化学工学論文集
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26 巻, 1 号
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  • 大石 勉, 平岡 節郎, 加藤 禎人, 多田 豊, 井上 直昭, 鵜飼 庸至男, 山口 隆生
    2000 年 26 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    バイオリアクターとして実用化されているEGSTAR撹拌翼を用いた撹拌槽での通気条件下での撹拌所要動力を測定した. EGSTAR撹拌翼撹拌所要動力は, タービン翼の場合と違って, 通気を行ってもあまり低下しなかった. Red>300の乱流域で通気流量一定での動力数はあ回転数で最大値を示した. ここで, 動力数が最大値を示す点での回転数NRとその最大動力数NPg, R駅は操作条件および翼寸法を用いて相関された.
    乱流域で領域N/NR>1での通気時の動力数NPgは, NRとNPg, Rを用いて次式のように相関され.
    NP/NPg, R= (N/NR) -0.30
    これより, N/NR>1での通気時の動力数NPgは, NRとNPg, Rの相関式と組み合わせることにより, 操作条件と翼寸法を用いて次式のように相関され.
    NPg=0.68NA-0.08Fr-0.19 (hd/d) 0.01 (1-) 0.22NP, Rこれより, EGSTAR撹拌翼の通気時の撹拌所要動力は, タービン翼の場合に比較して, 通気流量の影響を受けにくいことが示された.
  • 三村 富雄, 松本 公治, 飯島 正樹, 光岡 薫明
    2000 年 26 巻 1 号 p. 6-10
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    石炭焚き火力発電所排ガス条件下の炭酸ガス分離について化学吸収法の適合性を試験した.
    新吸収剤KS-3による排ガス量450m3/hのパイロット試験結果から, SOx濃度50ppmの条件で約200時間の運転では熱安定性塩の蓄積は少なく問題なく運転できることが確認できた.
    更に, 吸収再生性能については低下傾向が見えないことと, LNG焚き条件のケースと同等の高い良い耐腐食性が得られたことから, 充分長時間運転できることが推定できる.
  • 安仲 健二, 藤村 司, 西本 信幸
    2000 年 26 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本報告では, 表面処理鋼板の電気抵抗シーム溶接性に及ぼす溶接条件の影響を明らかにすることを目的とした. さらに, 解析モデルを提案し, ジュール発熱法則を用いて, 溶接時の温度上昇について一般式を導いた. そして, この一般式から溶接性と溶接条件の関係について考察を行った.
    溶接実験結果から, (1) 速度の増加に伴い溶接性は低下した (2) 周波数の増加に伴い溶接性は向上した (3) 電極加圧力の増加に伴い溶接性は向上した.
    一般解から, 電極出口部の温度は周期的に変動し, 速度の増加, 電流周波数の減少, 通電長さの減少に伴って, この温度変動は増加した. この変動している温度の振幅が大きいほど “ちり” が発生し易く, 溶接性が低下すると考えられるため, 解析モデルから得られた結果は, 溶接実験結果を定性的に説明できた.
  • 荒堀 弘造, 柴田 俊春, 篠原 邦夫, 内山 智幸, 尾谷 賢, 穐山 勝
    2000 年 26 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    粒度分布が鋭く, 形状の異なる人工多結晶ダイヤモンドを用いて研磨試験を行い, 粒子形状の研磨特性に及ぼす効果について検討した. 粒子形状は輪郭に沿ったx, yそれぞれの座標のフーリエ級数展開法により解析し, 第1次フーリエ記述子による近似楕円に基づく短長軸比と高次フーリエ記述子による非対称性, 多角性, および輪郭座標の局所勾配に基づく尖り度の形状指標値で定量化した. 研磨特性としては, 被研磨材の単位時間あたりの厚さ減少割合である研磨速度と研磨面粗さを用いた. その結果, 粒子形状は非対称性が小さく, 多角性, 楕円軸比, および尖り度が高い程, 研磨速度が大きくなる実験式が得られ, 研磨面粗さにあまり影響しないで研磨速度を調節できる砥粒の調製が可能になった.
  • 下坂 厚子, 林 浩二, 白川 善幸, 日高 重助
    2000 年 26 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    セラミック粉体の最適な圧縮成形条件を予測するために, 有限要素法による圧縮過程中の粉体層の応力解析を行った. 実際問題への適用を考え, 粉体層は圧縮性の弾塑性体と近似し, その構成関係はHillの異方性パラメータを考慮したDruker-pragerの降伏条件式から導いた. また, 粉体層は圧縮過程中不連続な崩壊挙動によってかさ密度および分布を大きく変化させるため, その力学諸特性も変形に伴って刻々変化する値として扱う必要がある. ヤング率およびひずみ硬化率は三軸圧縮試験にもとづいて最小主応力と歪みの関数として表し, 異方性パラメータは粒子要素法による圧縮シミュレーションより数値的に求めた. 本手法による圧縮過程中の応力解析結果は非線形な応力-ひずみ曲線および粉体層内の応力分布において実験結果とよく一致した. また, 単独に任意の値を変化させた推算より, 各特性値が応力分布に及ぼす影響の詳細な検討が可能となった.
  • 混合度と最終混合パターン
    井上 義朗, 平田 雄志
    2000 年 26 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    層流条件下における流体混合と流れ場の基本的な関係を明らかにするために, 時間的に変動するセル状対流系内の混合過程について数値シミュレーションを行った. 周期的に変動を受ける流れ場の摂動の振幅や振動数が, 混合速度, 混合度および最終混合パターンに及ぼす影響を, 新しい混合度を用いて定量的に解析した. 摂動の振幅の増加は, 混合速度や混合度を増加させるが, 混合パターンの定性的形状は変えない. 他方, 摂動の振動数は流れ場の共鳴条件に関係するため, その変化は混合パターンの幾何学的構造を根本的に変え, 混合速度や最終混合度に与える影響は大きくかつ複雑である.
  • 高橋 晋, 小嶋 高良, 工藤 雅成, 高橋 燦吉
    2000 年 26 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    同一水源で溶存塩類濃度の異なる3種の水を供試して, 温度変化にともなう水の液体構造および水素結合状態の変化を17O-化学シフト法により実験的に検討し, 次の知見を得た.
    1) 17O-化学シフトは溶存塩類濃度に影響されず, 分裂のないスペクトルを与えるので, 17O-化学シフト法は水の液体構造の解析に有用である.
    2) 温度の対数表示により, 水の液体構造の遷移温度は288, 313Kに確認され, それらは水の密度, 比熱の温度依存性の遷移温度と一致する.
    3) 17O-化学シフトの温度依存性は連続体および混合モデルで説明できる.
    4) 17O-化学シフトと半値幅の温度依存性を313Kの水素イオン濃度と任意温度のそれの比で表示することにより, 両者の相関性を評価できる.
  • 田上 修, 吉田 光宏, 古賀 陽一郎, 上岡 龍一
    2000 年 26 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    新しい反応制御系の開発を目的として, 水溶液中で構築されたカチオン系ミセル (CTAB) と, 有機溶媒中で構築された逆ミセル (CTAB) に, それぞれ触媒としてヒドロキサム酸 (HA) を組み込んだ混合ミセルを調製し, P-ニトロフェニルエステル (CnPNP) の加水分解の研究を行った.
    その結果, CTABミセル系では, 長鎖触媒 (2-hexyldecanohydroxamic acid, HDHA) を用いた長鎖基質 (P-nitrophenylhexanoate, C6PNP) の加水分解で著しく高い反応加速性が観測された. CTABとHDHAより構成される混合ミセルとC6PNP間の疎水性相互作用による, 反応種の有効な配向効果に大いに関連していると考えられる.
    一方, CTAB逆ミセル系では, 親水性触媒 (benzohydroxamic acid, BHA) による短鎖基質 (p-nitro-phenyl acetate, C2PNP) の加水分解速度を最も増大させることが明らかとなった. これは短鎖基質の内水相への分配比率が, 長鎖基質の場合に比べ大きいためと推察している.
  • 塩盛 弘一郎, 河野 恵宣, 清山 史朗, 吉澤 秀和, 上村 芳三, 幡手 泰雄
    2000 年 26 巻 1 号 p. 50-55
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    2段階乳化法により調製したW/O/Wエマルションの液中乾燥によりポリ乳酸を壁物質としたマイクロカプセルへのアルブミンの内包を行なった. 1次乳化の調製条件, 内水相および外水相の添加物質濃度の内包率及びカプセル形状におよぼす影響を検討した. 内水相の体積分率および添加物質濃度の増加により, アルブミンの内包率は低下した. 内水相液滴の超音波処理による微細化と外水相への添加物質の濃度増加により, 内包率は増加した. 内水相と外水相の浸透圧差による外水相から内水相への水の透過は, 内水相の膨潤, 合一とカプセル壁の厚みを減少させ, 内水相の漏出が起こりやすくなり, 内包率を大きく低下させることが明かとなった. これらの因子を考慮して内水相液滴の安定性を高めることにより, 内水相に溶解したアルブミンをほぼ全量カプセルに内包することができた.
  • 石見 紘策, 小山 雄一, 岡崎 尚行, 石川 治男
    2000 年 26 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    矩形水槽中の液面に展開した不溶性液体の薄膜に可動仕切により水平方向の振動を与えることによって生じるニュートン流体の薄膜と液体の流動を数値解析し, 液面上のトレーサー粒子の運動を求めることによって, 薄膜の振動に対する振幅と位相遅れに及ぼす面積粘性係数や膜弾性率の影響を調べた. また得られた解析結果を既往の研究 (Maru and Wasan, 1979b) で提案された線形振動理論に基づく解析解と比較検討したところ, Maruらの提案した単純な線形振動理論では薄膜の流動は表せず, 振動法による面積粘性係数を決定するためにはより厳密な解析が必要であることが判った. さらに水面上に展開したヒマシ油の薄膜の振動実験を行い, その結果を本理論に基づいて解析したところ, ヒマシ油の面積粘性はニュートン粘性で表せることが判明した.
  • 内藤 牧男, 堀田 禎, 谷本 友秀, 遠藤 茂寿, 野城 清
    2000 年 26 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    複合化装置として期待される高速楕円ローター型混合機による粒子表面への微粒子複合化操作を取り上げ, 微粒子径が複合化に及ぼす影響を検討した. 核粒子としてはガラスビーズを, 微粒子としては粒子径の異なる三種類の二酸化チタンをそれぞれ用い, 楕円ローター回転数と処理時間を変えて複合化実験を行った. その結果, いずれの微粒子径においても, ローター回転数が高く処理時間が長いほど, 核粒子表面への微粒子付着率は増加した. しかし, あるローター回転数以上では, 一度増加した微粒子層の核粒子表面からの剥離が生じた. 特に, この剥離を生じる回転数は, 微粒子径の小さい方が高くなった. またこの回転数以下では, 微粒子径が小さいほど, 複合化の進行は早いことが分かった. 以上の傾向は, 粉体層の力学的特性の観点から, 定性的に説明できた.
  • 芹川 ロベルト正浩, 臼井 高史, 西村 達也, 佐藤 弘一, 濱田 周作, 昔農 英夫
    2000 年 26 巻 1 号 p. 68-75
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    覗窓, 混合ノズル設置ダウンフロー型式の完全連続反応器において, 2-プロパノール, ヘキサン, ビフェニル溶液の超臨界水酸化挙動を調べた. 2-プロパノールは安定した連続酸化挙動を示し, 反応器温度維持のために有効な補助燃料であることが確認できた. 空気比1.1においてもCO, NO, NO2, すすを発生せずに高分解率維持連続反応が可能であった. また, 広範囲な空気比において排ガス組成は酸化反応式から求まる値とほぼ一致していた. 投入空気量を空気比1.8以上とした場合, 断続的な火炎発生を伴う酸化反応が進行することが確認された. この火炎発生現象は2-プロパノール特有では無く, ヘキサン, ビフェニル溶液でも同じく確認された.
  • 品川 秀夫, 奥山 喜久夫
    2000 年 26 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    導管壁面を反射する分子数収束と導管入口面に入射する分子数流束の比は分子数密度の比に等しいと仮定して, 下流端がオリフィスで絞られた円管内自由分子流動における管壁面上分子数密度分布の解析を自由分子流動と放射伝熱とのアナロジおよびモンテカルロ法に基づいて行った. 両解析手法によって得られた分子数密度分布は良好な一致を示し, 以下の知見が得られた. (1) 分子数密度は, 円管部の断面積とオリフィス開口面積比βの増大に伴って増大する, (2) 円管部の管長と管半径比L/R 1でβ 2の導管内の分子数密度分布は最小値を持つ, (3) 最小値の現れる位置はL/Rの増大に伴って下流側に移行する.
  • 清山 史朗, 塩盛 弘一郎, 河野 恵宣, 深田 啓輔, 幡手 泰雄
    2000 年 26 巻 1 号 p. 81-87
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    混合容器内に取り付けた撹拌翼を振動させて異相系溶液を連続的に乳化させる振動型連続乳化器を試作し, (O/W) エマルションおよび (W/O) エマルションの連続調製を行った. この乳化器の乳化特性について様々な調製条件下で検討した結果, 平均滞留時間および分散相体積分率は調製したエマルション平均粒径およびエマルション粒径の変動係数に影響を及ぼさず, 振動数および乳化器と撹絆翼の断面積比 (R) によって決定されることが明らかとなった. この結果から, エマルション平均粒径を振動数fおよび乳化器と撹絆翼の断面積比 (R) の関数として表し, 以下の式を得.
    D=afb
    aO/W=8.07109R474, bO/W=-128log (R) -2.67
    aW/O=6.95105R+0.55, bW/O=-1.43
  • 西村 顕, 出口 清一, 松田 仁樹, 架谷 昌信, Arun Mujumdar
    2000 年 26 巻 1 号 p. 88-93
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    パルス流動層では, 流動化空気の流入と閉止の二つの連続する期間が一つのサイクルとして操作される. 流動化空気閉止期間に層全体で静止層が形成される断続的流動下において, 粒子混合や伝熱特性に大きな影響を及ぼす気泡特性への粒子径, 流動化空気流速, 初期粒子層高の影響を検討した. 気泡数ならびに気泡径の経時変化の評価は, デジタルビデオカメラ観察により行った. その結果, 静止層への流動化空気の流入は, 通常の気泡流動化または静止層リフトを伴う大気泡流動のいずれかを起こすことが分かった. 流動化空気流速ならびに初期粒子層高の増加とともに, 通常の気泡流動化から静止層リフトを伴う大気泡流動に移行することが確認された. また, 粒子径の減少により, より低空気流速においてもパルス流動層に特徴的な静止層リフトを伴う大気泡流動が確認された.
  • 加納 学, Natthaphon Showchaiya, 長谷部 伸治, 橋本 伊織
    2000 年 26 巻 1 号 p. 94-99
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    オンライン測定が困難な製品品質を制御するために有効な手法として, 品質の推定値を制御量とする推定制御がある. 推定制御系の性能は使用する推定モデルに依存するため, 適切な推定モデルを選択することが極めて重要である. 本研究では, 多成分連続蒸留塔を対象として, 定常状態モデル, 静的モデル, 動的モデルに基づく製品組成推定制御の制御性能を比較した. シミュレーションの結果, 動的モデルを利用することによって最も高い推定精度を実現できるが, 動的モデルに基づく組成推定制御の制御性能は静的モデルと比較して必ずしも良くないことを示した. さらに, 組成推定モデルの入力変数として組成を推定する時刻の操作量を用いるべきではないという結論を得た.
  • 並木 則和, 大谷 吉生, 尹 治文, 江見 準, 山田 猛
    2000 年 26 巻 1 号 p. 100-104
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ラスキンノズルで発生させたシリカ粒子は, DOP (Dioctyl phthalate) に代わるエアフィルタの性能試験の代替粒子として注目されている. しかし, シリカ粒子懸濁液からのラスキンノズルによる粒子発生特性は十分に解明されていない. そこで本研究では, まずラスキンノズルを用いてシリカ粒子の発生濃度, 粒度分布, 帯電量を測定し, シリカ粒子の発生特性を把握した. さらに, LPC (Laser particle countor) のシリカ粒子に対する光散乱特性を, 電気移動度で分級した粒子を用いて調べた. その結果, LPCがシリカ粒子をDOP粒子に比べて0.6倍程度の小さい粒子として認識するため, エアフィルタの粒子透過率が大きく異なることがわかった. そのため, シリカ粒子をDOPの代替粒子として使用する場合には, 光散乱特性と帯電の影響を考慮する必要がある.
  • 今駒 博信, 矢野 琢司, 久保田 克之, 大村 直人, 片岡 邦夫
    2000 年 26 巻 1 号 p. 105-107
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    非定常線熱源法を用いて直交2次元方向 (抄紙流れ方向と厚み方向, および抄紙幅方向と厚み方向) の温度分布の経時変化を測定し, 直交異方性媒体に対する非定常熱伝導方程式の解析解を用いて, 機械抄造再生紙の3次元方向の有効熱伝導度を算出した. 以上の方法で有効熱伝導度の含水率依存性を求めたところ, すべての方向で含水率の増加と共に大きくなり, 特に繊維飽和点付近ではステップ状に増大する傾向を示した.
  • 永田 良一, 権藤 晋一郎, 上村 芳三, 幡手 泰雄
    2000 年 26 巻 1 号 p. 108-111
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    二酸化マンガン粉末を固定化したポリ塩化ビニル膜を溶存酸素センサーの先端に取付け過酸化水素センサーを構成した. 比較のために, カタラーゼ固定化膜または固定化粒子を用いて同様にセンサーを構成した.
    所定の温度と容量の蒸留水にセンサーを浸し, 所定濃度と容量の過酸化水素水溶液を添加し, これらのセンサーの濃度応答特性および安定性について比較した.
    得られた結果はつぎのようである. 1) MnO2膜がH2O2センサーの分子認識膜として利用できることがわかった. 2) これらのセンサーの定常応答値はH2O2濃度に比例した. 3) MnO2膜を用いたセンサー応答速度はカタラーゼ固定化膜を用いたセンサーとほぼ同じであった. 4) センサーは, 不使用時には室温の蒸留水中で保存した. MnO2膜を用いたセンサーは3カ月間以上安定であった.
  • Perfluorobenzeneを含む2成分混合系の高温高圧気液平衡関係
    仲村 健作, 宮田 知幸, 中村 和夫, 山田 研治, 片山 紘一, 長野 八久, 大垣 一成
    2000 年 26 巻 1 号 p. 112-115
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    Kalina cycleを利用した熱・エネルギー変換媒体の探索研究の一環として, 新たに作製した静置型気液平衡測定装置により, 323.15, 373.15Kの各等温におけるperfluorobenzeneを含む非対称2成分混合系の圧力-気液両相の平衡組成関係を最高圧力10MPaまでの圧力域で実測した.
  • 安田 啓司, 田中 良和, 杉田 創, 坂東 芳行, 中村 正秋
    2000 年 26 巻 1 号 p. 116-118
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    地熱水から金属表面へのシリカスケールの析出挙動を明らかにするために, 水晶振動子微量天秤を用いてシリカ析出質量の経時変化に及ぼす初期シリカモノマー濃度・pHの影響を検討した. 初期シリカモノマー濃度が高いほどシリカ析出量は増加した. シリカ析出挙動はpH=6~7を境にして異なった. シリカモノマーに加えて, 比較的低い分子量を持つシリカ重合体も金属表面に析出したが, 非常に高い分子量を持つシリカ重合体はほとんど析出しないと思われた.
  • 深井 潤, 大石 明, 大森 広美, 加納 誠, 児玉 芳一, 宮武 修
    2000 年 26 巻 1 号 p. 119-121
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    潜熱蓄熱材であるパラフィンの熱伝導度を向上させるために, 炭素繊維を添加した複合蓄熱材を作成した. その蓄熱材を用いたカプセル型蓄熱槽を用いて, 炭素繊維の添加が放熱特性に及ぼす影響を検討した. 炭素繊維は体積分率で0から2%まで変化させた. その結果, 炭素繊維の添加は蓄熱槽の放熱特性を改善するのに有効であることが実証された. また, 著者らの一人が提案した伝熱モデルによって実験結果をほぼ予測することができた.
  • 川勝 孝博, 織田 直哉, 米本 年邦, 中嶋 光敏
    2000 年 26 巻 1 号 p. 122-125
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    マイクロチャネル乳化法を用いて, アルブミン水溶液を分散相, テトラグリセリン縮合リシノレートを界面活性剤として含むデカンを連続相としたW/O (water in oil) エマルションを作製し, 熱処理によってアルブミン水溶液をゲル化させることにより, 単分散アルブミンゲルマイクロカプセルの作製を行った. ゲル化による液滴径の変化はほとんどなく, 平均粒径20μm, 標準偏差1μm以下, 幾何標準偏差1.05以下の単分散アルブミンゲルマイクロカプセルを作製することができた.
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