疎水性多孔質膜を用いて蓄熱液の濃縮と希釈を行う気化透過式の冷熱出力型濃度差蓄熱装置を提案し, 濃縮・希釈器内に設置する膜モジュール構造の設計を目的に, 膜の選定, 水蒸気が膜を透過する際の基本特性および膜を多数枚積層した膜モジュール構造下での総合圧力損失を把握した.
膜の素材は疎水性および空隙率と細孔径の関係からPTFE (polytetra-fluoro-ethylene) が適しており, 膜の形状は膜厚が最も薄く加工されているシート状膜を選定した.
実験は, 濃度差蓄冷システムの濃縮・希釈器内に蓄熱液側と蒸気側の間隙を変えた形状の膜モジュールを設置して蓄熱・放熱を繰り返し行い, 各定常状態での測定結果から膜透過に伴う圧力損失を, 膜の蓄熱液側, 膜の細孔内および蒸気側に分けて把握した.
その結果, 圧力損失は膜の細孔径0.2~3.0μmの範囲では細孔径が大きくなるにしたがって指数関数的に減少し, 細孔径3.0μmの膜では蓄熱液側と蒸気側の圧力損失が支配的となる.さらに, 透過蒸気の膜面積負荷と圧力損失との関係を把握した.
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