化学工学論文集
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17 巻, 6 号
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  • 梁取 美智雄, 架谷 昌信, 松田 仁樹, 小倉 裕直, 平松 正義, 井上 俊夫
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1067-1073
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    蓄熱槽内の蓄熱材に, ヒーター (発熱体) によって蓄熱し, この熱を取出して利用するには熱交換器が必要である.本報では, 同一伝熱面を利用して蓄熱操作と放熱操作が行え, かつ同一のヒーターによって熱交換器内の伝熱体部に設けた熱媒流路に流入する熱媒体の追焚きも行える, 全く新しい概念の熱媒流路/発熱体一体型蓄熱槽用熱交換器を提案した.そして, その単体実験装置を作って出湯実験, 伝熱実験を行った.その結果熱交換器を構成する伝熱体の熱容量は小さく, 熱媒流路内の熱媒体は, 伝熱体を包囲する円筒外面から流入する熱と, 伝熱体内のヒーターで発生する熱の両方を受けて効果的に加熱され, 前記ヒーターによって追焚きができること, および90度の折れ曲がり部, 水平部, 180度の折れ曲がり部を有する本熱交換器の熱媒流路内に水が流れる時の熱伝達率を無次元化したヌッセルト数Numは, レイノルズ数Reが300から5000の範囲においてレイノルズ数の関数で表せ, 従来の強制対流伝熱の式より求められる値より1.6~2倍大きくなることを明らかにした.
  • 沢田 善秋, 景山 芳輝, 岩田 政司
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1074-1079
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ペンタカルボニル鉄 (Fe (CO) 5) は, 有機金属化合物であるにもかかわらず沸点が103℃と低く, しかも100℃以下の低温領域で分解を開始する特異な性質を有することからFe (CO) 5を原料とする磁場中気相熱分解による鉄超微粒子生成プロセスを開発した.Fe (CO) 5を気化させた後反応器に導入し, 窒素にて希釈するとともに磁場を印加しつつ200~600℃で熱分解することにより一次粒子径が15~25nmでその一次粒子が10~40個直鎖状につながった連結鎖状構造の鉄超微粒子が得られた.得られた粒子の比表面積は30~50m2・g-1であった.比表面積換算径とTEM写真より得られる平均径とが比較的近い数値を示しており細孔面積の少ない粒子であることが判明した.
    また, 磁気的には123~131kA・m-1の保磁力と120~140Am2・kg-1の飽和磁化を有し高密度磁気記録分野での応用が期待される.
  • 山田 章, 江原 勝也, 高橋 燦吉
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1080-1087
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    疎水性多孔質膜を用いて蓄熱液の濃縮と希釈を行う気化透過式の冷熱出力型濃度差蓄熱装置を提案し, 濃縮・希釈器内に設置する膜モジュール構造の設計を目的に, 膜の選定, 水蒸気が膜を透過する際の基本特性および膜を多数枚積層した膜モジュール構造下での総合圧力損失を把握した.
    膜の素材は疎水性および空隙率と細孔径の関係からPTFE (polytetra-fluoro-ethylene) が適しており, 膜の形状は膜厚が最も薄く加工されているシート状膜を選定した.
    実験は, 濃度差蓄冷システムの濃縮・希釈器内に蓄熱液側と蒸気側の間隙を変えた形状の膜モジュールを設置して蓄熱・放熱を繰り返し行い, 各定常状態での測定結果から膜透過に伴う圧力損失を, 膜の蓄熱液側, 膜の細孔内および蒸気側に分けて把握した.
    その結果, 圧力損失は膜の細孔径0.2~3.0μmの範囲では細孔径が大きくなるにしたがって指数関数的に減少し, 細孔径3.0μmの膜では蓄熱液側と蒸気側の圧力損失が支配的となる.さらに, 透過蒸気の膜面積負荷と圧力損失との関係を把握した.
  • 関野 政昭, 藤原 信也
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1088-1095
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    中空糸型逆浸透モジュールについて, 新規の解析モデルを作成し.その検証を行った.
    本解析モデルの特徴は, 次のようである.
    1) 膜透過係数値 (A, B値) として, 濃度分極を無視できる実験条件下で測定した中空糸膜の透過性能値より, 透過液の中空糸内圧力損失を0内挿して得た算出値を使用する.
    2) 中空糸内での透過液流, 中空糸集束体内での供給液流は, いずれも層流であり, 各々, Poiseuille式およびErgun式を適用する.
    3) 膜輸送式として, 実用的な溶解拡散モデルおよび濃度分極モデルを適用する.
    その結果.物質移動相関式として, 次式を得た.
    Sh=0.048Re0.6Sc1/3
    本相関式は, カン水脱塩用モジュール, 海水淡水化用モジュールに共通して適用できるものである.
  • 小関 康雄, 高橋 燦吉
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1096-1103
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    開発したLiBr・CaCl2系混合吸収媒体が, 溶解度が低下せずに水蒸気圧低下が起こるメカニズムについて, 水和現象を基にした推算と実験により検討した.
    水蒸気圧低下には水和した水分子が多い程大きくなるが, 溶解度は構造形成領域に水和した水分子のみが影響することに着目した.他のイオンを添加すると構造形成領域に水和していた水分子の一部が両方のイオンに共通に水和する “水和共有” 現象が起こり, 余った水分子が構造破壊領域へ移動し, 遷移水和領域と水和共有領域が形成されるため, 水蒸気圧低下が促進されるメカニズムを提案した.
    さらに水和共有が有る場合の混合水溶液の水蒸気圧低下率を, 各水和領域毎に水和数と水和力の積で定義した等価水和数を用いて推算した.また, LiBrにCaCl2を添加した時の水蒸気圧を沸点法で実測し, その結果モル分率 : 0.2~0.6の混合比で水蒸気圧低下率の極大が得られ, 推定値と一致した.
  • 森 康維, 日比野 信吾, 上前 英幸, 谷垣 昌敬, 江口 彌
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1104-1109
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    乳化型液膜操作による硫酸水溶液中の 6 価クロムの連続回収を, 1段および3段のミキサー・セットラー型抽出装置を用いて検討した.液膜の有機 (膜) 相成分は, 12 vol. % の2 エチルヘキシルアルコールと 2 vol. % のポリアミン (エクソン化学, ECA 4360 J) の他には抽出剤を含まないケロシン溶液である.
    外水相中のクロムは, 内水相である水酸化リチウム水溶液に移動・濃縮された.外水相クロム濃度を減少させるには, 抽出槽の多段化が, 内水相への濃縮をさらに高めるには, セットラーから流出したエマルションの一部を再び同じ撹拌槽に戻すリサイクル操作が, 有効であることを見いだした.連続操作実験結果は, 回分操作のデータを基にした修正クロム移動モデルでほぼ説明された.
  • 鈴木 淳, 渕野 哲郎, 村木 正昭, 早川 豊彦
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1110-1116
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    複数階のバッチプラントの機器レイアウトにおいて, 各機器の設置階の決定問題は, 各階のプロットプラン作成に先立って解決されるべき重要な問題である.そこでは, 配管のグラビティフローが満足されるべきである.しかしながら, 多目的バッチプラントでは, 全ての配管のグラビティフローを満足できず, この問題を容易に解くことはできない.
    本研究では, グラビティフロー最適化をポンプアップコスト最小化とした.床面積の均等化と運用上好ましい機器配置 (選好基準) も考慮されるべきであるが, これらを土建およびペナルティコストとして表した.それによって, この多目的問題を単目的問題として表現できた.このモデルは直截に表せば, 条件により異なる制約式が含まれるが, 定式化を工夫して混合整数線形計画 (MILP) モデルにできた.このMILPモデルを解くことによって, 各機器の設置階は決定される.
  • 清水 陽一郎, 中西 英二
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1117-1122
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    プラント動特性が不確かで, 制御量が測定できないプロセスに対して, 適応観測器を適用し, 未知パラメータと測定できない制御量の推定を行った.推定を行う際, プロセスについての既知の情報を利用することにより, 同定すべきパラメータの数を減らし, パラメータと制御量を精度良く推定する計算法を提案した.この適応観測器を組み込んだ適応制御系をCSTFプロセスに適用し検討を行った.
    その結果, この適応観測器は, 未知パラメータと測定できない制御量を精度良く推定し, 本制御システムが有効であることを確認できた.
  • 村瀬 敏朗, Chidphong Pradistsuwana, 入谷 英司, 加納 勝博
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1123-1129
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    種々な条件下でセラミック分離膜を用いて希薄スラリーの精密濾過を行いクロスフロー濾過特性を検討して, 濾過速度の解析に有用な操作因子を提案した.
    膜細孔径が懸濁粒子径より小さい場合, クロスフロー濾過速度は徐々に減少してほぼ一定の平衡値に漸近する.この濾過速度の経時変化は, ダイナミック濾過係数を定義して掃流中のケーク抵抗を通常のケーク濾過抵抗値を用いて表すと, 従来のRuth式を修正して評価できる.平衡濾過速度がケーク表面に作用する勇断応力および従来の定圧濾過係数を用いて指数関数で表せることを考慮するとダイナミック濾過係数が推定でき, 濾過速度と操作条件の関係が求められる.使用したポリメチルメタアクリレート粒子およびパン酵母の希薄スラリーの場合, 濾過速度の経時変化は実験値と比較してかなり精度よく計算できる.
  • グラファイト添加による鉄系反応固体の調製とその反応速度解析
    Rusli Amir, 佐藤 龍也, 長井 宏樹, 斉藤 謙哉, 山本 協子, 亀山 秀雄
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1130-1137
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    水の熱化学分解を行うUT-3サイクル用の鉄系反応固体の調製法を検討し, 反応活性の高いペレットを得た.反応固体ペレットはマグネタイト粉末, シリカ微粒子にセルロース粉末とグラファイトを添加したものを原料として造粒, 焼成を行い調製した.ペレットの細孔容積はグラファイトの添加とともに0.07から0.35ml/gへと直線的に増加し, 20wt%の添加により反応活性は5倍にまで増大した.
    焼成直後のヘマタイトペレットを一旦臭素化, 加水分解の前処理を行い, マグネタイトにしたペレットを用いたサイクル反応ではペレット中の鉄系化合物の反応に均一反応モデルが適用できた.この前処理を行ったペレットを用いて鉄系化合物の関与する2つの鉄系の要素反応の反応速度式を決定した.
  • 王 寧和, 服部 公治, 滝嶌 繁樹, 舛岡 弘勝
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1138-1145
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    気液分配クロマトグラフ法とピエゾ電気収着法を組み合わせて超臨界流体+ポリマー系における溶質の無限希釈気液平衡比の迅速な測定システムを開発し, 二酸化炭素+ポリ酢酸ビニル系におけるベンゼンおよびトルエンの無限希釈気液平衡比を温度313.2Kおよび333.2K, 圧力8MPa以下において測定した.各溶質の気液平衡比は各測定温度において極小値を有すること, および8MPa付近で両温度での値が交差する傾向を有すること等がわかった.またSanchezとLacombeの状態式を用い, この式中の2成分系相互作用パラメータを各2成分系の相平衡データの相関によって決定して, 3成分系における無限希釈気液平衡比の推算を行った.その結果, 無限希釈気液平衡比の温度および圧力依存性がほほ良好に推算できた.
  • 佐藤 洋史, 三浦 隆利, 有馬 孝
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1146-1153
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    コークス粒度は.冶金用コークスの役割の中で最も重要な炉内ガスの通気性の維持に直接関係する品質であり。その値はコークス炉内に形成されるコークス塊寸法に大きく左右される.コークス塊には微小な亀裂が縦横に生じており。この微小亀裂もコークス粒度に関係すると考えられる.本研究では, コークス塊寸法を仮定し, 適当な亀裂進展条件を設定することにより.亀裂内輻射を考慮したコークス塊内熱応力解析を行い, 塊内微小亀裂生成機構の解明を試みた.その結果、コークス塊内に生じる引張り応力は, 縦方向については炉壁近傍程大きく, 乾留終了時でも10~20MPa程度生じており, コークス塊に生じる炉壁からの複数の縦亀裂 (炉壁に垂直な亀裂) の発生を説明することができた.しかし, 横方向の引張り応力は塊内部に生じ, 亀裂辺には横方向に大きな圧縮応力が生じており, 亀裂辺からの横亀裂 (炉壁に平行な亀裂) の発生を説明することはできなかった.
  • 轡 義則, 松山 久義, 小玉 敦郎, 小河 守正
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1154-1160
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    生産工程と出荷工程との間に存在する製品貯蔵用タンクのスケジューリング問題では, 生産計画や出荷計画は常に変更される可能性を含んでいる.また, タンク系の改造, 業務分担の変更, 担当者の交代などによって, 制約条件や評価関数が変更されることもある.本論文では, それらの変更に対して効率的に対応できる柔軟な構造をとり, しかも納期が一定の範囲内で変動しても実行可能なスケジュールを導出できる機能を有するスケジューリングアルゴリズムを提案する.さらに, 本アルゴリズムを利用して, タンク系を含む生産システムの生産計画問題に対する解法を開発し, 例題に適用することによって, その有効性を確かめる.
  • 高橋 憲司, 宮崎 博文, 森 茂, 谷本 明
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1161-1167
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    垂直に振動する流体中を沈降する粒子の時間平均沈降速度を3種類の粒子径 (d=8.0, 12.7, 15.9mm) について測定した.加速流体中での粒子の運動方程式と測定した粒子沈降速度をもとに抵抗係数を求めた.求めた抵抗係数はエネルギー散逸2/3乗則より得られる抵抗係数により予測された.数値計算により求めた沈降速度と実測した粒子沈降速度とは±5%以内の誤差で一致した.
  • 黒川 秀昭, 沢 俊雄, 三谷 健司
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1168-1174
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    直接接触型膜蒸留法における水蒸気および熱移動特性を把握すべく, 実験検討から水蒸気および熱の透過速度, さらに, 膜の熱伝導度, 膜細孔の迷宮度を求めた.また, その結果と熱・物質収支の関係式を用いてシミュレーションを行った。その結果, 直接接触型膜蒸留法における透過速度は, 膜前後の水蒸気分圧差に比例し, かつ用いる膜の仕様 (膜厚, 空隙率等) に影響を受けた.また, 膜を介しての顕熱移動による熱損失は, 原水と冷却水の温度差を小さくし, かつ温度の高い領域で水蒸気圧差を大きくとる操作により低減できることがわかった.さらに, 上記関係式と実験より得られた各種膜の熱伝導度, 膜細孔の迷宮度から, 透過速度および移動熱量のシミュレーションを行い, 実験値と良好に一致した.
  • 金 煕濬, 江頭 靖幸, 小宮山 宏
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1175-1178
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    CVDのような薄膜形成プロセスにおいて, 成膜種のキャラクタリゼーションは重要な課題である.本論文においては, 成膜種の表面反応速度定数を, ミクロンサイズのトレンチへの成膜速度分布の実験的な決定と, その分布の反応拡散モデルによる解析とにより決定するための新しい方法を提案する.この方法をAlCl3と NH3とからAlNを合成する常圧CVDに適用した.その結果から求めた表面反応の活性化エネルギーは163kJ/molであった.このことは, 主流から成長表面への拡散による物質移動律速条件であるにもかかわらず, 表面反応速度定数を決定することができたことを意味している.
  • 新田 友茂, 多田 俊哉, 浦田 康之
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1179-1186
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    スチレン-無水マレイン酸共重合体 (重量平均分子量4280) をカラム溶出法で分別した.溶離液にはテトラヒドロフラン (THF) とヘキサンの混合溶媒を用い, THF 濃度をステップ状に変化させた。シラン処理をした珪藻土Celite 545 (AW-DMCS) が担体として良い分別性能を示し, シラン処理をしないCelite 545 (AW) は吸着により, またシリカゲルは担持表面積の不足により, いずれも多分散度が大きくなった.THF濃度の異なる溶離液に対してゾル-ゲル間の分配係数Kiを実測し, 各溶離液について分子量Miに対し分離係数σを用いて相関した.カラム内の担体粒子に保持された高分子が粒子内から溶離液へ拡散によって移動する物質移動モデルを簡略化して考え, カラムからの溶出挙動を数値計算によってシミュレートした.分配係数に実測値を用い, 物質移動係数の分子量依存性を相関すると, 分別フラクションの分子量分布の実測値をうまく表すことができた.
  • 吉田 英人, 二宮 徹, 山本 博英
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1187-1193
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    異種物質 (Cu~Ni系およびCu~ポリエチレン系) から構成された表面へ, 高分子膜を被覆することによる微粒子沈着量の制御に関して, 実験および理論計算により検討を行った.
    Ni基板上へポリスチレン膜をコーティングした場合, 高分子表面上の電位は高分子膜厚により変化した.また膜上の電位の実測値は, Ni~ポリスチレン間でポアソンの式を適用した計算値と良好に一致した.
    Cu~Ni系から構成された表面にポリスチレン膜をコーティングすると, 空間電位分布は膜厚20μm以上で, Cu~ポリエチレン系の場合は膜厚40μm以上でほぼ一定値を示した.これはCu~ポリエチレン系の接触電位差がCu~Ni系の場合より大きいため生じたものである.
    正帯電した粒子はCu部よりNi部およびポリエチレン部に多く沈着するが, 試料をポリスチレン膜厚を変化させて試料表面をコーティングすると沈着量が制御できる.なお実測電位分布を境界条件に用いた沈着量の計算値は実測値とほぼ一致した.
  • 松坂 修二, 青柳 晃夫, 増田 弘昭
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1194-1200
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    微粉体層内の付着強度分布, 凝集粒子の飛散に伴う粉体層表面の更新効果および飛散の経時変化を考慮した再飛散モデルを立てた.また, 矩形流路を用いて壁面微粉体層からの粒子再飛散実験を行った.気流速度は連続的に制御され, 飛散粒子の静電気的な帯電によって発生した電流の経時変化が記録された.実験結果から, 飛散凝集粒子の付着強度は対数正規分布で近似できることがわかった.一定気流速度における飛散可能量は粉体層表面更新モデルで説明することができた。また, 再飛散現象は大別して2つの時間的遅れを伴う飛散すなわち短い遅れの飛散と長い遅れの飛散から成り, 各飛散フラックスは簡単な指数関数で近似できることがわかった。上記再飛散モデルにより, 空気加速流の影響を含めた非定常飛散フラックスの経時変化を予測することが可能となった.
  • 松本 曠世, 柿本 朗, 佐藤 秀一
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1201-1208
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    宇宙開発において重要な技術である閉鎖生態系生命維持システム (CELSS) のサブシステムとして, 中空糸疎水性多孔質膜モジュールを用いる人工えらを提案し, 藻類培養槽中の水と魚類飼育槽中の水を人工えら内で膜を介して接触させることにより, 両水相間で溶存酸素と二酸化炭素を互いに反対方向に交換することができた.本方式では, 従来の気・液接触方式の人工肺とは異なり, 両水相をガス膜を介して液・ガス膜・液系として接触させ, ガスの吸収と放散を同時に行うことができる.
    人工えらの物質移動特性を検討した.膜内物質移動抵抗は無視でき, 中空糸内液境膜物質移動係数kLiは熱移動の場合のSieder-Tate式と類似の式で近似できた.シェル側の液境膜物質移動係数kLokLiの約70%であり, シェル側の抵抗が大きい.また, 得られたデータをもとに, 人工えらを設計する手法についても言及した.
  • 山本 協子, 亀山 秀雄
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1209-1217
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    先に提案した夜間電力を利用する無フロン系の吸水性高分子ゲル-水蒸気排気式氷蓄熱に関して速度論的検討を行った.吸水性高分子ゲルの単位表面積当たりの水蒸気蒸発速度は純水の場合とほぼ同じであり蒸発表面の温度における水蒸気圧と排気圧の差に比例し, 表面温度の平方根に逆比例するとして整理できる.排気圧が水蒸気圧に近い条件で行った本実験における水蒸気蒸発速度定数はおよそ1g・Pa-1・K0.5・min-1・m2であった.また, これだけの速度であれば蓄熱槽中のゲル層の厚みを6cm前後とすることにより, 夜間の10時間に十分な量の蓄熱が可能である.水蒸気の排気に伴う試料温度の経時変化および積算の水蒸気蒸発量を基にした熱収支計算から試料凍結の進行状況のシミュレーションを行い, この方法によれば全体が凍結したように見えるゲル中の凍結水量を推定できることを示した.検討した数種のゲルの水蒸気蒸発速度には材料による大きな違いはみられなかった.
  • 迫口 明浩, 上岡 龍一, 加藤 康夫, 荒井 康彦
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1218-1221
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    流通法に基づく装置を用いて, ピリジン, 4-メチルピリジン, 4-エチルピリジン, 4-プロピルピリジンの蒸気圧をそれぞれ283.68~322.46K, 283.93~352.97K, 284.49~352.80Kおよび294.05~374.05Kの温度域で測定した.本研究での高温域の測定値は文献値 (文献に報告されていた Antoine 式で内挿した計算値) と良好に一致した.誤差解析の結果, 本測定値の確度は0.5%以内と推定される.本測定値を Abrams-Massaldi-Prausnitz (AMP) 式で相関したところ, 絶対平均偏差は1%以内であった.
  • 土屋 寛, 若井 誠
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1222-1224
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Solvolysis pulping, named for the method of extracting lignin from wood chips using a mixture of cresol and water has been studied as one of the organosolv pulping systems to separate the pulp. In this study, alkalis (NH3, NaOH) were added in the amount of 0.1-0.2 equivalent to that of cresol used in the cooking to evaluate the time dependences of the degree of delignification and decarbohydration. Both alkalis increased the reaction selectivity of delignification relative to degradation of carbohydrate because of reduced degradation of xylan component in wood.
  • 回転二重円筒モデルによる解析
    菊地 基和, 柳原 憲邦, 宮本 哲夫, 稲垣 孝二, 神崎 幹雄, 松本 繁
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1225-1229
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    著者らは前報において連続式ホイッピング装置の不安定化現象 (サイクリング現象) を解明し, 安定性の優れた連続式ホイッピング装置を開発した.この装置の設計を行うためには, ダッシャーと呼ばれる撹拌機の撹拌動力を推定する必要がある.ところがダッシャーは, (1) 構造が複雑であり, (2) 入口から出口に向かって粘度が急激に増加する, すなわち粘度分布があるという問題があり, 従来の撹拌装置としての取り扱いが困難であった.また, ダッシャーのような複雑な撹拌装置の撹拌動力に関する研究はなされていない.比較的形状の近いものとして, 多段式羽根あるいは回転多段円盤に関する研究があるが, ダッシャーには適用できない.そこで本研究では, まず (1) のダッシャーの構造を簡単な形状にモデル化して, 粘度一定の条件下でその動力特性を検討した.
  • 西川 英一, 島田 保昌, 船造 俊孝, 若尾 法昭
    1991 年 17 巻 6 号 p. 1229-1231
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ゲルマニウムは電子や空孔の易動度が高いためICへ応用されたり, またその化合物がGaAsデバイスのオーム抵抗に利用されるなどして注目されている.ゲルマニウムと他金属間の反応について, HsiehとChenはエッチングしたGeウエハー上に室温・10-6mmHgにおいて白金を30mmの厚さにスパッタリングし, これをN2気流中で160℃~400℃に加熱することによりPt2Ge, PtGe, Pt2Ge3, PtGe2ができることを報告している.一方, 我々はGeO2が超臨界/亜臨界水にわずかに溶解することを利用して, その雰囲気下でPtとGeの反応を行いPt2Ge, Pt2Geをつくることができたので以下に報告する.
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