化学工学論文集
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21 巻, 6 号
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  • 高橋 武重, 甲斐 敬美
    1995 年 21 巻 6 号 p. 961-971
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ベンゼン及び二酸化炭素の水素化反応をジルコニウムを含むアモルファス合金から調製された触媒を使用して行った.アモルファス合金は, 作製した状態ではほとんど活性を示さないが, 同一合金を繰り返し使用して, 酸化・還元・水素化反応を行うと徐々に活性が向上した.使用済み合金の表面積は, 繰り返し操作とともに大きくなり, これにはジルコニウムの酸化がこれに大きく寄与することが合金のキャラクタリゼーションから明らかになった.
    アモルファス合金が結晶化温度以下で酸化されると, 結晶化合金よりも大きな速度でジルコニウム及び水素化反応に活性を持つ金属 (Pd, Pt, Rh またはNi) の双方が同時に酸化されるが, 水素処理によって, 後者が金属状態に還元されるのに対して, 酸化ジルコニウムはそのまま残された.この結果, アモルファス合金は徐々に酸化ジルコニウムを担体とする触媒へと変化して行くことが結論された.この触媒の最大の特長は, 水素化活性種となる金属含量が高いにもかかわらず, その分散度が高いために, 反応器体積を小さくできる点にある.
    ジルコニウムを含むアモルファス合金は, 水素化触媒を調製するためのすぐれた前駆体になることを示した.
  • 出井 一夫, 山本 靖夫, 山崎 初太郎
    1995 年 21 巻 6 号 p. 972-983
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    石油留分の水素化脱硫反応における触媒活性劣化の主な原因は, 留出油では炭素質の付着によるものであり (コーク劣化), 残油では炭素質および重金属分 (主に Ni, V) の付着によるものである (コーク・メタル劣化).本論文では実用触媒の水素化脱硫活性に及ぼすコークとメタルの影響の定量化について検討した. 著者らは軽油, 減圧軽油および常圧残油による長期触媒劣化試験結果にもとづき, 軽・重質油水素化脱硫反応における触媒活性劣化の動力学的モデルとして, 触媒上に存在する色々な活性種の減少速度をそれぞれ 1 次であると仮定して導出した連立1次劣化速度式を提案した. そして更に, 連立 1 次劣化速度式においては, 失活する活性種を易失活性活性種と難失活性活性種の2種で近似して劣化関数を導出するとともに, その解析法を見出した. その結果, この劣化関数が広範囲な水素化脱硫反応領域における様々な劣化挙動を正確に表現でき, コーク劣化およびメタル劣化のいずれにも適用できる有効なモデルであることが確認された.
  • 斉藤 泰和, 荻野 英明, 福嶋 知之
    1995 年 21 巻 6 号 p. 984-989
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    金属錯体イオン対 [Pt3 (CO) 6] 42- と [(C6Me6) 2Ru] 2+ を前駆体とする炭素担持複合金属触媒が粒径も粒子組成も揃っているのに対して, K2PtCl4 と RuCl3 の水溶液混合物から含浸法で調製したものは, 広い粒径分布と拡がりのある粒子組成をもち, 大粒径は Ptリッチ, 小粒径は Ru リッチとなる傾向がみられた. 2-プロパノール液相脱水素反応に関しては, Pt-Ru モル比 1 : 1 組成の塩化物前駆体から調製したものが高活性を示し, 粒径分布・粒子組成よりも成分組成の方が重要な要因となることがわかった.
  • 岸田 昌浩, 馬越 和幸, 金 原瑩, 花岡 寿明, 長田 秀夫, 若林 勝彦
    1995 年 21 巻 6 号 p. 990-996
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究では, 新規な触媒調製法としてマイクロエマルション中で調製した超微粒子をアルコキシドを利用して固定化するという方法を提案し, ポリエチレン (5) グリコール-p-ノニルフェニルエーテル/シクロヘキサン系を用いたRh/Sio2触媒の調製を中心にその調製条件に関する各種検討を行なった.本法で調製した触媒の金属粒子径は含浸法触媒よりも非常に小さく, かつ粒子径分布がシャープであることがわかり, 同じ担持量の含浸法触媒と比較して, 著しく高いCO水素化活性を示した.また, Rh触媒の粒子径制御について検討した結果, マイクロエマルション中の水と界面活性剤のモル比, 原料Rh塩濃度およびマイクロエマルション系の種類によって, Rh担持量一定のもとで, Rh微粒子の大きさを制御することができた.
  • 触媒調製法の活性への影響
    中井 敏浩, 角田 恵美子, 八尋 秀典, 塩谷 優, 佐々木 和夫, 新田 昌弘
    1995 年 21 巻 6 号 p. 997-1001
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    含浸法およびイオン交換法で調製した Pd / SiO2触媒を用いたベンゼンの液相一段酸化によるフェノール合成反応について検討した.含浸法で調製した触媒は高い活性を示すが, イオン交換法で調製した触媒では全く活性を示さなかった.含浸法で調製した触媒が活性を示すのは触媒表面に存在する塩化物イオンの効果であることがわかった. ベンゼンと過酸化水素との反応結果から, 過酸化水素の分解によって生じたOHラジカルが反応中間体であること, 塩化物イオンはこの反応中間体である過酸化水素の水への還元反応を抑制していることが明らかとなった.
  • 福原 長寿, 関口 忍, 武藤 秀昭, 五十嵐 哲
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1002-1008
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    各種貴金属担持触媒と銅触媒上での反応温度300~450℃におけるメタノール分解特性を調べた.最適触媒を探索した結果, ZrO2に Rh, Pd, そしてPtを担持した触媒が高い分解活性と高い一酸化炭素および水素生成の選択性を示すことが明らかとなった.そして, Pd/ZrO2触媒は経時劣化を示さなかった.
    さらに, Pd/ZrO2触媒によるメタノール分解反応の動力学測定を行なったところ, 反応初速度はメタノール分圧に対してほぼ0次となることが明らかとなった.このことは, メタノールが触媒表面上に強く吸着することと, メタノールが吸着して生成したメトキシ基からの水素の引き抜き過程が律速段階であることを示唆している.
    さらに, Pd/ZrO2触媒上でのメタノール分解の速度は水素によって増加し, 一酸化炭素によって減少した.
  • 諏訪 多治, 池田 靖夫, 藤松 智博, 岡本 康昭, 新田 百合子
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1009-1014
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    共沈法により調製したCO2からのメタノール合成触媒 Cu-ZrO2に対し, その触媒調製条件が活性に及ぼす影響について検討を行った出発塩として塩化銅・硫酸ジルコニウムを用いると, 従来の硝酸塩出発の触媒と比較して著しく活性が向上した.これは, 触媒表面上での残存塩素によるCu平均結晶子径の増大, 及び硫酸根による表面Zrの分散性の向上あるいは表面濃縮によると考えられる.その他, 沈殿剤添加当量, 銅含有量, 添加物効果など触媒調製条件の及ぼす影響を系統的に検討し, 最適触媒調製条件を確立した.
  • 宮尾 敏広, 松岡 正邦, 宍倉 勲, 永井 正敏
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1015-1023
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    MoCl5-H2-C6H6系の減圧縦型熱CVD法により, 成膜温度500~800℃, 全圧 0.07 ~0.21kPaで石英基板上およびアルミナペレット上でモリブデン炭化物を合成した.石英基板上では, 成膜温度500~600℃でアモルファスなモリブデン炭化物が生成し, 700℃ 以上で結晶性のη-Mo3C2が生成した.全圧0.07kPa以下の実験ではミクロトレンチ上でステップカバレッジの良い膜が得られた.この条件でアルミナペレットに対してモリブデン炭化物を推積させた.常圧, 400℃におけるCO2の水素化反応に対して, CVD調製したアルミナ担持モリブデン炭化触媒はモリブデン担持量当たりで, 含浸法により調製した炭化触媒の3倍, 還元触媒の15倍の活性を示した.また, 反応の主生成物はCOとH2OでありCOへの選択率は99%以上であった.
  • 黎 暁紅, 冨重 圭一, 藤元 薫
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1024-1031
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    SrTiO3触媒のTi4+の代わりにMg2+を添加することにより調製した SrTi1-xMgxO3-δ触媒上に吸着した酸素種は, 700K 付近の低温におけるメタンの酸化カップリングに非常に有効な酸化剤であることを見出した.しかし, SrTi1-x MgxO3-δ触媒上の酸素吸着サイトはH2Oにより大きな吸着阻害を受けることがわかった. また SrTi0.4Mg0.6 O3-δ 触媒と SrTiO3触媒を用いて, 1100K程度の高温での CH4-O2, CH4-H2O, 及び CH4-CO2 反応におけるメタンのカップリング反応活性を調べたところ, いずれの反応も C2 炭化水素生成が触媒的に進行し, これらの触媒が有効であることを見出した.酸化剤が O2及び H2O の時, SrTi0.4 Mg0.6 O3-δ 触媒の方が, C2 炭化水素生成活性・選択性の両面で優れた触媒であり, それに対して, CO2 を酸化剤として用いた場合はその逆の傾向であった.これらの活性及び選択性は, Mg2+ の添加により生成した酸素イオン欠陥と酸化剤の相互作用が大きく関わっていると考えられる.
  • 寺岡 靖剛, 田浦 貴昭, 森口 勇, 鹿川 修一
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1032-1038
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ペロブスカイト型酸化物 La0.8Sr0.2MO3 (M= Co, Mn) について, 高表面積酸化物の調製およびそれらのメタン完全酸化活性について検討した. リンゴ酸の錯形成能を利用するリンゴ酸添加 (MAL) 法, およびアルカリ水溶液中に金属硝酸塩混合水溶液を滴下し, 急速かつ均一な水酸化物形成を行わせる逆均一沈殿 (RHP) 法を用いれば, 従来の調製法である硝酸塩分解 (NIT) 法に比べて単相ペロブスカイトの生成温度が300K 低減でき, それにより高表面積ペロブスカイトが合成できた. メタンの完全酸化活性に対して, 高表面積化の効果は Co 系に比べて Mn 系ペロブスカイトでより顕著に現われた.しかし, MAL 法, RHP 法いずれの方法で調製した Co, Mn 系ペロブスカイトも NIT 法によるものよりメタン酸化活性が高く, これらが高活性ペロブスカイト触媒の調製法として有効であることがわかった.
  • 横田 俊幸, 大和田 寛人
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1039-1046
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    チタンイソプロポキシドの加水分解反応を用いて, 半導体光触媒である TiO2/SiO2複合粒子を調製した.ミクロンオ-ダのシリカ Seed 粒子に TiO2をコーティングした. その結果, Seed 粒子上に膜厚がサブミクロンの TiO2層を形成することができた.この複合粒子を熱処理して, anatase 型および rutile 型の TiO2とし, 光デポジッション法によって白金を電着させた.このようにして調製した光触媒粒子の活性を, 水中のメタノールの光分解反応を行って評価した.その結果, 0.25μm 膜厚の TiO2を anatase 型にして, 白金を0.75wt% 担持した複合粒子が最も大きな光触媒活性を示した.反応後には, 懸濁液からの粒子の濾別は容易で, 工業的に有用な光触媒粒子を調製することができた.
  • 松本 太輝, 村上 泰, 矢彦沢 清允, 高須 芳雄
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1047-1053
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    テトラ-n-ブトキシスズブタノール溶液のゾル-ゲルプロセスを, 溶液粘度の測定によって解析した.
    溶液はそのままでは沈殿を生成してしまい, 粘度は増大しないが, ジエチレングリコールを添加した場合, 沈殿は生成せず, 溶液は増粘した. 固有粘度の経時変化は誘導期を持ち, 誘導期の長さと誘導期直後の粘度変化の傾きは, 水の濃度に大きく依存するが, ジエチレングリコール濃度には依存しなかった.
    固有粘度測定の結果から, ゾル-ゲルプロセスの反応モデルを提案し, 平均重合度の経時変化のモンテカルロシミュレーションを行った.この反応は加水分解と重縮合の繰り返しからなり, これに加水分解逆反応と分子サイズ効果の補正を加え, モデルとした. これらの補正を加えたシミュレーションの結果は, 固有粘度の実際の挙動をよく反映していた.
  • 中山 智弘, 佐藤 智司, 袖沢 利昭, 野崎 文男
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1054-1059
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    触媒材料としての高表面積を持つ金属酸化物の調製を目的として, 種々の金属塩と有機酸とを溶融して得られる固体を熱処理して目的の金属酸化物を得る調製法について検討した. 本法と他の調製法によるマグネシア, 酸化ランタン, 酸化ニッケル, および酸化セリウムの比表面積を比較した.その結果, クエン酸や乳酸などのヒドロキシカルボン酸およびグリシンなどのアミノ酸を有機酸として用いたところ, 高表面積を持つ材料を調製するために効果的であった.例えば, ヒドロキシカルボン酸を用いて本法で調製したマグネシアは, 高表面積の材料を得るための調製法として一般的な沈殿法を上回る比表面積値を示した.また, 硝酸塩の熱分解によって得られたマグネシアと比較して, 本法で調製したマグネシアは有機酸の脱離に由来すると考えられる細孔を持つ特異な形状をしていることが, 細孔径分布測定や走査型電子顕微鏡 (SEM) により観察された.
  • 笹岡 英司, 兼島 昌司, 阪田 祐作, 仲辻 忠夫, 笠岡 成光
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1060-1068
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    オゾン分解用Mn2O3触媒の触媒調製条件の活性に及ぼす影響を明らかにするために Mn (NO3) 2, MnCl2, MnSO4 を原料塩として用い, アルカリ (NaOH, KOH, Na2CO3, NH3) とオゾンを用いて種々の条件下でMn2O3触媒を調製した. 調製した触媒の活性 (オゾン分解率 : X) は, 流通式充填層反応装置で測定した.入口ガスは主にO3 (235PPm), O2 (18.2%), H2O (2.35%), N2 (バランスガス) の混合ガスを用いた.測定結果はオゾン分解速度がオゾン濃度の一次として扱えることを確認し, 表面積あたりの速度定数kを求めて, 触媒表面活性の指標とした.また, 充填触媒の表面積 (Sv) を試料触媒の比表面積と試料触媒の充填量から求め, 触媒活性に及ぼす表面積の影響を評価した.
    実験的に求めたk値とSv値を用いて, 触媒調製条件の活性に及ぼす影響を明らかにした.また, アルカリ沈殿法とオゾン酸化沈殿法の差異を明らかにした.さらに, これらの検討結果より, アルカリ沈殿法と同様にオゾン酸化沈殿法により高活性なオゾン分解触媒の調製が可能であることを明らかにした.
  • 寺井 聡, 村田 究, 山本 協子, 亀山 秀雄
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1069-1074
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    市販アルミニウム板を 20℃, 4wt% のシュウ酸中で陽極酸化した.電流密度を変えることにより半径20~30nmのメソポアを得た.この基板をシュウ酸に浸漬すると40nmまでメソポア径を拡大できた. さらにメソポアの水和・封孔を処理温度と時間を制御して行い, 2~40nmの間の種々の細孔を有する二元細孔径の触媒担体を得た.触媒金属白金は水和封孔との同時処理, およびケイ酸ナトリウム-アセトン混合溶媒中における処理により担持し細孔構造の異なる3種の触媒を調製した.
  • 大渕 英子, 山本 幸司, 中野 勝之
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1075-1081
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    チタンテトライソプロポキシドの加水分解・縮重合により得られたアモルファス酸化チタンを過酸化水素水に加えると溶解して透明なゲルが生成した.これに所定量の過酸化水素水を加えると解こうし, 透明なコーティング溶液が得られた.この溶液にガラスおよびステンレス基板を浸漬して引き上げ, 乾燥後, ガラスの場合は 373~773K, ステンレスの場合は 373~973K で焼成し酸化チタン薄膜状触媒を調製した. XRD および IR-DRSにより焼成温度 573K 以上ではアナタース化が確認された.結晶化に伴ない薄膜の強度および耐酸性も向上し, 773K で焼成したガラス基板上の薄膜は 10N 塩酸および硫酸に一週間以上浸漬しても溶解しなかった.このガラス基板上の薄膜はジニトロフェノール水溶液の光接触分解活性を示した.
  • 尾上 薫, 矢島 亮一, 鈴木 信市, 山口 達明, 高木 弦
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1082-1085
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ランタンと鉄の硝酸塩を出発原料としゾルゲル法で得られたペロブスカイト型LaFeO3微粒子を水ガラスの希薄水溶液に分散させ, 懸濁液を乾燥させる方法でLaFeO3触媒を調製した.熱成長過程における結晶子径の変化を測定し, 水ガラスで分散したLaFeO3触媒の (121) 面の結晶子径は無添加のものに比べ成長速度が抑制されることを明らかにした.
  • 村田 順, 福原 長寿, 五十嵐 哲
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1086-1089
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Steam reforming of methanol has been studied over plate-type copper catalysts. The copper catalysts on aluminum plate were prepared by electroless plating, i. e., the deposition of copper by chemical reduction.These plated Cu/Al catalysts showed low activity and high selectivity to carbon dioxide. The Cu-Ni/Al catalyst with nickel plated first showed high activity and high selectivity to carbon monoxide. Addition of zinc oxide to the Cu-Ni/Al catalyst resulted in an increase of formation of carbon dioxide with high activity.
  • 信澤 達也, 高木 嘉則, 鈴木 利英
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1090-1095
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    各種固体酸触媒を用いて1-メチルナフタレンから2-メチルナフタレンへの異性化反応を行なったところ, 高度に脱Al処理を行なったHYゼオライトを用い, 原料添加物としてメチルテトラリン (MT) を用いた場合に著しく触媒寿命が改善されることを見いだした.脱Alを行なうとHYゼオライトは格子定数が小さくなることが知られているが, 24.30~24.34Åのときに最も長い寿命が得られた.脱Alによって表面酸点密度が低下し, 脱水素による重質コークが形成されにくくなるものと考えられる.MT添加は石炭液化におけるテトラリン溶媒と同様なコーキング抑制作用を有するものと考えられる.MT添加時は異性化への選択性が上昇すること, 希釈ガスの削減が可能であること等もわかった.上記以外の触媒または添加物を用いた場合はコーキングによる活性劣化が大きく, 実用には適さない. 最適条件において連続6000時間以上の寿命を確認した.
  • 高木 嘉則, 信澤 達也, 鈴木 利英
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1096-1103
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Y型ゼオライトによる1-メチルナフタレンの異性化反応で, 触媒の脱Alおよび原料へのメチルテトラリン添加による活性劣化の抑制方法を開発した.触媒のコーキング挙動の解析により, 触媒および反応条件の最適設計で用いる定量的な触媒寿命の評価方法が得られた.触媒活性がコーク蓄積量のみに依存することから, 原料中のメチルナフタレン濃度を高めてコ-キング速度を促進することが正確で迅速な評価を行うために有効であった.その劣化促進法を適用すると, 格子定数24.32Åに調整したY型ゼオライトを用い, 原料1-メチルナフタレンに2~3%のメチルテトラリンを添加して反応を行うことにより, 2-メチルナフタレン収率60%を1年以上継続できることが推定された.
  • 三宅 泰夫, 中西 直哉, 中嶋 利一, 伊藤 靖彦, 斎藤 俊彦, 虫合 彰, 矢鳴 英明
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1104-1109
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    燃料電池の中でも特に高効率発電の期待できる直接内部改質方式溶融炭酸塩型燃料電池 (DIR-MCFC) の検討を行い, 特に劣化原因の検討を行った.その結果, DIR-MCFCにおいて初期特性は, 外部改質方式溶融炭酸塩型燃料電池 (ER-MCFC) 同等の特性が得られ内部改質運転の可能なことが実証できた.また, DIR-MCFCはER-MCFCと比較し特性低下が大きくその原因としては, 炭酸塩による触媒被毒が主原因であることが分かった.さらに, 触媒被毒は燃料ガス入口部で大きく, 炭酸カリウムによる被毒の大きいことが分かった.炭酸塩による被毒を防止するため, アノードガスチャンネルのコルゲート板 (インコネル600) にニッケルメッキを施したところ, DIR-MCFCにおいて炭酸塩による触媒被毒が大幅に低減でき, 寿命特性を向上できることを見いだした.
  • プレアスファルテンおよび灰分濃度の活性低下に及ぼす影響
    兼子 隆雄, 蔭山 陽一, 升永 俊雄
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1110-1119
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    褐炭液化二次水添触媒として開発されたCa-Ni-Mo/Al2O3触媒について, 活性低下に及ぼすプレアスファルテンおよび灰分量の影響を調べ活性低下機構について考察した. Ni-Mo/Al2O3触媒に比べて, Ca-Ni-Mo/Al2O3触媒では炭素質の析出が少なく高濃度のプレアスファルテンを含む原料の場合でも活性低下が小さいことがわかった.いっぽう原料中灰分濃度が高い場合には著しい活性低下が認められ, 粒子径が小さなアルカリ金属を含む灰分は, 容易に触媒の内部まで侵入し活性点を毒すると考えられる.また反応器入口側で触媒物性の変化が大きいが, 細孔容積の低下は炭素質の析出に起因し, 灰分中の金属成分の蓄積により触媒細孔が閉塞する可能性は小さいことがわかった.これらの結果から, 運転初期の触媒への炭素質析出と灰分中のアルカリ金属 (Na, K) の蓄積が活性低下の原因であると考えられる.
  • 薩摩 篤, 石倉 利康, 清水 猛, 丹羽 幹, 服部 忠, 村上 雄一
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1120-1126
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    脱アルミニウムおよびBaイオン交換により修飾したモルデナイトを用いて, 酸量, 酸強度がメタノール転化反応における劣化速度に与える影響を検討した.SiO2/Al2O3比 15の酸型モルデナイトではコーク析出による劣化が著しいが, SiO2/Al2O3比164以上の脱アルミニウムモルデナイト, あるいは二重に修飾したモルデナイトに劣化速度の低下が見られた.NH3-TPDよりこれらの修飾モルデナイトの強酸量はモルデナイト単位格子当たり0.5以下であった.これは強酸点の平均距離がコークの前駆体となるpolyalkylbenzene分子径よりも広がったことに相当する. これらの結果から, 劣化の抑制はpolyalkylbenzeneの重合サイトとなる近接強酸点の減少によるものと推定した.
  • 高橋 武重, 小玉 卓也, 甲斐 敬美
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1127-1132
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    常圧固定層流通式反応器を使用して, p-クロロトルエン (PCT) の反応をHY, Hモルデナイト及びHZSM-5ゼオライトを用いて行った. HY を使用すると, クロロベンゼン (CB) が主として生成し, HZSM-5では反応の初期段階でm-クロロトルエン (MCT) が主成分であった.そして, Hモルデナイトを使用するとその中間的な挙動を示した.HYとHZSM-5による反応の選択性の差は, 主として副反応によって生成するコークとともに遊離する水素量に依存すると考えられた.また, HZSM-5では, コーク生成量が小さいにもかかわらず, 反応時間の経過とともにPCTの反応率及びMCTの選択率が小さくなり, この原因がコークによる細孔径の減少にあることがο-クロロトルエンの反応の結果から支持された.
    反応終了後の触媒の表面積測定, 酸強度分布の測定から, HYではコークによる表面積の低下が見られたが, HZSM-5では大きな変化がなかった.触媒の活性はプロセス時間に対して指数関数的に減少し, HZSM-5では反応温度の上昇とともに減少する傾向が見られた.
  • 増田 隆夫, 向井 紳, 秋山 崇, 藤方 恒博, 橋本 健治
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1133-1139
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    希土類金属イオン交換Y型 (REY) ゼオライトによる廃プラスチック熱分解油の接触分解反応のコーク付着にともなう活性劣化を表すモデル式を提出した.コーク付着によって触媒の酸点が被覆されるとともに, 付着したコーク粒子によりゼオライト結晶内の拡散速度が低下し, その結果, 触媒活性は低下する.コーク付着した触媒の強酸点量と拡散係数を実測し, 両者のコーク付着量への依存性を表す実験式を求めた.これら関係式を用いて接触分解反応の活性と反応生成物の収率の経時変化を表すモデル式を提出した.本モデルによる予測値は実験結果をよく表現した.また, 本モデルによる触媒活性の長期予測を行ったところ, 拡散抵抗が存在する粒径の大きい触媒を用いた方が触媒活性を長期に維持できることが分かった.
  • 山野 英雄, 近江 靖則, 久保 百司, Rajappan Vetrivel, 宮本 明
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1140-1146
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    AIPO4を組成とするミクロ多孔体結晶の劣化機構を明らかにするために, 分子動力学 (MD) 法とコンピュータグラフィックスを用いて, AIPO4-5の熱による破壊過程を検討した.MD法により AlPO4-5骨格中の各原子が, 温度の上昇とともに激しく運動し, 最終的には結晶骨格が破壊する現象を再現できた.この時, 骨格中のAl-O結合が, 次々と切断・生成を繰り返しているのに比べ, P-O 結合はほとんど初期状態のままであった. つまり, AlPO4-5 の 破壊過程において, 骨格中のAl-O結合が, P-O結合に比べ容易に切断されることがわかった. AlPO4-5 にはAl原子, P 原子が位置するTサイトは, 1種類しかないのに対し, VPI-5は3種類のTサイトを持つ.そこで, VPI-5の熱による破壊過程を計算し, 異なったTサイトに存在するAl原子とP原子のダイナミックスの相違についても検討した.その結果, T1サイトに位置するAl原子のAl-O結合が, 他のAl-O結合に比べ最も切断され易いことがわかった.
  • 田川 智彦, 加藤 由香里, 向井 良雄, 後藤 繁雄
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1147-1153
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ヘテロポリ酸 (H3PW12O40) をアルカリで部分イオン交換して不溶性触媒を得た.強い酸性質を応用する目的で無水安息香酸によるトルエンのフリーデルクラフツ型アシル化の液相反応 (回分式, 383K) を行った.セシウムで部分的にイオン交換し573Kで焼成したH0.5Cs2.5PW12O40はpKa=-8.2以上の高い酸強度を有し, もっとも高い活性を示した.反応は60%前後のフェニルトリルケトン (PTK) の最終収率で停止したが, 固体超強酸 (H2SO4/ZrO2) に匹敵する活性を示した.しかし, 触媒を回収した上で, 再度反応を行ったところ, 反応は再び進行し, 不可逆的な失活ではないことがわかった.反応が途中で停止する原因について検討し, 触媒上で活性化された無水安息香酸中間体と生成物ケトンとの反応による反応物の消失, 反応系内に不純物として存在する水, 生成物ケトンの触媒への吸着などの要因が複合していることを明かにした.副生成物を同定して反応経路を推定し, これに基づいた反応速度式を提案した.
  • 高野 啓, 田川 智彦, 後藤 繁雄
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1154-1160
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    担持率の異なるニッケル-アルミナ触媒を用い, 二酸化炭素によるメタン改質反応および炭素質析出について検討した.表面ニッケル原子基準のターンオーバー頻度は, ニッケル担持率が増加するにつれて減少した.反応速度をニッケル粒子径に関して整理したところ, 本反応はニッケル-担体の境界面において主として起こっていることが推測された. 触媒活性劣化等の原因となる炭素質析出を, 熱重量分析法により測定した. 炭素質析出はニッケル担持率の低い, すなわちニッケル粒子径が小さい触媒で抑制された. この原因は, ウィスカー状炭素の生成が抑制されるためであると考察した.さらに, 触媒活性と炭素質析出量の相関について検討した.炭素質の析出がニッケル表面を被覆するのに必要な量をはるかに超えた場合でも触媒の活性は若干低下するにとどまった. これら全ての結果は, 改質反応と炭素質析出反応が異なるニッケル表面上で起こっていることを示唆している.
  • 韋 悦周, 竹下 健二, 清水 正巳, 熊谷 幹郎, 高島 洋一, 松本 史朗
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1161-1169
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    水素同位体分離に用いられる疎水性Pt触媒の活性に対する硝酸, 硝酸塩および酸化窒素などの不純物の影響を評価するために, これらの窒素化合物を反応物に混入して同位体交換反応速度の経時変化を測定し, 触媒活性サイトの収支に基づいて活性劣化機構を検討した.
    その結果, HNO3は可逆的な被毒を示し, 硝酸被毒による触媒活性劣化速度はZeldovich速度式により解析することができた. Sr (NO3) 2のような中性の硝酸塩は触媒活性に殆ど影響せず, ZrO (NO3) 2のような加水分解により酸性を呈する硝酸塩はHNO3と類似な被毒挙動を示した. また, NO, NO2, NH3は何れも触媒を被毒せず, 逆にNOまたはNO2による H2/HDO 間の交換反応の促進効果が認められた. これはNO, NO2とH2間の発熱反応に伴う触媒表面の局部的な温度上昇に基づくものと推察された.
  • 杉浦 公彦, 大竹 一友
    1995 年 21 巻 6 号 p. 1170-1178
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    DIR-MCFCにおける改質触媒の炭酸塩液相汚染に着目し, 汚染量の生成水素量への影響について積分型反応装置を用いて実験を行った結果, 汚染量の増加と共に, 生成水素量は指数関数的に減少した.その要因として, (1) 反応場の拡散律速への移行, (2) 触媒活性表面積の減少, (3) 触媒活性を示すNiの化合物化の3つを考え, これらの要因について反応速度論的アプローチと触媒表面分析を行った.その結果, 触媒有効係数はほとんど1となり, また, 気相バルクと触媒表面とのメタン分圧降下率は2~3%程度であるため, 反応場は十分反応律速場に保たれていることがわかった. また, EPMA, X線構造分析から, 触媒中のNiは金属 Ni であり化合物化されてはいないが, その触媒表面上の濃度は, 汚染量が増加すると共に減少していることがわかった. これらの結果より炭酸塩液相汚染機構は, 炭酸塩が触媒中のNiに物理吸着することによる触媒活性表面積の減少のためであることがわかった.
    また, DIR-MCFC運転時における最大許容汚染量について検討した結果, 約2mass%を越えると運転不可能となることがわかった.
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