 吸着剤粒子内部の物質移動に対して線形推進力を仮定した簡単なモデルと本研究で得た吸着平衡式を用いて破過曲線のシミュレーションを行い, 実測した1成分系および2成分系の各吸着質の破過曲線の形状および破過時間を良好に予測できることを示した.
  • 泉 正明, 新村 利治, 磯部 佳明, 山川 紀夫, 大谷 茂盛, James W. Westwater
    1986 年 12 巻 6 号 p. 647-653
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    耐水研磨紙により水平方向に粗さを付けた数種の伝熱面を用い凝縮実験を行い, 広範な過冷度Δtに対し熱流束とΔtの関係を求めた.
    観察によれば, Δtの小さな領域では, 粗面上においても典型的な滴状凝縮を示すが, 滴の形状は平滑面に比べ偏平であり, 流下滴もまた瞬時停止したり, 水平方向への振れを伴って落下するなど不規則な挙動を示す.
    一方, 実験結果によれば, Δtの小さな領域での熱流束および滴の流下頻度は, 粗さの増加とともに流下滴に対する流動抵抗が増加するため減少する傾向が見られる.また, Δtの増加とともに滴状凝縮は滴状と膜状が混在する遷移凝縮さらには膜状凝縮へと移行するが, 粗面上では面の性質が濡れやすく, また滴の流下抵抗が増加するなどの理由から, この移行は平滑面に比べ比較的簡単に起きる.一方, 熱流束について見ると, Δtを増加させ膜状凝縮へ至る経路と, 膜状凝縮の状態からΔtを減少させ滴状凝縮に至る経路は異なり, 一種の履歴現象を示す.
  • 宮武 修, 岩下 寛之
    1986 年 12 巻 6 号 p. 654-660
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本報では, 一様温度の三角形配列加熱円柱群間隙を軸方向に流れる流体への層流熱伝達を取り扱った.差分化したエネルギー方程式を反復を伴う前進・陰解法を用いて解き, 温度分布の軸方向の変化を求め, 局所グレツ数Gzlocまたはグレツ数Gzが105までの範囲, 円柱間隔と直径の比σが1.0~4.0の範囲に対して, 局所ヌセルト数Nulocおよび対数平均ヌセルト数Nulmを図示した.
    さらに, Nuloc, Nulmを表す次の近似式を数値解より導出した.
    σ=1.0~1.1の場合 :
    Nuloc=9.26 (1+0.0022Gzloc1.46) 1/4, Nulm=9.26 (1+0.0179Gz1.46) 1/4
    σ=1.1~4.0の場合 :
    Nuloc= {f2 (δ) +g2 (δ) Gzloc2/3} 1/2, Nulm= {f2 (δ) + (3/2) 2g2 (δ) Gz2/3} 1/2
    ここで,
    f (δ) =8.92 1+2.82(δ-1) / 1+6.86(δ-1)5/3, g (δ) =2.34 1+24(δ-1) / {1+36.5(δ-1)5/4} (2√3δ2-π) 1/3
  • 丹羽 雅裕, 大矢 晴彦, 片受 健一, 根岸 洋一, 石津 義男
    1986 年 12 巻 6 号 p. 661-667
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    4種の複合膜と酢酸セルロース膜を用いて, ショ糖あるいはNaClを添加したEtOH水溶液を圧透析法により透過側でEtOH水溶液を濃縮した.EtOH水溶液の濃縮比は, 酢酸セルロース膜使用時最大値2.24を示した.膜の透過機構は, Spiegler-Kedemの膜透過モデルにより表現できると仮定した.EtOH透過流束は溶液体積流束に比例して増加した.解析の結果, 膜内のEtOH濃度は供給液のそれに比して高いことがわかった.膜内へのEtOHの分配係数は酢酸セルロース膜で3~4と計算された.
    酢酸セルロース対称性膜内へのEtOH分配係数を測定した.分配係数は, 浸漬液のショ糖濃度の増加, 膜の含水率の減少に伴い増加し, 圧透析実験から計算された分配係数とほぼ一致した.
  • 竹本 幹男, 永田 順一
    1986 年 12 巻 6 号 p. 668-674
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    35wt% 塩化マグネシウム溶液中における AISI 304ステンレス鋼の SCC 感受性に及ぼす雰囲気と流速の影響を調べた。
    1) 3.8~4.4のpHをもつ35% MgCl2溶液では, 溶存酸素はSCC発生のために不可欠である.空気のバブリングは, 大気開放静止溶液に比べて, 著しくSCCを加速する.
    2) 層流域における流速は, 割れの発生時間を大幅に短縮させるが, 乱流域においては顕著な効果はない.再不働態化がおこる臨界レイノルズ数は, 明らかに腐食媒体温度の上昇とともに増大する.
  • 竹本 幹男, 永田 順一
    1986 年 12 巻 6 号 p. 675-680
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    内部加熱, 外部冷却型の垂直ステンレス管 (AISI304) の自然対流伝熱条件下における熱応力腐食割れを35wt% MgCl2溶液中で調べた結果, 次の結果を得た.
    1) 自然対流伝熱条件下におけるSCCは, 内部を腐食生成物で閉塞された食孔を伴い, 垂直円管の軸方向に伝播する.自然対流伝熱条件下における割れ発生時間は, 温度境界層平均温度における流動条件下の割れ発生時間とほぼ同じである.
    2) 食孔生成時間は, 伝熱面温度や熱応力に大きく左右されない.しかし, 食孔生成から割れ発生までの潜伏期間はアウレニウス型温度依存性を示し, その活性化エネルギーは, 酸性42wt% MgCl2溶液中のそれに等しい.熱流束は, 食孔内溶液組成を低pHに変化させ, その結果, 腐食速度は水素放電の活性化反応によって律速される.
  • 竹本 幹男, 永田 順一
    1986 年 12 巻 6 号 p. 681-687
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    強制対流伝熱条件下におけるステンレス鋼管 (AISI 304) の35wt% MgCl2溶液中における熱応力腐食割れを研究し, 次の結果を得た.
    1) SCC試験開始後, 極めて短時間のうちに食孔が観察され, SCCは腐食生成物で閉塞された食孔底より発生した.強制対流伝熱条件における割れ発生時間は, 一連の本研究で用いられた他のいかなる試験条件下におけるそれよりも短かった.
    2) 伝熱面温度および熱応力一定の条件のもとでは, 乱流Reynolds数の増大とともに, 食孔生成時間は減少し, 食孔生成から割れ発生までの潜伏期間は増大した. SCC感受性は, 壁温と, 流体温度や流速などの流体の物理的条件の双方によって影響される.潜伏期間の物理的意味を検討するための研究が今後必要である.
  • 村瀬 敏朗, 入谷 英司, 趙 駿衡, 白戸 紋平
    1986 年 12 巻 6 号 p. 688-693
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    濾室に不透水性膜を設けた水平板型フィルターを用いて定圧下で濾過ケークの脱水法を求め, 濾液流れの方向変化による圧搾機構を検討し, 2次元圧密におけるTerzaghiモデルに基づく脱水速度の解析法を提出した.
    濾過終了後に生ずる濾液流れの方向変化によって, ケーク内部の液圧および圧縮圧力分布が変化し, その結果ケークの圧密が生ずる.不透水性膜がケークを圧縮するため, 機械的な圧搾操作によって得られる最終平均含水率にほぼ匹敵する含水率をもつケークが得られた.また, 圧搾速度は主に操作圧力, 濾室厚さおよび濾室半径の影響を受けることを示した.
    圧縮透過試験データを使用して, カオリンスラリーを用いた圧搾速度の実験結果を比較的精度よく推定できた.
  • 五十嵐 千秋, 佐藤 広昭, 鈴木 英友
    1986 年 12 巻 6 号 p. 694-700
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    し尿処理汚泥を用いて, ポリマの吸着挙動が凝集汚泥の脱水性に及ぼす影響を検討し, 以下の知見を得た.
    1) みかけの飽和吸着量は, 分子量が低い領域では分子量に関係なく一定であったが, 分子量の増大とともに低下した.
    2) みかけの飽和吸着荷電量は, みかけの飽和吸着量と同様の傾向を示した.
    3) 高分子量カチオンポリマの単独添加によって脱水する場合, ブレーク点, すなわち, 添加したカチオンポリマが液中に残留しはじめる添加率で最良の脱水状態となった.ブレーク点では, カチオンポリマが吸着できる部位が多量に残されている.
    4) 低分子量カチオンポリマと高分子量アニオンポリマの併用により脱水する場合, 各々のポリマのブレーク点の添加率において最良の脱水状態となった.カチオンポリマの添加率がブレーク点を上まわらない領域では, 吸着カチオン荷電量が多いほど, ケーキ含水比が低下した.
  • 坂東 芳行, 西村 誠, 倉石 迪夫, 春日 司
    1986 年 12 巻 6 号 p. 701-706
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    体積受熱型ソーラコレクタの集熱効率は層内自然対流を抑制することにより改善される.この抑制法として, 作動流体層を透明な仕切板によりマルチレイヤ化し, 対流が発生するゾーンを小さくすることが考えられる.
    本研究では, マルチレイヤ化した体積受熱型ソーラコレクタの集熱特性について検討するために, 1層および2層のコレクタを用い, 種々の流量において層内温度分布および集熱効率を測定した.また, 層内自然対流を考慮に入れた理論解析を行い, 実験結果と比較検討し, さらに, 種々の因子の影響について考察を行った.
    その結果, 作動流体層のマルチレイヤ化は層内自然対流の抑制に有効であることが認められ, また, 操作条件に対して最適な分割数が存在することが見い出された.
  • 吉田 裕志, 油川 博
    1986 年 12 巻 6 号 p. 707-713
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    電気浸透による圧縮性スラッジの脱水機構について理論的解析を行い, 定電流条件における電気浸透脱水過程を表す半理論的な基礎式を得た.基礎式を用いた数値計算によって, 脱水に伴うスラッジ層内の含水率分布や電位差分布の変化などの電気浸透脱水過程を推定することができる.含水率分布, 電位差分布, 印加電圧, 脱水量, スラッジ層高および平均含水率の経時変化について, ゲル状ベントナイトスラッジを用いた実験結果と計算結果との比較検討を行い, 定電流条件における電気浸透脱水過程を理論的にほぼ推定できることを明らかにした.
  • 安田 守宏, 安川 三郎, 関根 太郎
    1986 年 12 巻 6 号 p. 714-720
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    硫酸酸性の0.1mol・dm-3硫酸銅水溶液からの銅の電析を行い, 粒径2.9mmの銅めっきガラス粒子からなる同心円筒型流動層電極 (CFBE) の電気化学的特性を研究した.実験には, 外筒および内筒径がそれぞれ7cmと0.9cm (cell A), 7cmと2.2cm (cell B) および4.2cmと2.2cm (cell C) の3つの電解槽を用いた.
    CFBEにおける作用極でのみかけの電流密度jWは, 隔膜表面積×流動層厚さの体積に含まれる粒子の全表面積と隔膜表面積に相当する作用極面積との和を基準電極面積として計算された.このjWを用いてCFBEの作用極での電流-電位曲線 (jW-ηW 曲線) を表した.また, CFBEの電流-電位曲線 (jK-ηW曲線) は, CFBEのみかけの電流密度jKすなわちjW-K (rW/rK) を用いて表した.ここでrW/rkは作用極半径rWとCFBEの第K番目の区間の中点での半径rKとの比であり, jW-KjW-ηW曲線のηWの代わりにηKを用いて得られるみかけの電流密度である.これらの電流-電位曲線とCFBEの各位置での過電圧とを用いて推算した全反応電流は, 実験に用いた槽電流と2~5% の誤差で一致した.
  • 川島 陽介, 伊藤 真吾, 井内 哲
    1986 年 12 巻 6 号 p. 721-725
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    角管斜め合流路を用い, 合流下流域の熱伝達特性を実験的に求め, 合流路の流れが熱伝達に及ぼす影響を考察した.実験は, テストセクション部のレイノルズ数を29900と40000とし, 管断面積比1.0と2.0について, また, 支管取り付け角度50°, 70°, 90°, 110°, 130°について行った.
    結果として, 流量比1.0の場合の値で基準化された管軸方向平均ヌッセルト数が, k-ε乱流モデルを用いた2次元斜め合流路における流れの数値解析結果より得られた, 縮流係数の関数として表せることを示した.
  • 加藤 康夫, 樋高 信幸, 上村 浩, 伊藤 直次, 中田 淳, 小畑 健三郎, 河村 光隆, 白田 利勝, 吉留 浩, 北村 吉朗, 浅野 ...
    1986 年 12 巻 6 号 p. 726-746
    発行日: 1986/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
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