化学工学論文集
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21 巻, 1 号
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  • 重久 卓夫, 大隈 修, 大沢 寿夫, 松村 哲夫
    1995 年 21 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    豪州ビクトリア州に産する褐炭は, 低灰分, 低硫黄の上オープンカットで採炭できるという優れた特長を有しながら, その一部が, 地元で生焚きされて発電に利用されているに過ぎない.これは, 含水率が, 約65wt%と高く, 工業的に利用できる正味のエネルギーが低いことによるものである.この褐炭を有効利用すべく, 1980年にスタートした日豪共同の褐炭液化 (BCL) プロジェクトは, 直接液化プロセスをベースにするものである.本プロジェクトにおいては, 液化工程の前処理として, 含水率が高い生褐炭と循環液化溶剤油を合わせて, スラリーとした後, 油中でこれを脱水することにより, 大幅な省エネルギーを目指す斬新なプロセスが提案された.本脱水プロセスの実現の為に, PDUの基礎実験をもとにして乾燥炭で処理量2t/d規模のパイロットプラントが, ビクトリア州モーウェルに建設され, 順調に運転されて, その実用性が実証された.
  • 橋本 順義, 福田 信弘, 大島 一史, 松永 満郎
    1995 年 21 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    小型と大型の攪拌槽型反応器を用いたプレコマーシャル規模の針状α-FeOOH微粒子の製造テストを回分操作により実施した.
    両, 撹拌槽型反応器を用い, 比表面積 (Se) が70~110m2/gで, かつ, 長軸方向長さ (l) の粒度分布に関する変動係数 (σl/la) が0.50以下の均一な針状α-FeOOH微粒子が製造できた.
    所定の比表面積と粒度分布の均一性を得るために, 間欠急速酸化プログラムを考案し, これらを撹拌槽型反応器に適用した.このプログラムは7ないし21回の空気吹き込みを, 30分間隔で繰り返すものである.1サイクル当りの吹き込み時間は2又は5分で, 空気を吹き込まない残り (28又は25分) は生成粒子の熟成時間に設定した.
    上記に加えて, 次の項目 : a) 間欠急速酸化法を適用した場合の酸化率経時変化曲線, b) 比表面積と酸化時間の関係, c) 長軸方向長さの平均値と比表面積の関係, および, d) 長軸方向長さの変動係数と比表面積の関係, についても考察した.
  • 堤香 津雄, 橋本 勲, 金森 省三, 村尾 三樹雄, 市谷 昇, 吉田 邦夫, 舘林 恂
    1995 年 21 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    石灰石焼成システムは, 石灰石, 燃焼用空気の予熱, 燃焼ガス, 生石灰からの熱回収および石灰石の仮焼に対して装置の選択を行うと, 多くの組合わせが生まれる.焼成率とコーチングに注目して基礎実験を行った結果, サスペンションプレヒータによって石灰石を予熱し, 流動層で仮焼したものをさらに流動層で焼成するシステムが最適と考え, 実用機を設計した.
    流動層焼成炉は, 石灰石の物性によって粉化率, 飛散率が異なるので, 燃料の燃焼割合を流動層とフリーボードの間で変化対応する様にした結果, 50t/dの商業プラントで粉状の生石灰を収率96%, 焼成率98%以上で得ることができた.
  • 竹村 洋三, 向井 達夫, 妹尾 健吾, 鈴木 基之
    1995 年 21 巻 1 号 p. 22-31
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    通気性のある鉄の多孔体 (比表面積0.32m2/g, 気孔率89%, 圧損100Pa) を還元反応基材とし, テトラクロロエチレンを含有する水溶液の還元分解反応を調査し, 次の結果を得た.
    (1) 鉄多孔体によるテトラクロロエチレンの還元分解反応は一次反応であり, 反応式は
    Fe+1/4C2Cl4+1/4O2+5/2H2O→Fe (OH) 3+1/4C2H4+HCl
    として整理できる.
    (2) 鉄多孔体は比表面積が大きいため, テトラクロロエチレンの還元分解を進める.有効な反応基材となる.
    (3) テトラクロロエチレンの還元分解反応は, 鉄多孔体から溶出される鉄イオン量によって支配されており, 鉄多孔体使用量とテトラクロロエチレンの見掛分解反応速度の間にK=0.002Wの関係式を得た.
    (4) テトラクロロエチレン分解処理中に分解反応の停滞現象が発生する.これはオキシ水酸化鉄が鉄多孔体の表面に積層するのが原因であり, 塩化カルシウムの添加によって解決出来る.
  • 竹村 洋三, 向井 達夫, 妹尾 健吾, 鈴木 基之
    1995 年 21 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    通気性のある鉄多孔体を基材とした酸化反応 (フェントン反応) により, テトラクロロエチレン (PCE) 含有水の酸化分解処理を0.35dm3, 13dm3の密閉容器にて検討し, 次の結果を得た.
    (1) 鉄多孔体は有効なフェントン反応用基材であり, 試料水1cm3当り50~60mg, 過酸化水素をH2O2/PCEモル比で5~10使用し, 攪拌処理すれば約30分後にほぼ全量のPCEをCO2まで酸化分解することが出来る.
    (2) PCEの酸化分解反応速度はH2O2/PCEモル比が5.0~10の領域で最も大きく, 鉄多孔体使用量W (g/dm3) と見かけ分解反応速度K (mg/dm3・h) の間に
    K=0.102W
    の関係式を得た.又H2O2/PCEモル比が10以上では鉄多孔体表層部に不動態化現象が発生し, 分解速度は低下する.
    (3) PCEの酸化分解反応式は
    pH>4.0領域では
    2Fe+C2Cl4+5H2O2→2CO2+2Fe (OH) 3+4HCl
    pH<4.0の領域では
    2Fe+C2Cl4+5H2O2→2CO2+2/3Fe (OH) 3+4/3FeCl3+4H2O
    鉄多孔体による有機塩素化合物の酸化分解
  • 亀井 登, 平岡 節郎, 加藤 禎人, 多田 豊, 仕田 裕貴, 李 泳世, 山口 隆生, 高 承台
    1995 年 21 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    球形槽および円筒槽におけるパドル翼の撹拌所要動力を広いレイノルズ数領域で測定し, 種々の翼寸法に適用可能な, 両槽に共通する撹拌所要動力の相関式を求めた.所要動力は平岡-伊藤が定義した摩擦係数fと一般化レイノルズ数ReGで次式のように関係付けられた.
    f=CL/ReG+Ct {(C/ReG+ReG) -1+ (f/Ct) 1/m} m
    ここで, CL, Ct, C, f, mはそれぞれ翼寸法と羽根枚数で経験的に相関された.また, 球形槽には, 槽高さが直径に等しく, 体積が球形槽体積と等しい円筒槽の見かけ直径を用いる.この相関式により, 永田ら, Hixsonらの実験結果も良好に相関された.また, 永田が提案した完全邪魔板条件での撹拌所要動力の簡易推算法に用いられる臨界レイノルズ数が, 本相関式で与えられた層流から乱流への遷移に関する係数C, と直接関係付けられることを示した.
  • 水渓 孝章, 田村 守淑, 中村 泰久, 松田 仁樹, 架谷 昌信
    1995 年 21 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    工業炉の加熱源として数多く用いられている放射管バーナーの性能向上を図るために, 放射管バーナー内で耐熱粒子を循環させ, 熱効率の向上ならびに放射管表面温度の均一化を図る新しい燃焼方式を考案した.本論文では, この新燃焼方式を実用燃焼器として開発していく上で重要となるバーナーの基本燃焼特性およびバーナー性能に及ぼす粒子循環量の影響について, 燃焼試作機を用い実験的に検討した.
    その結果, 本新燃焼方式を用いることによりバーナー性能が向上し, さらに粒子循環量の増加とともにバーナー性能がさらに向上することを確認した.
  • 伊藤 光弘, 二宮 浩行, 藤井 悟
    1995 年 21 巻 1 号 p. 56-65
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    籠状のローターと固定のガイドベーンを内蔵した遠心式分級機において, 分級特性を粗粉側への分割率β, 分級精度指数κ1 (=d25/d50) およびκ2 (=d50/d75) に分けて実用規模で実験的に検討した.βは粉体の供給速度Qpと2つのパラメータβ0およびγを含む式で表現され, β0は本研究で定義した凝集性指数で表現でき, γは分級空間で流体が散逸するエネルギーと分離粒子径で評価できることがわかった.50%分離粒子径が比較的小さい場合あるいは分級空気流量が比較的少ない場合には分級機内での分散が不十分になり易く, κ1は小さくなる.分離粒子径を小さくするためにローターブレードの回転速度を高くした場合, ローターブレード間を通過する空気速度は逆流を伴って不均一になり, 不必要に粗い粒子が細粉側に入り込み, κ2は小さくなることがわかった.なおこの現象はローターブレードの枚数を増すことにより抑制できる.
  • 松下 幸之助, 兼国 伸彦, 野垣 久, 板倉 郁夫, 清水 康利, 渡辺 敦夫
    1995 年 21 巻 1 号 p. 66-73
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    多管状型および回転型の2種類のセラミック膜モジュールを用いて, 醤油おりろ過を行った.まず, 種々の細孔径のメンブレンフィルターを用いて醤油おりのろ過を行い, 膜透過液の醤油としての品質に着目して膜細孔径を選定した.膜細孔径は, 膜透過液の微生物数, 2次おり発生, 呈味成分および色度成分に影響すること, 膜細孔径0.1~02μmの精密ろ過膜で醤油と同等品質の膜透過液が得られるものの, 限外ろ過膜は不適当であることがわかった.つぎに, 膜細孔径0.15μmのセラミック膜を用いた多管状膜モジュールと回転型円板膜モジュールによる醤油おりの膜分離特性を比較した.両膜モジュールの膜透過流束は同程度であったが, 醤油おりの濃縮倍率は後者が大きくなった.回転型円板膜モジュールの濃縮倍率が大きくなるのは, 多管状膜モジュールに比べ膜モジュール入口と出口の圧力差が小さく, 従来よりも大きな平均線速度の設定が可能であるためと考えられた.また, 回転型円板膜モジュールでは, 遠心力の作用により膜透過流束が減少するため, 膜面流速には最適な範囲があることも確認された.回転型円板膜モジュールのスケールアップは, 外径を大きくするよりも, 膜枚数を増やすほうが有利であることが明らかになった.
  • 細田 英雄, 平間 利昌, 青木 秀敏
    1995 年 21 巻 1 号 p. 74-82
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    気泡流動層石炭燃焼装置からの亜酸化窒素 (N2O) と窒素酸化物 (NOx) の同時低減法について, 内径が約16cmのベンチスケール装置を使って実験的に評価・検討した.まず赤泥, 酸化カルシウム, 水酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムなどの微粉粒子を石炭と一緒またはサイクロン直前の煙道に供給して接触効果を調べた.結果として, これらの粒子はN2O分解の効果が少ない一方でNOxの増加をもたらした.炉頂にプロパンガスを吹き込み過剰空気で燃焼する排ガス加熱法の場合もNOx発生量が増加した.2段燃焼法はN2OとNOxの同時低減に効果的であったが, 低減率は40%以下であった.
    2段燃焼の効果を高めるための新しい燃焼法として, 1次燃焼部を空気不足状態に保ったまま2次燃焼部にプロパンガスとプロパンガスの量論空気量よりも少ない空気とを吹き込み, さらに3次空気をフリーボード上部に吹き込む改良型3段燃焼法を検討した.この方式ではフリーボードの最高温度が925℃程度でN2Oの低減率が85%以上にも達し, さらにNOx発生量も2段燃焼法より少なくなった.したがって, ここで新しく提案した改良型3段燃焼法は現時点で最良の同時低減法といえる.
  • 中矢 一豊, 花熊 克友, 佐々木 隆志, 中西 英二
    1995 年 21 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    データリコンシリエーションを線形収支式である蒸留塔の流量補正と非線形収支式である分解炉収率補正係数の計算に適用した.その結果, プロセスデータの定常性検定による前処理を実施することにより, 満足できる補正値を得ることができた.また, 実際の適用を通して, 計器の配置そのものにも問題点が潜んでいることが分かった.
  • 花熊 克友, 中矢 一豊, 佐々木 隆志, 中西 英二
    1995 年 21 巻 1 号 p. 89-94
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    アトラクタと多重解像度解析によるプロセス信号の異常検出法を開発した.アトラクタ解析法は, プロセス信号からアトラクタを構成し, そのアトラクタのベクトルノルムを解析することのより異常信号をオンラインで検出する方法である.また, 多重解像度解析法は, プロセス信号をデシメーション (間引き) 処理により信号成分の分解を行い, その分解された信号成分を解析することにより異常信号をオンラインで検出する方法である.本手法を直鎖状低密度ポリエチレン製造装置触媒供給系での触媒流量の異常信号検出に適用した.その結果, 二つの手法は, 異常信号の検出に有効であることがわかった.
  • 船越 正機, 川村 俊雄, 中野 薫, 幸田 清一郎
    1995 年 21 巻 1 号 p. 95-101
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    光により活性化される半導体のチタニアと絶縁体であるアルミナなどの酸化物を担体として調製した銀触媒によるオレフィンの酸化反応について光の照射効果を熱反応と比較して検討した.全ての触媒で光の照射による反応速度増大効果が確認された.その原因はアルミナなどの酸化物担体触媒では光照射による温度上昇であるが, チタニア担体触媒では純粋に光化学的な効果が含まれている.
  • 武田 邦彦, 田内 正敏
    1995 年 21 巻 1 号 p. 102-110
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    反応吸着法 (化学反応を伴う吸着分離法) の分離ユニットの濃縮係数について理論および実験的な考察を行った.反応吸着ユニットの基本構成は, 反応に関する化学種 (X) と反応した化学種 (A), および反応していない化学種 (D) から成り, ユニット内の化学反応による濃縮係数 (εr) と分離ユニット全体の濃縮係数 (εu) は分離対象物質の濃度の分布により関係付けられる.特に濃縮係数の絶対値が小さいときには, 平衡遍在係数 (ζ) を用いてεu=ζ・εrで示すことができ, ζは常に1.0より小さいので, 分離実験で観測される濃縮係数は化学反応の濃縮係数に比較して常に小さいことが予測できる.炭素同位体とウラン同位体を例にして実験を行い, 平衡遍在係数による濃縮係数の低下を観測した.また, 分離ユニット内の分配が平衡上の寄与に加えて速度上の寄与を持つこと, 化学種と吸着剤との相互作用等についての示唆を得た.
  • 鈴木 道隆, 井口 秀郎, 大谷 昭広, 廣田 満昭, 大島 敏男
    1995 年 21 巻 1 号 p. 111-117
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    遊星ミル粉砕機ならびにボールミル粉砕機を使ってメカノケミカル反応を用いた石英砂表面の疎水化処理を研究した.粉砕産物中の疎水化した粉体の重量分率を測定した結果, ボールミル粉砕の代わりに遊星ミル粉砕を行えば, この反応を達成するのに必要な粉砕時間を約1/30から1/300に短縮できることが分かった.したがって, 遊星ミル粉砕はメカノケミカル反応に必要な粉砕時間を短縮するのにたいへん有効である.しかし, 反応を達成するために必要なエネルギーは遊星ミル粉砕とボールミル粉砕でほぼ同じである.また, 疎水化した粉砕産物の重量分率は粉砕産物の比表面積あるいは50%粒径から推定できることも分かった.
  • 田中 真人, 田中 英世, 木村 勇雄, 斎藤 夏風, 細貝 和彦
    1995 年 21 巻 1 号 p. 118-125
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    スチレンの懸濁重合が懸濁安定剤としてリン酸三カルシウムと懸濁安定助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダを使用して実施された.重合過程における撹拌速度の段階的低下と連続的低下が最終粒径分布にどのような影響を及ぼすかについて検討された.滴径の経時変化, 最終粒径分布そして最終平均粒径は, 撹拌速度を低下させる度合と重合率によって著しく影響された.
    重合率の0から0.45の範囲において, 三回の低下が最も粒径の均一なポリマー粒子が生成されることが分かった.
  • 出口 清一, 高橋 顕, 松田 仁樹, 架谷 昌信, 加藤 一成, 中下 吾郎
    1995 年 21 巻 1 号 p. 126-131
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究では, Al, Zr粉を添加したダブルベースならびにコンポジット固体推進薬を流通型加圧燃焼器とボンベカロリーメーターにより燃焼させ, その燃焼生成物の組成ならびに幾何学特性を, X線回折, エネルギー分散型元素分析ならびに走査型電子顕微鏡により調べた.燃焼生成物のX線回折結果は, 燃焼圧力ならびに固体推進薬の種類の影響を受けなかった.AlとZrをともに添加した固体推進薬の燃焼生成物をX線回折により分析したところ, 正方晶ZrO2の存在が確認できた.燃焼により生成した粉体とその粉砕試料の元素分析結果から, 燃焼生成物はAlとZr化合物の傾斜物質となっている可能性が高いことが確認できた.また, 燃焼生成物は試料組成ならびに燃焼圧力に関係なく球状を呈し, その粒径は燃焼圧力が増加するにしたがって減少することがわかった.
  • 鎗目 雅, 堤 敦司, 佐々木 章亘, Tawatchai Charinpanitkul, 松村 幸彦, 吉田 邦夫
    1995 年 21 巻 1 号 p. 132-136
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    三相循環流動層の高液流速域における気泡挙動について、ボアスコープを用いて気泡径分布を測定し、それに及ぼす固体粒子の粒径および濃度の影響について調べた。気泡径分布は対数正規分布にほぼ従った。液流速が大きい場合、気泡径は非常に小さくなり、塔内に一様に分布した。また、気泡の体面積平均径は固体粒子の濃度および粒径によらずほぼ一定であった。
  • 佐藤 一省, 毛受 卓, 望月 雅文, 庄野 厚
    1995 年 21 巻 1 号 p. 137-142
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    攪拌槽型気液接触装置内における液混合時間を通気を止め翼による攪拌のみとした状態 (無通気攪拌状態) から翼の回転を止め通気のみとした状態 (無攪拌通気状態) まで広い操作範囲にわたって相関する方法について検討した.
    この装置の両極端の操作条件に対応する無通気攪拌状態及び無攪拌通気状態における液混合時間を液循環特性をもとに考察し, いずれの場合にも, 液混合時間の逆数は供給動力の1/3乗に比例して変化することを示した.しかし, それぞれの相関式の比例係数は同一ではなく動力効率に差異があった.このため, 通気と攪拌を同時に行う操作における液混合時間は, 通気及び攪拌の条件に応じて, 無攪拌通気状態における混合時間と無通気攪拌状態における混合時間との間を推移する変化を示した.通気及び攪拌による液混合への寄与を考慮し, 無通気攪拌状態から無攪拌通気状態まで統一的に適用できる相関式を提案した.
  • 鄭 相鐵, 今石 宣之, 朴 興〓
    1995 年 21 巻 1 号 p. 143-151
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    水平管型ホットウォールAPCVD反応器を用い, 酢酸亜鉛を原料としてZnO薄膜を合成した.反応温度473~773K, 全流量250~750sccm, 酸素濃度0~50mol%の範囲内で, 成膜条件による配向性および成膜速度の相違を実験的に検討した.本実験の全範囲内でC軸配向性が見られる.しかし低温で合成した膜はC軸配向性が熱的に不安定である.673K以下の実験ではミクロトレンチ上でステップカバレッジの良い膜が得られ表面反応速度が遅い事が分かった.一方723Kでは, ステップカバレッジが悪化しており, 低温域とは異なる反応機構が発生すると推定された.673K以下での成膜が表面反応速度律速であると考え, 実験で得られた管軸方向の成膜速度分布を最もよく再現する表面反応速度定数を定めた.この方法で得られた表面反応速度定数の活性化エネルギーは, 無酸素時は63KJ/mol, また酸素濃度50mol%の場合は23KJ/molであった.
  • 深井 潤, 折田 久幸, 五十川 功, 兪 筱珊, 宮武 修
    1995 年 21 巻 1 号 p. 152-157
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    2種類の炭素材料成形体の線膨張係数を, 0.5~3K/minの一定昇温速度で約1200Kまで測定した.700K以下の低温領域における膨張ピークおよび収縮ピークは昇温速度にほとんど影響されない.一方, 700K以上の高温領域における2個の収縮ピークは昇温速度に依存する.この収縮ピークが現れる温度は昇温速度の対数に対して直線的に変化することがわかった.このような高温領域における収縮挙動を, 成形体の収縮モデルを用いて説明した.
    これらの結果に基づいて, 膨張・収縮ピーク値およびその温度の昇温速度依存性を表す近似式を提出した.既存の測定データとの比較から, 高温領域の収縮ピーク温度に対する本近似式は他の炭素材料へも適用できることを示した.この式より, 昇温速度が10-2K/minオーダの実炉で成形体を焼成した場合, 収縮ピークは本測定結果より約100K低温側にシフトすることが予測された.これは, 実炉の昇温パターンを決定する際の重要な知見である.
  • 川井 友博, 江頭 竜一, 齋宮 英紀, 川崎 順二郎
    1995 年 21 巻 1 号 p. 158-165
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    マクロライド系抗生物質の分取液体クロマトグラフィー (分取液クロ) に対する操作設計の手法を開発するため以下の検討を行った.
    エリスロマイシンおよびエチルコハク酸エリスロマイシンをモデル物質および不純物とし, シリカゲル-有機溶媒系におけるラングミュア型吸着等温式および速度式のパラメーターを1成分クロマトグラムのモーメント値より得た.移動相の種類, 組成により吸着等温式のパラメーター値は変化し, 分取液クロにおける分離の程度が異なることを示した.移動相側境膜物質移動係数および固定相内物質移動係数の実験結果を既往の相関式と比較した.マーカム・ベントン型吸着等温式および各パラメーター値を用いて得た2成分クロマトグラムの計算結果は実測結果と良好に一致した.
    結論として, 本研究の方法で得たパラメーター値を用いてクロマトグラムの計算をすることでマクロライド系抗生物質に対する分取液クロの操作設計が可能になるといえた.
  • 深田 智, 井上 邦博, 西川 正史
    1995 年 21 巻 1 号 p. 166-172
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    核融合炉燃料精製システムへの使用が提案されている低温フリーザの基礎研究のため, 上面一定温度冷却, 下面一定温度蒸発の自然対流下の結霜装置を用い, 減圧窒素雰囲気の水蒸気の結霜速度と霜層の成長速度を, 全圧6×103Paから1×105Pa, 冷却面温度77Kから261Kの範囲で求めた.実験による結霜初期のSh数は, 水平流体層の物質移動の整理式に臨界過飽和モデルに基づく係数を乗じた結果でよく表せた.減圧下の霜層平均密度と霜層厚みは結霜時間の1/2乗に比例して増加し, 特に本実験範囲のすべての霜層厚みは, 霜層表面で融解が生じている場合を除いて, 霜層表面温度と冷却面温度の差と結霜時間の積の1/2乗に比例して増加した.また霜層厚みの全圧による変化は, 潜熱流束と顕熱流束の比のパラメータによって定性的に整理できる事が分かった.
  • 新居田 亨, 大塚 進一
    1995 年 21 巻 1 号 p. 173-180
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    規則形状を有する種々の凝集粒子の沈降速度を, シリコンオイルを満たした円筒容器内で測定した.沈降速度に対する壁効果は一次式で補正した.規則形状凝集粒子は, 中心球のまわりに, 中心球とは異なった直径の, 1個~14個の球を, 多面体の頂点になるように, あるいは他の方法で配置したものであり, 11種以上の形状を持っている.モデル凝集粒子の動力学的形状係数は, 周囲の粒子による中心粒子表面の被覆率, 中心粒径に対する周囲粒子径の比, 周囲粒子数および中心粒子に対する凝集粒子の投影面積比などを用い相関された.この中で被覆率による相関は, 種々の形式の凝集粒子に対して最も広い適用範囲を示し, 動力学的形状係数を4%以下の精度で相関できた.
  • 久保井 亮一, 若山 昭大, 矢野 浩二, 駒沢 勲
    1995 年 21 巻 1 号 p. 181-188
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    チーズホエー中の主タンパク質であるα-Lactalbumin (α-LA) とβ-Lactoglobulin (β-LG) の表面疎水性を, 表面にCa2+の結合したホロ体とこれを除去したアポ体の両者について, 水性二相分配法を用いて定量的に評価し, これに基づく有効な分離法を提示した.表面全体の疎水性の評価には, ポリエチレングリコール (PEG) /デキストラン (Dex) 系を用い, 局所的疎水性には, PEG/Dex系へ非イオン性界面活性剤Tritonを添加した系, およびTriton/塩系の相分離を利用する水性二相系を用いた.この結果に基づいて, ホロ体の場合には, 表面全体の疎水性の差を, 一方アポ体の場合には, EDTAの添加によるα-LAの局所的疎水性の増加を利用する二種類の分離プロセスを構築した.両プロセスにより, α-LAをPEG相にβ-LGをDex相に分離し, 次に, PEG相に分配したα-LAを, PEG/KPi系を逆抽出に用いることにより, 塩相に90%以上の純度で回収することができた.
  • 小川 浩平, 黒田 千秋, 吉川 史郎, 梅基 聡
    1995 年 21 巻 1 号 p. 189-195
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    不明な点が多く残されている固体粒子サスペンションの流動特性についての新たな知見を得るために, 医工学用に開発された真空採血管を使用した新規の流動特性測定装置により, 固体粒子濃度と粘度等の関係を実験的に検討した.また固体粒子層に対する動水半径の概念を導入することにより, 固体粒子濃度と粘度の関係を示す粘度式を提案した.この粘度式を用いることにより, 固体粒子サスペンションの流動特性がニュートン性, 降伏応力を有するピンガム性を示すいずれの場合にも実験結果を良好に表示することができた.
  • 古本 啓二, 井村 哲哉, 中尾 勝實
    1995 年 21 巻 1 号 p. 196-203
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    気泡塔内の気体, 液体, 固体間の接触効率を支配する重要な設計因子である粒子浮遊限界ガス空塔速度uG.Cを気泡塔の規模, ガス分散器の形状, 気体, 液体および固体の物性, 固体粒子の濃度などを広範囲に変化させて実測した.得られたuG.C値は, 塔径DTと静止スラリー層高Lsが気泡塔と同一である外部循環式エアリフト型気泡塔における粒子循環開始ガス空塔速度uG.C*に対する比として定義したKによって相関した.Kは, 塔高スケールの循環流の発達のし難さを表すLs/DT, 粒子の循環流への同伴の難しさを表す粒子終末速度ut基準のレイノルズ数Re (=DTutρLL), さらに粒子の浮遊し易さを表す粒子と液の密度比ρpLの関数で表せた.KRe依存性が変化する限界Re数が存在し, これは装置形状に無関係にほぼ800であった.KLs, /DT, ReおよびρpLに対する依存性は, ガス分散器が多孔板と単一ノズルの場合に大別できた.相関式から求めたuG.Cの計算値は, ほぼ±30%の精度で文献値を含め実測値と一致した.
  • 船造 俊孝, 若尾 法昭
    1995 年 21 巻 1 号 p. 204-211
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    高密度二酸化炭素中における無限希釈の有機化合物の相互拡散係数D12にRough hard sphere (RHS) モデルを適用した。文献D12データを用いて下記の相関式を得た :
    (AC) B=1.86γ0.38vw (AC) s (υ/υ0) -0.447
    ここで (AC) Bと (AC) sはそれぞれ相互拡散と自己拡散についてのTranslational-rotational coupling parameterとEnskog理論による拡散係数の補正係数との積であり, γvwは溶質と溶媒のvan der Waals径の比, υはCO2のモル体積, υはCO2の最密充填体積である。上記の相関を用いたRHSモデルでは文献D12データを平均絶対誤差6.2% (データ数488個) の精度で表すことができた。
  • 永田 良一, 権藤 晋一郎, 川上 満泰, 塩澤 正三
    1995 年 21 巻 1 号 p. 212-218
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    オキシランアクリル粒子を担体としたウリカーゼおよびカタラーゼ固定化粒子充填カラムを直列に連結した.流量νでpH8.5, 20℃の50mMトリス・ホウ酸緩衝液を連続的に供給し, その中途に濃度C, 容積Gの尿酸溶液を注入した.流出液中の溶存酸素濃度を溶存酸素センサーで測定して, 指示値の時間変化の積分値Sを求めた.得られた結果は以下の通りである.1) ν=7.6~15.3cm3/min, C=0.10~0.50mg/cm3, G=0.05~0.5cm3の範囲について, 化学量論関係から得られるS=151GC/νの関係が成立した.2) 尿酸溶液注入速度がある値以上になるとSの値が所定値よりも小さくなった.3) ウリカーゼカラムの活性は150日間安定であった.4) カタラーゼカラムの使用により, SGC/νの間に定量的な関係が得られた.カタラーゼカラムを除いた場合にも, 両者の間に比例関係が成立して定量関係に対する修正係数が導入可能であり, 尿酸分析に使用できることがわかった.
  • 迫口 明浩, 上岡 龍一, 加藤 康夫, 荒井 康彦
    1995 年 21 巻 1 号 p. 219-223
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    流通法に基づく装置を用いて, 4種のジメチルピリジン, 2種のトリメチルピリジンおよび3種のピラジン類の蒸気圧をそれぞれ287~422K, 287~427Kおよび287~411Kの温度域で測定した.本研究で得られた3, 4-ジメチルピリジンの低温域での蒸気圧データ, 2, 3, 5-トリメチルピリジンおよび3種のピラジン類の蒸気圧データは報告例がない.誤差解析の結果, 本測定値の精度は1%以内と推定される.本測定値をAbrams-Massaldi-Prausnitz (AMP) 式で相関したところ, 絶対平均偏差は1%以内であった.
  • 堀内 貴洋, 向阪 保雄, 遠藤 禎行
    1995 年 21 巻 1 号 p. 224-227
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Dispersion of PSL coagulated particles consisting of different sized spheres (1.1 and 1.9μm in diameter) in an accelerating liquid flow field in a convergent nozzle was observed. The experimental results show that the dispersability DS, which is defined as the ratio of separation force Fd to adhesion force Fa between particles and is theoretically obtained, can be a useful measure for the dispersion of coagulated particles in an accelerating flow field.
  • 大平 勇一, 干場 正昭, 小幡 英二, 安藤 公二
    1995 年 21 巻 1 号 p. 227-230
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    During the long term cultivation, it is known that linear algae grow in or aritificial Spirulina culture. Numerous experiments were carried out to investigate a method of removing linear algae from the Spirulina culture. It was found that linear algae in the Spirulina culture could be removed when inoculated Spirulina were inthe stationary phase or in the later period of linear growth phase if CaCl2 concentration in themedium was reduced by one third from that of a normal medium.
  • 松山 清, 三島 健司, 恵谷 英之, 酒見 昌利, 長谷 昌紀, 荒井 康彦
    1995 年 21 巻 1 号 p. 230-233
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    The activities of methanol, ethanol or water in potassium acetate solutions and the vapor-liquid equilibrium relations of methanol-ethanol-potassium acetate and ethanol-water-potassium acetate systems were determined by use of a flow-type apparatus at 298.15 K. The activity data are presented for single solvent and vapor-liquid equilibrium data are shown for mixed solvents. Salting-out and salting-in effects of potassium acetate were shown for ethanol-water and methanol-ethanol systems, respectively. Further, the experimental data were correlated by using the model of Chen et al.
  • 三島 健司, 永安 繁幸, 十時 理納, 森井 正視, 松山 清, 長谷 昌紀
    1995 年 21 巻 1 号 p. 234-236
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    The partition coefficients of eight kinds of benzene derivatives, which are well-known toxic compounds, were measured in the aqueous two-phase systems containing polyethylene glycol (Mw =7, 500) and dipotassium hydrogenphosphate at 298.15 K.
    Results of correlation of bioconcentration factors with the partition coefficients measured in the aqueous two-phase system were compared with those obtained from the literature data which were determined in the octanol-water partition system for the benzene derivatives. It was found that the partition coefficients of benzene derivatives measured in the aqueous two-phase system could give a better correlation with the bioconcentration factors.
  • 東稔 節治, 田谷 正仁, 正脇 輝之, 岩崎 佳生
    1995 年 21 巻 1 号 p. 237-240
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Pervaporation of a butanol-acetone-oleyl alcohol mixture through a poly (dimethylsiloxane) hollow-fiber membrane was conducted to examine the effect of acetone on butanol separation from the mixture. The fluxes of butanol and acetone increased linearly with increasing concentrations of butanol (0-366mol/m3) and acetone (0-49mol/m3) in the feed solutions, respectively. By analyzing these fluxes based on a solution-diffusion model, the permeabilities of butanol and acetone were estimated as 1.6×10-9m2/h and 2.1 × 10-8m2/h, respectively. It was found that the separation factor of butanol ranged from 5 to 17, irrespective of acetone concentration, and that the separation factor of acetone ranged from 53 to 121, independent of butanol concentration.
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