希薄なCO
2を選択的に分離・濃縮することを目的として, 流動液膜を用いてCO
2, O
2, N
2の同時透過実験を行った.流動液膜では, 2枚の疎水性多孔質膜の間の薄い流路を流れる液膜溶液を通してガスが透過する.
純水を液膜相とした場合, O
2, N
2に対するCO
2の分離係数はそれぞれ24, 48であり, これらの値はヘンリー定数と拡散係数に依存し, 物理的溶解・拡散モデルに基づいて説明できた.CO
2の担体として炭酸カリウムと炭酸水素カリウムを液膜相に添加すると分離係数は著しく向上し, CO
2の透過係数, 定常状態での液膜のpHは促進輸送モデルにより説明できた.炭酸塩水溶液へのジエタノールアミンの添加はCO
2の透過係数の増加に有効であり, 分離係数は380に達した.スィープ側を減圧にすることにより, N
2中に0.98%含まれるCO
2は42%まで濃縮され, 分離係数からの予測値と一致した.
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