化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
24 巻, 2 号
選択された号の論文の41件中1~41を表示しています
  • 上田 宏, 喜多山 篤, 鈴木 栄二, 長棟 輝行
    1998 年 24 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    免疫測定に用いるために, カテコールを375nmに吸収極大を持つ化合物に変換するカテコール2,3-ジオキシゲナーゼ (C23O) とStreptococcus sp.由来のプロテインG抗体結合ドメインとのキメラ蛋白質を作成した.Pseudomonas aeruginosa JI104よりクローニングされたC23O遺伝子と人工合成したプロテインGC1ドメイン遺伝子を結合し, pTV118プラスミド由来のlacプロモーターを用いて大腸菌で発現させた.二つのドメイン間に5あるいは9アミノ酸からなるリンカーを介して両者を結合させた所, C23O活性とヒトIgG結合能の両者を併せ持つキメラ蛋白質の発現が確認された.次に9アミノ酸のリンカーを持つキメラ蛋白質を用いて固相免疫測定法でウシ血清アルブミン (BSA) の検出を試みた.96穴マイクロタイタープレートと通常のマイクロプレートリーダーを用いて, μg/mlオーダーのBSAを再現性良く検出することができた.
  • 新海 政重, 大島 晶, 柳瀬 貢, 内山 剛, 毛利 佳年雄, 若林 俊彦, 吉田 純, 本多 裕之, 小林 猛
    1998 年 24 巻 2 号 p. 174-178
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    脳外科の手術中に病変部の位置をリアルタイムでセンシングするための基礎検討を行った.我々は手術中の使用を考慮してセンシング方法としては機能性磁性微粒子と小型高感度磁気センサー (磁気インピーダンス (MI) センサー) の利用を試みた.まず, 寒天にマグネタイト微粒子を加えた模擬腫瘍の磁気センシングを行った.その結果, 0.2T以上の外部静磁場によりマグネタイト微粒子の磁化を行えばセンシング可能であることがわかった.また, ラットの大腿部皮下に移植した腫瘍中に存在する磁気微粒子の検出を試みた.正荷電脂質を混入したリン脂質膜でマグネタイト微粒子を被覆してマグネタイトカチオニックリポソームを調製した.このリポソームを腫瘍に注入し, 1.8Tの静磁場により磁化した.その結果, ラット腫瘍内の磁気分布を検出することができ, その腫瘍内の検出値の分布はマグネタイト微粒子の局在を表していることがわかった.
  • 柳瀬 貢, 新海 政重, 鈴木 雅貴, 本多 裕之, 小林 猛
    1998 年 24 巻 2 号 p. 179-183
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    抗ガン剤の効果的な投与方法について調べると共に, 化学療法と温熱療法の併用療法の効果について検討した. 38.5℃と41.0℃という不十分な加温の場合において, 抗ガン剤シスジアミンジクロロプラチナム (CDDP) を併用することにより抗腫瘍効果の改善をはかった.in vivoの実験において, 温熱処理単独での殺細胞効果は38.5℃で72.5%, 41.0℃で89.0%であったのに対して, 併用療法ではそれぞれ90.2%, 98.0%にまで高めることができた.この併用療法の効果をさらにin vivoでの腫瘍組織形成実験において確かめた.温熱療法単独ではラットの大腿部に移植した細胞が, 移植13日後に触診できるほどの腫瘍に成長したが, 併用療法を行ったラットでは3ヵ月以上もの問, 組織の形成が認められなかった.これは併用療法により, 温熱だけでは殺せなかったガン細胞もCDDPによって効果的に殺傷することができたと考えられる.
  • 大政 健史, 浦山 重雄, 山中 貢, 谷村 奈緒子, 片倉 啓雄, 岸本 通雅, 菅 健一, 絵澤野 伸, 雨宮 浩
    1998 年 24 巻 2 号 p. 184-189
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ハイブリッド人工肝に適した人工肝細胞の構築を目的として, 遺伝子組換えにより動物細胞株にアンモニア除去能を付与することを試みた.組込み遺伝子として, 1段階反応でアンモニアを除去可能で, 遺伝子増幅現象を引き起こすグルタミン合成酵素遣伝子を選択した.SV40プロモーターを接続したグルタミン合成酵素遺伝子を組込んだpSV2-GSベクターを構築し, Chinese Hamster Ovary細胞に遺伝子導入した.得られた組換え細胞株をグルタミン合成酵素の阻害剤Methionine Sulfoximine (MSX) の存在下にて選択を行ない, グルタミン合成酵素活性の上昇した細胞株 (800μM MSX耐性株) を取得した.さらに, 得られた細胞株のアンモニア除去特性を検討した結果, 0, 1, 2mMいずれのアンモニア添加条件下においても培養中期 (増殖期) にアンモニア消費がおこり, そのアンモニア比消費速度の値は人工肝に汎用されている初代肝細胞の約1/5の値となった.
  • 須藤 雅夫, 大河内 隆雄, 大橋 和義, 木村 元彦
    1998 年 24 巻 2 号 p. 190-194
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    皮下組織内埋め込みセンサーは, 長期安定性に課題がある.マイクロダイアリシス法を用いることにより, 細胞外組織液中のグルコースを透析液中に回収し, 体外で容易に計測することが可能となる.本研究の目的は, 皮下組織内のグルコースの連続計測のための高い回収率と生体適合性透析膜のマイクロダイァリシス・プローブを開発することである.再生セルロース, エチレンビニルアルコール, セルローストリアセテート, セルロースアセテート, ポリメチルメタクリレート及び再生セルロースにNafion又はMPCを被覆した表面処理膜の中空糸を用いて in vivo実験を行った.グルコースの回収率から透析膜の物質移動係数を求めた.未被覆膜の回収率は, in vivo及び in vitro実験の3日後に明確に減少した.NafionまたはMPCで被覆した膜は, 6日間のin vivo実験において未被覆膜に比べ高い回収率を維持した.皮下組織内グルコースの連続計測を長期間可能とする柔軟性あるマイクロダイアリシス・プローブの開発に成功した.
  • 峰島 三千男, 阿岸 鉄三, 佐々木 淳, 春原 隆司, 酒井 清孝
    1998 年 24 巻 2 号 p. 195-199
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    大量液置換型血液浄化療法の1つとして注目を集めているpush/pull血液透析濾過法 (push/pull HDF) の溶質除去特性の解明を目的とし, 水系実験ならびに理論解析を通じ検討した.実験としては, (1) 単純HDF実験, (2) push/pull HDF実験, (3) 出口応答実験の3種を行った. (1), (2) の結果から, 拡散速度の大きいurea, creatinineでは, 溶質除去能を表す時間平均クリアランスCLavは対照実験である血液透析 (HD) に比べ小さく, 一方高分子溶質の myoglobin では逆に大きい値をもつことが明らかとなった.また, push/pull切換えによる変動は myoglobin のCLavを低下させることが, (3) の実験ならびに理論解析より明らかとなった.以上の知見をふまえ, push/pull HDFの至適操作条件の設定法について検討したところ, pull流量, push流量, リザーバ容量ともその値が大きいほど myoglobinのCLavは増大することが明らかとなったが, 現実的には安全性とのかねあいで設定されるべきものと思われた.
  • 金子 祐三, 中村 里樹, 酒井 清孝, 菊池 明彦, 青柳 隆夫, 桜井 靖久, 岡野 光夫
    1998 年 24 巻 2 号 p. 200-204
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究では, グラフト鎖を有する分子構築ゲルにより, 温度変化に応答して素早く膨潤・収縮変化するゲルを実現し, 三次元網目鎖の凝集による水の押し出しと同期させて薬物をパルス的に放出する, 薬物放出制御の実現を目的として研究を行った.温度応答性ポリN-イソプロピルアクリルアミドの三次元網目中に, ポリエチレングリコールをグラフトしたゲルを合成した.ゲルは昇温変化で膨潤状態から収縮状態へと変化するとき, グラフ鎖が水のチャンネルを形成することにより, 主鎖の網目の凝集変化にともなうゲル内の水を素早くゲルの外へ押し出す透過チャンネルの役目を果たし, ゲルは素早く収縮変化した.これは, 三次元網目構造のポリN-イソプロピルアクリルアミドゲルが収縮変化するとき, 表面に緻密な高分子鎖からなるスキン層を形成し, 水の透過を抑制するため, ゲルの収縮変化がゆっくりとなるのときわめて対照的であった.さらに, ゲルの収縮変化にともなう薬物放出挙動が, 従来のゲルとグラフト型ゲルで大きく異なることが明らかにされた.すなわち, 従来のゲルが透過性の低いスキン層を形成し薬物拡散を抑制するのに対し, グラフト型ゲルは収縮変化による水の押し出しと同期させて, 内包した薬物を一気に押し出して放出し, パルス型の薬物放出挙動を示した.このグラフト鎖を有する分子構築ゲルによる, 温度応答性の薬物放出制御の特性を薬物の分子量を変化させて検討した.水の押し出し挙動と放出される薬物の分子量との相関を, 従来型のPIPAAmゲルの場合と比較しながら詳細に議論した.
  • 薬師寺 大二, 酒井 清孝, 菊池 明彦, 青柳 隆夫, 桜井 靖久, 岡野 光夫
    1998 年 24 巻 2 号 p. 205-210
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究では, 固体表面に修飾したポリ (N-イソプロピルアクリルアミド) (PIPAAm) の構築構造が温度に応答したぬれ特性, ステロイドとの相互作用に与える影響を検討し, クロマト担体としての特性を追究した.PIPAAm共重合体を固体表面と多点で結合させた表面, さらにこの表面に片末端アミノ化PIPAAmを導入し自由末端鎖構造を有するグラフト表面をそれぞれ作製した.PIPAAm導入表面は温度に応答して親水性/疎水性の変化を示すが, その挙動は2つの表面で大きく異なっていた.自由末端鎖導入表面はPIPAAm分子が水中で示す相転移温度 (305K) で大きな変化を示したが, 多点で結合した表面ではより低温側になった.この表面特性の相違は, ステロイドとの相互作用にも認められ, 自由末端鎖導入表面は高温側でより強い疎水性相互作用を示すことが明らかとなった.温度上昇にしたがい表面の疎水性は次第に増大し, ステロイドの溶離時間を大幅に延長することができた.修飾高分子の構築構造制御により溶質との相互作用を変化できる新しいクロマト担体を実現した.
  • 土生 拓史, 酒井 清孝, 金森 敏幸, 新保 外志夫
    1998 年 24 巻 2 号 p. 211-216
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    グルタルアルデヒドを用いて架橋したtype Iアテロコラーゲンゲル平膜の溶質透過性を迷宮細孔モデルを用いて解析し, その内部における溶質の拡散性および膜構造を検討した.含水率および溶質透過性から得られた知見より, コラーゲン溶液から作製されたゲル平膜を構成するコラーゲン分子の凝集形態や架橋密度が, 製膜条件により大きく異なることが示唆された.そこで, 迷宮細孔モデルを用いて膜構造因子および任意のストークス半径での膜内拡散性を推算し, ゲル膜内の微細構造を考察した.その結果, コラーゲン溶液から作製された平膜は不均質な構造を持つことが示された.さらに, ストークス半径と推算した拡散係数比の関係より, 製膜法を適切に選択することにより, 任意のストークス半径の溶質において分子ふるいの効果が起こるゲル膜を作製可能であることが示唆された.
  • 内田 勝美, 脇 雅宏, 酒井 清孝, 野尻 知里, 城戸 隆行, 杉山 知子, 石原 一彦, 中林 宣男
    1998 年 24 巻 2 号 p. 217-221
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    抗血栓性材料の設計概念として, 1) 多相系材料, 2) 高親水性材料, 3) 生理活性物質を利用した材料, 4) 生体膜類似表面を有する材料などが提唱されている.しかし, それらの設計概念による, 抗血栓性発現メカニズムの厳密な解答は得られていない.そのため, 血液一材料間相互作用の機序解明が望まれている.そこで我々は, それらの概念に基づく材料を, エピフルオレスセント・ビデオ・マイクロスコピー (EVM) システム, 拍動型左心室補助装置 (LVAD) モデルにより, 抗血栓性評価を行い, 材料との接触による血小板, 血漿タンパク, 補体などの血液成分の挙動の解析を行った.その結果, 材料との接触初期における血小板の粘着量がその後の血栓形成に反映し, 吸着タンパク層の組成, 厚さが表面の抗血栓性に影響を及ぼすことがわかった.補体活性と血小板粘着量との相関性はなかった.抗血栓性材料間での統一的な抗血栓性評価により, 血液-材料間相互作用の機序解明の指針が与えられた.
  • 中野 義夫, 清田 佳美, 阿部 要二
    1998 年 24 巻 2 号 p. 222-227
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    膨潤型薬物放出制御担体としてハイドロゲル膜, 薬物分子としてポリエチレングリコールを用い, 膨潤を伴う薬物放出担体の放出特性について検討を行った.ポリエチレングリコール (PEG : Mw=200,400, 1000, 3000) を包含させた乾燥ゲル膜の膨潤過程に伴うPEGの放出パターンを測定し, 経験式 (Mt/M=ktn : 時間tに対するPEGの放出割合Mt/M, 指数n) に基づいてPEG放出パターンを定量化した.指数nはゲルの含水率とPEG分子の分子量によって分類できることを明らかにした.含水率と細孔構造測定によりゲル膜のキャラクタリゼーションを行い, ゲル膜の膨潤過程においてその膜内に浸透剤の対流を誘発する細孔構造の存在を実験的に示した.対流を考慮した膨潤型薬物放出デバイスを記述する理論モデルを提案し, 指数nに及ぼすゲル膜の構造 (緩和速度), 薬物分子の分子量, 対流の影響をシミュレートすることによって, 膨潤型薬物放出デバイスの設計指針を示した.
  • 大河内 隆雄, 大橋 和義, 木村 元彦, 須藤 雅夫
    1998 年 24 巻 2 号 p. 228-232
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 皮下組織内のグルコースの連続計測のための高い回収率をもつマイクロダイアリシス・プローブの開発をすることである.in vitro実験で求められた物質移動係数をin vivo実験と比較した.再生セルロース中空糸膜によるマイクロダイアリシス・プローブを作成し, プローブ長さ15mmで潅流速度120μlh-1が, 早い応答と高い回収率を得るのに最適であった.血糖値と皮下組織内グルコース濃度の関係を皮下にプローブを挿入して, 透析液のグルコース濃度を変化させて潅流実験を実施した.皮下組織内グルコース濃度は血糖値と大略一致した.皮下組織内のプローブ周囲の物質移動係数は, kext=1.2-2.4μm・s-1となりin vitroで得られる値kext=5.7-6.7μm・s-1の20%~50%の値を示した.
  • 山下 明泰, 崎山 亮一, 山口 清和, 東條 角治
    1998 年 24 巻 2 号 p. 233-237
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    食用寒天ゲルまたは植物組織培養用ゲル (ゲルライト®) 中に活性炭や酵素を分散させた溶質除去装置を試作した.水道水 (または生理食塩水) に (食用または培養用) ゲルの粉末を加え, 1) そのままの状態, 2) 活性炭または, 3) ウレアーゼを分散させてから, 底板に小穴が開いたアクリル管中で固化させた (以下, 各々A型, AC型およびAU型モジュールと略).これらの寒天の長さ方向に小穴を21個あけ, 血液流路を確保した.クレアチニン, ブロモフェノールブルー (BPB), あるいは尿素の水溶液を疑似体液とし, 各モジュールの除去特性を評価した.BPB濃度はA型モジュールでは10%程度低下したが, AC型モジュールでは, 用いた活性炭量に応じた速度で低下した.AC型モジュールではクレアチニンとBPBの同時・緩徐・連続除去も可能であった.またAU型モジュールにより, 尿素の連続分解も可能であった.これらのモジュールと小型限外濾過器を組み合わせれば, 携帯型人工腎臓を構築できる可能性がある.
  • 高野 頌, 加藤 光郎, 伊藤 正行
    1998 年 24 巻 2 号 p. 238-242
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ウサギ気管粘膜上皮細胞を初代培養することにより, 実際の上皮組織に近い形態と機能をもつ上皮粘膜を作成する方法を検討した.得られた上皮粘膜の特性を形態観察および電気抵抗により評価した結果, つぎのことが明らかになった.0.1%プロテアーゼType-XIVを用いて気管内腔において粘膜上皮細胞を分離し, 無血清ホルモン添加Ham's F-12培地を用いてセルカルチャーインサートにて培養すると, 繊維芽細胞を含まない気管上皮粘膜を4, 5日という短期間で安定して得ることができた.また, コラーゲンをコートしたメンブラン上で粘膜上皮細胞を上部が空気に触れるような少量の培地で10日間培養すると, 通常の条件で培養したときよりも細胞の分化が促進され, 繊毛やデスモソームなどを含む実際の気管上皮粘膜に近い形態の膜を作成することができた.さらに, 電気抵抗法による測定結果から, 培養期間が9日ないし10日で, 本来の気管上皮粘膜に近い状態となることがわかった.
  • 金森 道人, 平松 正義, 柴田 貴之, 渡辺 藤雄, 松田 仁樹, 架谷 昌信
    1998 年 24 巻 2 号 p. 243-247
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ゼオライト/水系吸着・脱着の冷暖兼用の蓄熱システムへの適用を検討するため, ゼオライト/水系の低相対水蒸気圧条件下の吸着平衡を測定し, その結果に基づく吸・脱着サイクルの移動水蒸気量を検討した.また, 20wt-%塩化ナトリウム水溶液とゼオライト13Xを組み込んだ蓄熱装置を使用して, 本蓄・放熱サイクルの稼働特性について検討した.その結果0.1以下の低相対水蒸気圧の条件下において, 0.1kg・kg-1以上の水蒸気を可逆操作可能なサイクルが構成できること, および氷点以下の蒸発器温度での吸着の進行が確認された.塩化ナトリウムを凝固点降下剤として利用するゼオライト/水系吸着・脱着サイクルは, 暖房あるいは冷凍温度域の熱を供する蓄熱システムに適用できることが示唆された.
  • 三津間 洋一, 隈 利実, 山内 恒, 広瀬 勉
    1998 年 24 巻 2 号 p. 248-253
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    熱安定性の高い, セラミック繊維紙をハニカム構造を持つ吸着体マトリックスに成形し, 熱処理後, ハイシリカゼオライトとバインダーを分散させたシリカゾルの液に浸した.更に乾燥工程を経て, このマトリックスの繊維間の空隙にハイシリカゼオライトを含浸固着させ, 再生時に着火の恐れの無いVOC濃縮用のハニカム型吸着剤ローターを得た.ハニカム成形時に無機接着剤セピオライト (山皮) を用いた新しい吸着剤ローターでは, セピオライトを用いない従来の吸着剤ローターに比べ1.6~3.2倍の破壊強度の増加がみられた.又, この吸着剤ローター用に二種類の異なった形状のフッ素ゴムシールを開発し, 各ゾーン間及び外周部への空気の漏洩速度を測定し, 漏洩量が十分低い事を確認した.この製法に基づく吸着剤ローターとシール構造を用いて3,950mmφ×450mmLの大型VOC濃縮装置を製作して実機運転した結果, 代表的なVOCに対し, 10倍濃縮で90~95%除去という小型試験と同等の高い濃縮性能を持つことが判った.
  • 金 偉力, 児玉 昭雄, 後藤 元信, 広瀬 勉
    1998 年 24 巻 2 号 p. 254-258
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    脱フロン, 非電力型冷房の有力な候補である吸着式除湿冷房の最終段で使われる噴霧水との直接接触による断熱蒸発では, 空気の湿度増加のため, エンタルピーの低下に寄与しない.筆者らはハニカム積層型直交流熱交換器の伝熱壁を隔てて, 処理空気の一部に過剰の噴霧水滴を同伴させ, 熱交換器流路内で蒸発させつつ熱交換を行って, 処理空気の大部を等湿度で冷却することにより, 空気のエンタルピーを温度とともに下げる方法を提案した.また, 提案した熱交換法の性能及びオープンサイクル吸着式除湿冷房への適用性について, 検討を行った.この熱交換器が吸着式除湿冷房システムに組み込まれるとき, 高いCOPが得られる事が予想され, 吸着式除湿冷房の実用化に重要な役割を果たすものと思われる.
    アルミ製ハニカム型直交流熱交換器の一方に, 過剰の噴霧水滴を同伴させて低温側空気とし, 伝熱壁を隔てて同伴水滴を蒸発させながら高温側空気を冷却する事により, 高温側の温度効率を大幅に改善できる事を実験的に確かめた.例えば質量比0.3%の噴霧水滴により, 高温/低温流量比が4においてさえ温度効率は60%に達した.性能に及ぼす空気流量比や同伴水滴量の影響を調べるとともに, 処理空気の一部に水を噴霧する事により低温側空気を自給するいわゆる自己冷却の接触法を提案して良好な結果を得た.伝熱壁により湿度一定で行われるこの冷却は, エンタルピー一定で行われる直接接触の蒸発冷却器と異なり, 高温空気のエンタルピー低下をもたらすので, 吸着式除湿冷房システムに組み込まれるとき, 高いCOP (成績係数) が得られるものと期待される.
  • 小河 守正, 加納 学, 橋本 伊織
    1998 年 24 巻 2 号 p. 259-265
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    均流液面制御は, ロード変更などの外乱による流入量変動を, ドラムなどの容量を有効に活用して, 操作量である流出量の変動を緩和することを目的として適用される.本報では, ギャップ付 IP コントローラを用い, 均流液面制御の実用的な設計アルゴリズムを詳述する.むだ時間の無い純粋な積分特性の液面プロセスを, IP コントローラでフィードバック制御するシステムは, 2次標準系となる.ここで, 制御性と均流性の評価指標として, 制御偏差と操作量変化速度の2乗積分を用いる.この二つの評価指標を最小にする, 2 次標準系の減衰係数は1/√2であることが導かれる.さらに, 定常運転時とロード変更時における, 流入量外乱と許容液面変化を設計仕様として与える.このとき, 減衰係数が1/√2となる条件で, この設計仕様を満たすように, ギャップ付 IP コントローラのパラメータを決定出来る.本設計法は実プロセスに広く適用され, その有用性が確認されている.
  • 立野 繁之, 高橋 由仁, 久次米 正博, 布川 了, 柘植 義文, 松山 久義
    1998 年 24 巻 2 号 p. 266-272
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本論文は, 成分分析値に含まれる誤差を流量計の誤差とは無関係に推定し, 成分収支式を流量計の誤差に関する線形な関係式に変換する方法を提案する.これにより流量計の故障診断に成分収支式を利用することが可能となり, 診断結果の質が大幅に向上することが期待できる.この方法の有効性と限界を示すために, 実プラントの流量計の故障診断に応用した結果について報告する.
  • 日野 彰, 平井 隆之, 駒沢 勲
    1998 年 24 巻 2 号 p. 273-278
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    下水汚泥焼却灰からリン酸を回収するプロセスの構築を, 溶媒抽出法, 浸出法, 沈殿法などの技術を組み合わせ検討した.塩酸を用いて下水汚泥焼却灰を浸出した.得られた浸出液はリン酸と夾雑物金属を含有している.ビス (2-エチルヘキシル) リン酸 (D2EHPA) で浸出液中の鉄の抽出除去を行った.
    抽出後の水溶液にアンモニア水を添加して, リン酸アルミニウムが主成分である沈殿物を生成させた.沈殿物を塩酸で溶解した水溶液より, 抽出剤にトリブチルホスフェート (TBP) を用いてリン酸の抽出を行った.TBPはリン酸とともに塩酸を抽出し, 塩酸が存在するとリン酸の抽出が促進された.抽出された塩酸と夾雑物金属は, 洗浄工程において逆抽出工程より導入されたリン酸水溶液で洗浄除去される.これらの工程を組み合わせ, 下水汚泥焼却灰からのリン酸の回収プロセスを構築した.
  • 郭 啓民, 加藤 邦夫
    1998 年 24 巻 2 号 p. 279-284
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究では噴流型粉粒流動層を用い, 水処理を必要としない新しいタイプの半乾式脱硫装置を開発した.ベンチスケール規模の噴流型粉粒流動層脱硫装置へ, 脱硫剤微粒子のスラリーを連続供給し, 乾燥しながらSO2と反応させ, 飛び出された反応済み脱硫剤の微粒子を捕集した.使用した脱硫剤は消石灰と消白雲石の微粒子のスラリーである.
    本研究では脱硫率に及ぼす静止層高, 空塔基準ガス速度, ガス中のSO2に対する脱硫剤の化学量論比, 層内ガス温度と対応する飽和状態の温度 (湿球温度) との差即ち飽和接近温度, 媒体粒子の粒子径などの影響を調べた.
    諸因子のうち, 脱硫率はガス中のSO2モル流量に対する供給した脱硫剤のモル流量との比, つまり化学量論比Ca/Sと飽和接近度に大きく影響をうけた.すなわち飽和接近度の値を小さくすると脱硫率を著しく向上させた.脱硫率はCa/Sの値が12以上, 飽和接近度の値が13K以下であれば, 脱流率は95%以上となった.
    本装置では脱硫率は媒体粒子の層高が高いほどまた空塔基準ガス速度が小さいほど大きくなった.すなわち, 層内でのガスの平均滞留時間が大きいほど大きくなった.
    また, 本流動層における媒体粒子は流動化が正常であれば, そのサイズが脱硫反応へ影響を及ぼさないことを確認した.
  • 久保井 亮一, 山原 克仁
    1998 年 24 巻 2 号 p. 285-290
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    タンパク質の表面特性の相違に基づき, 水性二相分配法とPEG分画沈殿法の組み合わせによる, 大腸菌 (W3110株) からの目的細胞質酵素β-galactosidaseのシンプルかつ効率的な分離プロセスを構築した.使用した水性二相分配系においてβ-galactosidaseはPEG相 (上相) に分配する.回収した上相に塩を添加していくことによってβ-galactosidaseと他の共存全タンパク質の溶解度を制御し, PEG分画沈殿を行うことでβ-galactosidaseを選択的かつ高収率で回収することができた.
  • 大形 明弘, 山下 裕, 西谷 紘一
    1998 年 24 巻 2 号 p. 291-298
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    吸収冷凍機の動特性は強い非線形性を示し, ある動作点での線形化システムだけを用いた制御系設計では十分な結果は得られない.また, 非線形システムをそのままモデルとして制御系を設計することも難しい.これらに代わる方法として, 非線形システムを線形時変システムとして表し, それに基づいて制御系を設計することが研究されている.本論文では行列ポリトープによって表される線形時変システム, すなわちシステム行列は時間とともに変化するが, 常にあるポリトープの中に留まる線形時変システムに対して制御系を設計する.吸収冷凍機について, 代表的な動作点を3点選び, これらの点における線形化システムのシステム行列を端点とするポリトープをつくり, このポリトープによって表される線形時変システムに対して負荷追従のための制御系を設計した.シミュレーションによって, この制御系が要求される制御性能をもつことを確認し, 実用的な制御系設計法であることを確かめた.
  • 佐俣 満夫, 金岡 千嘉男
    1998 年 24 巻 2 号 p. 299-305
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ダクト中の粒子の非等速吸引による粒子濃度誤差のノズル形状及び厚さによる影響を非圧縮性粘性流に有限要素法を適用して解析した.ノズルの相対厚さ (do/dn) は1.05~1.5とした.解析結果より, ノズルの厚さの相違が非等速吸引誤差に与える影響は小さく, むしろノズルの先端形状による影響の方が大きかった.慣性パラメータΨが1.0より小さくなると, 粒子軌跡はノズル先端周辺の流れの変化の影響を受けるため, 複数の限界粒子軌跡がみられるようになり, その領域では非等速吸引誤差は不安定となることがわかった.
  • 佐野 雄二, 山本 修一, 小淵 茂寿
    1998 年 24 巻 2 号 p. 306-312
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    収縮座標系に基づく拡散方程式につき拡散係数の濃度依存性を濃度のべき関数で表し, 表面濃度一定の収着過程につき濃度を表面濃度で無次元化し数値解を求め, 収着曲線, 濃度分布, 平均濃度と中心濃度の比, 収着速度などを解析した.また, 収着過程後半に収着速度が初濃度に依存しなくなるRegular regime段階が存在することを確かめ, この段階の近似解析解を求め, 数値解をほぼ満足する結果を得た.さらに, 収着曲線初期勾配およびRegular regime収着速度に拡散係数一定の解を用いて見かけの拡散係数を算出し, これに対応する濃度を拡散係数濃度依存のべき指数と初濃度あるいは平均濃度の関数として表した.これより, 段階的に初濃度と平衡濃度を変える収着過程に, この間での拡散係数濃度依存をべき乗型で近似し, 拡散係数を濃度の関数として簡便に求めることができる.
  • 川勝 孝博, 小森 秀晃, 織田 直哉, 米本 年邦
    1998 年 24 巻 2 号 p. 313-317
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    微細加工技術に基づいてシリコン基板上に作製されたマイクロチャネルを用いてO/Wエマルションを生成させ, 界面活性剤濃度と液滴生成圧力の関係, さらにこれらが液滴径におよぼす影響を検討した.油相にトリオレイン, 水相には界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム (SDS) を溶かした水溶液を用いた.SDS濃度が高くなると, 水相と油相の界面張力が小さくなるため, 液滴生成に必要な圧力が減少した.しかし, 臨界ミセル濃度を超えると界面張力が変化しなくなるため, 液滴生成圧力は一定値となった.これは, 水相にNaClを添加した系でも同様であった.また, SDS濃度や圧力の影響を受けず, 平均液滴径は20μmとなり, 幾何標準偏差1.03以下の単分散性を示すことが分かった.
  • 内藤 清嗣, 外輪 健一郎, 加納 学, 長谷部 伸治, 橋本 伊織
    1998 年 24 巻 2 号 p. 318-323
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    連続晶析プロセスで生じる問題として結晶粒径分布 (CSD) の持続的振動現象がある.この振動を抑制するためにCSDの安定化制御が必要となるが, CSDは分布関数であるため, 直接被制御量とすることはできない.本報では, 詳細な物理モデルに基づいて, スタートアップ時のCSDの振動現象を解析することにより, 安定化制御に有効な被制御量および操作量を選択した.シミュレーションによって制御性能について比較検討した結果, 従来から提案されている微小結晶ポピュレーション密度を微小結晶抜き出し流量で制御するSISO制御系と, 大きな結晶の3次モーメントを晶析器からの抜き出し流量で制御する制御系とを統合したマルチループ制御系が有効であることがわかった.さらに, このマルチループ制御系が操作量に対する制約条件が存在する場合にも効果的に機能することを確認した.
  • 田下 勉, 町田 浩史, 松本 由紀子, 中川 紳好, 加藤 邦夫
    1998 年 24 巻 2 号 p. 324-328
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    石灰石, ドロマイト, 貝殻の3種のCa系脱硫剤微粒子を用いたときの, 粉粒流動層型乾式脱硫装置における脱硫率に及ぼす操作条件の影響を調べた.調査した因子は反応温度, 微粒子径, 媒体粒子静止層高, 入口ガスの流速及び二酸化炭素濃度, 脱硫剤とSO2とのモル比 (Ca/Sまたは (Ca+Mg)/S) である.また本研究で使用した各脱硫剤の脱硫特性を細孔構造の点から調べるために, 使用前及びか焼後と脱硫後の比表面積及び細孔径分布を測定した.
    いずれの脱硫剤においても脱硫率は運転条件の各因子に影響されたが, 貝殻の脱硫率だけは流動化ガス中の二酸化炭素濃度の影響を受けなかった.使用した脱硫剤の中で貝殻微粒子が最も高い脱硫活性を示した.貝殻のか焼後の細孔径分布のピークが約400Åのところに見られたのに対して, 石灰石やドロマイトのか焼後の細孔径のピークは80Å前後であった.このことから脱硫活性にはか焼後の細孔径の大きさが関係していることが示唆された.
  • 須藤 義孝, 鈴木 基之
    1998 年 24 巻 2 号 p. 329-333
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    活性炭の溶剤再生法は吸着質の回収を目的とした場合に有効な方法の一つである.そこで, フルフラール水溶液に対して飽和吸着に達した活性炭カラムに, メタノールを流通し, フルフラールを脱着させた.吸・脱着操作を連続して5回繰り返し活性炭吸着能力の再生効果を調べ, また, メタノール流速とフルフラール吸着量を変えて, 脱着時におけるフルフラールとメタノールの総括物質移動係数KFαvを求め, 脱着機構を検討した.
    その結果, 吸・脱着操作を連続して繰り返してもフルフラールとメタノールのKFαvはそれぞれ変わらず一定であった.フルフラール吸着量の影響では, メタノールのKFαvはほぼ一定であり, フルフラールのKFαvは吸着量が多いほど小さくなった.メタノール流速の影響ではメタノールのSVが増すとメタノールのKFαvが変化した.
    結論として, フルフラール吸着炭のメタノールによる脱着機構は, 水溶液とメタノール中における吸着平衡の差が支配的であるが, その他に, 脱着速度はカラム内の混合拡散に影響され, 粒子内では表面拡散が支配的であることが判明した.
  • 黒田 千秋, 引地 昭二, 小川 浩平
    1998 年 24 巻 2 号 p. 334-339
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    重合反応器内の状態変化を長期に渡って予測することを目的とし, ニューラルネットワーク (NN) を用いて行う方法について検討した.スチレン連続塊状重合プロセスにおける反応器出口温度の変化を予測対象とし, 階層型NNとリカレントNN (RNN) を用いた長期予測方法について, RNNの構造上の問題点を明らかにし, ネットワークの隠れ層による処理法に関する2種類の改良方法 (隠れユニットでの余分の処理を付加したH-RNNと, 階層型NNの隠れユニット計算機構をモジュールとして付加したM-RNN) を提案し, 各方法の予測性能を比較評価することができた.
    RNNの改良法を使用することにより, 階層型NNと比較して初期段階の予測および極値を持つ変化の予測の性能を改善することができた.特に, 初期段階の予測の精度を上げるために改良され, 階層型NNの隠れ層とRNNを融合した構造を持つM-RNNの予測性能は, 予測前半は勿論, 長期予測の全体に渡り満足できるものであった.
  • 佐藤 森, 片山 二郎, 下家 智章, 高橋 洋志
    1998 年 24 巻 2 号 p. 340-342
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    冷却管を有した垂直蒸気管を用いて蒸気-凝縮水対向二相流の研究を行った.下部プレナム圧力と冷却水温度を測定した.圧力は蒸気速度と共に増大し管上端から凝縮水がオーバーフローを開始する付近で最大値を得た.更に蒸気速度を増加するとプレナム圧力は低下し, 冷却水流量の低い場合は, 圧力に周期的な変動が見られた.オーバーフローを開始しても管上端からの蒸気の流出は観察されず, ヒートバランスより管上部に凝縮水単相領域の存在が指摘された.
  • 芝 良昭, 大嶋 孝之, 佐藤 正之
    1998 年 24 巻 2 号 p. 343-345
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    新規な付着依存性動物細胞の培養法として液/液 (培地/フルオロカーボン) 界面を用いた培養法が行われており, 界面における細胞の付着は疎水性液体中に含まれる添加物に依存することがわかっている.本研究では, 添加物として界面活性剤を使用し, 細胞の付着及び増殖に対する影響について検討した.イオン系及び非イオン系活性剤とで比較すると, イオン系の場合に細胞の付着が見られ, 活性剤の電荷の重要性が示された.また活性剤を培地に添加した場合より, フルオロカーボンに添加した場合の方が細胞は増殖が良く, ペンタフルオロベンゾイルクロリドとパーフルオロオクタノイルクロリドをフルオロカーボンに添加したとき, ポリスチレンを使用した培養に匹敵する結果が得られ, フルオロカーボンに活性剤を添加する重要性が示された.
  • 石藏 利文, 永島 大, 井手 光治
    1998 年 24 巻 2 号 p. 346-348
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ドラフトチューブ付き噴流層の安定操作に関して, ガラスビーズを用いた大・小二成分系の最小噴流化速度が3つの定義に基づいて算出された.その場合, それらに与える小粒子混合割合やエントレメント区間の影響が検討され, さらに大粒子のみの場合とも比較され.
    その結果, 安定な噴流化操作は, 最小の安定噴流化速度以上での流速で行う必要があること, また大粒子群中への小粒子の少量の混入によって, 最小の安定噴流化速度が著しく減少することが認められた.
  • 佐藤 恭三, 高橋 勤, 佐藤 守
    1998 年 24 巻 2 号 p. 349-351
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究は高温の垂直回転正多角柱から静止空気, および空気の二次元衝突噴流を受ける場合のヌセルト数の測定の実験である.回転レイノルズ数 (Re) が0~2,500の範囲で, ヌセルト数, 多角柱の角数, 回転数との相互関係を求めた.静止空気ではRe<150で, 正三角柱のヌセルト数が, もっとも小さいが, 150<Re<2,500でのヌセルト数はもっとも大きい.とくにヌセルト数に及ぼす衝突噴流の影響が大きかった.
  • 中島 隼人, 池野谷 和彦, 小貫 薫, 清水 三郎
    1998 年 24 巻 2 号 p. 352-355
    発行日: 1998/03/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    実験室規模の装置を用いて, 熱化学水素製造法ISプロセスの閉サイクル連続水素製造試験を行った.酸生成反応, 二液相分離, 酸分解反応等に関する実験結果を考慮して全系物質収支を定めた.水素製造速度1.2dm3 (S.T.P.)/hのもとで24時間の連続運転試験を行った結果, 量論比の水素と酸素を安定に発生させることができた.運転の前後における循環溶液組成はほとんど変化しなかった.
  • 1998 年 24 巻 2 号 p. e1
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 24 巻 2 号 p. e1a
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 24 巻 2 号 p. e1b
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 24 巻 2 号 p. e1c
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 24 巻 2 号 p. e1d
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 24 巻 2 号 p. e1e
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
feedback
Top