化学工学論文集
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18 巻, 4 号
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  • 松本 正文, 橋本 敏清, 村田 勝英, 後藤 繁雄
    1992 年 18 巻 4 号 p. 389-394
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ベンゼンを原料に気相熱分解法で炭素繊維を製造し, その生成収率, 形態に及ぼす硫黄濃度, 硫黄化合物の種類の影響を調べ, 炭素繊維生成過程における鉄-硫黄系触媒の炭素析出反応の効果について検討した.炭素繊維の形態, 結晶性および繊維先端に包含されている粒子の同定はSEM, TEMおよびX線回析で評価した.硫黄添加は炭素繊維生成に影響しS/Feで0.17から0.52の範囲で炭素繊維生成が促進された.その範囲外では炭素繊維の生成はほとんどなく, 粒状熱分解炭素が生成した.チオフェンは硫化水素より炭素繊維生成収率が良かった.炭素繊維は720℃以上で生成された.
  • 板谷 義紀, 水野 正克, 伊藤 智康, 架谷 昌信
    1992 年 18 巻 4 号 p. 395-402
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    高い収熱および蓄熱性能を併せもつ体積受熱型ソーラーエアーヒーターの開発を目的として, 水和塩をコレクター部の空気流路に充填したエアーヒーターを試作し, その収熱・蓄熱特性を実験的に明らかにした.水和塩には, 塩化力ルシウム6水塩を用い, これをガラス管に封入し, コレクター部に配列した。実験は, 疑似太陽として赤外線ランプを用いて行われた.
    本エアーヒーターは, 定常加熱後ランプを消灯させた場合, ガラス管のみ充填したエアーヒーターに比べ融点近くの安定した温度の出口空気が5~9時間得られ, 顕著な潜熱蓄熱効果が得られた.収熱性能についても, 水和塩中にグラファイト微粒子などを分散させ光学物性を適度に変えることにより, 高い効率が得られた.このようなグラファイト微粒子分散は, 空気入口近傍の未溶融部分の低減や結晶核として作用して, 水和塩の結晶化の割合を増大させるなど, 蓄熱性能をさらに増大させる効果も有することを明らかにした.さらに, 屋外実験による性能評価を行い, 本エアーヒーターの高い収熱および蓄熱特性を実証した。
  • 趙 哲石, 松田 仁樹, 新井 紀男, 架谷 昌信
    1992 年 18 巻 4 号 p. 403-412
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    NH3/CO/O2/Ar系高温気相反応におけるNH3からのNO, N2OおよびN2生成について理論解析を行い, 流通式管型反応管を用いて得られた実験結果と比較した.計算は21個の化学種を含む65個の素反応について行い, その結果をNH2/H2/O2/Ar系の解析結果とも比較した.
    実験との比較は, 反応温度950~1350K, [NH3] 0=1000ppm, [H2] 0=0.2~3.0%, [CO] 0=3.0%, [O2] 0=0~3.0%, [Ar] 0=バランスの条件のもとで行った.その結果, 本研究の範囲において, 次のような知見を得ることができた.
    1) 本研究に用いた素反応モデルは, 実験結果を良好に説明することができ, CO共存系において, NH3の酸化機構を明らかにすることができた.
    2) H, OおよびOHラジカル濃度が充分に高いと, N2Oの生成は抑制されるが, NOの生成は逆に促進される.
    3) NH3/H2/O2/Ar系と比べると, NH3からのNOおよびN2Oの生成濃度が異なるが, これは主に2つの系において, HおよびOラジカルの寄与度が異なるためである.
  • 坂東 芳行, 西村 誠, 曽田 裕行, 渡部 吉規, (故) 倉石 迪夫, 友松 弘幸, 若園 紘志, 川瀬 信行, 井戸田 篤
    1992 年 18 巻 4 号 p. 413-419
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    エネルギ効率の高い曝気槽用分散器の開発を目的として, 内部にオリフィス板を備えた気液同時吹込みノズルおよびノズル径よりやや大径のチューブから成る分散器を考えた.分散器の各部分の寸法を種々に組合せて, 流動状態を観察し, 吸込みガス流量, 物質移動容量係数を測定した.
    ノズルの先端にチューブを備えることにより, 槽内からチューブ内への液巻込みが生じ, 吸込みガス流量が増大した.この巻込み液流量は供給液流量の数倍であった.吸込みガス流量に対して, ノズル長さ, オリフィス径, ノズル-チューブ間距離, チューブの径・長さの最適値が存在した.ガス流量を一定とした実験において, オリフィスはガス吸込みに加えてノズル内の気泡細分化に大きく寄与することが認められた.市販型分散器との比較実験では, 吸込みガス流量, 容量係数ともに本分散器の方が高かった.
  • 栫 隆彦, 近藤 和生, 後藤 雅宏, 中塩 文行
    1992 年 18 巻 4 号 p. 420-425
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    チオ尿素の酸性水溶液を逆抽出液として, ジドデシルモノチオリン酸により抽出されたパラジウムの逆抽出速度を平面接触型撹拌槽を用いて測定した.逆抽出速度に及ほす各化学種の濃度依存性を明らかにし, 逆抽出機構について検討した。また, ジドデシルモノチオリン酸およびそのパラジウム錯体の界面吸着平衡関係についても明らかにした.ジドデシルモノチオリン酸およびパラジウム-ジドデシルモノチオリン酸錯体は, いずれも界面活性を有することがわかり, 界面反応および有機相内反応の並発反応モデルにより, 実験結果を定量的に説明することができた.
  • 平衡表面圧下の単分子膜の場合
    阿部 秀臣, 織茂 孝勇, 小谷 圭一
    1992 年 18 巻 4 号 p. 426-432
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    セチルアルコール, ステアリルアルコール, ステアリルアミン, ステアリン酸のそれぞれの単分子膜を通してアセトニトリル, メタノール, アセトンおよび酢酸メチルの各蒸気の吸収速度を室温, 比較的低蒸気圧下で測定し, 単分子膜に対する透過係数を速度論的に研究した.単分子膜は水面上にその温度で示す平衡表面圧で張った.
    この系では単分子膜に支配的な抵抗があることを確かめておいた.
    吸収速度から算出した透過係数にアレニウス式を適用して解析を試みた結果, 用いた総ての膜について見かけの活性化エネルギーと前指数項との間には補償効果が成り立っていることを見出した.すなわち, ある温度で速度定数は総ての透過物質について等しくなる.しかし, その温度は膜の親水基の種類によって多少異なった.
  • 大佐々 邦久, 中倉 英雄, 三分一 政男
    1992 年 18 巻 4 号 p. 433-440
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ステンレス鋼製金網電極を用いて, O/Wエマルジョンの回分電解浮上分離実験を行った.分離過程は二段階よりなった.第一段階において, 油分濃度は初濃度に維持された.この過程で油滴のゼータ電位は, 初期の負電位 (約60mV) から臨界凝集電位 (約-25mV) まで低下した.その後, 油滴は不安定化し凝集あるいは合体した.通電量 (クーロン) で表した保持期間長は初期平均油滴径に反比例した.第二段階は浮上分離過程であり, 分離は一次速度式に従った.速度定数は初期油滴径に関係なく約1.5kC-1となった.引き続き分離特性に及ぼす中性電解質および界面活性剤の添加の影響が実験的に検討された.
  • 吉田 雅俊, 松井 幸之助, 松本 繁
    1992 年 18 巻 4 号 p. 441-447
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    放物形分布定数系の状態推定を行う際に用いられるセンサーの最適配置を探索する方法を提案し, それを一次元熱伝導システムに適用して状態推定結果の評価を行った, その結果, 本探索法で比較的正確に最適センサー配置を決定できることが確認できた。本法によれば, 最適なセンサーの配置は, システムの動特性に依存するだけでなく, 初期状態および定常状態の状態量分布にも依存することがわかった.また, 設置するセンサーの数をあまり多くしても状態推定の精度はそれ程向上されず, ある最適なセンサーの数が存在することが示唆された.
  • 渡辺 裕之
    1992 年 18 巻 4 号 p. 448-454
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    発核剤Na2SeO3を添加したNaCH3COO・3H2O融液の核化特性を, 融点 (331K) より12~40K高い温度に過熱した後, 冷却速度1K/minの定速徐冷法で検討した.融液中に沈殿したNa2SeO3結晶は, 融液の固化を経験すると活性化し, 融液の過冷却は43K以上から5K以内へと減少した.このときのNaCH3COO・3H2O結晶の発生は, Na2SeO3結晶近傍で, しかも複数の異なる個所でほぼ同時に起きることが, 光学顕微鏡を用いたその場観察によって明らかになった.活性化したNa2SeO3結晶は, 過熱温度28Kまでその活性を維持したが, それ以上の温度で過熱されると失活しはじめた.過熱温度が36K以上ではNa2SeO3結晶は完全に失活した.失活後の融液は過冷却79K以上であり, 活性化前とほほ同じ核化特性であることがわかった.
  • 松本 幹治, 平田 繁, 大矢 晴彦
    1992 年 18 巻 4 号 p. 455-462
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    精密濾過では特定の懸濁粒子濃度域において, 濾過初期に膜閉塞濾過が生じ, その後, 徐々にケーク濾過に移行するような濾過特性が観察される.膜細孔よりも大きな径の粒子を濾過した場合に生じるこの現象を説明するために, まず, 粒子による膜細孔の閉塞効率を評価することによって膜閉塞濾過とケーク濾過のどちらもが支配的になり得ることを考慮した膜閉塞濾過モデル (不完全閉塞濾過モデル) を提案し, 次に, 従来から砂濾過において用いられてきた粒子透過率と同様の概念をケーク層に適用することにより, 粒子のケーク層透過を考慮した精密濾過モデルを提出した.本モデルに基づいて単分散ラテックス粒子懸濁液の定圧濾過特性を解析した結果, 以下の事柄が明らかとなった. (1) 粒子濃度が高くなるほど粒子による膜細孔の閉塞が不完全になる. (2) 単位ケーク層あたりの粒子透過率は小さく, かつ粒子濃度にはあまり影響されない. (3) 濾過過程における膜細孔の限界閉塞率が本モデルに基づいて評価できる.
  • 村上 光, 芳賀 良一, 西村 信子, 松崎 晴美, 村上 聖, 石川 優二
    1992 年 18 巻 4 号 p. 463-470
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    無血清培地での液中通気培養に及ぼす各種高分子系添加剤の影響を, IgG産生ハイブリドーマを供試し, 100cm3スピンナフラスコおよび液中通気と膜濾過方式を組込んだ1l灌流培養装置で検討した.その結果, 無血清培地における液中通気時の泡沫破壊時に生じるダメージは, 泡沫内外の圧力差に依存すること, 添加剤には培地の表面張力低下による上記圧力差低減 (細胞保護) 効果があること, および, 添加剤入り無血清培地では細胞崩壊により出現する微小粒子が低減し, 濾過膜の寿命を延長できることを示した.
  • 堀内 都雄, 小島 紀徳, 稲葉 敦
    1992 年 18 巻 4 号 p. 471-477
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    現在提案されているほとんどの海洋循環モデルでは海洋内の無機炭素類のみしか考慮していなかった.前報では, 植物プランクトンによる無機炭素類の固定および生物起源の含炭素粒子物質の沈降を考慮にいれたモデルを報告した.本報では前報に大気との交換を組み入れ, 非定常状態のモデル化を行った.化石燃料起源の二酸化炭素の大気残留率について, 本モデルと従来のTwo Boxモデルを比較した.前報での予測と異なり, 海洋内での植物プランクトンの循環を考えたとしても14Cの分布から大気-表層, 表層-深海層の交換係数を決定する限りは, 海洋への二酸化炭素の吸収量は増大しないことが明らかになった.しかしながら本モデルは従来と比して, 物理的に健全であり, このような非定常的挙動の予想ばかりではなく, 海洋内の生物機能を二酸化炭素問題対策技術として用いる際の評価にも用いることができると考えられる.
  • 鈴木 一如, 遠矢 泰典, 角本 正明
    1992 年 18 巻 4 号 p. 478-486
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    都市下水の活性汚泥処理プロセスは, 系の挙動が複雑で, 入出力変数間の定量的表現が困難なため, 理論的解析が遅れているプロセスの一つである.本研究では, このプロセスの特性を表現するモデルを構築するため, 全国の下水処理場から収集された運転データをもとに, ファジィ理論を応用したファジィモデリングを行う。ファジィモデリングでは, 収集されたデータを, ファジィ変数を用いて複数の部分データセットに分割し, 各部分データセットごとに線形回帰モデル (部分モデル) を構築する.IF-THENルールで表現される各部分モデルを, ファジィ推論を用いて統合することで, プロセス出力を計算する.
    得られたファジィモデルの同定精度を, 従来の単一の重回帰モデルと比較した結果, ファジィモデリングの対象プロセスの特性を記述する能力は高く, 活性汚泥プロセスのような悪構造系のマクロモデル構築手法として有効であることが示された.
  • 山崎 春夫, 村瀬 敏朗, 岩田 政司, 白戸 紋平
    1992 年 18 巻 4 号 p. 487-494
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    回転円板型ダイナミック済過では, 浜材面に生成される濾過ケークを完全に掃流できるスラリー流れを濾室内部に発生させる必要がある.溝付円板により発生する流体の流れを明らかにするため, べき乗則非ニュートン流体 (ポリアクリル酸ナトリウム水溶液) を用いて, 透過がない場合の濾室内部の周速度を測定した.また, ロータの摩擦抵抗についても実験的に検討した.
    溝付円板における軸方向の周速度分布は, ロータと固定端板近傍に発達する境界層とその間に存在する核流部の3領域に分けられ, 層流および乱流分離境界層流れより成る.溝数, 溝幅を増加させると周速度u値は, 溝なし円板に比して増加する.濾室中央部と回転円板との周速度比Kは, 新たに定義した操作因子を用いて計算でき, これを用いて濾室内部のべき乗則流体の速度分布を推定できる.また, 溝付ロータの摩擦抵抗係数Cm値は, Kの場合と同様な操作因子ならびに溝なし円板の摩擦抵抗係数Cm0値を用いて推定できることを示した.
  • 小川 浩平, 吉川 史郎, 塩出 浩久
    1992 年 18 巻 4 号 p. 495-501
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    通気撹伴槽にとって最も重要な翼吐出流領域の流動状態が液動粘度や操作条件によって受ける影響を実験的に検討した.試験液体としては0.5wt%ポリアクリルアミド水溶液, 40wt%と60wt%グリセリン水溶液および水を用い, 通気気体としては空気を用いた.下向きに気体を吹き出すリングスパージャーを有する標準型バッフル付円筒通気撹伴槽の翼吐出流領域における局所の速度を4個の微小白金球プローブを持つ電極反応流速計をトラバースして実測した.その結果, 翼吐出流領域を特徴づける速度分布をはじめとする二, 三の重要因子に及ぼす液動粘度および翼回転速度と通気量の操作条件の影響を定量的に検討することにより, 試験液体および操作条件が与えられたときの翼吐出流領域の速度分布を推定する方法を明らかにするとともに, 変動速度による剪断速度よりも平均速度によるそれの方が大きくなることをはじめとするいくつかの重要な新しい知見を得た.
  • 田村 至, 西谷 紘一, 欅田 榮一
    1992 年 18 巻 4 号 p. 502-509
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ローリングスケジュールでは意思決定に際し, 多期間最適化問題を解いて, 現サンプル時刻の操作のみを適用し, 次のサンプル時刻では計画と実際のずれに対処するため実測値を基にモデルを更新する.このようなプロセスを繰り返す, ローリングスケジュールの有用性は広く知られているが, そのスケジュール則が持つロバスト性については, 解析的な求解の困難さから明らかにされていない.本論文では, 比較的簡単な問題設定の下でローリングスケジュールの特性を制御理論を用いて解析した.その結果, スケジュール則に含まれる機能が明らかになった.
  • 荻野 文丸, 鎌田 正裕, 下川 慶史
    1992 年 18 巻 4 号 p. 510-514
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    透明で屈折率の等しい固体粒子と液体から成る噴流層において, 層内の流体の速度分布をレーザードップラー流速計で測定した.その結果, 1) 規格化した速度分布の形状がレイノルズ数に依存しないこと, 2) 急拡大流れと同様な再循環流が存在すること, 3) スパウト径は高さとともに直線的に増大することがわかった.
  • 荻野 文丸, 鎌田 正裕, 下川 慶史, 三島 嘉一郎, 藤根 成勲, 米田 憲司, 神田 啓治, 辻本 忠
    1992 年 18 巻 4 号 p. 515-520
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    噴流層内部の固体粒子の動きを中性子ラジオグラフィを用いて可視化し, 粒子濃厚相中の粒子の軌跡並びに速度分布を求めた.その結果, 1) 粒子の軌跡は粒子充填高さ, レイノルズ数にほとんど依存しないこと, 2) 流体のノズル断面平均速度で規格化した粒子の速度分布も粒子充填高さ, レイノルズ数にはほとんど依存しないこと, がわかった.
  • 芝田 隼次, 栗原 陽一
    1992 年 18 巻 4 号 p. 521-527
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    酸性溶液からのTi (IV) とFe (III), Fe (II), Cu, Zn, Co, Mn, Mg, Alのような金属イオンの抽出挙動が, Ti (IV) を分離するために研究された.用いた抽出剤はCyanex921, Cyanex923, Cyanex925の商品名を持つ3種のトリアルキルフォスフィンオキサイドであった.
    塩酸溶液からのTi (IV) の抽出は塩酸濃度の増加とともに増加する.90~99%のTi (IV) の高い抽出が8mol/dm3の塩酸濃度で達成される.他の金属イオンも同じ塩酸濃度で同時に抽出される.硫酸溶液からの抽出では, Ti (IV) は広い硫酸濃度の範囲で十分に抽出される.Fe (III) とFe (II) の抽出はきわめて低く, その程度は広い硫酸濃度範囲にわたり20%以下に過ぎない.他の金属イオンは全く抽出されない.このような抽出特性は高純度酸化チタンの分離・精製プロセスに対して適切である.たとえば, Cyanex923を使って2~3段の抽出と8段の逆抽出工程からなる向流多段抽出を適用すると, 硫酸法酸化チタン製造工程の工程液から高純度のチタン溶液を得ることが可能である.
  • 田中 真人, 田中 英世, 木村 勇雄, 斉藤 夏風
    1992 年 18 巻 4 号 p. 528-534
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    スチレンの懸濁重合が懸濁安定剤としてリン酸三カルシウムを使用して実施された.懸濁安定剤の分割添加の粒子径分布に及ぼす影響が主に検討された.滴径の経時変化, 最終粒子径分布そして最終平均粒径は, 懸濁安定剤を添加する重合率によって強く影響された.重合率0.45と0.65での懸濁安定剤の分割添加は, 最も均一な粒径のポリマー粒子を生成することがわかった.
  • 今村 郁也, 轡 義則, 松山 久義
    1992 年 18 巻 4 号 p. 535-538
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    最近, 多成分気液平衡の推算精度が向上したため, 実測値を用いずに蒸留計算を行うことも可能であるが, 共沸物の有無およびその組成は, 蒸留プロセスのパラメータだけでなく構造を決定する重要な情報であるので, 実測により確かめる必要がある.
    しかし, 最低共沸, 最高共沸以外の多成分共沸組成を決定するには, 莫大な回数の気液平衡の測定を必要とする.たとえば, 3成分共沸組成を決定するには, 三角線図を網目状に分割し, 各格子点において気液平衡を測定するという方法が取られてきたので, 共沸組成をawt%の精度で求めるには, (100/a)2回のオーダの実験回数を必要とする.この方法を4成分系に適用して, 4成分共沸組成をawt%の精度で求めるには, (100/a)3回のオータの実験回数を必要とする.
    前報では, 三角線図上の着目した領域内に3成分共沸組成が存在するかどうかを位相幾何学的条件に基づいた作図により判定する方法を提案し, これを利用することによって, (100/a) のオーダの実験回数により3成分共沸組成をawt%の精度で決定することができることを示した.しかし, この方法をそのまま4成分系に拡張すると, 3次元的な作図を行わなければならないので, 本論文では, 着目する領域内の4成分共沸組成の有無を判定するためのアルゴリズムを提案し, これを利用すれば, (100/a)2のオーダの実験回数によりawt%の精度で4成分共沸組成を決定することができることを示し, Acetone-Methylacetate-Methanol-Hexan系を例に取ってその手順を示す.
  • 新井 親夫, 穂積 一則, 佐納 良樹, 松田 英臣
    1992 年 18 巻 4 号 p. 538-541
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    拡散係数は重要な輸送物性定数であり, マクロな系だけでなく多孔体が関与する物質移動では細孔内における拡散にも密接な関連がある.特に, 液相における吸着では, 水溶液のほか吸着量を抑制する観点からアルコール類を溶媒とする測定がしばしば行われており, 吸着質としては芳香族化合物を用いることが多い.しかし, これらの系における液相拡散係数は多くの場合推算に頼っているように思われる.そこで, 簡単な置換基をもつベンゼン化合物について, 水, メタノール, エタノールおよび1-プロパノール中における拡散係数を測定したので報告する.
  • 轡 義則, 西谷 紘一, 欅田 榮一
    1992 年 18 巻 4 号 p. 541-545
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Fuzzy control was applied to a mixed-culture system that is a multivariable process including nonlinear relationships. A set of control loops was determined by the loop-pairing method and a fuzzy controller was designed for each loop. The fuzzy controllers were tuned with reference to the conventional multivariable control system design method for linear processes.
  • 広瀬 泰雄, 立花 宏, 鎌田 裕二
    1992 年 18 巻 4 号 p. 546-549
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    塔内組成分布を求めるNewton-Raphson法は, 変数, 残余関数が自由に選べるので, 使いやすく, 数多くの方法が発表されている。ここでは, この方法におけるサブマトリックスの大きさが, 計算速度, 収束性に及ぼす影響を述べる.さらに既往の文献を含めて, 考察を行いプログラム作成上の一つの指針を与える.
  • 山下 治雄
    1992 年 18 巻 4 号 p. 549-552
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    The new index in which the contribution of symmetry of hydrocarbon groups is especially taken into account on calculating molecular connectivity index is proposed. Correlation between chemical structures and catalytic activities on the reaction of 1-bromooctane with thiophenol catalyzed by quaternary ammonium ions is analyzed by using this index. It is predicted that tetraoctylammonium bromide is more effective in the reaction system. The kinetic study indicates that the prediction proves true.
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