廃棄物固形化燃料 (RDF) の燃焼設備の一つとして流動層燃焼方式が注目されている. 本研究ではRDFの流動層燃焼プロセスにおける塩素分の挙動を解明するため, 断面0.3m×0.3m, 高さ2.73mの燃焼部を有する小型気泡流動層燃焼実験装置を使用して, 原料の性状と配合比を調整して作成した模擬RDFと一般廃棄物から製造したRDFの長時間定常燃焼試験を行い, 排ガス中の塩化水素濃度の各配管部における測定と, 炉内に滞留している全固体分とサイクロン, ガスクーラ, およびバグフィルターで捕集した固体分の全量の測定と, その分析結果に基づき, 硅砂, 灰分, および塩素分の物質収支をとった. 模擬RDFを使用して長時間定常燃焼を行った場合, 塩素分の供給量と排出量との間には10%以内の精度で物質収支が成立した. この場合, 塩素分のほぼ80%が流動層内でCa分によって脱塩酸され, 炉出口の排ガス中に含まれるHClとして排出される塩素分は, 供給塩素分の4.1%しかなく, 46.7%が炉内粒子に捕捉されて滞留し, 残りが粒子に捕捉された状態で炉外へ排出されている. 一方, 一般廃棄物から製造したRDFの場合には, RDF中に含有するCaのモル比が低い試料を使用したにもかかわらず, 供給塩素分のほぼ50%が流動層内でCa分によって脱塩酸され, 炉出口の排ガス中に含まれるHClとして排出される塩素分は, 供給塩素分の約21.9%となった. また, 27.7%が炉内粒子に捕捉されて滞留し, 残りが粒子に捕捉されて炉外へ排出された. なお, 媒体砂とRDFにはNaおよびK分が含まれているため, これらのNaおよびKすべてが模擬RDFおよび一般RDFの燃焼において塩素分と反応して, NaClとKClになっているものと仮定して計算しても, それぞれ80%および50%以上の塩素分がCaCl
2として捕捉されている.
抄録全体を表示