化学工学論文集
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17 巻, 1 号
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  • 山田 則行, 安部 英一, 広末 英晴
    1991 年 17 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    偏析を伴う矩形の連続式流動層について, スタートアップ時における層の高さ方向の密度分布が時間とともに変化する様子を理論および実験により検討した.物質収支に基づくシミュレーションのためのモデルにおいて層内に投入された試料は平均滞留時間に比較し, 無視しうる時間内に層の上下方向の偏析を完了し, 軽質粒子は層上部排出部から薄層状で, 重質粒子は層下部排出部から実験的に決定される分配関数にしたがって排出されると仮定している.実験は, 未燃炭の含有のため連続的な密度分布をしめす石炭灰を用いて行った.層内の密度分布は供給速度に対する下部からの粒子の排出速度の割合により変化した.定常状態は平均滞留時間のおよそ5倍の時間の後に達成された.シミュレーションと実験結果とはよい傾向の一致を示した.
  • 古川 直樹, 岡田 渉
    1991 年 17 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ABS系高分子ラテックスから凝集剤として塩酸水溶液を用い, シード凝集法により得られた凝固粒子の粒子内脂肪酸の脂肪酸塩への中和反応速度について水酸化力ルシウム水溶液を用いて検討した結果以下の知見を得た.
    (1) 凝固粒子内に存在する脂肪酸の中和反応は, OH-イオンの灰層内拡散を律速段階と捉えたコアモデルで整理できた.
    (2) 中和反応装置を設計する上で, 凝固粒子中OH-イオンの拡散係数D [m2・s-1] を実験で求めれば, 凝固粒子中脂肪酸見掛け密度ρ [mol・kg-1], 凝固粒子半径R [m] および中和条件であるpOHの値を次式に代入することにより, 反応時間t [s] と反応率X [-] の関係が推算可能となる.
    tR2・ {3-3 (1-X) 2/3-2X} /6・10POHD
    本研究では, 358KにおいてD=2.91×10-8m2・S-1を得た.
  • 金成 克彦, 阿部 宜之, 田中 耕太郎, 高橋 義夫, 坂本 龍二, 神本 正行, 小澤 丈夫
    1991 年 17 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    水酸化ナトリウム-硝酸ナトリウム系の溶融塩は, 200~300℃で有望な潜熱蓄熱材料である.これまで, 蓄熱器材料と溶融塩との共存性について, 鉄鋼材料の試験片を用いた材料共存性試験および蓄熱容量約30kWhの横型水平U字管式の多パス蓄熱器を用いた実用条件下での共存性試験を行ってきた.
    本論文では, 蓄熱器内の伝熱に関して, 上記蓄熱器を用いた1000回におよぶ繰り返し蓄・放熱実験により, 蓄熱器の伝熱特性の評価を行った.その結果, 伝熱性能の面も含めて, 本研究で試みた横型水平U字管式で多パス蓄熱器構造の妥当性を確認した.また, 蓄熱器のオーバーオールな伝熱特性の予測, 概念設計のため, 蓄熱器のシミュレーションを行った.上記の蓄熱器をモデル化し, このモデルにより計算を行った結果, 実験データとの良い一致を得た.さらに, 実用規模での蓄熱器についてその伝熱特性の予測を試み, 蓄熱システムの概念設計を行った.
  • 碇 醇, 幡手 泰雄, 西野 剛, 飯山 慎哉, 浜崎 幸男
    1991 年 17 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    二つの棚段をもつ容量100lの単式蒸留機を用いて, 焼酎もろみの蒸留試験を, 12.7kPaと大気圧のもとで行った.エタノールと18種の香味成分の蒸留曲線が得られた.蒸留曲線の計算値を実測値と比較して, 棚段の効果について考察した.
  • 山田 善市, 太田 光一, 竹内 聡, 鈴木 憲司, 森 聰明
    1991 年 17 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Na-モンモリロナイトをアンミン銀錯イオンでイオン交換することにより, 熱的に安定な二種類の抗菌性粘土層間化合物を合成した.一方は銀イオンのみを含み, 他方は銀と銅の両方のイオンを含むものである.殺菌作用に支配的な銀イオンの溶出濃度を調べたところ, 銀イオンのみを含む抗菌性粘土の場合, 配位子に依存して変化することが明らかになった.銅イオンが共存すると銀イオンの溶出が抑制されるが, アンミン銅錯イオンの量を変えることにより, 銀イオン溶出の制御が可能となった.これらが混合されたプラスチックスから溶出する銀イオン濃度は抗菌性粘土の種類により変化した.黄色ブドウ球菌に対しては, いずれの抗菌性粘土もプラスチックスに1wt%添加するだけで効力が認められた.枯草菌に対しては, 銀イオンのみを含む抗菌性粘土の場合やはり1wt%添加するだけで効力を発揮したが, 銀と銅の両方のイオンを含む粘土の場合は3wt%以上添加する必要があった.マウスとうさぎを使った毒性テストの結果から, 本抗菌性粘土層間化合物の毒性は無視し得ることが判明した.
  • 真野 隆, 満田 伸二郎, 熊沢 栄太郎, 川西 悟生, 飯島 信司, 小林 猛
    1991 年 17 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    アルギン酸とポリウレタンを用いた動物細胞固定化ビーズの連続作製法に関する検討を行った.装置はアルギン酸をゲル化させる部分と, それに続く二重管とからなる.アルギン酸細胞懸濁液は装置内で塩化カルシウム中に滴下されゲル化する.形成されたゲルはゆっくりと内管の端まで沈降し外管から供給されるウレタンプレポリマーにより被覆される.アルギン酸細胞懸濁液へのアルミナの添加は固定化ビーズの連続作製を容易にした.さらにアルミナはゲルマトリックスの構造を抗エリスロポエチン抗体を分泌するマウスハイブリドーマの増殖に適したものに変化させた.細胞増殖は固定化に用いるウレタンプレポリマーの特性に依った.反応基であるイソシアネート含量が低いほど, 固定化による細胞の死滅は少なかった.また, エチレンオキサイド含量が高いプレポリマー (91%) では, その含量が低いプレポリマー (57%) に比べて, より良好な細胞増殖と抗体生産が観察された.
  • 渡辺 裕之, 斎藤 知成
    1991 年 17 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    NaCH3COO・3H2O融液 (融点331K) に対するNa3PO4・12H2O結晶の核化促進機構を明らかにするための一ステップとして, 融液中に析出沈殿するNa3PO4塩水和物結晶の組成および成長挙動を, 融液温度を343~373Kに変化させて詳細に検討した.融液中の沈殿結晶はもとのNa3PO4・12H2O結晶ではなく, 融液温度が348K以下ではNa3PO4・6H2O結晶であり, また353K以上ではNa3PO4・0.5H2O結晶であった.348~353Kでは先に析出した6 水塩結晶が, その後析出した0.5水塩結晶の成長に伴って, 徐々にNaCH3COO・3H2O融液に溶解した.この6水塩から0.5水塩への脱水転移は, 通常の転移温度 (383K) より30~35K低い温度で生じた.0.5水塩への転移と核化促進作用の発現の関係が示唆された.
  • 渡辺 裕之, 斎藤 知成
    1991 年 17 巻 1 号 p. 48-53
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    蓄熱材NaCH3COO・3H2O (融点331K) 融液中に添加された発核剤Na3PO4・12H2Oの活性化現象を明らかにするために, 活性化処理を行うための加熱温度を333~371Kに変化させ, それらの活性化試料の核化特性を詳細に検討した.加熱温度が348K以下で6水塩として発核剤を晶析させた試料の場合, 室温 (293K) までの徐冷において核化を起こした試料本数の割合は約65%であった.353K以上で0.5水塩として晶析させた場合には, 蓄熱材の融点より6K低い325Kまでに全試料が核化を起こし, 強い発核作用を示した.348~353Kにおいては, その温度の上昇により起こる6水塩から0.5水塩への結晶構造変化によって発核作用は強くなった.363K以上に加熱されると発核剤は0.5水塩であるにもかかわらず失活しはじめ, 371Kでは完全に失活した.しかし, これに再度活性化処理を行うと, その発核作用は回復した.
  • 廣川 典夫, 原納 淑郎
    1991 年 17 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    塑性固液分散体を特徴付ける目的で, 固体の含有率と粒径を同時に測定する方法について検討した.本研究では, 固形油脂製品を取り上げ, 荷重を加えた場合に生じる二種類の液体の流れを解析して透過速度を測定し, 得られる二つの方程式を連立させて固体の含有率と粒径を同時に算出した.また, 基準サンプルを作成し, 固体の含有率と粒径を本方法と他の一般的な方法で測定して比較し, 得られる結果の妥当性を証明した.
  • 丸茂 千郷, 塩見 仁郎, 早田 英司, 渡辺 藤雄, 架谷 昌信
    1991 年 17 巻 1 号 p. 60-66
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ポリビニールアルコール (PVA) /フェノール系樹脂粒状成形体を原料とするMSCを製造し, そのPSA空気分離材への適用を計ることを目的として, 本MSCを用いるPSA操作条件およびPSA分離に及ぼす酸素, 窒素おのおのの吸着特性について実験的に検討を行った.その結果, 以下のことを明らかにした.
    1) 本MSCを用いたPSA空気分離では, 窒素の純度が99.99%以上に達し, 本MSCの実用の可能性が高い.
    2) PSA分離操作において均圧および吸着過程に最適時間が存在し, 吸着装置の大型化により窒素の高純度化が促進される.
    3) 本吸着系では, 酸素, 窒素の平衡吸着量には大差なく, 本MSCの空気分離能は拡散速度差に大きく依存している.
  • 久保井 亮一, 田中 寿計, 駒沢 勲
    1991 年 17 巻 1 号 p. 67-74
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    タンパク質を効果的に分離するために, 塩添加による, 分配系の疎水性HFおよびタンパク質の表面疎水性HFSの変化を検討した.分配系の疎水性変化は, 本研究で用いたPEG/Dex系もPEG/塩系も, 塩添加によって, 疎水性は同様に変化し, HFとΔPEGの間にはいずれの系でも相関関係が成立した.アミノ酸, ペプチド, タンパク質の疎水性も塩添加によって増大する.しかし, 塩添加により, アミノ酸の疎水性の絶対値は変化するが, Glycineを基準とする相対値は, 塩の有無にかからず一定である.したがって, 塩の有無, および系の種類にかかわらず, Tanfordが定義したアミノ酸の疎水性との相関から, 分配系の疎水性HFを決定できる.また, タンパク質の表面疎水性は, 分子量が大きいほど疎水性変化が大きく, これは塩添加による水のエントロピー変化によって説明できる.さらに, タンパク質間で疎水性および分子量に差があるとき, 塩効果を用いてタンパク質の分離が促進されることを示した.
  • 久保井 亮一, 田中 寿計, 駒沢 勲
    1991 年 17 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    PEG/DextranおよびPEG/塩で構成される水性二相分配系による各種タンパク質の分離について研究した.タンパク質の分子量 (M=12400~64500), 等電点 (pI=7.0~11) および表面疎水性 (HFS=-208~43.7kJ/mol) の異なるものを用いた.
    表面疎水性 (HFS) に差があるとき, 分配系の疎水性 (HF) を制御することによって, 疎水効果を分離に用いることが可能である.分子量 (M) に差があるとき, 高濃度の塩添加によるHFSの変化は, タンパク質分子量に依存するので, 塩効果を分離に用いることが可能である.電気的ポテンシャル差 (Ψ) はどちらかの相に偏って分配される塩を添加することにより, または塩の分配係数を変化させることにより制御可能である.等電点 (pI) の差により, 静電効果を分離に用いることができる.疎水性, 等電点, 分子量の差を用いて, 単独または複合効果によりタンパク質を効果的に分離することが可能である.
  • SiH4/Ar系
    木村 匡, 小島 紀徳
    1991 年 17 巻 1 号 p. 81-87
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    局所的ガスおよび粒子の挙動を考慮した流動層グリッドゾーンモデルを開発し, 流動層CVD法によるモノシランからのアルゴン希釈下での多結晶シリコンの製造に応用した.モデルのうち, 粒子およびガスの挙動に関する記述の妥当性について, コールーモデルから得られた粒子速度およびジェット内温度到達度に関する文献値と比較することにより確認した.モノシランの局所熱分解反応速度を考慮にいれ, グリット部におけるモノシランの反応率, 微粉生成速度およびクロッキングの可能性についてシミュレーションを行い, 計算結果を従来得られている実験結果と比較した.全微粉生成量に対するグリッド部の寄与は無視できるほど小さく, 微粉は主に流動層上部の気泡領域で生成していると予測された.クロッキングの可能性を表す指標として, 反応速度に対するシリコン粒子の移動速度を相対的反応速度と定義し, 計算したところクロッキングの可能性に対するガス流速, 層温度, シラン濃度およびガス送入口形状の影響についての計算結果は実験結果と定性的によく一致した.
  • 五十嵐 隆夫, 太田口 和久, 小出 耕造
    1991 年 17 巻 1 号 p. 88-94
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    核DNA同様細胞S期に1回複製されるYEpベクターを保持したSaccharomyces cerevisiaeを栄養増殖させ, ベクターにコードされる大腸菌由来β-ラクタマーゼ (bla) の活性を追跡することで, 遺伝子量一定条件下での産物量変化について考察した.細胞周期の観点から, 同酵素の活性変化を数式で表すことにより, 細胞当たりの活性はコピー数に関係なく増殖とともに増加または減少し得ることを示した.この増減は植菌時に定まるように思われた.その傾向を左右しているのは種菌の培養齢であり, 対数増殖期の細胞を植えると増殖とともに減少するが, blaのターンオーバーが進んでいる停止期のものでは増加することが見出された.コピー数一定のベクターを用いた場合でも細胞当たりの産物量は変わり得ることから, 遺伝子産物の量からコピー数を評価することは困難であることがわかった.
  • 大井 浩, 津郷 佳治, 矢野 元威, 原納 淑郎
    1991 年 17 巻 1 号 p. 95-102
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    噴霧熱分解法により調製されたNiO/SiO2微粉体についてTEM, XRDおよびTPRにより触媒活性との関連で検討を加えた.その結果, 本試料はアモルファス状SiO2マトリックス中に, 10~20nm程度のNiO一次粒子からなる数100nmの凝集粒子が分散していることが認められた.また凝集NiO粒子中にはSiO2と少数の粗大NiO粒子が存在すると考えられた.
    水素を用いたTPRからNiOは比較的還元され易いことを示した.触媒活性化のための水素還元時にはNiO粒子の分裂と高温還元によるシンタリングが認められた.一酸化炭素のメタネーション触媒として還元温度を変えて活性を比較したところ, 723Kの還元温度で最大活性を示した.
    さらに噴霧法によらずCVD法により試料を調製すれば, 分散性と再現性の向上が期待できることを示唆した.
  • 工藤 一彦, 谷口 博, 郭 克輝, 片山 隆夫, 永田 敬博
    1991 年 17 巻 1 号 p. 103-110
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    LPG から水素に富んだガスを製造するためのガス改質炉内の三次元放射対流共存伝熱解析手法を開発し, これに反応管内の化学反応シミュレーションの結果を組み合わせて, 炉内の三次元温度分布, 反応管の熱流束分布および改質ガス組成を求めた.放射伝熱の解析手法としては, モンテカルロ法に比して精度が高く, 計算時間の短い放射熱線法に射度の概念を導入したものを用いた.この結果, 縦型円筒火炉内の円筒面に沿って配置された鉛直の反応管を加熱するため, 設置された円筒底部から上方に向かって噴射されるバーナの噴射角度が大きくなるほどバーナ付近の軸直角断面内での平均温度が高く, また, バーナ近傍の反応管への熱流束も高くなるが, 反応管壁温分布は均一化することを示した.また, 反応管への熱流束は, 火炎からの放射効果が大部分で, 反応管近傍の燃焼ガスからの対流熱伝達によるものは少ないことが示され, 火炎形状の把握が重要であることを明らかにした.
  • 古閑 二郎, 山田 浩史, 鈴木 栄二, 武内 一夫, 松本 史朗
    1991 年 17 巻 1 号 p. 111-118
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    インパクター内の圧縮性流れを決定するために有限差分スキームを提案した.このスキームは Lax & Wendroff および MacCormack のスキームを基礎にしている.また, 人工粘性項は陽に付加されていない.シミュレーションの結果から, フローパターンおよび粒子の分離効率は下流と入口の圧力比で決定されることがわかった.ジェットと衝突板との距離および圧力比の分離効率曲線に及ぼす効果を調べた.低圧インパクターを特徴づける Stokes 数は通常のインパクターのようにジェット部のガス粘度および平均自由行程で定義できる.シミュレーションから得られた粒子の分離効率曲線と測定値との比較は両者の 50%-Stokes 数がかなりよく一致していることを示した.
  • 須藤 雅夫, 向山 隆之, 勝間田 仁之, 青柳 広志, 中野 義夫
    1991 年 17 巻 1 号 p. 119-126
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    牛血清アルブミン架橋膜, ポリビニルアルコール架橋膜, コラーゲン, キトサンおよび酢酸セルロース膜を製膜し, 酸素, 過酸化水素およびグルコースの膜透過特性を評価した.回転円板電極に膜を被覆し, クロノアンペロメトリーによる非定常電流および定常電流を測定することから, 酸素および過酸化水素の膜内拡散係数および分配係数を求めた.拡散セルを用いて, グルコースの透過係数を求めた.三種の基質の透過係数は, 膜の含水率の低下とともに減少した.分配係数は, 膜の含水率に近い値となったが, 酸素の分配係数は他の分配係数に比べ大きいことがわかった.酸素のグルコースに対する選択透過性は, 膜の含水率の低下とともに大きくなることがわかった.ポリビニルアルコール架橋膜は, 本研究で用いた膜担体の中で酸素の選択透過性に優れた特性を示した.
  • 萩森 茂, 黒田 千秋, 石田 愈
    1991 年 17 巻 1 号 p. 127-134
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    攪拌槽型連続重合器におけるポリスチレンの塊状重合プロセスに対して, 反応器内流れ方向の温度, 濃度の不均一性も考慮にいれた重合反応プロセスシミュレータを製作し, それを用いて, 銘柄変更制御にファジィ制御を適用する際の操作変数の選択方法, ファジィルールの構成方法について検討した.その結果, 適切な攪拌条件を選択すれば, 冷媒温度のみによる1操作変数ファジィ制御で良好な制御結果が得られることを示し, 良好な制御結果が得られなかった領域についてはその特性を熱平衡の見地から明らかにした.この結果を基に, 時定数の大きな冷媒による冷却操作に, 時定数の小さな低温原料供給による冷却操作を加えた2操作変数ファジィ制御に発展させ, 制御性を一層高めることに成功した.また, 一旦は操作量として用いた原料供給速度を, 定常運転状態付近で一定の設定値に戻すという連続運転特有の制御問題もファジィ制御で解決できることを示した.
  • 加藤 之貴, 本多 卓也, 神沢 淳
    1991 年 17 巻 1 号 p. 135-142
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    373K 以下の低温熱源の昇温再利用のためにイソブチレン/水/第三ブチルアルコール系ケミカルヒートポンプを提案した.このヒートポンプシステムの原理を示し, この反応系に関する平衡論的検討, 速度論的検討を行い, 本システムの可能性を検討した.平衡論的検討として反応平衡組成を計算し成績係数を求めた.平衡組成計算に必要な活量係数はUNIFAC 法を用いた. UNIFAC 法の妥当性を本系の溶解度測定より検討した.計算の結果, 本システムで313K以上の熱源を40K以上に実用的な効率で昇温できる可能性を示した.発熱反応側に関して速度論的検討を行った.イソブチレン水和発熱反応速度を測定し, 反応速度式を得た.速度式および平衡論的検討の結果をもとに発熱反応器の熱出力を計算した.出力計算より発熱反応器の熱出力速度および蓄熱密度は既往の吸収式ヒートポンプの値と同程度であった.
  • 加藤 尚武, 中沢 秀三, 目崎 和浩
    1991 年 17 巻 1 号 p. 143-148
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    NaClの連続晶析プロセスにおいて, 原料濃度が大きい程, 滞留時間が長い程, 出口濃度に持続振動が起こることを実験的に確認した.
    この持続振動を防止する方法として, 乳化重合の分野で検討された2槽システムを, シミュレーションおよび実験で検討した.
    2つの槽の容積比, 2つの槽への原料供給割合を適切に選ぶことにより, 持続振動の防止が可能であることを示した.
    この方法は, 操作の段階ではなく, 設計の段階でプロセス動特性を安定化させる方法として注目される.
  • 西谷 紘一, 欅田 榮一, 万 元臣, 久次米 正博
    1991 年 17 巻 1 号 p. 149-156
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    応答特性の異なる多くのプロセス変数を含む化学プラントの動的挙動は, 線形化した微分方程式の固有値の大きさのばらつきで特徴づけられる.本論文ではそのような大規模で硬い方程式を効率よく数値積分するための方法を提案した.できるだけ同時に解く方程式系のサイズを小さくするため, 定常近似法と方程式系の分割を組み合わせて用いる.そのため線形化方程式の固有値情報とともにモデルの定性的物理情報を利用する。それら2つの方法による次元の低減化の妥当性は, 固有値の再計算によって確認することができる.例として31元の燃料電池発電プラントに提案した方法を適用した結果, 効率よくダイナミック・シミュレーションが実行できた.
  • 滝山 博志, 仲 勇治, 大島 榮次, 山元 健
    1991 年 17 巻 1 号 p. 157-165
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    蒸留プロセスの熱の需要供給改善のために, 蒸留塔にヒートポンプ技術を結合したシステムが幾つか提案されている。このうちの塔頂/中間段型 (C/SH型) 蒸留システムを実現するために, パイロットプラントを使用した実験とシミュレーションにより種々の定常特性を検討した.その結果, a) 操作量の変更に対する塔頂, 塔底製品組成の影響の方向は従来の蒸留塔と類似している.b) 原料組成, 流量の広範囲な変動に対しても, 従来の操作変数の変更で目的製品組成が得られる.c) ヒートポンプによる交換熱量は製品組成に依存し, 作動流体の過熱状態によっても変化する.d) 最適フィード段条件を採用しなければヒートポンプに課せられる昇温幅を減少でき, ヒートポンプの適応性が広がる.e) 本実験条件では35~50%のスチーム流量削減が実証された.以上のことから, C/SH型蒸留システムの操作性及び, 設計方針の新たな知見が得られた.
  • 豊原 秀史, 河村 祐治
    1991 年 17 巻 1 号 p. 166-171
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    テーパー付き流動層内の粒子循環挙動を調べるため, テーパー角30°ならびに45°, 入口幅4cm奥行き4cm一定の楔型層を用いて実験を行った.トレーサー粒子にて粒子挙動を可視化し, トレーサー粒子の移動速度より粒子循環速度を測定した.
    テーパー付き流動層で粒子を流動化させた場合, 分散板直上のコア部と周辺部との間に循環流が生じる.この循環開始速度uBの測定ならびに推算を行った.周辺部を下降するトレーサー粒子の粒子循環速度を測定し, 過剰ガス流速 (ui-uB) に比例することを明らかにした.また粒子循環速度の推算を行い実験結果との良好な一致を得た.
  • 豊原 秀史, 河村 祐治
    1991 年 17 巻 1 号 p. 172-178
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    テーパー付き流動層で二成分混合粒子を流動化させた場合, 流動化開始から完全流動化に至るまでの流速範囲に通常型流動層と同様な部分流動化域が存在し, 層内に沈降性粒子が偏析する.しかしその偏析挙動は通常型とは大きく異なり層内コア部に柱状の偏析層が発生する.
    本論文ではこの柱状偏析に着目し, まずその発生領域を明らかにするため, 前報で示した流動化開始速度upfの他に完全流動化速度upfを測定し実験式を求めた.次に柱状偏析の挙動を調べるため高さ方向の濃度分布をとり流速による偏析層内の沈降性粒子の濃度分布の変化を測定した.その結果テーパー付き流動層は通常型流動層よりも顕著な粒子の偏析を引き起こすことがわかった.この偏析の程度を調べるため新たに偏析度Sを導入し, これを用いて評価を行った.
  • 王 家兵, 高橋 礼二郎, 八木 順一郎
    1991 年 17 巻 1 号 p. 179-186
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    下水汚泥溶融炉の操業改善や制御を行うためには, 炉内で生じる流動, 伝熱, 反応などの移動現象のメカニズムを正確に把握することが重要である.本研究では汚泥溶融炉内コークス粒子の降下挙動を解明するため, 2次元冷間移動層実験装置を作成し, 移動層内固体流れの実験を行った.実験結果と従来提案されている数式モデルによる計算値を比較した結果, ポテンシャル流れモデルよりKinematicモデルの方が実験結果をよく説明できることがわかった.また, 2次元一般座標系を使用し, 汚泥溶融炉におけるガスと固体の流れならびに温度分布の同時解析を行い, 充填粒子とガスの流速および温度分布の数値解析を行った.この方法を用いると複雑な形状を持つ装置内の流動と伝熱現象を解析することができる.
  • 宮崎 則幸, 相原 祐一郎, 萩原 世也, 宗像 健
    1991 年 17 巻 1 号 p. 187-193
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    線形累積被害則よりも物理的意味が明確な損傷力学を用いて, 円管のクリープ損傷を評価するコンピュータプログラムを開発した.このプログラムは熱伝導解析, 応力解析, および損傷解析の3つの部分から成る.前二者の解析には有限要素法を用いた.応力解析には熱ひずみ, クリープひずみ, および材料定数の温度依存性を考慮した.本解析では, 代表的な耐熱合金であるHK40の材料定数を用いた.また管の寸法, 管の受ける熱履歴としては改質炉管を参照した.材料のクリープ特性, 運転モードが管の寿命に及ぼす影響を検討した.本解析により得られた結論は次の通りである. (1) 改質炉管の寿命は熱応力により大きく影響を受ける. (2) クリープ被断強さだけでなく熱応力緩和特性も考慮して材料を選定する必要がある. (3) プラントの起動・停止の繰り返しは管の寿命を大きく低減させる.
  • 宮武 修, 藤田 和昭, 木橋 浩三
    1991 年 17 巻 1 号 p. 194-200
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    冷水を満たした円筒水槽内の上部に垂直円管から温水を流入させ, 液温度の過渡応答を測定することにより, 円筒水槽の蓄熱性能に及ぼす流入部水平円形邪魔板設置の効果に関する実験的研究を行った.実験では流入用円管径, 邪魔板径, 邪魔板設置位置, 温・冷水温度差, 流量, および水位を変えた.
    実験結果ならびに理論的考察に基づいて, 温水領域への混合冷水量および円筒水槽の蓄熱効率を予測する無次元半経験式を, 流入部基準のアルキメデス数, ペクレ数, および3個の槽幾何形状無次元パラメータの関数として導いた.邪魔板設置によって温・冷水の混合が抑制されるので.比較的低いアルキメデス数の領域において, 邪魔板設置は蓄熱効率をかなり向上させるという結論を得た.
  • 大垣 一成, 森下 誠, 山本 誠一, 片山 俊
    1991 年 17 巻 1 号 p. 201-203
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ピラゾールを固体成分として, CO2およびC2H6の各臨界点付近における二成分系の高圧相挙動をfirst freezing point法により温度範囲290K~340K, 圧力は30MPaまでの範囲で測定した.臨界終点や臨界軌跡, 三相共存曲線などの相境界からこれらの混合系のp-T-y関係を決定した.二つの臨界終点を持つこれらの二成分系は, ピラゾール~C2H6系で “液窓” が出現するものの, 互いに類似な相挙動を呈することが判明した.
  • 竹永 勇治, 縄田 雅裕, 坂田 信行, 瀬沼 勝, 渡辺 泰三, 佐藤 忠司, 土佐 哲也
    1991 年 17 巻 1 号 p. 204-206
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    The removal of pyrogen using immobilized histidine by a batchwise method was investigated. The pyrogen adsorption depended on ionic strength and was influenced by the shaking speed. The concentration of pyrogen in liquid phase decreased to less than 0.1 ng/cm3 from 20 ng/cm3 by batchwise adsorption with the immobilized histidine when the ionic strength was lower than 0.10 mol/dm3. This indicates that pyrogen could be removed practically by batchwise adsorption.
  • 入谷 英司, 渡辺 武, 村瀬 敏朗
    1991 年 17 巻 1 号 p. 206-209
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    To attain high flow-rate separation of macromolecules or colloidal particles from a solvent, ultrafiltration experiments in which the filtrate flow is upward or the membrane is inclined were conducted under constant-pressure conditions, using a deadend filter. A much higher filtration velocity can be achieved by this newly developed technique than that produced by conventional downward dead-end ultrafiltration, because the gel cake growth can be significantly limited as well as the crossflow ultrafiltration. The filtration velocity in the inclined ultrafiltration tends to converge to a constant value which increases with increasing angle of inclination of the membrane.
  • 高橋 憲司, 森 茂, 谷本 明, 今井 弘, 遠藤 一夫
    1991 年 17 巻 1 号 p. 210-213
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Methods of evaluating the velocity of a particle falling in an oscillating fluid were proposed. The particle velocity was calculated by a numerical method and by an approximated analytical method in which the fluid drag was estimated by the 2/3-power law of energy dissipation. The calculated particle velocities were compared with the experimental values of Baird et al.. and it was found that the particle velocities were estilnated within ± 20% error.
  • 新井 紀男, 山本 彰夫, 勝山 仁之, 架谷 昌信
    1991 年 17 巻 1 号 p. 213-216
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    An ultrasonic CT method was proposed previously as a new type of indirect thermometry which can measure the temperature distribution of an object without disturbing its internal condition, and its applicability was tested for an axi-symmetrical liquid jet flow. In the present study, to investigate the influence of the shape of the temperature distribution, the method in the previous work was applied to the temperature distribution of a non-symmetrical liquid jet flow and the results were compared with those measured by a thermocouple.
    A minor difference was found in the absolute values, but the temperature distributions measured by the ultrasonic CT method and by the thermocouple resembled each other closely. Consequently, the ultrasonic CT method is considered applicable to the indirect thermometry of a non-symmetrical liquid jet flow.
  • 工藤 俊一, 古閑 二郎, 松本 史朗, 井上 一郎
    1991 年 17 巻 1 号 p. 216-220
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    The size reduction of milk powder that occurs in a cyclone by the spray drying process increases its free-fat content and degrades its reconstitution properties and keeping quality. A new recovery system consisting of a virtual impactor and cyclones was developed to prevent the size reduction of milk powder.
    The impactor was effective in preventing size reduction and reduced the increase of free-fat content of milk powder.
  • 設楽 英夫, 神崎 幹雄, 水口 建治, 小此木 成夫, 栗山 雅文, 今野 宏卓
    1991 年 17 巻 1 号 p. 220-224
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    The sterilizing effect of an ultrahigh-temperature short-time system applied to liquid food flowing in plate heat exchangers was experimentally investigated by the addition of heat-resistant spores. As a result, the addition of the sterilizing effect of the temperature-holding section to that of heating and cooling sections, obtained from calculating the temperature rising and falling curves of the fluid, was effective in estimating the actual death rate of spores.
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