化学工学論文集
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15 巻, 6 号
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  • 岸本 民也, 赤木 靖春
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1051-1056
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    活性汚泥法排水処理施設から発生する余剰汚泥の嫌気発酵におけるメタンガス発生量の増大と有機物量の減少を目的として, オゾンによる余剰汚泥前処理の効果を実験的に検討した.
    オゾンガスを0.378m3/hrの通気量で, 濃度が6~17kg/m3の余剰汚泥中に5~15分間吹き込んだところ, MLSS濃度の減少に伴って溶解性BODおよびCOD濃度が増大した.オゾン処理によって余剰汚泥を構成する有機物は最大20%分解・可溶化し, しかも分解・可溶化の程度は初期pHにはあまり影響されないことが判明した.
    オゾン処理した余剰汚泥の嫌気性発酵では, 無処理に比較して, 単位有機物量当たりに発生するガス量およびメタンガス量はそれぞれ1.5~2.7および1.7~3.7倍増大した.この結果は前処理としてのオゾン処理の有効性を示している.
  • 陳 福明, 仲 勇治, 田中 裕之, 大島 榮次
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1057-1063
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    高分子量アミンによる有機酸の抽出平衡の分配係数を高める希釈剤の選択法を明らかにするため, トリ-n-オクチルアミン (TOA) による酢酸の抽出平衡に対する希釈剤の影響を調べた.実験により, 酢酸の分配係数は, 希釈剤の種類, TOA/希釈剤の混合比に依存することが明らかにされた.
    抽出平衡を記述するために, TOAと酢酸の支配的会合および遊離している酢酸の物理的分配を同時に考慮したモデルを提案した.このモデルを用いて, TOAと希釈剤の混合溶媒による酢酸の分配係数を推算した結果は, 実測値とよく一致した.実測値とモデルより, アクセプター性の強い希釈剤は, 支配的会合の次数を低下させ, 水相中酢酸濃度の低い領域における分配係数を高めることが明らかになった.最後に, 希釈剤の選択法が検討されている.
  • 倉前 正志, 伊藤 誠
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1064-1072
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    ヒートパイプの熱輸送に関する動特性を解析するための物理モデルとして (a) 集中定数近似に基づくモデル (b) 軸方向の伝熱抵抗を考慮したモデル (c) 径方向の伝熱抵抗を考慮したモデル (d) 軸・径方向の伝熱抵抗を考慮したモデルを提案するとともに, 各モデルについて熱輸送量の過渡応答に関する計算例を示して, パラメータの物理的意味やモデル相互間の関係などを明らかにした.また, 条件の異なる4本のヒートパイプについてステップ状の熱入力変化を与えた場合におけるヒートパイプ各点の温度および冷却水温度の応答を測定し, 種々の物理モデルから推算された結果とを比較して考察を行った.その結果, 一般に集中モデルによる推算結果は実測値に比べて熱応答の時定数を過小に見積り, また均質モデルでは逆に時定数を過大に見積る傾向にあるのに対して, 構造モデルまたは階段モデルによる推算値は実測値に比較的近い結果を与えることが示された.
  • 新井 紀男, 山本 彰夫, 架谷 昌信
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1073-1079
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    新たな間接 (非接触) 式液体層温度分布測定法として超音波CTを用いる方法を提案し, 本測定法の適用性について検討を行った.まず, 本測定において最も基礎となる超音波伝播速度と温度 (純水中における) の関係を超音波パルス法を用いて求めた.次に, 測定対象として円管同軸噴流における軸対称温度分布場をとった.測定温度場に超音波を投射することによって得られる超音波伝播時間と再生アルゴリズムとして二次元フーリエ変換法を用いることにより非接触的に超音波伝播速度分布を求め, 先に測定した超音波伝播速度と温度 (純水中における) との関係を用いて超音波伝播速度分布を温度分布に変換し, その結果を従来法である直接挿入式熱電対による結果と比較した.その結果, 再生温度分布は中心軸付近では実測値と若干絶対値が異なるが, 相対的には両者が良好に一致していることより, 本研究で用いた測定法の適用性が認められた.
  • 倉橋 裕, 今井 正直, 漆山 祥司, 清水 賢
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1080-1086
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    両親媒性成分を含む有機薄膜における水透過係数を, 有機薄膜を通した水透過速度の測定により決定した.ケロシンと両親媒性成分 (Span80®) から構成される有機相を多孔質ポリカーボネート膜に固定化することにより有機薄膜を形成した.水透過係数は膜厚に逆比例し, 水相の塩酸濃度差には依存しなかった.また, 水透過係数は両親媒性成分の濃度が約3wt%までは増大したが, 3wt%より高濃度域では緩やかに低下する傾向を示した.
  • 伊勢 忠司, 山口 学, 片山 俊
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1087-1094
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    油中水滴型乳化液の電気解乳化の基礎として, 油相電場中の微小水滴の凝集過程を理論および実験的に研究した.
    微小水滴は電場の方向に直鎖状に配列 (連珠形成) し, 電気力により水滴同士は合一した.連珠と孤立滴間の相互作用力に対する式を導出し, 数値的に解いた.また, 連珠形成と微小滴の合一挙動を顕微鏡下の小規模電場セルを用いて調べた.
    連珠形成については, 計算値と実測値の一致は良好であった.水滴間の電気合一については2つの微小水滴が合一する2滴間の電位差は1~1.5V程度であった.
  • 清水 健吾, 佐山 隼敏, 亀山 嘉正, 鈴木 和彦
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1095-1101
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    多成分気液平衡, 蒸留問題の解を決定する計算法は, 数多く発表されている.その多くの計算法では, 数値微分により, 偏導関数の値を求めている.この計算は多量の計算時間を必要とし, 微量成分の問題では計算が困難となる場合も生じる。本論文では, 多成分非理想系気液平衡問題の新しい計算法を提案する.液組成を独立変数, 温度を従属変数と選定する.液組成に関する蒸気組成の偏導関数は, 陰関数の定理を用いて, 解析的に導出できる.Newton-Raphson法またはGauss-Newton法に基づく繰り返し計算法は, 偏導関数の解析式を用い, 液と蒸気の制約条件を満たしながら, 解に接近する.多成分露点計算問題に本計算法を適用し, 安定で厳密な数値解が求められた.
  • (故) 江口 彌, 谷垣 昌敬, 武藤 邦夫, 土屋 博嗣, 後藤 英司, 佐藤 俊樹
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1102-1108
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    気相が共存しない状態で, 均一水溶液中の亜硝酸の消失速度を, 288~313Kで測定して, 速度解析を行った.
    水溶液中での亜硝酸の自己分解は, 既往の気液系で行われた研究で導かれている素過程にしたがって起こるが, 気相が存在しない場合には, 溶解度の小さい生成物である一酸化窒素の放出が抑制され, 気液系では無視できる逆反応の影響が大きくなる.
    また, 亜硝酸は自己分解で消失するだけではなく, 溶存酸素による液相酸化によっても消失する.この反応系においては, 亜硝酸の自己分解における迅速な第1素過程で生成する一酸化窒素の溶存酸素による液相酸化が律速過程である.
    以上の考察に基づいて, 溶存酸素が存在する水溶液中における亜硝酸の総括消失速度を, 一酸化窒素の液相酸化速度を考慮して導いた.また, 総括反応速度定数および総括反応平衡定数の温度依存性を明らかにした.
  • (故) 江口 彌, 谷垣 昌敬, 武藤 邦夫, 土屋 博嗣
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1109-1114
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    気相が共存しない状態での酸性水溶液中における亜硝酸によるヨウ素イオンの酸化挙動を分光吸光度スペクトルの繰り返し測定およびストップドフロー高速反応解析装置による吸光度の経時変化の追跡により観測した.この酸化反応の総括量論式は
    2I-+2HNO2+2H+→I2+2NO+2H2O
    で示され, [I-] 0< [HNO2] 0の条件では [I2] ∞= (1/2) [I-] 0の量論値でI2の生成は停止する.一方, [I-] 0> [HNO2] 0の条件では [I2] ∞は (1/2) [HNO2] 0以上にまで酸化が進行する.これは, HNO2によるI-の酸化が密閉容器中で進行すると, 副生するNOが系内に存在する溶存酸素によって酸化されてNO2を経て, HNO2を再生する反応サイクルを構成するためと考えられる.
    本研究では, [I-] 0< [HNO2] 0の条件下での微分法による初速度解析からHNO2によるI-酸化速度を定式化した.さらに, 積分法解析によって, 微分法で得られた速度式および速度パラメータの妥当性について確認した.
  • (故) 江口 彌, 谷垣 昌敬, 武藤 邦夫, 土屋 博嗣
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1115-1119
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    酸性水溶液中における亜硝酸によるヨウ素イオンの酸化反応の挙動を観測した結果から, HNO2によるI-の酸化反応は極めて迅速な反応であるが, 密閉容器中でI-の初濃度がHNO2の初濃度より高い条件で反応が進行すると, 副生するNOは系内に留まり, 溶存酸素によって酸化され, NO2を経てHNO2を再生する反応サイクルを構成するために, I-の酸化がHNO2の初濃度に対する量論値以上まで進むことが見出された.そして, この過剰ヨウ素の生成速度は液中におけるNOの溶存酸素による液相酸化速度に支配されていると推論された.
    以上の知見に基づいて, I-の総括反応速度の解析を行い, 溶存酸素によるNOの液相酸化速度式およびその温度依存性を求めた.得られた速度式は, 気相反応と同形であったが, 気相反応の場合と異なり, 正の温度係数を示した.これはHenry定数の温度依存性によるものであると推定される.
  • 須藤 省吾, 山本 英二, 矢野 元威, 原納 淑郎
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1120-1125
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    撹拌型回分式晶析槽における, 溶液の光透過度および電気伝導度の経時変化, ならびに最終結晶群の沈降に伴う光透過度変化を, 直接かつ連続的に計算機に取り込んだ後, 最終結晶群粒度分布, 二次核化と成長の速度などを自動的に解析する装置を試作した.そして本装置を [A] L-アスパラギン酸/水系 (初期飽和度S0=2.9~3.9), および [B] フマル酸/水系 (S0=1.3) に適用して解析を行った. [A] については, 次の結果を得た.1) 二次核化速度ならびに最小粒径γminは撹拌速度とS0に依存する.2) 二次核はrmin以上の大きさを持つ母結晶間の衝突によって生じ, その速度をdN/dt=kn・Nm2S10で整理できた.ここでNmrminより大きい結晶粒子の数である.3) 結晶成長を表面二次元核生成速度に律速されるとして整理し, 表面エネルギーσ=8.0 erg・cm-2, S=2.0における表面二次元核臨界半径rc'=0.39nm等の値を得た.さらにS0の低い [B] では, 4) 結晶成長はBCF理論で整理できると考えられる.
  • 佐藤 正之, 野口 義久, 井上 佳子, 定方 正毅
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1126-1131
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    異種植物細胞同士の電気融合装置開発のための基礎的研究を行った.ここでは, 連続的に電極間隔の変化する電界収束電極形状を提案し, それを用いた細胞移動並びに融合操作を行った.すなわち, 別々の入口よりそれぞれA細胞とB細胞を融合槽内に導入し, 1MHzの交流を印加して誘電泳動によりAとBを接触させた後, パルス電界により融合した.誘電泳動の操作条件と移動速度並びにパルス波形の融合過程に対する影響について, 3種類の植物細胞を例に測定結果を示した.
  • 冨田 太平, 久保 昌宏
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1132-1137
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    モノクロメータで分光した波長254nmの光を幅3mmのスリットを通して平行光束とし, 矩形の光反応器の光学窓より微小気泡分散相に入射して, その透過光強度分布をフォトセルを用いて3cm間, 0.3mmの間隔で測定した.そして, 透過光強度分布から気泡分散系の有効減衰係数を求めた.しかし, この有効減衰係数, μe, を用いて算出した体積平均光吸収速度は化学光量計のトリオキザレート鉄カリウムの光還元反応によって測定した体積平均光吸収速度より大きい結果となった.
    実測の体積平均光吸収速度を用いて, 平行平板モデルに基づいて有効光路長を算出した.有効光路長は溶液の減衰係数および気泡径によらずガスホールドアップの関数として相関することができ, この有効光路長を使った簡単な方法によって, 微小気泡分散系での体積平均光吸収速度を推算できることを示した.
  • 進藤 勇治, 伊藤 直次, 原谷 賢治, 若林 勝彦
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1138-1143
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    膜反応器の工学的特性を検討するため, 可逆一次反応について, 反応速度および分離速度の両方を考慮した連立速度式から反応転化率を表す式を導いた.その導いた式を解析することにより, 膜反応器の特性に関するいくつかの重要な知見を得た.
    たとえば, 膜反応器の転化率には上限値である理想最大転化率が存在することを明らかにするとともに, 理想最大転化率と膜の選択率および反応の平衡定数との関係などを明らかにした.また, 膜反応器が反応促進効果を示すための設計条件および操作条件などを明らかにした.
  • 田中 真人, 林 健司
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1144-1152
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    フェライト粉末で均一に覆われたポリスチレン粒子が懸濁重合によって調製された.フェライト粉末は濡れ特性を変えるために, シランカップリング剤により処理された.段階的に変えられた操作条件は, フェライト粉末の添加量, 粉末とスチレンモノマーとの間の接触角, そして撹拌速度である.粒径分布, 平均粒径, 分散度, 収率そして付着強度のような複合粒子のいくつかの特性に及ぼす操作条件の影響が検討された.
    さらに, 接触角によって, フェライト粉末が粒子表面にどのように付着するのかを検討するために, 複合粒子の表面と断面の顕微鏡写真観察が実施された.
  • 日引 俊, 山口 学, 片山 俊
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1153-1159
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    接地平板電極とそれに垂直に設置された単一帯電ノズルにより形成される不平等電場中における層流液柱からの帯電液滴生成および高電圧印加液柱の特異挙動 (鞭打ち現象) について実験を行い, それらを考察した.実験には, 気液系として, 分散相に水, キシレン, 連続相に空気を用い, 液液系として, 分散相に水, 連続相に, シクロヘキサン, ヘキサン, シリコンオイルを用いた.印加電圧の増加とともに液柱長さ, 液柱径および生成液滴径は減少した.電場を考慮した液柱の線形安定性理論より求まる波数と波の成長速度を用いて, 生成液滴の滴径推算を行った.各実験系ともに, 滴径の実測値と計算値は誤差±10%程度で一致した.また, 液柱界面に作用する静電圧力が界面圧力を上回ると鞭打ち現象が生じることを実験的に明らかにした.
  • 伏田 矩久, 辰川 信行, 架谷 昌信, 新井 紀男, 板谷 義紀
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1160-1165
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    食品の焼成過程における熱移動解析を目的として, 電気オーブンにおける食パンの非定常加熱特性を理論および実験により検討した.まず組成が安定なJISB5レンガを電気オーブン内でステップ加熱実験を行い, レンガ内部の温度分布の経時変化を測定し, 測定結果と境界条件に対流および輻射伝熱を考慮した非定常3次元熱伝導方程式によって理論的に導き出される計算結果とがよく一致することを確かめた.ついで食パンを試料として同様の測定と理論値との比較を行った結果, 加熱温度が335K程度の低温域での伝熱特性については非定常熱伝導モデルだけでも良好に推算しうることを明らかにした.
  • 伊藤 龍象, 平田 雄志, 生田 章雄
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1166-1171
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    テイラー渦の混合特性を可視化および濃度応答実験より検討した.層流テイラー渦は遷移・乱流テイラー渦とは異なった混合パターンをもち, また渦内, 渦間混合速度はともに著しく遅い.遷移・乱流テイラー渦の混合過程は, 界面物質交換速度を用いた完全混合槽列モデルで良好に記述される.回転円筒に働くトルクから求められるコルモゴロフの粘性消散速度スケールは, 界面物質交換速度の相関に適した因子であり, これを用いて乱流テイラー渦への遷移を検討した.乱流テイラー渦の物質交換速度はこの速度スケールに比例して変化する.
  • 浅井 英明, 加藤 覚, 長浜 邦雄
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1172-1178
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    アルコール水溶液のパーペーパレーション分離における透過機構を明らかにするために, 3種類のアルコール (メタノール, エタノール, 1-プロパノール) 水溶液のナフィオン膜中への溶解度を実測し, それに基づき, 溶解度の推算法を理論的に検討した.
    2成分系 (純溶媒-膜) の溶解度はFlory-Huggins式によって表すことができ, 対イオンに依存しない膜の溶解度パラメータを定めることができた.しかしながら, アルコール-水-膜からなる3成分系の溶解度の実測値とFlory-Huggins式による推算値は, 一方の溶媒成分が希薄な場合を除いて, 良い一致を示さなかった.
    一方, 高分子膜中に溶解した溶媒2成分の膜フリーの組成と液組成の平衡関係を, 膜中の見かけの活量係数を用いることによってうまく相関することができた.
  • 村瀬 敏朗, 入谷 英司, P. Chidphong, 加納 勝博
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1179-1186
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    極微粒子からなる難濾過性スラリーの精密分離に使用可能な共軸2重円筒型セラミック膜フィルターのパン酵母懸濁液の分離操作への適用を図るために, セラミック膜を断続的に回転させる周期的ダイナミック操作による高速精密済過法について検討した.セラミック膜を静止して行う定圧ケーク濾過操作と濾口を閉鎖しセラミック膜を高速回転させて濾過ケーク層を掃流するダイナミック操作とを交互に繰り返す本報で提案した周期的ダイナミック濾過法によれば, セラミック膜を連続的に回転させる従来のダイナミック済過の場合と比較して, かなり高い浜過速度が得られる.濾材抵抗が濾過サイクルの繰り返し回数に実験的に関係づけられることに着目して, Ruthの定圧濾過式を使用して, 濾液量の経時変化の推定方法を示した.また, 最適済過時間θf・optは, 全操作時間θtが増加するとともに, 次第に増大することを明らかにした.
  • 梶内 俊夫, 白神 直弘, 長坂 邦夫, 浅沼 俊浩
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1187-1192
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    蠕動型バイオリアクターの流動特性を流れの可視化実験により検討した.染料注入法による実験から, 蠕動壁面近傍の流体は前進, 後退を繰り返しながら次第に前進し, 容器中央部の流体は同様に前進, 後退を繰り返しながら次第に後退することが観察された.また, 容器内の流体は仮想壁面で区切られた領域内でのみ運動することがわかった.トレーサー追跡法によって求めた水平方向速度分布から, 仮想壁面の存在が実際に示された.さらに, 水平方向速度分布の相似性が認められた.
    断面流量について解析的に考察を加え, 仮想壁面が波長の整数倍ごとに存在することを示した.
  • 新井 親夫, 吉玉 拓生, 西原 健二, 佐納 良樹
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1193-1195
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    気体の溶解度については, ヘンリー定数と溶媒の特性との関係が論じられ, また, 測定方法についても精度向上の観点から種々の装置の考案や既存の装置の応用がなされている.
    ここでは,3種のオレイン酸エステルに対する気体の溶解度を測定した. これらの溶媒はアピエゾンオイルやフタル酸のエステル類と共に蒸気圧の低い液体として知られており, 減圧下で稼働する装置などにおいてよく使用されている. また, ガスクロマトグラフ分析で用いられることもあって, しばしば気体の溶解度に関する知見が必要になる. そこで, オレイン酸のメチル, エチルおよびn-ブチルエステルに対する5種類の気体(He,H2,N2, O2, CO2)の溶解度を大気圧以下において測定した.
  • 廣田 昇治
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1195-1197
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    KDP (リン酸2水素カリウム, 無色正方晶系柱状晶, Fig.1参照) 結晶の面成長速度 (指定面に垂直方向) および臨界過冷却温度に対する媒晶剤としてのアルミニウムイオンの影響を調べることを目的とした.
  • 趙 千秋, 神保 元二
    1989 年 15 巻 6 号 p. 1197-1200
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    Dry grinding experiments were carried out with a planetary ball mill. Layer particles adhering to the mill wall and freely movable particles in the mill were separated from each other and changes in their weight fractions, size distributions and specific surface areas with grinding time were measured for various balls, feed sizes and powder fillings. Certain correlation between the decrease of grinding rate and the increase of coating particles was confirmed and a new empirical equation for expressing the change of specific surface area of product in batch grinding were derived.
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