化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
19 巻, 6 号
選択された号の論文の43件中1~43を表示しています
  • 小倉 裕直, 金森 道人, 松田 仁樹, 架谷 昌信
    1993 年 19 巻 6 号 p. 941-946
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    CaO/H2O/Ca (OH) 2 系反応を利用したケミカルヒートポンプによる蓄熱・冷熱生成システムを提案し, 生成冷熱温度, 生成冷熱量および冷熱生成速度に関する実験的検討を行った.
    その結果, 本反応系ケミカルヒートポンプにより0℃レベルの冷熱が生成できることがわかった.反応層内の熱・物質移動促進を行うことにより, 冷熱生成速度および生成冷熱量は増大し, 生成冷熱温度が下がることが認められた.また, さらに冷熱生成を促進するためには, 低圧下での蒸発・水蒸気移動促進が必要であることが明らかとなった.
  • 山田 則行, 安部 英一, 広末 英晴
    1993 年 19 巻 6 号 p. 947-955
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    殻物質をnmオーダーのコロイダルシリカとし, 芯物質を数μmの塩基性炭酸マグネシウム及び炭化ケイ素とする無機質殻マイクロカプセルを噴霧乾燥法で調製した.
    マイクロカプセルからの溶出挙動に及ぼす懸濁液の分散方法及び芯物質中の塩基性炭酸マグネシウムの体積分率の影響を検討した.徐放特性は芯物質中の塩基性炭酸マグネシウムの体積分率が増すほど, また, 超音波乳化機による分散を行ったものはタービンミキサーによる場合よりも悪くなった.マイクロカプセルからの溶出挙動は拡散モデルで表すことができた.有効拡散係数は塩基性炭酸マグネシウムの体積分率が増すほど大きくなり, これはマイクロカプセル殻の細孔容積の増大に対応した.分散方法による有効拡散係数の相違はマイクロカプセル殻の細孔容積とは関係づけられなかった.
  • 大下 孝裕, 肥後 勉, 小杉 茂, 犬丸 直樹
    1993 年 19 巻 6 号 p. 956-962
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    流動層内を主燃焼室と熱回収室とに傾斜仕切壁にて区分し, 流動媒体に硅砂を使用して, 主燃焼室に旋回流を, また主燃焼室と熱回収室の間には循環流を形成する内部循環流動床ボイラを構築し, 内部循環流の形成と総括熱伝達係数の制御の研究を行った.実験結果より, 熱回収室の層内伝熱管にて所要熱量を回収するのに必要な主燃焼室と熱回収室の間の流動媒体の循環流量を得るためには, 流動媒体静止層高が傾斜仕切壁上端より高く, かつ主燃焼室両端部の流動空気量が一定値以上あればよいことがわかった.また, 熱回収室下部に設けた循環層空気流量を変化することにより, 熱回収室内の流動媒体の沈降速度を制御することができた.実測の結果, 総括熱伝達係数は, 熱回収室の流動化速度をU/Umf=0~2の間で変化することによりほぼリニアに変化できることがわかった.これにより内部循環流動床ボイラでは自由自在の負荷制御法を確立することができた.
  • 日引 俊, 山口 学, 片山 俊
    1993 年 19 巻 6 号 p. 963-970
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    平行平板電極, 円筒電極, 垂直ノズル対平板電極によって形成される電場中における層流液柱長さの推算式を提出した。
    電場中での液柱崩壊は, 写真解析より, 重力場中と同様, 液柱界面波の振幅が液柱半径に等しくなった時, 生じるという結果から, 重力場での液柱長さの推算に関するモデルを電場中での液柱長さの推算に適用し, 推算式を導いた.液柱長さの推算には, 液柱界面波の成長速度, 初期振幅, 界面速度が必要である.液柱界面波の成長速度は, 既報で導出されており, 初期振幅, 界面速度に関する項は, 界面に作用する電気応力と界面張力の比で表される無次元パラメータにより実験相関した.実験には, 気液系として, 分散相に水, キシレン, 連続相に空気を用い, 液液系として, 分散相に水, 連続相に, シクロヘキサン, ヘキサン, シリコンオイルを用いた.各系ともに, 液柱長さの実測値と計算値は誤差士20%以内で一致した.
  • 廣藤 祐史, 佐々木 之仁, 長瀬 洋一
    1993 年 19 巻 6 号 p. 971-977
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    微小電極とこれによる濃度塊の検出感度を解析するために, 微小電極とこれと同心の球殻状およびリング状対極の間に球形の濃度塊が存在する場合の電界を数値計算した.
    孤立した濃度塊が電極をかすめて通り過ぎるときの応答はスパイク状 (大きい塊), またはなだらかな山形 (小さい塊) で, ピーク値は低い.
    濃度塊が電極の中心を覆って通り過ぎるようになるほど応答は鋭く立ち上がり, かつ平坦部がある.ピーク出力IMは濃度の非線形関数であり, また濃度塊の大きさの関数でもある.真の濃度はIMCとして求まる濃度よりも, かなり大である.一方, 背景濃度が相対的に高くなり, かつ相対的に大きい濃度塊が存在するようになる乱流混合の中期以降においては, ピーク値IMは小さいけれども濃度に正比例するようになる.従って濃度計測の信頼性は混合終期に向上する.
  • 後藤 繁雄, 田川 智彦, 大宮 館男
    1993 年 19 巻 6 号 p. 978-983
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    反応と吸着分離を同時に行う操作において, 吸着剤の再生方法として PSA (Pressure Swing Adsorption) を応用した.モデル反応としてシクロヘキサンの脱水素反応を取り上げた.水素吸蔵合金であるCaNi5合金が吸着剤として適当であった.反応速度はシクロヘキサン濃度の0.8次であった.合金と触媒を共存させ, 反応温度150℃および190℃で反応を行ったところ平衡を大きく越えて反応が進行し, 次第に平衡反応率へと戻った.Heでパージする事により合金が再生できた.反応とパージの周期操作により, 高い反応率を連続的に得た.合金重量を増やすことで1サイクル当たりの収量が増加した.
  • 中島 忠夫, 清水 正高
    1993 年 19 巻 6 号 p. 984-990
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    種々のエマルションを工業的に生産するために, 高圧ホモジナイザーや超音波乳化機が広く用いられているが, 単分散エマルションを製造したり, 最終的な用途に合せて, エマルションの粒子径を都合よく, 制御することはほとんどできない.著者らは最近, 多孔質ガラス膜を液体分散素子に用いることにより, さきの問題を解決できる新しい乳化法を見出した.本実験は基礎的研究の観点から, 膜の細孔特性とそれによって得られるエマルション粒子の関係を明らかにするために行われた.分相法による多孔質ガラス膜は多孔質セラミック膜のような多孔膜よりも分散素子として優れていた.単分散エマルションを製造するためには, 次の条件が欠かせなかった. (1) 多孔質膜は狭い細孔分布を有しなければならぬ. (2) 膜が分散液体相に濡れないようにすべきである.
  • 中島 忠夫, 清水 正高, 久木崎 雅人
    1993 年 19 巻 6 号 p. 991-997
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    細孔径を均一に制御した多孔質ガラス膜を用いる膜乳化法において, 単分散O/Wエマルションの生成に及ぼす界面活性剤の影響を検討し, 得られた結果はつぎの通りである.連続水相に適当量の活性剤が欠かせないが, 従来の方法で用いられるよりも遥かに少ない活性剤で単分散乳化が行えた.添加する活性剤は臨界透過圧力を減少させ, 単分散エマルションが安定して得られる圧力域を広げる効果を有する.しかしながら, 界面活性剤分子の極性基が多孔質ガラス膜の表面の電荷と異なる符号の電荷を有するときは, 活性剤の膜への吸着が起こり, 膜が見掛け上, 疎水化した.このため, 得られるエマルションは著しく多分散化した.
  • 桜井 俊秀, 岡本 学, 宮崎 晴彦, 中尾 勝實
    1993 年 19 巻 6 号 p. 998-1005
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    硝酸第二鉄-硝酸亜鉛混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液から連続共沈法により共沈物を生成させ, これを熟成, 焼成して亜鉛フェライト微粒子ZnFe2O4を調製した.調製条件を変化させて微粒子の形態と模擬石炭ガスの高温脱硫性能を調べた.
    共沈生成物は, 無定形の微粒子とみなされたが, これを773K以上で焼成するとすべてZnFe2O4結晶に転化した.水酸化ナトリウムと硝酸塩のモル比Rを大きくするとZnFe2O4粒子径は小さくなり, Rが小さいと粒子径が最小となる共沈と熟成の最適温度が現れた.至適調製条件はR=1.5, 共沈と熟成の温度=323K, 焼成温度=973Kと決定した.
    ZnFe2O4粒子を成形した脱硫剤の硫黄吸収容量は, BET表面積が15m2/g以下では表面積の減少とともに低下した.至適条件で調製した微粒子による脱硫剤は, 表面積20m2/g以上, 平均細孔径10~40nmであり, 673~873Kで優れた脱硫性能を示した.
  • 三浦 孝一, 林 順一, 堂元 拓哉, 橋本 健治
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1006-1014
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    石炭とフェノール樹脂の混合物あるいはフェノール樹脂に4種類の石炭系ピッチ, アントラセン, ジヒドロアントラセン, アセナフチレンを混合してから炭化する方法によって分子ふるい炭素 (MSC) を製造した.石炭, フェノール樹脂, 有機物の混合比や炭化温度を変化させることにより細孔分布を0.37~0.44nmの範囲で精度良く制御できた.このMSCの適用例として, (1) プロピレン-プロパン, (2) 1-ブテン-イソブチレン, (3) 二酸化炭素-メタンの分離の可能性を平衡吸着量と吸着速度の観点から検討した.その結果, (1) ~ (3) のそれぞれの系について, 前者のガスを吸着するが, 後者のガスを吸着しないMSCを製造できた.また, 二酸化炭素の拡散速度がメタンの約40倍となるMSCを製造できた.MSCのガス分離性能は分子径, 分子の形状と平均細孔径, 細孔分布のシャープさでほぼ整理できた.
  • 渡辺 智秀, 松田 仁樹, 架谷 昌信
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1015-1022
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ドロマイトの完全焼成酸化物 [CaO・MgO] のSO2吸収反応特性について, 973~1473Kの焼成および硫酸化反応温度条件下で熱重量分析による検討を行った.また, カルサイトおよびマグネサイトを焼成して得られるCaO, MgOのSO2吸収反応活性と比較した.CaOおよびMgOの反応活性を基にして, CaOおよびMgO成分の複塩構造がドロマイトのSO2吸収反応に及ぼす影響について検討した.その結果, 本実験条件では焼成ドロマイトは, 焼成温度が上昇するにつれて硫酸化反応活性は低下し, 硫酸化反応温度条件は約1373Kで反応活性が極大となった.反応平衡論からMgOおよびCaOがSO2と反応可能な温度でのドロマイトのSO2吸収反応実験では両成分とも反応したが, CaOとMgOの反応活性の相違から, 化学反応律速段階にある反応初期にはCaO成分が選択的にSO2を吸収することが示唆された.また, CaOのみ反応可能な温度域では, 粒子内の未反応MgOの存在によりSO2の粒子内拡散抵抗が大幅に抑制されCaO成分の反応率は, 迅速に1に到達した.
  • 山本 協子, 佐野 雄大, 村田 究, 亀山 秀雄, 本郷 賢
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1023-1030
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    表題氷蓄熱は蓄熱材として吸水性高分子ゲルを用いる.適当な排気手段によりゲル表面から水蒸気を蒸発させ, この蒸発熱をゲル中の残余の水の凝固熱として蓄える方式である.実用化の第1の鍵は大排気容量, 高効率の真空圧縮機の開発にあるが, 一方, 氷生成効率を高めるためには極力ゲルの過冷却を抑え, 氷点 (0℃) に近い温度で製氷することが重要である.本報では (1) ダイヤフラムポンプ採用による実験装置の約20倍のスケールアップに伴う, 蒸発速度式の取扱いについて検討し, 実用的には速度はゲル温度の水蒸気圧に比例するとして扱えること, また, (2) ゲルの過冷却温度と蓄熱効率の関係から, 過冷却は可能な限り抑えることが望ましいことを示した.さらに, (3) 新たに生物起源の無公害有機氷核物質に着目し, AgIと同様の過冷却解消効果があることを示した.
  • 鹿毛 明子, 新尾 エリカ, 東谷 公
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1031-1037
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    電解質存在下での水・アルコール混合溶媒中で, ポリスチレンラテックス粒子のζ電位を測定し, ζ電位の誘電率, 電解質濃度依存性を検討した.その結果, 1) 電解質無添加の場合, ζ電位は, アルコールの濃度, 種類によらず水中のζ電位とほぼ同じで, 誘電率の変化には依存しないこと, 2) 一価電解質の場合および二価電解質の高誘電率の場合のζ電位の誘電率による低下は, 電気二重層理論で理解できること, 3) 三価電解質の低誘電率の場合のζ電位は, カチオンの特異吸着がζ電位の低下の主要因と考えられること, 4) 二価電解質の低誘電率の場合および三価電解質の高誘電率の場合は, 一価電解質と三価電解質の低誘電率の場合の中間的なメカニズムによりζ電位の変化が生じると考えられることを明らかにした.
  • 宮武 修, 橋本 享幸, 安藤 佳正
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1038-1043
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    球形気泡核のサイズ, すなわち初期気泡半径が, 均一過熱液中における気泡成長速度に及ぼす影響について, 数値解析を行った.過熱水中における気泡成長を例にとり, 慣性支配域および熱伝達支配域が網羅できるように, バルク液温度T=40~80℃, 過熱度ΔTs=5~20K, 初期気泡半径と臨界気泡半径の比γ=1.01~50の範囲に変え, 有限差分法による数値解を示した.実質的に重要性をもつγ≧2の範囲では, 表面張力の作用による気泡成長速度の抑制効果は無視できることがわかり, 過熱純液中における気泡成長速度を予測する無次元式を数値解から導いた.
  • 浦田 康之, 新田 友茂
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1044-1052
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    超臨界状態 (SC) の二酸化炭素あるいはエチレンを溶離液とし, テトラヒドロフラン (THF) をステップ状に加えるカラム溶出法により, スチレン-無水マレイン酸共重合体のオリゴマーを分子量分別し, 溶離液と温度が分画特性に及ぼす効果を検討した.カラムの圧力は20MPaで一定とした.SC-C2H4/THF溶離液では溶解度が分子量の順に減少するために, SC-CO2/THFよりも低分子の分子量分別には有利であること, また, 分子量の大きな領域では50℃より90℃の方が分別はシャープになる結果を得た.物質移動モデルを用いてカラム出口での平衡脱離の条件を検討し, 超臨界流体-固定相担体間のオリゴマーの分配平衡係数Kを求め, Kと分子量の関係が分離因子σで評価できることを示した.また, 拡散係数の推算から超臨界流体中のオリゴマーの物質移動容量係数を評価し, 求めたKと組み合わせれば, 分画オリゴマー各成分の溶出率の計算値と実測値とがほとんど一致することを示した.
  • 山崎 春夫, 村瀬 敏朗, 岩田 政司, 白戸 紋平
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1053-1059
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    回転円板型ダイナミック濾過では, 濾材面に流体の強い剪断応力を作用させ, 粒子層を掃流しつつ濾過濃縮が行われる.この透過を伴う粒子層の限界掃流条件を考察するため, 粒子層近傍における3次元的な流れを考慮して主流の剪断応力に及ぼす溝付回転円板の影響を解析できる関係式を与えた.また, 層最上部の粒子に作用する力の平衡関係にもとづき, 限界掃流条件下の主流の剪断応力を算出するためのしゃへい係数の値を実験的に求めた.これらの結果を用いて, 粒子層の掃流に必要なロータの限界回転速度が推定できることを示した.粒子径の範囲が0.15~1.05mmのガラスビーズ充填層による実験結果は, 推定値と良好に一致した.また, 溝付回転円板では, 限界回転速度がかなり減少し粒子層の掃流が容易になることを示した.
  • 井土 忠厚, 吉田 哲也, 後藤繁雄
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1060-1066
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    NaOHとKOHの共融混合物 (融点170℃) を触媒として, 気相のアルドール縮合およびブテンの異性化を200℃, 大気圧下で行った.触媒の活性および安定性は担体 (活性炭, アルミナ, チタニア, マグネシア, シリカアルミナ) および担持方法 (含浸法, 触媒と担体の物理的混合) によって著しく変化した.3種類の触媒活性の低下が認められた.活性炭に含浸法で触媒を担持した場合には, 両反応の速度は時間と共に減少した.アルミナを担体とした場合には, 異性化速度は減少しなかったが, アルドール縮合の速度は減少した.アルドール縮合の速度は, 触媒を活性炭およびシリカアルミナの外表面近傍に担持すると減少しなかった.触媒が溶融することによって生成するOH-型の塩基がアルドール縮合に対する触媒の活性種と考えられた.使用後の担体の表面を走査型電子顕微鏡で観察し, 担体と触媒との相互作用を調べた.
  • 井土 忠厚, 水田 徹, 後藤 繁雄
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1067-1073
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    溶融状態のベンゼンスルホン酸 (融点45℃) を触媒として, メタノールとイソブチレンからの気相MTBE (メチルターシャリーブチルエーテル) 生成反応を60~120℃, 大気圧下で行った.メタノールの触媒への溶解のために反応速度は温度およびメタノール分圧によって著しく変化した.反応条件下における触媒へのメタノールの溶解量を測定し, メタノールの溶解にともなう触媒の酸強度の変化を指示薬アントラキノンおよびベンザルアセトフェノンを使って調べた.反応速度はこの様な触媒の酸強度の変化を考慮して補正した.これらの反応速度の温度およびメタノール分圧依存性はイオン交換樹脂を触媒として得た結果と一致した.更に, 触媒にメタノールが溶解することにより副生成物 (ジイソブチレン) の生成が抑制されることをみいだした.担体上の触媒の状態を走査型電子顕微鏡で観測した.
  • 栗山 雅文, 李 相一, 原田 英二, 今野 宏卓
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1074-1080
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    垂直に配列した水平2円柱からの空気中における自然対流熱伝達について実験的に検討した.両円柱の熱伝達係数とその配列ピッチおよび表面温度との関係の測定結果を提出し, 下部円柱からの浮力流が上部円柱の熱伝達に強く影響していることを示した.また, 2円柱周りのフローパターンと温度分布も提示し, 各々の円柱周りの対流が干渉する様相について言及した.さらに, これらの実験結果に基づいて, 上部円柱の熱伝達係数に及ほす対流の干渉の影響を評価する簡単なモデルを提案し, これにより実測の熱伝達係数の挙動を良好に説明し得た.
  • 横田 政晶, 豊倉 賢
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1081-1088
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    塩化ナトリウム添加s-カルボキシメチルシステイン (SCMC) ラセミ過飽和溶液中で成長しているL-SCMC固定単一結晶の表面を観察した.L体種晶表面へのD体とL体微小結晶の生成速度は, 溶液空塔速度の影響を受けずに, それぞれ操作過飽和度の2.7乗と1乗で相関された.一方, 過飽和溶液中にD体微小結晶が確認されるのは, L体種晶表面上よりも2時間遅かった.これより, D体はL体種晶表面上に不均一核化として現れ, その後溶液中に剥離するものと考えた.さらに, D体微小結晶の生成速度および待ち時間は従来より報告されている不均一核化速度式にて整理された.また実験中過飽和溶液中には常にL体微小結晶が現れていたためL体種晶へのL体微小結晶の生成は付着あるいは不均一核化のどちらが起因するのかは検討できなかった.
  • 三朝 元勝, 尾上 薫
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1089-1095
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    多成分水溶液系に適用可能な平衡組成の数値計算法の開発を行った.この方法は系内の全平衡成分の中から独立成分を分別し, 従属成分の平衡関係を独立成分のみで表すものである.平衡関係式と物質収支, 電荷収支式を組み合わせることによって, 平衡組成解析のための基礎式は独立成分と同数に低減化される.これらの非線形連立方程式はNewton-Raphson法で容易に解が得られる.具体例としてH-Na-Cl-PO4系を取りあげ, 水溶液のpHおよび電導度の計算値と実測値との比較を行った.本計算法の特徴は次のように言える.1) 広範囲にわたる多成分水溶液系に対応できる, 2) 全平衡組成の濃度算出が容易に行える, 3) イオン強度, 電導度などの物性の算出に有効である.
  • 結晶粒径および濾過挙動
    前田 光治, 乗富 秀富, 加藤 覚, 長浜 邦雄
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1096-1104
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    液化ガスを溶剤とする2成分系共晶有機混合物の回分式晶析実験を行い, 晶析器内の結晶粒子群の平均粒径を測定するとともに, 濾過によって固液分離された湿り固体の母液の付着率を求めて, これを支配する因子について検討した.液化ガスとしてプロパン, クロロジフルオロメタン (HCFC22) を用い, 2成分系共晶有機混合物として, ベンゼン+シクロヘキサン系, p-キシレン+m-キシレン系およびp-キシレン+o-キシレン系を用いた.結晶粒子群の平均粒径は, フィードの液化ガスモル分率の増加により大きくなる傾向があり, ベンゼン結晶は100-230μm, シクロヘキサン結晶は100-120μmであり, またp-キシレン結晶は400-600μmであった.それぞれの平均粒径は結晶析出に伴う母液濃縮率の増加とともに指数関数的に減少した.一方, 濾過によって固液分離を行った結果, フィードの液化ガスモル分率の増加とともに湿り固体の純度は増加した.また, 母液および湿り固体の組成から母液の付着率を求めたところ, 母液の密度および表面張力と結晶粒子群の平均粒径から構成されるキャピラリー数との間に比較的良い相関性があることがわかった.
  • 〓 高白, 中尾 真一
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1105-1112
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    UF膜の阻止特性は “分画分子量” で表示されるが, 実際の分画分子量および分子量による阻止率は濾過物質によって異なる.これは基本的にはUFの濾過原理がふるい効果であることに起因していると考えられる.タンパク, デキストラン, ポリエチレングリコール (PEG) の分子量較正曲線を同一GPCカラムで作成する方法, および超遠心法で測定した拡散係数から計算したStokes半径の比較より分子サイズと分子量の関係を求めた.三種類の膜を用い, GPC法を利用して等分子サイズのデキストラン, PEG, ポリビニルピロリドンの阻止率を比較した.更に7種類のタンパクの阻止率を等しいStokes半径のデキストラン, PEGの阻止率と比較した.その結果, 同分子量の異なる物質はそれぞれ異なる分子サイズを持ち, ふるい効果以外の影響を充分抑えることができれば, UF膜の阻止率は濾過物質の分子量ではなく, 分子サイズによって決まることを明かにした.従ってUF膜の分画阻止特性は, 分子量ではなく, 分子サイズを用いて細孔のふるい効果で解析する必要があると考えられる.
  • 大井 浩, 西川 貴志, 矢野 元威
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1113-1119
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    NiCl2 と SiCl4を同時に酸化反応させNiO/SiO2粒子を調製するとき, NiCl2からNiOへの変化率は低い.そこで水蒸気を酸化促進剤として添加すると, 生成粒子中のNiCl2は減少する.この反応の機構を熱力学的に調べ, sheme 2で進行する事が明らかとなった.また, 水蒸気の添加はNiOとSiO2との相互作用を強める事をTPR (昇温還元) から明らかにした.
  • 小泉 文弘, 西谷 紘一, 樫田 榮一, 小松 規秀
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1120-1127
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    密集した球状透明粒子の粒子径分布を, 画像処理を利用して計測する手法を開発した.まずMarr-Hildrethフィルタ一を使って粒子像の輪郭候補線を決定した後, 原画像中における輪郭線上の1次微分値の平均値を利用して, 真の輪郭線と透明粒子の特徴から生じた偽の輪郭線を識別した.次に重なり合った粒子像から各粒子を認識する方法として, 内接円充填法を拡張して用いた.本手法を透明なポリマー粒子径の計測に応用した結果, 誤検出率は5%以下となった.本手法はオンライン測定にも適用が可能である.
  • 遠藤 禎行, 向阪 保雄, 石井 真由美
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1128-1135
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    接触角が0~60°の場合について, 粒子-平板間を含む異径の球形2粒子間に形成される雰囲気の湿度と平衡な液架橋形状の理論的な解析を行った.また, Laplaceの式にもとづいて, その場合の液架橋付着力の解析を行った.その結果, 等径2球間に形成される液架橋に対する著者らの理論と同様の結果, すなわち, 架橋形状が雰囲気の湿度と架橋液中の溶解性物質の濃度の関数として表され, 不純物を含まない水の液架橋では最狭部半径が約0.15~100nmと非常に小さいこと, および, 架橋液中に溶解性物質が含まれる実際の場合にはより大きな液架橋が形成されるという結果を得た.
    また, 架橋形状から理論的に求めた付着力は, 大きさの異なるガラス球間あるいはガラス球とスライドガラス間に形成された液架橋の引張り試験によって実験的に裏付けられた.
  • 遠藤 禎行, 向阪 保雄
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1136-1142
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    2個の球形粒子間に液架橋が形成されたときに, この粒子間の間隙がどのようになるのかについて理論的に解析を行った.その結果, 2粒子が接近するほど強くなる粒子間付着力と2粒子が接近するほど小さくなる液架橋表面の自由エネルギーによって, 他の外力が働かない限り, 2粒子は接近して引っ付くことを説明づけることができた.
    実験では, 大きさの等しい2つのガラス球またはガラス製レンズ間に形成させた液架橋の引張り試験を行い, 粒子間の間隙と液架橋付着力の関係が理論解析結果に従うことが確かめられた.また, 糸で吊り下げた2つのガラス球を水平にわずかに離しておき, これに液架橋を形成させると, 瞬時にして2球が引っ付くという理論解析を裏付ける観察結果も得られた.
    実際の粉体は乾燥状態に比べて含水率が多くなると, 層のかさ体積が減少するが, これはここで得た解析結果を裏付ける重要な事実と考えられる.
  • 伊地知 和也, 上村 芳三, 田中 安彦, 幡手 泰雄
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1143-1148
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    単分散粒子と見なせる平均径206μmの球形セラミック粒子と平均径37μmの球形セラミック粒子とを用い, 層温度300K, 600K, 900Kにおける最小流動化速度と気泡径に及ぼす微粉の影響について実験的に検討した.最小流動化速度は圧力損失法より決定し, 気泡径はVTR法を用いて測定した.
    その結果, 最小流動化速度は予測されたように流動層内の微粒子量の増加と層温度の上昇とともに減少することが示された.
    微粒子は流動層に小さな気泡を発生させるような効果を及ぼした.すなわち, 気泡径は層内の微粒子量が増加するとともに減少した.また, セラミック粒子を層物質として用いた流動層では温度の効果は認められなかった.
  • 東稔 節治, 田谷 正仁, 加藤 進, 堀江 靖彦, 足利 善啓, 朱 鉱圭
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1149-1156
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    耐熱性細菌 (Bacillus stearothermophilus) 胞子の光殺菌のため, 半導体触媒であるTiO2粒子 (平均粒子径 : 21nm) を懸濁した角型気泡塔反応器 (横幅4cm×奥行4cm×高さ25cm) を用いて光照射実験を行った.TiO2粒子と溶存酸素が共存する操作条件下で胞子の殺菌が有効となり, 本研究では, 反応器内平均光強度6.0×105J・m-3・h-1, TiO2濃度5×10-2kg・m-3, 溶存酸素濃度7.7×10-3kg・m-3の条件下で, 最も高い胞子殺菌速度が得られた.
    TiO2の光触媒作用により溶存酸素から生成される酸化剤ラジカルが胞子の死滅を引き起こすと考え, 胞子濃度と酸化剤ラジカル濃度に関する2次反応速度式と1ヒット性多重標的モデルに基づく胞子殺菌速度の解析を行った.その結果, 胞子の殺菌経過を良好に表現することができ, 得られた殺菌速度定数と反応器内平均光強度の間には直線関係が認められた.
  • 船造 俊孝, 福田 雄史, 西本 典広, 若尾 法昭
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1157-1164
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Taylor-Arisのトレーサー応答法を用いて, 303.2~333.2K, 16.0MPa でのn-ヘキサン中と313.2K, 16.0MPaでのn-ドデカン中およびシクロヘキサン中の各種有機化合物の相互拡散係数を測定した.Stokes-Einstein式に基づく各種相関式に比べて, 溶媒自由体積による相関式 :
    D12/√T1 (v-1.358v0)
    は精度よく実測値を表すことができた.ここで, D12は相互拡散係数, Tは温度, α1は係数, vは溶媒モル体積, v0=Nσ3/√2でNはAvogadro数, σは有効剛体球径である.また, その係数α1は上記溶媒の種類にかかわらず, ほぼ溶質沸点分子容の-0.6乗に比例した.
  • 渡辺 藤雄, 小塚 淳, 汲田 幹夫, 架谷 昌信
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1165-1170
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    細孔構造の異なる3種のシリカゲル (SG) および活性炭 (AC) の純水蒸気, 純エタノール蒸気の減圧下, 303~383Kにおける吸着平衡の測定を行い, 既往の結果との比較ならびに本吸着系のヒートポンプへの適用性の検討を行った.
    1) 両吸着質ともSGの吸着平衡曲線はその細孔分布とよく対応しており, ミクロ孔単分散, 二元分散のそれはそれぞれ低相対圧域および低相対圧と高相対圧の2域で急峻な立ち上がりを示す.スーパーACの工タノール吸着平衡は低相対圧域で立ち上がり, その吸着容量は通常の活性炭の6倍以上を示す.
    2) SGの水蒸気吸着量は温度の上昇とともに減少する.また, その吸着熱は細孔が小さいほど大きい.
    3) 細孔径の小さいSG・AC/水蒸気系, スーパーAC/エタノール系は吸着ヒートポンプ組み込み吸着系として適用できる。
  • 三島 健司, 森井 正視, 永安 繁幸, 恵谷 英之, 長谷 昌紀, 荒井 康彦
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1171-1178
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ポリエチレングリコール (Mw=7,500) (1) -リン酸水素カリウム (2) -水 (3), ポリエチレングリコール (1) -硫酸アンモニウム (2) -水 (3) およびポリエチレングリコール (1) -デキストラン (Mw=515,000, Mn=195,300) (2) -水 (3) 系の各水性二相分配系の液液平衡およびそれらの系に対する構造異性体を含む15種類のベンゼン誘導体の分配係数を25℃で測定した.さらに, 自由エネルギーのビリアル展開式を用いて, 各水性二相系液液平衡とそれらの系に対する各ベンゼン誘導体の分配係数の相関を試みた.その際, 分子結合性因子 (Molecular Connectivity Index) を用いて, 相互作用パラメータを整理することにより, 各水性二相分配系に対するベンゼン誘導体の分配係数の推算を試みた.
  • 透析排水処理を目指して
    豊田 淳, 神吉 達夫, 浅野 強, 村上 光正, 前田 嘉道
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1179-1183
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    透析排水は透析液, 体内からの排出物, 透析治療の事前事後に行なう消毒洗浄に使用する殺菌剤および洗浄水を含む溶液である.この中で生物処理対象物質である透析液には, 重炭酸型と酢酸型があり, 現在, 重炭酸型透析液が多用されている.重炭酸型透析排水のBOD値は無糖型で500~800mg/l, 有糖型で1000~1300mg/lと高い有機汚濁性を示し, 殺菌剤として主にNaOCIを多量に含有している.この種の殺菌剤は, 生物処理の事前に除去されるのが一般的である.
    著者らは, このような高BOD透析排水の高効率微生物処理法の確立を目的として, 多孔質ポリウレタンフォーム (以下PUF) を担体とした流動床法について高密度有機質資化微生物による処理特性を検討している.フォーム担体を用いた生物流動床法については, 村上, Cooperら, 府中ら, その他の研究があるが, 培養初期過程での処理特性および微生物増殖挙動は必ずしも明らかにされていない.本研究では, その第一段階として重炭酸型無糖透析排水を対象に, 培養初期過程でのPUF流動床法の微牛物処理特性を明らかにした.
  • 李 成植, 姜 奉根, 金 鍾和
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1184-1186
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    This study investigated the analytical data of metal components and leaching properties of petroleum fly ash from a U thermal power plant.
    Metal components in the crude oil differed according to the place of production, where it was concentrated as metal oxide type in fly ash containing V, Ni and so on. Valuable metal components of fly ash were treated as a second resource.
    From this point of view, our study carried out leaching, with hydrochloric acid and sulfuric acid of different concentrations in series being used as leachant. Leaching solution obtained a solid-liquid ratio of 1 : 5 at room temperature. Even though dilute acids and water were used as leachant, high concentration of various metal ions could be leached from fly ashes. The 'concentration of V and Ni in leaching solution was 40, 000 ppm, and Ga content was 8, 000 ppm.
    These basic data will be useful for any process for recovery and separation of rare metals in waste.
  • 碇 醇
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1187-1189
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    炭化水素中の微量の水を蒸留によって除去する際, 微量の水の蒸留効率が異常に低いことが云われている.段効率やHETPは, 気液平衡比に基づいて計算されるが, 炭化水素中の微量の水の平衡比は, 測定者により一定せず, 微量の水自身の濃度によっても大きく変わることも考えられる.従って, この異常な効率の低さが, 気液平衡の測定値に問題があるのか, 物質移動現象に起因するのか明かではない.
    微量成分の段効率を求める時に, 微量成分の平衡比が1より著しく大きいか, または著しく小さい系を使用すると, 液相または気相における微量成分の濃度が極度に小さくなって, 濃度測定の精度が悪くなり, 従って平衡比および段効率の精度も悪くなる.また, 平衡比が1に近い系を使用して, 一段の測定段で段効率を求めようとすれば, 測定段の上下における微量成分の濃度の変化が少なく, 段効率計算の精度が悪くなる.
    本報で, 微量の水を含むヘキサン-エタノール共沸混合物を用いたのは, この系の微量成分である水の平衡比が測定され, それが適度な値であり, 濃度によってあまり変わらないことが分かっているからである.
    また, 一段の測定段での段効率測定の困難さを考慮して, 本報でも10段のオルダーショウ型精留塔を使って蒸留実験を行った.留出液を缶に戻し, 定常状態になったときの留出液と缶液の組成から, 既報 の方法で, 微量成分である水のマーフリー気相段効率を求めた.従って, ここで求められたのは, 10段の段での平均の段効率である.
    この精留塔では, 既に若干の系について同様の測定がなされているが, これらと比較して考察を加えた.
  • 石蔵 利文
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1189-1192
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    噴流層の不利な点を改善するため, 流動層との組み合せにより層内の粒子群のdead spaceを少なくし, 混合を増進させ, 特に凝集性のある粒子をも処理する方法として, Spout-Fluid Bedがある.この装置は, 中央ノズルの噴流化用ガスと傾斜側面壁からの流動化用ガスの流量割合によって, 層内粒子の挙動を制御できる特徴がある.単一粒子径成分についての流動特性 や石炭のガス化, 粉体材料のプロセシングなどへの応用は報告されているが, 二成分系や多成分系粒子群についてはほとんど見あたらない.
    本報告では, 特定の粒子系および装置形状のコールドモデルであるが, 大小二成分粒子群からなる Spout-Fluid Bed内の粒子群の挙動や粒度偏析状態を視覚や流動曲線などによって巨視的に調べ, その流動マップを作成した.さらに大粒子単一成分系に対する噴流化の可能な操作領域との相異点を検討した.
  • 水の透過流束に及ほすゲルの繰返し担持の効果
    迫原 修治, 立石 康, 浅枝 正司
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1192-1195
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Separation properties of water/ethanol mixtures by acrylamide gel polymerized repeatedly in the pores of silica-alumina thin membrane were examined. By repeating the polymerization of gel, the flux of ethanol decreases monotonously, while the permeation of water is promoted as the flux of ethanol becomes sufficiently small. As a result, extremely high separation performance can be obtained. The increment of water flux is closely related to the swelling degree of the gel in water, and an optimum gel composition for the promotion of water permeation exists.
  • 後藤 宗治, 後藤 雅宏, 中塩 文行, 畑中 千秋, 原口 俊秀
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1195-1198
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Surfactant-coated lipase was prepared with a newly synthesized surfactant. The synthesis reaction of glycerides was investigated using the lipase and substrates of glycerol and oleic acid. The activity of the enzyme, which is significantly higher than that of native enzyme, depends strongly on the water content, and the optimal water content is about 3040 mol%. The main product of this enzyme reaction was monoolein under the present experimental conditions.
  • 上和野 満雄, 上ノ山 周, 新井 和吉, 関 優
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1198-1202
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    石炭液化, 晶析, 金属触媒などの操作において用いられている固液系撹伴では, 撹拌槽内における固体粒子の浮遊.分散状態を定量的に把握し, 評価することが装置の設計を行う際に極めて重要となる.本研究では, 著者らが先に開発したリアルタイム・ディジタル信号処理システムを応用し, スラリー濃度検出部の構成が容易にできる光透過方式による撹伴槽内における局所スラリー濃度を多点でしかも同時にリアルタイムで測定する手法について検討した.さらに本測定法では槽内の局所スラリー濃度を極めて微小な時間間隔で測定することが可能であるため, 液流の乱れ場におけるスラリーの濃度変動を測定することができる.したがって, 槽内局所のスラリーの濃度変動の測定結果に基づき, 固体粒子の浮遊・分散状態を定量的に表示する手法を検討した.
  • 川勝 孝博, 中尾 真一, 木村 尚史
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1202-1206
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Random packing phenomena of equal sized spheres (of micron or submicron size) were simulated assuming a quasi-three-dimensional packing structure based on rhombohedral tetragonal ordination. In the simulation, the probability of particle movement through a packed layer was determined with simple rules in accordance with the contact pattern of particles. The calculated average void fraction was 0.37, a value which agreed with that of random close packing and many previous experimental results with equal spheres.
  • 透過のない場合
    山崎 春夫, 村瀬 敏朗, 岩田 政司, 白戸 紋平
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1206-1209
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    To analyze the flow pattern in the filter chamber of a dynamic filter with a rotating disk, the velocity of Newtonian liquid flow without permeation was measured by use of a fiber-optic laser velocimeter. The effects of the rotational speed of the disk and chamber dimensions on the flow pattern can be evaluated in terms of the ratio K of the tangential velocities of the core and the rotating disk. New empirical equations for K-value are presented and successfully correlate our data compared with the former equations.
  • 松浦 章裕, 中村 肇, 平岡 節郎, 多田 豊, 加藤 禎人
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1209-1212
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Gas-liquid two-phase turbulent flow along a vertical flat plate immersed in bubble flow was numerically simulated using the SIMPLER method. Prandtl's mixing length theory was applied to estimate eddy viscosity. The predicted turbulent velocity profiles were in good agreement with the measurements in a bubble flow near the vertical plate, compared with the calculated laminar velocity profiles.
  • 酸化マグネシウム水和反応の活性化
    加藤 之貴, 山下 理道, 吉澤 善男
    1993 年 19 巻 6 号 p. 1213-1216
    発行日: 1993/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    A chemical heat pump using the reaction system of magnesium oxide/water was studied as a thermal storage system by kinetic analysis. This heat pump has been rarely studied because of the low activity of MgO hydration. Therefore, an experimental analysis for activation of MgO hydration was carried out. The result shows that the activity of MgO dehydrated at low temperature (below 623K) is several times higher than that of commercial MgO. The possibility was shown that the reaction system of MgO/H2O is applicable, and the working range of such chemical heat pumps was shown.
feedback
Top