化学工学論文集
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22 巻, 2 号
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  • 松井 達郎, 山田 正紘, 片山 真一郎, 森本 弘
    1996 年 22 巻 2 号 p. 227-233
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    エチレンプラント中のC8留分からスチレンを抽出分離するには, C8留分中のスチレンとO-キシレンの沸点差が0.8℃しかなく, 通常の蒸留では分離困難である.抽出溶剤としてジメチルアセトアミドを用いると, スチレンとO-キシレンの比揮発度が大きくなり, 蒸留で分離可能となる.ジメチルアセトアミド, スチレン, O-キシレン及びm-キシレンの4成分系気液平衡から各成分間のウィルソン・パラメーターを決定し, 各種4 成分系蒸留プログラムを作成した.その中で最もケーススタディーし易い改良Amundson法を用いて抽出蒸留塔の理論所要段数, 最適供給段, 還流比及び溶剤比の影響を調べ, 最適条件を決定した.他方オールダショウ型100段蒸留塔を用いて実液C8留分での抽出蒸留実験をし, 蒸留計算結果と対比させた.蒸留塔の塔効率及び塔内で発生する内部還流量を考慮すると十分実験値は計算値と一致する.
  • 小林 敬幸, 片山 裕規, 伏谷 一成, 新井 紀男, 加藤 吉成, 各務 欣也
    1996 年 22 巻 2 号 p. 234-240
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    燃料過濃燃焼によって作られる高温還元雰囲気中における炭素繊維強化炭素複合材料 (C/Cコンポジット) の劣化特性と劣化抑制効果について実験的に検討することを目的として, 燃料過濃なメタン-空気予混合燃焼場中におけるC/Cコンポジットの重量変化の測定, 電子顕微鏡による表面観察を行い, その劣化特性についての基礎的検討を行った. その結果, 炭素繊維部分と比較してマトリックス部分が支配的に劣化し, その劣化速度は温度の上昇に伴い大きくなった.さらに約1,330K以上では, 化学反応による劣化とともに構造的な材料劣化が複合的に作用することが実験的に明らかとなった.また, 燃料過濃燃焼によってCOおよびH2が共存する還元性の雰囲気を作ることにより劣化の抑制が認められ, その効果は当量比の増大に伴い大きくなった.これは, 炭素の主な劣化反応のC+H2O〓CO+H2の反応平衡が負側へ移動する作用によるものと考えられた.
  • 谷井 忠明, 峯元 雅樹, 中沢 邦泰, 安藤 喜昌
    1996 年 22 巻 2 号 p. 241-248
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    夜間の余剰電力を用い, エネルギーを高効率・高密度に貯蔵し, 昼間のエネルギー必要時に冷熱として取り出すことにより, ビル空気調和に利用し, 電力負荷平準化に寄与するクラスレートを用いた蓄冷システムについて基礎検討した.溶媒としてCFC-11 (CCl3 F) を用い, 槽内で溶媒の蒸発による気化熱で水と溶媒との混合溶液を冷却しクラスレートを生成させる方式および伝熱管で間接的に混合溶液を冷やす方式について以下の知見を得た. (1) 本システムによる蓄冷は従来の水および氷蓄冷に比べ効率が高く, 十分に可能性がある. (2) 界面活性剤の0.01~0.1wt%添加によりほぼ生成率40wt%のクラスレートの生成および分解が可能である. (3) 系内にエチレングリコールを添加することにより, さらに低温の冷水を取り出すことが可能である.
  • 亀井 登, 平岡 節郎, 加藤 禎人, 多田 豊, 岩田 克己, 村井 和彦, 李 泳世, 山口 隆生, 高 承台
    1996 年 22 巻 2 号 p. 249-256
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    邪魔板付乱流攪拌槽における攪拌所要動力を種々の翼寸法条件で測定した結果, 羽根枚数恥と翼高さの寸法比b/dを統合したパラメータnp0.7 (b/d) を用いて標準邪魔板条件での動力数が良好に相関できることを示した。また, このパラメータを用いた完全邪魔板条件での動力数Npmaxの相関式を導出した.次に, 邪魔板に働く抗力のモデル考察から, 緩い邪魔板条件での攪拌所要動力の相関には邪魔板の枚数nbと板幅の寸法比Bw/D を統合したパラメータ (Bw/D) nb0.8が有効であることを示すと共に, 緩い邪魔板条件での動力数は次式で良好に相関できることを示した.
    Np-Npo=4.5 (BW/D) nb0.8Npmax0.8
    ここで, Npoは邪魔板なしでの動力数, Npmaxは完全邪魔板条件での動力数である.さらに, 過剰邪魔板条件での攪拌所要動力も含む全実験データの動力相関式の導出から, 幅広い翼条件および邪魔板条件での完全邪魔板条件式を次式のように導出した.
    (BW/D) nb0.8=0.27Npmax0.2
  • 金森 道人, 松田 仁樹, 架谷 昌信
    1996 年 22 巻 2 号 p. 257-263
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Ca (OH) 2/CaO系反応を用いる電力貯蔵型化学蓄熱装置において, 水和発熱反応 (放熱) 時の熱源に低温未利用熱を利用する増熱型システムとしての適用性を検討するため, フィン付き熱交換器を組み込んだ密閉型の試作化学蓄熱装置を用いて, CaO の水和反応過程における放熱速度, 反応速度, 熱出力, 蓄熱効率を実験的に検討した.
    その結果, 303 K 以下の熱源を利用し, CaO 粒子を水和させた場合, 反応速度は十分大きく充填層はほぼ全体的に平衡温度まで達した.また, 熱回収を試みた結果, 常温水を 343K 以上に昇温させ連続的に取り出せること, および貯湯方式と比較して本蓄熱方式では, 蓄熱媒体単位容積当たり 4 倍程度の熱量が回収可能であることなどを確認した.
  • 渕上 吉男, 永井 正哉, 杉山 剛
    1996 年 22 巻 2 号 p. 264-269
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    我々は先に, メタクリル酸メチル (MMA) のラジカル重合反応をCSTR型反応器で実施するに際し, 半減期が2~30秒という極めて寿命の短い開始剤を用いると, 撹拌強度の指標が直接得られることを見いだし, 『混合係数, α』と定義した (Fuchigami and Inami (1995)).連続バルク重合反応条件の最適化を行ったベンチスケール反応器 (槽径= 155mm) では撹拌レイノズル数が層流域 (Re<50) となるためダブルヘリカルリボン (WHR) 翼を用いた.パイロットスケール反応器 (槽径=500mm) ではReが遷移域 (50~100) ないし乱流域 (Re>100) となるため, WHR翼及びマックスブレンド®(MB) 翼を用い, αによって混合性能を比較し, MB翼がWHR翼より4~5倍優れた性能を有することを明らかにした.この結果から, 乱流域となる実機にはMB翼を採用して, ベンチスケール反応器で得られた最適条件を, 低い撹拌消費動力の下で実現した.またMB翼において, 液深と槽径の幾何学的相似が崩れても適用できるスケールアップ指標を見いだした.
  • 野田 英彦, 白石 淳, 永渕 慶秀, 宮武 修
    1996 年 22 巻 2 号 p. 270-276
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    金網の最大毛細管圧力は, 金網ウイックを持つヒートパイプの最大熱輸送量を評価するための, 最も重要な因子の一つである.本研究では, 平織り金網について, メニスカス断面形状が円であると仮定して, 金網の幾何学的形状および隣接格子に形成されるメニスカスがメニスカス破壊に及ぼす影響を考慮して, 最大毛細管圧力に関する解析を行った. また, 最大毛細管圧力を実験的に求め, 接触角の違いがメニスカス形状に及ぼす影響を明かにし, 実験値と解析解との対応を整理することによって, 平織り金網の最大毛細管圧力を表す半経験式を導出した.その結果, 最大毛細管圧力は接触角の増大とともに減少するが, 接触角が (π/2) radの場合でも大きい毛細管圧力を発生し得ることを示した.
  • 橘川 徹, 石田 愈, 幡野 博之
    1996 年 22 巻 2 号 p. 277-286
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    層内の気泡と粒子の流動状態を明確に可視化するために奥行きが粒子1層の2次元流動層を作成した.また, 高速度ビデオカメラにより, 流動状態を毎秒500コマで撮影し, この画像を256階調のピクセルの画面として記録した.この画像データから一定値以上の輝度を持つピクセルをグループ化することにより粒子を識別するプログラムを開発した. このプログラムを用いて連続した画面での粒子の判別をおこなった.さらにその粒子を認識した画面で全体を等間隔なブロックで分割し, それぞれのブロックで局所の代表粒子速度を求め, それを基に粒子個々の対応付けをおこない, 粒子ごとの移動速度を求めていくプログラムを開発した.このシステムを1層2次元流動層の気泡周辺での粒子挙動の解析に利用し, 今回開発したシステムの有用性を確かめた.
  • 北崎 宏典, 石丸 順之, 井上 勝利, 吉田 久美子
    1996 年 22 巻 2 号 p. 287-293
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究では生薬「オウゴン」中に含まれ, 種々の生理活性を有するフラボノイド類であるバイカリン, バイカレインに着目し, 工業的分離技術の知見を得ることを目的に, 溶媒抽出法により市販抽出剤による抽出挙動を調べ, これらの選択的分離・回収・除去のスクリーニングを行った. Tri-n-octylphosphine oxide (TOPO), Cyanex 923, Cyanex 925 のようなトリアルキルフォスフィンオキサイドはバイカリン以上にバイカレインに対して選択的であることがわかった.また抽出反応の解析より, 抽出反応平衡定数, 抽出反応のエンタルピー変化を求めた. Cyanex 923 含浸の XAD-7 樹脂充填カラムを用い, バイカリン, バイカレイン混合液を処理し, バイカレインを完全に除去することができた.
  • 川崎 健二, 松田 晃, 村瀬 敏朗
    1996 年 22 巻 2 号 p. 294-300
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    活性汚泥は懸濁固形物 (微生物) の表面や内部に付着した束縛水を有している.濾過特性および圧搾特性に及ぼす束縛水の影響を明らかにするため, 束縛水を含んだ湿潤固形物基準の平均濾過比抵抗αav・wおよび修正圧密係数Ce・w等を合理的に導き, 従来の乾燥固形物基準の値αav・d, Ce・dと比較した.また, 凍結融解処理前後の余剰活性汚泥を用いて湿潤および乾燥固形物基準の濾過および圧搾特性を実測して比較・検討した.
    その結果, αav・wは, 本報に示した解析法によって定圧濾過実験および束縛水を求める遠心沈降実験結果から決定できることがわかった.αav・wの値は従来より求められているαav・dよりも小さくなる.余剰活性汚泥のαav・wの値は, 凍結融解処理によって1/55倍程度まで減少し, 濾過特性の改善効果はかなり大きい.また, Ce・wも本報に示した解析法によって圧搾実験結果から決定できることがわかった.このCe・wは従来より求められているCe・dよりも大きく, 本実験範囲 (p=206~2,950kPa) においては圧搾圧力pによらずほぼ-定であった.
  • 土居 俊房, 尾崎 信一, 長山 和史, 古崎 新太郎
    1996 年 22 巻 2 号 p. 301-308
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    気泡塔を用いて均一気泡流動状態における水及び65vol.%グリセリン水溶液中への酸素の吸収実験を行い, 厚さ50μmテフロン製隔膜の酸素電極を用いた液相酸素移動容量係数の測定に及ぼす電極の過渡特性の影響を明らかにした.
    酸素電極の応答は電極の無駄時間τ, 一次遅れ係数k及び液相酸素移動容量係数kLa' をパラメータとする半経験式で表され, このモデル式を用いて応答実験データの非線形カーブフィッティングを行い3つのパラメータを同時に決定した.τ値は液温度一定ならばガス空塔速度によらず一定で, 液温度が高いほど小さくなる.k値はガス空塔速度に比例して大きくなり, 液温度が高いほど大きくなる.応答曲線の一次遅れはk/kLa'値に依存し, k/kLa'値が5以下では液相酸素移動容量係数の測定に及ぼす一次応答遅れの影響が急激に大きくなることが判明した.水及び65vol.%グリセリン水溶液のk/kLa'値は2~6の範囲であった.k/kLa'=2の場合, 応答曲線の片対数プロットの直線の傾きから求めた液相酸素移動容量係数の値は非線形カーブフィティング法で求めた値の約80~95%であった.
  • 最適設置条件と境膜厚さとの相関
    吉田 正道, 石田 彰, 木下 克昌, 宮下 尚
    1996 年 22 巻 2 号 p. 309-316
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    矩形流路内に単独設置された半円柱乱流促進体による伝熱促進において促進体の傾斜角や壁面-促進体間クリアランスが促進効果に及ぼす影響を解明するため, 高プラントル数流体を用いて物質移動係数と壁面剪断応力の測定及び流れの可視化を行った.傾斜角0° の場合, 伝熱促進性能はスリップ流れ域における伝熱係数の増減に大きく左右され, 最大性能を示すクリアランス (最適クリアランス) は平滑流路での境膜厚さとほぼ等しくなる.傾斜角の増加に伴って伝熱促進性能は再付着・循環流域での伝熱係数の増減の影響を受けるようになり, 最適クリアランスは減少していく.また本実験の範囲では各傾斜角が示す最大性能に顕著な違いはみられないが, 伝熱係数の分布が最も均一となる傾斜角30°の場合が促進体形状として最適である.
  • 王 建中, 迫田 章義, 鈴木 基之
    1996 年 22 巻 2 号 p. 317-325
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    生物活性炭 (BAC) 処理を上水処理に応用しようとする場合, BAC層内で生じる吸着と生物分解に関する種々の物質移動現象等を化学工学的に解明することが重要と思われる.本研究では, BAC層内における生物分解と吸着を別々に分離して評価するための手法として, クロマト法モーメント解析の応用を提案した.活性炭素繊維 (ACF) を用いたモデルBAC層における有機物のパルス応答のモーメント理論解及び上水処理の場合に適用できる近似解を導出すると共に, モデル有機物としてのグルコース及びt-ブタノールのパルス応答実験との対応によって, BAC層の吸着能と微生物活性を定量的に評価することができた.本研究で提案したクロマト法モーメント解析によって, 上水処理に応用されるBAC における有機物の挙動を定量的に評価することが可能であると思われる.
  • 宇敷 建一, 日比野 高士, 佐藤 輝之, 水野 光国
    1996 年 22 巻 2 号 p. 326-333
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    マグネシアおよびシリカ超微粉の流動化状態および層高におよぼす初期凝集粒子径, ガス流速, および温度の影響を, 透明流動層を用いて求め, 凝集粒子の変化や二次凝集体の形成による流動化の形態の変化の検討を行った.その結果, 測定した条件範囲では, 初期の凝集体は流動化中もある程度保存され流動化状態にかなり影響する事, 強く粒子表面に束縛された吸着水も二次凝集体の形成に関与し流動化状態に影響を及ぼす事, 二次凝集体の形成のため高温下では初期凝集粒子径が小さい程流動化に高流速を要する事, およびガス流速, 層高を3~4倍に大きく変化させても少なくとも均一流動層では二次凝集粒子径は殆ど変化しない事を明らかにした.
  • 上和野 満雄, 上ノ山 周, 仁志 和彦
    1996 年 22 巻 2 号 p. 334-341
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    反応器や混合装置として広く用いられている流通式液相反応管における濃度変動を測定する高速走査型多点測定システムを試作した.本システムは電気伝導度法により, 高周波数応答を有する複数の電極を用い, 流通式液相反応管断面全体の乱流混合状態をパターンとして連続的に捉えるものである.その性能ならびに測定精度を検討確認した後, 同測定システムを用い管内に, 攪乱物として種々の径寸法を有する球体, 円盤あるいは円柱棒を設置した系で, 副流ノズルから管内に噴出された電解質成分の攪乱による乱流混合の促進状態を検討した.その結果, 攪乱物前後における圧力損失が同一となることを条件として3種の攪乱物を比較したところ, 円盤が最も混合促進効果に優れていることを定量的に明らかとした.
  • 鹿毛 浩之, 矢田 直樹, 国正 真佐江, 小倉 裕直, 松野 儀三
    1996 年 22 巻 2 号 p. 342-349
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    芯物質に粒子径が揃い表面の疎水化処理が可能なガラスビーズをモデル粒子として用い, ゼラチン-アラビアゴム系の複合コアセルベーション法によってマイクロカプセルを製作し, カプセル化時の操作諸条件が生成カプセルの膜厚に及ぼす影響を検討した.本報ではコアセルベーション法の特徴を生かし粒子径の揃った固体芯物質を利用することにより, 一次乳化の影響を排除し, 二次乳化に当たる機構のみを取り出して検討することに成功した.系統立ったカプセル化実験の結果から, 酢酸添加量の増加によってより厚いカプセル膜が得られるが, 多量の添加では膜硬化時の pH を下げるため, 逆にカプセルの生成を阻害すること, 芯物質表面の疎水化はカプセル化に必要な酢酸添加量の減少をもたらすこと, 共存塩の添加はカプセル膜を薄くするが, 極少量の添加では逆に厚くする効果のあることが明らかとなった.
  • 吉田 英人, 松浦 慎也, 金川 浩司, 馬 劼夫, 永橋 啓一, 赤堀 達也, 牧野 尚夫
    1996 年 22 巻 2 号 p. 350-355
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    非等速吸引による分級効果を利用し, 固・気二相流中の粒子濃度及び粒径分布自動測定装置及びデータ処理に関して実験及び理論により検討を行った.
    サンプリングで捕集した粒子をサイクロン及びフィルター部へ導入しかつ全量を電子天秤にて計量することにより粒子質量を長時間にわたり連続的に測定できる.得られた粒子質量は測定時間に比例しており, 粒子質量計測の連続的自動化が可能となった.
    データ処理にLevinの式及び最急降下法を用い, 粒度分布の平均径及び幾何標準偏差を一義的に決定した.
    本法で得られた粒度分布は従来法のインパクターによる結果とほぼ一致した.
  • 壁面効果
    篠原 邦夫, 高屋敷 一仁, 尾谷 賢, 内山 智幸
    1996 年 22 巻 2 号 p. 356-364
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    現在, 材料の高機能化のため微粒子複合化の研究が盛んに行われている.本研究では, 微粒子被覆型複合法の一つである高速気流中衝撃法により大粒子表面への小粒子の被覆過程について理論と実験で検討した.本モデルでは, 大粒子が他の大粒子や装置内部の壁面へ衝突する際, 小粒子が大粒子表面から他の大粒子へ, そして装置内壁から大粒子へ移動すると考えた.そこで, 大粒子間および壁面間の小粒子移動確率を基に, 任意の衝突回数後の大粒子表面の小粒子数分布により被覆過程を解析した.そして異径二成分粒子の被覆実験結果が, この理論式によるシミュレーション結果に従うことを確認した.その結果, 大粒子間の小粒子移動は大粒子上の小粒子数分布の形を左右し, 壁面と大粒子間のそれは大粒子上の平均小粒子数をも変化させることがわかった.従って, 高速気流中衝撃法による任意の処理時間後の微粒子の被覆割合が記述できるようになった.
  • 鹿毛 浩之, 国正 真佐江, 河原 英昭, 小倉 裕直, 松野 儀三
    1996 年 22 巻 2 号 p. 365-371
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    粒子径が揃ったガラスビーズを用い, ゼラチン-アラビアゴム系複合コアセルベーション法によってマイクロカプセルを製作した.コアセルベート相の生成過程を詳細に観察するとともに, 攪拌速度, 冷却速度, 芯物質の系への添加時期, 酢酸及び蒸留水の添加方法, 膜硬化過程の昇温速度のそれぞれがカプセル膜厚に及ぼす影響を系統立てて検討した.
    その結果, 冷却速度を低く抑え, 攪拌速度をある程度大きくとった場合と, 時間間隔を空けて酢酸あるいは蒸留水を分割添加することによって穏やかにpHを変化させた場合に, 厚い膜厚のマイクロカプセルが得られた.また, 冷却過程においてコアセルベート相の粘度が急激に上昇すると考えられる19℃での操作条件の厳密な管理が, マイクロカプセル膜厚のコントロールにとって特に重要であることが明らかになった.
  • 福地 賢治, 三吉 克己, 荒井 康彦
    1996 年 22 巻 2 号 p. 372-377
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ガス・ストリッピング法による測定装置を製作し, ヘキサデカン溶媒中のヘキサンの無限希釈活量係数を測定し, 本装置の健全性を確認した.さらに, ヘキサデカンおよびテトラデカン溶媒中のメタノール, エタノール, 1-プロパノール, 2-プロパノール, 1-ブタノールおよび2-ブタノールの無限希釈活量係数を20~80℃で測定した.得られたデータをASOG式で推算することを試みたところ, 温度依存性を良好に表現するが, 異性体アルコールについて誤差が大きい傾向にあった.そこで, グループ対相互作用パラメータを実測値に合うように相関を試みたところほぼ良好な結果を得た.
  • 小松 弘昌, 山本 浩伸
    1996 年 22 巻 2 号 p. 378-384
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    エタノール-水-ジオキサンおよび酢酸エチル-水-ジオキサン三成分系気液平衡を大気圧下で測定し, これらのデータに基づき, Wilson定数を決定した.これによる各成分の蒸気組成の推算誤差は, モル分率で0.02以下であった.また, 液組成と気液平衡比の相関から, エタノール-水-ジオキサン三成分系溶液の共沸組成はモル分率で, エタノール0.89, 水0.08およびジオキサン0.03であると推定した.さらに, 30℃における酢酸エチル-水-ジオキサン三成分系溶液の相互溶解度を測定し, そのプレイトポイントはモル分率で, 酢酸エチル0.15, 水0.61およびジオキサン0.24であると推定した.
  • 谷田 克義, 佐藤 善之, 舛岡 弘勝
    1996 年 22 巻 2 号 p. 385-391
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    定容法の装置を用いてBPL炭への超臨界二酸化炭素の吸着量を温度313.2,333.2,353.2K, および圧力~13MPaの範囲で測定した.測定結果から超臨界二酸化炭素の見かけの吸着量の圧力依存性は極大値を持ち, その極大値は温度の上昇と共に減少することが分かった.また, その吸着量が極大値となる圧力は温度の上昇により増加することが分かった.この見かけの吸着量を, Dubinin-Nikolaev式を用いて推算した吸着相密度を用いて真の吸着量に変換すると, 吸着量が圧力の上昇と共に増加し温度の上昇と共に減少するという一般的な吸着の傾向が得られた.この見かけの吸着量と真の吸着量の両方をDubinin-Astakhov式を用いて相関したところ, 実験値との良好な相関結果が得られた.
  • 菅原 勝康, 郡司 知訓, 菅原 拓男
    1996 年 22 巻 2 号 p. 392-395
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    The uptake behavior of hydrogen sulfide was observed for a rapid pyrolysis char in a H2S/N2 gas stream. More than 13 wt% was obtained for sulfur content in the char contacted with H2S/N2 mixture at 1073 K. Chemical analysis indicated that the increment of sulfur attained was organic sulfur solely in solid phase. Gasification was conducted in a carbon dioxide stream at 1073 K for the char which had trapped hydrogen sulfide. The extent of sulfur reduction in the solid phase was smaller than the weight loss of char during gasification to the extent of 44-55%.
  • 立花 宏, 広瀬 泰雄
    1996 年 22 巻 2 号 p. 396-399
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Many distillation calculation methods at the steady state incorporaing various kind of point efficiencies have been developed for obtaining the actual distillation column composition profile, but a calculation method at the unsteady state incorporating the point efficiency for calculating the time dependence of the column profile from start-up to the steady state has not yet been reported. Here, a method to introduce point efficiencies into the unsteady state distillation calculation is proposed. The principle is as follows : the vapor compositions are eliminated from the derivatives by using the definition equation of point efficiency, so that numerical integration can be carried out with a function of only the liquid compositions. The efficiencies tested are the Murphree vapor, the Murphree liquid and the Hausen efficiencies. Generally speaking, the time required to reach the steady state increases with efficiency increasing. This method is also applicable to the Relaxation method.
  • 木口 雄司, 関口 秀俊, 渡辺 隆行, 神沢 淳
    1996 年 22 巻 2 号 p. 400-403
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    The heat transfer in an endothermic tert-butanol dehydration reaction was investigated under the condition that the temperature difference between the heat source and the heating medium was extremely small. The conversion per unit volume of catalyst is dependent on the residence time of heating medium, both in a fluidized catalyst bed and in a fixed catalyst bed. The heat flow has a maximum with the mass flow rate of heating medium. The heat flow by this reaction per unit mass flow rate of heating medium is related to the conversion.
  • 高橋 一成, 上田 宏, 鈴木 栄二
    1996 年 22 巻 2 号 p. 404-407
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    In the perfusion culture of mammalian cells, the temperature Tv that maximized the viable cell density at steady state was lower by 6-8°C conpared to temperatureTg that maximized cell growth rate. The cell density was 2.4 times as high at Tv as at Tg. Since the death rate decreased as the temperature was lowered, the difference between the growth and death rates could be large enough to maximize the viable cell density, the difference integrated with culture time. Protein production rate per cell as well as per culture volume was maximized at a temperature several degree higher than Tv.
  • 峯尾 知子, 相原 雅彦, 堤 敦司, 吉田 邦夫
    1996 年 22 巻 2 号 p. 408-411
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    金属アルコキシドの加水分解による単分散微粒子の合成プロセスとして三相スラリー反応器を用いる「三相アルコキシド法」は, 反応成分である水を水蒸気として分散板下部から反応器へ導入することによってアルコキシドを加水分解し, 微粒子の粒径制御を行う.本実験では単分散種粒子を用い微粒子の成長実験を行った.水蒸気供給量の調節により, 単分散を保ちつつ約0.76μm~0.95μmの範囲で粒子の粒径制御が可能であった.
  • 千葉 繁生, 大山 恭史, 播磨 和幸, 近藤 和夫, 篠原 邦夫
    1996 年 22 巻 2 号 p. 412-415
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Agglomerates of 100250 μm consisting of Si3N4 primary particles of 0.76 μm were made with a rotary vibrating sieve. Si3N4 fine particles were coated with AlN by gas phase reaction with AlCl3 and NH3 in some fluidized beds of the agglomerates. The cross sectional distribution of AlN in the agglomerate was measured by EPMA analysis. As a result, uniform deposition of AlN was obtained at a relatively low reaction temperature and low gas velocity.
  • 渕上 吉男, 井波 利明, 小林 与惣吉, 杉山 剛
    1996 年 22 巻 2 号 p. 416-419
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
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    The χ-parameter in the Flory-Huggins equation of methyl methacrylate and polymethyl methacrylate was determined to be χ=0.33, from the observation of vapour pressure of the reaction mixture in a pilot scale reactor for continuous bulk polymerization of methyl methacrylate. The monomer content of the polymer solution flushed from the pressurized heat exchanger to the vent extruder almost agreed with the equilibrium concentration calculated from the Flory-Huggins equation. The monomer content of the resulting pellet (0.150.37%) was far from the equilibrium concentration (0.02%) at the front vent, suggesting that the monomer content must be decreased by improvement of the screw design.
  • 松山 清, 三島 健司, 九津見 正信, 籠田 直樹, 川上 敦史, 長谷 昌紀
    1996 年 22 巻 2 号 p. 420-423
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    オスマー型気液平衡測定装置を用いて, 微量の酢酸イソブチルおよびカプリル酸エチルを含むエタノール-水系の定圧気液平衡を66.7kPaにて測定した.また, 測定データにおいて微量成分の平衡比K3とエタノール濃度との関係を調べた.その結果, 液相のエタノール濃度が小さくなるほど平衡比K3は大きくなることが分かった.また, 本研究で用いたエステルでは, 微量成分の分子量が小さいほど, K3が大きいことが示された.さらに, NRTLモデルおよびUNIFACモデルを用いて本実験結果に対する相関を行った.
  • 加藤 禎人, 平岡 節郎, 多田 豊, 植 孝文, 高 承台, 李 泳世
    1996 年 22 巻 2 号 p. 424-427
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    筆者らはこれまで水平円運動をする円筒槽の揺動攪拌操作について基本的な特性について検討してきた (Katoet al., 1994, 1995) が, 揺動攪拌槽は円筒槽に限る必要はなく, また, 翼を取り付ける必要もないので, 種々の形状を持った槽でも攪拌できる可能性を持っている. 実験室レベルの操作ではビーカーのような円筒槽よりも三角フラスコの方が広く用いられているようである.従って, これまでに円筒槽で得た知見を三角フラスコを含め種々の幾何形状を持った槽への適用を検討した.
  • 伊藤 光弘
    1996 年 22 巻 2 号 p. 428-431
    発行日: 1996/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Using a comminution kinetics equation and a classification efficiency equation, a simulation of closed- circuit grinding was carried out under the condition that the fineness is expressed by the sieving mass ratio.
    The higher the efficiency of classification, the more the production rate increases. Also, the powder passing rate through the mill, which is indicative of the maximum production rate, shifts to a higher value as classification efficiency increases. The parameters k and n have a specific relation under the usual condition of cement grinding. In this condition, the production rate increases with a decrease in the parameter n under 20-30 μm of the over size ratio 19 % particle diameter. But it increases with an increase in the parameter n over the diameter.
  • 1996 年 22 巻 2 号 p. e1a
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 22 巻 2 号 p. e1b
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/11/12
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  • 1996 年 22 巻 2 号 p. e1c
    発行日: 1996年
    公開日: 2010/11/22
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