化学工学論文集
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19 巻, 2 号
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  • 水溪 孝章, 中村 泰久, 内田 昭典, 松田 仁樹, 架谷 昌信
    1993 年 19 巻 2 号 p. 141-147
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    間接加熱式工業炉の加熱源として数多く用いられている放射管バーナの性能向上を目的に, 放射管バーナ内で耐熱粒子を循環させ, 熱効率の向上ならびに放射管表面温度の均一化を図る新型燃焼器を考案した.本論文では本燃焼器を開発していく上で重要となるバーナ内での循環粒子の挙動, 流動化条件とフローレジームについて3次元可視化コールドモデル機を用い実験的に検討を加えた.
    その結果, (1) 粒子循環流動化流量および循環流動範囲は充填層高さおよび粒子径の変化によって大きく異なる. (2) 循環流動状態において内管内部の圧力は12kPa, その圧力変動は3.5kPaである.
    等, 本新型燃焼器を開発する上で重要なポイントを明らかにした.
  • 岸本 民也, 野上 祐作, 田中 三男, 宮原 敏郎, 赤木 靖春
    1993 年 19 巻 2 号 p. 148-154
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    硝化プロセスでは生物膜を利用し, 窒素・燐除去プロセスでは排水中の有機基質を吸着・吸収させた活性汚泥を利用する装置による排水処理について検討した.回分実験の結果では, 好気条件下において有機基質の供給を止めた後4~5日目で活性汚泥による有機基質の吸着・吸収速度は最大となった.生物膜による硝化は排水中のCODが3.0×10-2kg/m3より低い範囲で進行した.これらのプロセスを組み合わせた連続運転では, 有機基質, 無機態窒素および燐の除去率はそれぞれ93, 75および45%程度であった.硝化槽への流入CODは1.0×10-2kg/m3以下となるので硝化へのCODの影響はなかった.転送汚泥中には脱窒および燐除去に必要な基質量が残存していることが確かめられた.初期COD濃度4.0×10-2kg/m3以下では窒素の除去率が著しく低下した.
  • 関野 政昭, 藤原 信也
    1993 年 19 巻 2 号 p. 155-161
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    1本の耐圧円筒容器に2本のエレメントを挿入したダブルエレメント型の中空糸型逆浸透モジュールについて, 構造, 流路設計およびモデルシミュレーションより, 最適化を試みた.2エレメント内の供給液流速, 圧損バランス等の視点より, 2エレメントを直列に配し, 各々のエレメントで拡大および収縮流方式を採用したダブルエレメント型モジュールが, 最も優れていることを見い出した.また, 経済的にも十分スケールアップの効果を充足していることを確認した.
  • 丸茂 千郷, 早田 英司, 塩見 仁郎, 小島 健治, 渡辺 藤雄, 架谷 昌信
    1993 年 19 巻 2 号 p. 162-168
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    実用規模の圧力スイング吸着 (PSA) 装置の空気分離特性を明らかにする目的で, PVA/フェノール系樹脂粒状成形体を原料とする特性の異なる2種のMSCを用い, 実験室規模でのPSA空気分離基礎実験と吸着塔容積で30倍の実用規模でのPSA実験を行い, 両者の結果を比較検討した.その結果, 以下のことが明らかになった.
    実用規模のPSA装置においては, 細孔径の比較的大きい試料Aでは細孔径の小さい試料Bより吸着塔到達圧力が低く, 吸着時間が短い場合には試料Aの, また吸着時間が長い場合には試料Bの製品窒素ガス純度が高くなる.この傾向は, 実験室規模の基礎実験結果とよく一致する.また, 実用規模のPSA装置の分離性能は, 充填層単位体積当たりの製品ガス取出流量を基準にすると, 実験室規模の分離性能のおよそ73%程度と見積ることができる.
  • 趙 哲石, 松田 仁樹, 新井 紀男, 架谷 昌信
    1993 年 19 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    CH4を含む高温気相反応におけるNH3からのNO, N2OおよびHCNの生成について実験的に検討した.
    実験は反応温度1143~1243K, O2濃度3.0%, CH4濃度3.0%以下の条件のもとで, 流通式管型反応器を用いてNH3/CH4/O2/Ar, NO/CH4/O2/ArおよびNO/NH3/CH4/O2/Ar系の3つの気相反応について行った.
    その結果, 本実験条件の範囲において, 次のような知見が得られた.
    1) CH4の分解が十分の時, NH3分解の主な生成物はN2であるが, NoおよびN2Oに加え, HCNが生成する.
    2) NH3/CH4/O2/Ar系高温気相反応において, NO, HCNおよびN2O生成はO2とCH4の初期濃度比 ([O2] 0/ [CH4] 0) に関係し, [O2] 0/ [CH4] 0<1.0ではαの増加に伴いHCN, N2Oが増加するに対してNOは低下し, [O2] 0/ [CH4] 0>1.0では逆にNOが増加するに対してHCN, N2Oは低下した.
    3) CH4/O2/Ar系高温気相反応において, NOあるいはNH3を添加することにより, 高濃度のHCNが生成する.
  • 田村 至, 西谷 紘一, 欅田 榮一
    1993 年 19 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    積分プロセスに対して応答モデルをプロセスモデルとして用いる通常の予測制御方式は使うことができない.本論文ではプロセスモデルとしてパラメトリック入出力モデルを使用するモデル予測アルゴリズムを導き, その制御特性について考察した.特に実測値の使い方が異なる二種類の予測モデルを用いた場合の制御系のロバスト安定性について詳しく比較した.その結果, 両方の制御系は積分プロセスのゲインを実際よりも大きく見積ったとき安定性を崩さないが, 逆に小さく見積ったとき不安定になることを示し, 両者の安定範囲に差のあることを明らかにした.
  • 小泉 文弘, 西谷 紘一, 豊田 重治, 欅田 榮一
    1993 年 19 巻 2 号 p. 182-189
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    画像中の粒子像を, Marr-Hildrethフィルターを用いて, 背景から正しく取り出す方法を開発した.まず重なりのない2粒子像を使って, 各粒子の輪郭線を別々に得るためのフィルターパラメー夕の調整について調べた結果, オフ領域半径がある限界値を超えないように, オペレータ中のガウス関数の標準偏差σを選ぶ必要があることがわかった.またこのオフ領域半径の上限値は画像中の粒子間距離, 粒子像エッジ幅, 粒子半径との間に線形関係があることも明らかにした.さらにピントの合っている粒子像と合っていない粒子像の判別を, 得られた輪郭線上で濃度勾配の平均値の閾値判定によって行う方法を示した.これらの方法によってピントの合った粒子像の輪郭線が精度良く得られることを確かめた.
  • 黒川 秀昭, 沢 俊雄, 山口 哲男, 三谷 健司
    1993 年 19 巻 2 号 p. 190-197
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    直接接触型膜蒸留法を実用化するに際し, 原水中に不純物が含まれている場合を想定し, 不揮発性成分ではその濃縮限界を, また, 揮発性成分では水蒸気透過特性に及ぼす影響を実験から検討した.実験は, 不揮発性成分としてNa2SO4水溶液を, 揮発性成分としてエタノールおよびアンモニア水溶液を用いて膜蒸留実験を行った.
    その結果, 揮発性不純物の透過機構を解明するとともに, アンモニアについては, 原水のpHを酸性 (6以下) にすることで, 透過水側へのアンモニアの混入がないことを把握した.さらに, 膜前後の熱・物質収支の式に濃度分極を考慮することで, いずれの場合もシミュレ-ションを可能にした.
  • 最適増殖抑制方法のモデルと実験による探索
    鈴木 栄二, 高橋 一成, 牧島 房夫, 森田 晴彦
    1993 年 19 巻 2 号 p. 198-206
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    ハイブリドーマ細胞培養における細胞当たり抗体生産速度の細胞増殖速度依存性を種々の増殖制御条件下で実測し, 著者の既報のモデルによる予測と比較した.グルコース欠乏状態でのグルタミン濃度調節, 培地へのインターロイキン-6添加等のタンパク合成を阻害しない増殖制御条件では抗体生産速度と増殖速度は負に相関し増殖速度が約1/5になる時, 抗体生産速度は2~4倍増大した.細胞内の抗体mRNA分子数も抗体生産速度に並行してすなわち増殖速度低下に伴って増大した.タンパク合成阻害を介して増殖抑制するアクチノマイシンD添加培養とロイシン欠乏培養の場合は抗体生産速度は増殖速度と正に相関し, 増殖を抑制しない培養条件での抗体生産速度を最大値とし, 増殖速度の低下につれて減少した.実験結果はすべてモデルの対応する条件での予測と定性的に一致した.安価で細胞への悪影響の少ないグルタミン濃度調節が抗体生産性向上のための増殖抑制方法として提案された.
  • 寺田 聡, 森田 晴彦, 牧島 房夫, 鈴木 栄二, 高松 博幸
    1993 年 19 巻 2 号 p. 207-213
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    灌流培養の本質を解明する試みとして, 灌流培養中の細胞の状態を分子生物学的手法で解析した.重力沈降型灌流培養装置を用いたハイブリドーマ細胞培養において.細胞密度がほほ一定となる定常域の細胞を回分培養の対数増殖期の細胞と比較すると抗体産生能は2~3倍に向上にし, γ1鎖 (抗体) mRNAの全RNAに対する比が1.7倍に向上していた.また, DNA中へのチミジン取り込み速度より算定した細胞の増殖速度は1/2~1/3に低下していた.フローサイトメトリーによる細胞周期解析が, この増殖速度の低下は細胞周期のG0/G1期停止であると定性的に示した.また灌流培養定常域の培地中のアンモニア, 乳酸, ブドウ糖の濃度は回分培養末期の細胞密度定常域のそれらの濃度とほぼ一致していた.この灌流培養系にインターロイキン-6 (IL-6) を添加したところ, 更に抗体産生能が向上し, IL-6無添加の回分培養の5~7倍となった.
  • 芝田 隼次, 大友 将一, 田中 幹也
    1993 年 19 巻 2 号 p. 214-219
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Cyanex 923による硫酸酸性溶液からのTi (IV) とFe (III), Fe (II), Cu, Zn, Co, Mn, Mg, Alなどの金属イオンの抽出挙動が調べられ, さらに単抽出での結果を使ってチタン回収の向流多段抽出プロセスのコンピュータによる解析が行われた.
    抽出工程のシミュレーションは, 抽出段数2~4段, 相比 (A/O) 0.66~1.33, 供給水相中のチタン濃度21g/dm3, 供給有機相中のチタン濃度5g/dm3の条件で行った.逆抽出工程のシミュレーションは, 逆抽出段数6~10段, 相比 (A/O) 0.66~1.33, 供給水相中のチタン濃度0g/dm3, 供給有機相中のチタン濃度20g/dm3の条件で行った.解析の結果, 抽出工程では相比0.8, 抽出段数4段の条件が望ましいことがわかった.この条件で, 最終段での出口有機相中のチタン濃度は21.6g/dm3, 最終段での出口水相中のチタン濃度は0.207g/dm3となり, 総括抽出率は99.0%であった.逆抽出工程では, 相比1.0, 逆抽出段数10段の条件が望ましいことがわかった.この条件では, 最終段での出口有機相中のチタン濃度は4.6g/dm3, 最終段での出口水相中のチタン濃度は15.4g/dm3となり, 総括逆抽出率は77.0%であった.
  • 神谷 秀博, 仲山 千秋, 神保 元二
    1993 年 19 巻 2 号 p. 220-229
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Al2O3, MgO, SiO2の各種粒子径の酸化物系超微粒子を, 1GPaまでの等方高圧により成形した.3種類の粉体とも, 一次粒子径21nm以下の超微粒子の成形体相対密度が1GPaの等方高圧により最大60%まで向上した.超微粒子の強く粗な凝集構造が高圧によりほぼ完全に破壊され, 成形体内の細孔も一次粒子径より小さくできた.特にMgO微粒子では成形圧力1GPaの条件で, 最大相対密度80%, 細孔モード径は比表面積換算径の20%以下まで減少した.しかし粒子径100nm以上のAl2O3粉体では.圧力を増加させても密度, 細孔径ともあまり変化せず, 高圧は緻密化や成形体内空隙の微細化にあまり有効ではなかった.
    超微粒子成形体の高圧による緻密化機構を考察するため, 一次粒子接触点に働く力, 発生応力を修正Rumpf式およびHertz式により推定した.また粒子内部に生じる最大引っ張り応力も計算し, 粒子強度や塑性降伏値との比較を行った.その結果, 接触点での著しい塑性変形や粒子破壊現象は起きていないことが確認された.また一次粒子径に対する成形体内の細孔モード径の比と成形体相対密度の関係が, 球形単分散粒子の充填構造の場合とほほ一致した.したがって本報の実験範囲では, 凝集体構造の破壊による一次粒子再配列機構が緻密化の支配機構であることが確認された.
  • 吉田 雅俊, 板垣 秀人, 松本 繁, 杉山 洋, 鈴木 和彦
    1993 年 19 巻 2 号 p. 230-237
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    軽質ナフサの改質反応を行う触媒充填層反応器の最適化制御問題を解くために, ニューラルネットによる反応器のダイナミックスのモデル化の可能性を検討した.本反応プロセスは, 多成分の原料から, 複雑な反応経路を経て生成物を得る分布定数系となるプロセスであり, 運転時間の経過に伴い, 触媒活性の劣化が進行するため, 非常に非線形で複雑な挙動を示す.ここでは, 三層構造のニューラルネットに対し, 数学モデルによるシミュレーションデータを用いて学習を行った.その結果, ニューラルネットモデルは, フィード組成一定の条件下で, 初期の触媒活性分布, および熱媒温度のみから, 生成物の組成を比較的正確に予測できた.また, ニューラルネットモデルを用いて, 主生成物であるベンゼンの収率を一定に保つための熱媒温度の最適化制御問題を効率良く解くことができた.
  • 北村 吉朗, 黄 慶発, 竹本 収, 高橋 照男
    1993 年 19 巻 2 号 p. 238-244
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    エマルション燃料のミクロ爆発に関する基礎研究として, ケロシン-水界面の過熱限界に及ぼす界面活性剤の影響を実験的に検討した.界面活性剤としてスパン80とNPEnを使用した.キャピラリー中にケロシン, 蒸留水, ケロシンを入れて, 三層試料を作製した.界面活性剤は上層のケロシンに溶かし, このケロシン層と中間の水層の界面に吸着させた.試料はオイルバス中で3K/minで加熱した.30~40本の試料を用いて測定した結果, 過熱限界温度は界面活性剤の濃度が高くなると低下し, やがて一定の分布になることが観察された.また過熱限界温度は加熱速度や界面活性剤の吸着面の面積にも依存することを明らかにした.このような影響を説明するために, 吸着した界面活性剤が沸騰核の生成を促進すると考え, 界面活性剤の被覆率を含む修正核生成速度式を提案した.このモデルにより, 界面活性剤の存在が過熱限界温度を低下させ, かつ分布を広くすることが予測できた.またこのモデルに基づく推算値は実験値とよく一致した.
  • 船造 俊孝, 堀 一彦, 若尾 法昭
    1993 年 19 巻 2 号 p. 245-250
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    メタノール, エタノール, 1-プロパノール, 2-プロパノールの各水溶液を用いてアカシア材の爆砕パルプ化を行った.アルコールを添加することで, 水蒸気のみによる爆砕の場合と比べて, パルプ強度 (比引裂, 比破裂, 耐折強さ), 裂断長, 白色度, 繊維長が向上し, カッパー価は減少した.エタノール濃度30wt%の場合のパルプ性状は同じ濃度のアルコール (メタノール, 1-プロパノール, 2-プロパノール) の場合とほとんど同じであった.また, H2O2+NaOHによる爆砕パルプの漂白ではエタノール水溶液を用いた爆砕によって得られるパルプの方が水蒸気のみによるパルプより漂白性は優れていた.
  • 松坂 修二, 清水 正信, 増田 弘昭
    1993 年 19 巻 2 号 p. 251-257
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    乱流状態にあるエアロゾル流において沈着と再飛散が同時に進行するときの微粒子沈着層の形成過程について検討した.微粉体 (質量中位径=3μm) を気中分散させ, 定常エアロゾル流としてガラス円管内に導き, 沈着層の形成過程を観察するとともに沈着量を測定した.平均流速が小さいとき沈着層は内壁全面に一様に形成されるが, 平均流速の増加とともに沈着層の形状は縞状に変化する.また, 沈着層の厚さは摩擦速度の増加とともに減少する.この厚さは粘性底層内の一定気流速度に対応する壁からの距離にほぼ等しいことがわかった.沈着層は時間の経過にともなって平衡状態に達するが, このような沈着層の形状は初期形状によらず, 平均流速のみによって決まる.また, 平均流速が大きいほど沈着フラックスは大きくなるが, 飛散開始流速を超えると飛散フラックスも大きくなるため, 沈着層の成長速度が最大となるような平均流速が存在することもわかった.
  • 田島 健吾, 村上 雄一, 丹羽 幹
    1993 年 19 巻 2 号 p. 258-264
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    大量のゼオライトの細孔入口径を均一に制御する方法として, 流通式CVD (化学蒸着) 法を検討した.本研究では, ゼオライトにNa型および酸型モルデナイトを, 蒸着剤にSi (OCH3) 4を使用した.調製した試料の細孔入口径の狭まり方は, 分子径の異なるオクタン異性体の競争分解反応より評価した.また, 熱重量測定より, 試料調製時に沈積したコークを定量した.
    Na型モルデナイトでは, 593Kで試料層全体で均一にシリカを蒸着できるのに対し, 酸型モルデナイトでは, 蒸着生成物CH3OHの脱水反応が抑制される低温 (343K) でのみ, 均一にシリカを蒸着できた.また, 酸型モルデナイトでは, 蒸着を停止した後に昇温する際, CH3OHの二次的反応により生成するコークおよび水が原因で, 試料層の位置に対して不均一に調製された.しかし, 水蒸気処理すれば, コークが除去され, また, おそらく蒸着シリ力層の構造が微細に調整されて細孔入口径が大きくなるため, 試料層全体で均一な形状選択性を示す試料を調製できることが明らかになった.
  • 横田 政晶, 豊倉 賢
    1993 年 19 巻 2 号 p. 265-271
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    塩化ナトリウム添加s-カルボキシメチルーDL-システイン (DL-SCMC) 過飽和溶液中でのL-SCMC種晶の成長実験を行った.種晶および過飽和溶液中に発生したD-SCMC微結晶量を経時的に実測した結果, L-SCMC種晶へのD体の混入過程について以下の知見を得た.1) 種晶成長初期ではL体が優先的に晶析するが, 操作過飽和度によって, 0.75~6.0時間成長後L体種晶表面上にD体が現れ始めた.さらにその約2時間後には過飽和溶液中にもD体微結晶が現れ始めた2) 1) 以降, 種晶表面上のD体微結晶の重量陽、は, 種晶に取り込まれた全D体重量WDCとほほ一致したまま種晶成長時間 (t) の4乗に比例して増加した.3) D体微結晶の種晶中への埋没に伴い, WDSの増加速度は低下し, tの3乗に比例して増加するようになった.
  • 船山 斉, 菅原 拓男
    1993 年 19 巻 2 号 p. 272-278
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    光触媒を懸濁した反応器設計のための基礎的情報を得ることを目的として, アナタース型二酸化チタン懸濁液中に微量に溶存しているクロロホルムの光接触分解反応速度を詳細に検討した.
    二酸化チタンを懸濁した光反応器内の光強度は, 入射光のみならず反射光も検知できるDPOF化学光量計を用いて決定した.二酸化チタン濃度の増大とともに, 相対光強度ははじめ急激に増大し, その後緩やかに減少した.クロロホルムの初期光分解反応速度は入射光強度と二酸化チタン濃度に依存し, さらに, 酸素濃度の影響を受けることがわかった.
    結果として, 反応速度は本実験条件下で次の式で表されることがわかった.
    (-γSO) =2.86 [PO2] /1+0.12 [PO2] √I1PCm
    ここで, (-rSO) はクロロホルムの初期光分解反応速度であり, I1Pは反応器内光強度, Cmは二酸化チタン触媒濃度, [PO2は酸素分圧である.
  • 松山 秀人, 寺本 正明
    1993 年 19 巻 2 号 p. 279-287
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    水溶性錯化剤 (DTPA) を含む抽出系について, Er/Yの相互分離を目指した膜抽出モジュールの解析を行い, 抽出部および洗浄部所要膜面積に及ぼす各種条件の影響を検討した.水溶性錯化剤の添加により所要膜面積は大幅に低減することが確認された.pHは水相中の各錯形成平衡と抽出能の両方に影響を与えるため, 所要膜面積に対して最適値が存在した.この場合, 洗浄部では油相側の拡散がほぼ律速のもとで操作せねばならないため, 物質移動係数の大きい膜の選定はモジュールの性能向上に対し特に有効であることがわかった.また, 抽出部の選択性も全膜面積に影響を与えるため, 抽出部では最も選択性の高い場合である水相内でのDTPA錯体の解離反応を伴う拡散が律速という条件下で操作を行う必要があることが明らかとなった.
  • 深井 潤, 折田 久幸, 猿渡 和孝, 宮武 修
    1993 年 19 巻 2 号 p. 288-294
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    焼成工程における等方性炭素材料の線収縮量の温度依存性を推算する方法を開発した.線収縮量は骨材および結合材の残存率および真密度の関数として与え, それらの値は熱分解ガスの生成量から推算した.真密度の推算には, 骨材および結合材の真密度と水素含有率との相関関係が石炭およびその熱処理炭に対する関係と同一であることを利用した.
    熱分解ガスの生成量を1K/minの昇温速度下で測定し, Arrhenius式中の反応速度パラメータを決定した.推算の際に考慮したガスはH2, CO, CO2, CH4およびタールである.その反応速度パラメータを用いて, 1および3K/minの昇温条件下における線収縮量をそれぞれ推算した結果, 気孔率が一定である温度範囲における推算値は測定値と一致した.また, 骨材と結合材の配合比の異なる他の炭素材料に対する推算値も同じ温度範囲において測定値とほぼ一致した.
  • メタンの水蒸気改質反応と燃焼反応
    福原 長寿, 五十嵐 哲
    1993 年 19 巻 2 号 p. 295-302
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    壁面が触媒化された流路と熱媒体が流れる流路とを積層化した矩形の管壁型反応器を想定し, メタンの水蒸気改質反応とメタンの燃焼反応を行った場合の伝熱と反応特性に関するシミュレーションを実施し, 触媒充填層反応器との比較検討を行った.
    メタンの水蒸気改質反応の結果から, 管壁型反応器は, 熱媒体側流路の壁面と触媒壁面との間で優れた熱伝導性を有するために反応熱の供給が迅速であり, 反応器内は均一な温度分布を示した.さらに, 単位体積あたりの触媒量が充填層反応器よりも少ないにもかかわらず, 反応器出口では同程度の転化率を示した.メタンの燃焼反応では, 管壁型反応器の採用により反応熱の除去が効率的に行われるため, 安定した反応器の操作性と触媒寿命の長期化の可能性を推論した.
    また, 高さがより小さい流路を積層化することで, 本システムのような管壁型反応器の性能が向上することも明らかにした.
  • 佐山 隼敏, 戸沢 洋一, 鈴木 和彦, 島田 行恭, 清水 健
    1993 年 19 巻 2 号 p. 303-310
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本論文では, 多成分系平衡フラッシュ蒸留プロセスにおいて, 全圧と供給部組成に関する感度係数の解析式を提案する.陰関数の定理を拡張して, 全圧に関する温度の偏導関数を解析的に導出した.これまでの蒸留計算法では, M-1成分の組成を独立, 1成分の組成を従属として, これよりd-感度係数を定義できるが, これは量論式を満足する.本論文においては, M成分の全組成を独立とし, i-感度係数を定義するが, これは液組成の量論式を満足しない.d-感度係数はi-感度係数から求められるが, この逆は成立しない.この両感度係数に対する数値計算例を示した.
  • 田中 善之助, 三辻 裕之, 高橋 照男
    1993 年 19 巻 2 号 p. 311-316
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    分級 (粒子系) と蒸留 (分子系) のアナロジーに基づく多段流動層分級機を用いた連続風力分級では, 粒子径と密度による差の少ない多成分系混合物を扱う場合に, 目的成分の分離・濃縮が非常に困難となる.そこで, 分子系の抽出蒸留の概念を流動層に取り入れ, 第三成分を加えることで, エルトリエーション, つまり流動層の粒子平衡関係 (分離係数) に及ぼす影響についての実験的検討を行い, 二成分混合粒子に第三成分粒子を加えると, 粒子の平衡関係, つまり分離係数dtを変化させることができ, 第三成分として原系の二成分より粗い粒子を加えた場合は分離促進剤として, 逆に細かい粒子を加えた場合には分離抑制剤として働くことが明かになった.また第三成分として粗い粒子を加える場合は, その粒子径が原系の二成分の粒子径よりも2倍を越えると分離促進剤の効果が弱まることが分かった.粒子系においても抽出蒸留と同じ分離操作法を取り入れることが可能である.
  • 大佐々 邦久, 中倉 英雄, 田中 宏幸
    1993 年 19 巻 2 号 p. 317-324
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    アルミニウム (Al) 犠性電極を用い, 分散性染料のようなコロイド状懸濁物質を対象に回分電解浮上分離実験を行い, 分離機構の解明と分離速度を最大とするような諸条件の探索を進めた.Al溶出量は電流密度に比例し, Faradayの法則に基づく理論値より大きい.分離過程は二段階よりなる.第一段階では, 濁質濃度はほぼ初期値で推移した.濁質の凝集は溶出Alイオンによる荷電中和作用に基づく.第二段階は浮上分離過程である.分離は一次速度式に従い, 速度定数は電流密度とともに増加した.Al溶出量の増大には極性変換法が効果的で, 最適変換時間は約900秒であった.双極式電極の使用は操作電圧の適正化および浮上槽の小型化に有効であった.
  • 林 石英, 朱 子彬, 平戸 瑞穂, 二宮 善彦, 堀尾 正靱
    1993 年 19 巻 2 号 p. 325-332
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    高温領域 (1273K~1773K) で, 石炭チャーのCO2ガス化実験を行い, チャーの各サイズ細孔の表面積の変化から, 高温域でのチャー細孔構造の特徴および反応速度に及ぼす細孔構造の影響を検討した.
    未反応チャーのミクロ細孔 (<0.01μm) およびメソ細孔 (0.01~0.1μm) の表面積は処理温度の上昇とともに激減したが, マクロ細孔 (>0.1μm) の表面積はほとんど変化しなかった.
    反応中のミクロ細孔の平均半径は1573K以上の高温域で明瞭に増大したが, マクロ細孔の平均半径は反応後期を除き, 反応中ほとんど変化しなかった.また反応中の細孔構造変化および (S/S0) maxS0との関連をランダムボアモデルで説明した.
    本実験の温度範囲では, ガス化反応速度とミクロ細孔の表面積との間に良い正相関が認められた.
  • 東内 秀機, 櫻木 雄二郎, 長谷 昌紀, 荒井 庸彦
    1993 年 19 巻 2 号 p. 333-337
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    4成分系液液平衡データの提出を目的として, 相図の型 (不溶解な2成分系の数) が異なるイソオクタン (2, 2, 4-Trimethylpentane) (1) -メタノール (2) -ベンゼン (3) -トルエン (4) 系 (Type1) とヘプタン (1) -メタノール (2) -トルエン (3) -オクタン (4) 系 (Type2) の液液平衡を25℃で測定した.相互溶解度は白濁法により, またタイラインデータは両相の組成をガスクロマトグラフにより分析することで得られた.さらに, 得られた実測値を著者らの改良Wilson式を用いて相関したところ, ほぼ良好な結果が得られた.
  • 平田 雄志, 藤岡 恵子, 岡崎 多佳志, 藤井 洋介, 伊藤 龍象, 土井 全
    1993 年 19 巻 2 号 p. 338-344
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    ケミカルヒートポンプの駆動に用いられる塩化カルシウム/メチルアミン気固反応の見かけの反応層体積と反応固体の真体積を303.2Kの条件で測定した.初期付加反応 (CaCl2→CaCl2・6CH3NH2) では約6倍の反応層の膨張が観測されたが, 繰り返し反応 (CaCl2・2CH3NH2〓CaCl2・6CH3NH2) では体積変化は初期付加反応時の1/2に減少した.メチルアミンの付加モル数が1.6, 2, 6モルの状態において反応容器内に窒素ガスを圧入して反応容器内の空隙体積を測定し, 反応容器の内容積から差し引いて反応固体の体積を求めた.反応固体の体積は付加モル数に比例して変化し, 固体中でメチルアミン1モルが占める体積は液体メチルアミンのモル体積の95%となった.さらに, 水和塩・アンモニア塩の密度データの解析を行い, 反応固体の体積変化と反応付加モル数の間の比例関係は, 塩と反応した物質に固有であることを明らかにした.
  • モンテカルロ法によるシミュレーション
    冨田 太平, 久保 昌宏
    1993 年 19 巻 2 号 p. 345-347
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Reflection behaviours of a light beam, which was applied to a dispersion of small bubbles (mean diameter, 0.19mm-1.17mm) in a rectangular cell, were simulated by the Monte Carlo method. The calculated values of both the intensity profiles of the transmitted light and the effective light pass length agreed well with the experimental ones. It was concluded that this method is useful in estimating the volumetric ratE of light absorption in small bubble dispersion systems.
  • 藤吉 一誠
    1993 年 19 巻 2 号 p. 348-351
    発行日: 1993/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    高ケイ酸質ガラスを骨格とする多孔質ガラス (以下PVGと略す) は耐熱性に憂れ, 表面積が大きくまた均一なミクロ孔を持つため担体・濾材・分離膜などへ利用されている.しかしPVGは表面シラノール基を多量に含むにもかかわらず, その酸強度が低いためイオン交換体としてはほとんど利用されていない.最近, PVGが金属のアンミン錯体をアンモニア配位子とシラノール基との配位子置換により有効に吸着し, その吸着特性は金属の種類により相違することが報告された.この結果はPVGを陽イオン交換体とした金属の分離の可能性を示唆している.
    ここでは類似した吸着特性のため比較的困難と言われているニッケルとコバルトの分離に関する基礎研究を行った.そのためこれらの金属を回分法で同時に吸着させ, それらの金属およびアンモニウムイオンの吸着特性を比較した.またPVGを充填したオープンカラムを用いて分離性能に及ぼす操作条件の影響を検討した.
  • 1993 年 19 巻 2 号 p. e1
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
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