脱揮発反応と燃焼反応が進行する流動層石炭ガス化炉にて, 供給石炭からガス化生成ガス中の炭素と水素と酸素への転換速度を取得する実験を行った.実験条件は圧力が1.2と2MPa, 石炭供給量が約6kg/h, 温度が1,100~1,400Kであった.
実験結果から脱揮発反応, 燃焼反応はガス化炉のCO, H
2発生速度に重要な影響を与えず, チャーガス化反応がCO, H
2発生速度を支配していると示唆された.チャー炭素とCO
2あるいはチャー炭素とH
2Oが反応して炭素がガス化される速度をチャー合同ガス化反応速度と呼ぶことにし, その値をCO, H
2発生速度から得た.チャー合同ガス化反応速度と, 条件として脱揮発反応と燃焼反応を併発させない点が異なる既往のチャーガス化反応速度を比較した.両者の値と温度依存性の傾向は同等となった.
チャー合同ガス化反応速度と, これも実験より求めたCH
4発生速度からなる簡易石炭ガス化反応速度を用い, 流動層石炭ガス化炉の物質収支の計算が可能である.
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