化学工学論文集
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27 巻, 2 号
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特集[生物分離工学]
  • 塩澤 正三, 岡部 広直, 中川 靖博, 森田 洋, 内田 俊昭
    専門分野: 生物分離工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 145-148
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    鉄との親和性が強く,種々の生理活性を示す有用な蛋白質であるラクトフェリンを,吸着剤としてストリームラインSPを用いたエクスパンデッドベッドカラムにより,脱脂乳から分離精製した.脱脂乳中でのラクトフェリンのストリ-ムラインSPへの吸着はラングミュアの等温式にしたがった.溶離液として用いたりン酸緩衝液中でもラングミュアの等温式にしたがい,吸着量は緩衝液中のNaCl濃度の増加とともに著しく減少した.エクスパンデッドベッドでの空塔速度約150cm/hの高速処理で純度ほぼ90%のラクトフェリンが90%に近い回収率で得られた.
  • 加藤 滋雄, 奥田 益算, 寺嶋 正明
    専門分野: 生物分離工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 149-152
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    組換え体による産生タンパク質のC末端部アミノ酸配列の健全性を容易に確かめる手法について検討した.まず,産生タンパク質をプロテア-ぜによる特異的分解でペプチド断片にした後,C末端部ペプチドに対する抗ペプチド抗体で対象ペプチドを精製し,それをHPLCで分析した.その定量結果からC末端部ペプチドの健全性と,試料中の産生タンパク質量を求めることができた.N末端部のアミノ酸配列解析法との組み合わせによって,組換え体産生タンパク質の健全性と定量を簡便に行える.
  • 吉井 英文, 清水 淳司, 釘本 祐樹, 中安 清一郎, 古田 武, 酒井 則孝
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生物分離工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    PCB,ダイオキシン類等による土壌汚染が重大な環境問題となっているが,これらの物質は土壌との親和性が高いため,効率的な土壌からの脱離除去が重要である.本研究は,土壌に吸着した汚染物質を,シクロデキストリン(CD)の空孔内に特異的に包接し除去する手法の開発を日的としたものである.本報では,CDによる土壌汚染物質の包接脱離に関する基礎的知見を得る日的で,PCB系化合物のモデル物質としてビフェニルを用い,CDによるビフェニルの溶解促進と黒ボク土との吸着平衡,湿式混練法による汚染土壌からのビフェニル包接脱離,CD包接ビフェニルの微生物分解に関する基礎研究を行なった.種々のCDを用いてビフェニルの溶解促進を検討した結果,HP-β-CDを用いた場合が最も高い溶解性を示した.2軸混線機を用いてビフェニル汚染黒ボク土の包接脱離実験を行なったところ,HP-β-CDによる包接脱離が極めて効果的であった.
  • 箱田 優, 脇坂 嘉一, 白神 直弘
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生物分離工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 159-164
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    我々は生細胞と死細胞の誘電率の違いに着目して誘電泳動現象を培地中での細胞分離に適用した.本論文では,酵母,大腸菌,動物細胞の誘電泳動現象に及ぼす印加交流電圧の周波数依存性を検討すると共に細胞捕集法に関しても検討した.
    細胞懸濁液をピン-プレート電極を設置した泳動セルとワイヤー-円筒電極を設置した泳動セルに満たし,電極間に交流電場を印加した.電場強度は2×103V/mから1×105V/mと周波数は1kHzから1MHzの範囲でそれぞれ変化させた.
    いずれの細胞でも,1MHzの周波数で生細胞が捕集でき,この周波数では死細胞は全く捕集されなかった.電場強度を-定にした場合,生細胞の捕集速度は電極間距離の増大に伴って増大した.定電圧の場合,電極間距離が5mm以下であれば,生細胞の捕集速度は一定値を維持した.生細胞の捕集速度は,培地の電気伝導度に大きく影響を受け,300µS/cm以上の電気伝導度では捕集されなかった.生細胞の捕集速度に関する最適な電気伝導度は100µS/cmであった.
  • 境 慎司, 小野 努, 井嶋 博之, 川上 幸衛
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生物分離工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 165-168
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    マイクロカプセル型人工臓器の開発において重要となるのは,カプセル膜の物質透過特性・分子分画特性制御方法の確立である.我々は,グリコールキトサン(分子量8.2万以上)とアルギン酸から成るポリイオンコンプレックス(PIC)をカプセル膜として利用し,そのPICを積層することにより物質透過特性・分子分画特性が容易に制御できることを明らかとした.牛血清アルブミン(分子量6.7万)およびγ-グロブリン(分子量16万)の物質透過特性に関する検討を行った結果,積層数の増加とともに,両者の有効拡散係数は大きく減少し,積層数4でγ-グロブリンを分画できた.これに対して,包括細胞の栄養素となるグルコース(分子量180)については,積層数4までで透過速度の減少は確認されなかった.これらの結果より,積層数4のPIC膜はマイクロカプセル型人工膵臓用免疫隔離膜として有望であることが示唆された.
  • 野原 大輔, 近藤 大祐, 酒井 朝也
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生物分離工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    プロテアーゼのリフォールディングにおける主な妨害反応である自己消化を抑制する日的で合成インヒビターを活用した.通常の希釈法では15%程度の活性回復率しか得られないStreptomycesgriseus由来のトリプシン(SGT)のりフォールディング系に,インヒビターであるp一アミノベンザミジンを固定化したゲルを共存させ,活性回復率を60%を越えるまでに上昇させ,再生したSGTの精製・回収を効率よく達成できた.さらに,この懸濁系を用いてもう一つの主な妨害反応である凝集反応を,1Mureaの共存により顕著に減少させ,8O%強の回復率を得ることができた-また,インヒビター固定化ゲルが再使用可能なことから,連続的なリフォールディング操作に移行できることが明らかとなった.
  • 金 成勲, 大谷 律子, 白井 亘, 北川 尚美, 北川 明生, 米本 年邦
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生物分離工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 174-180
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    原料供給.製品回収部を備えた部分循環式フリーフロー等電点電気泳動法による二成分タンパク質の連続分離に関して,移動論方程式に基づく非定常状態数学モデルを構築した.本モデルは,各物質の解離反応に基づき系内に存在する全ての解離化学種を考慮した上で導出した泳動室内に関する電場方向-次元物質収支式と電荷収支式,およびリザーバーに関する物質収支式から成る.モデル定数である各解離定数や拡散係数などの物性値に既往の文献値や推算値を用いて計算を行い,以前報告したBSAとHbの二成分タンパク質の連続分離実験結果との比較を行ったところ,両者は概ね一致したことから,本モデルの有効性を確認することができた.また,本モデルは分離に及ぼす支持電解質濃度および原料供給流量などの操作因子の影響を表現することもできるため,分離挙動の解明に有効であると考えられる.
  • 後藤 雅宏, 是永 真規, 小野 努, 古崎 新太郎
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生物分離工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 181-185
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    逆ミセル抽出法によるα-キモトリプシンの抽出特性を検討した.アニオン性の界面活性剤ジオレイルリン酸(DOLPA)で形成した逆ミセルが,活性なα-キモトリプシンを選択的に抽出できることが明らかになった.一方,AOTで形成された逆ミセルについては,このような抽出挙動は観察されなかった.タンパク質の構造に関する検討により,熱によるαーキモトリプシンの構造変化が,DOLPA逆ミセルの特異的抽出挙動をもたらしていることが示された.
  • 石原 尚, 山本 修一
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生物分離工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 186-190
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(HAC)とイオン交換クロマトグラフィー(IEC)の分子認識機構をIECの工学的解析のために考案した数学モデルを適用することにより解析した.β-lactoglobulin(Lg)とRibonucleaseA(RNaseA)をモデル試料とし,勾配溶出実験をさまざまな移動相pHについて行い溶出塩濃度(1,)並びに吸着サイト数(B)を決定した.IECではLg,RNaseAともにpHが等電点(pl)から離れるに従ってIR並びにBは増加した.HACではLgの場合,pHがplから離れる(pHが高くなる)に従ってIRとBは減少した.RNaseAの場合,IRはplから離れる(pHが低くなる)に従って増加したが,BはpHによらず一定で5前後であった.Lgに当量含まれるgeneticvariantsLgAとLgBは陰IECでは分離できたがHACおよび陽IECでは分離できなかった・HACは蛋白質に対してIECとは異なる分子認識をしていることが推察された・HACにおけるリガンドの状態についても考察した.
  • 山口 哲志, 萬年 輝久, 座古 保, 長棟 輝行
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生物分離工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 191-196
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    固相上に存在するタンパク質の立体構造や配向といった分子状態が注日されている.本研究では,表面プラズモン共鳴(SPR)現象を利用したバイオセンサ-によって,固相上タンパク質に対する非イオン性界面活性剤(TritonX-100)の吸着量を測定することにより,固相上タンパク質の構造変化についての情報を得ることを試みた.固相上に固定化したα-glucosidaseとholomyoglobin,apomyoglobinに対するTritonX-100の吸着量をそれぞれ測定した結果,吸着量がタンパク質の固定化量と全体的な表面疎水性に依存することが示唆された.また,固相上タンパク質の6M塩酸グアニジン変性に伴う界面活性剤吸着量の増加も観察された.これらの結果から,SPR現象を利用して固相上タンパク質へのTritonX-100の吸着量を測定することによって,固相上タンパク質の立体構造の変化を検出できることが示唆された.
  • 馬越 大, 久保井 亮一, Folke Tjerneld
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生物分離工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 197-204
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    刺激応答型水性二相系とタンパク質の構造変化を利用したストレス応答型バイオ分離プロセスを開発するため,各種ストレス条件下(熱,塩酸グアニジン(GuHCl)添加)で,Bre0x/dextran系における炭酸脱水酵素(CAB)および還元処理したリゾチーム(lysozyme)の分配挙動を解析した.分配系の特性解析を省略した簡便法により,分配係数からタンパク質の構造・表面特性(表面疎水性,局所的疎水性)の変化を見積もる事が可能であった.各種ストレス条件およびタンパク質の構造変化を規格化した結果,構造変化を規定する複合ストレス条件(熱,GuHCI添加)が,各ストレスの線形和として表される事がわかった.局所的疎水性を最大にするストレス条件を示したGuHCl濃度-温度相関図に基づいて,タンパク質の構造変化を利用した分離プロセスの設計法について検討し,そのモデルケースとしてlys0zymeとCABを分離した.
  • 宮川 英二, 山本 修一
    原稿種別: ノート
    専門分野: 生物分離工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 205-207
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    ヒトT細胞白血病ウイルスII型(HTLV-II)特異的なモノクローナル抗体mAbgp21古34を取得した.mAbgp21-34はHTLV-IIのエンベロ-プの膜貫通領域であるp2oEIIを認識する抗体であった.mAbgp21-34固定化Sepharoseを用いてHTLV-及びHTLV-Iウイルスの可溶化液より,p2oEI及びp2oEIIの特異的精製を試みた.mAbgp21-34固定化SepharoseカラムクロマトグラフィーによりHTLV-II由来p2oEIIは特異的に吸着され3MKSCNで溶出されたが,HTLV-1由来p2oEIはカラムに吸着されなかった.mAbgp21-34固定化Sepharoseカラムが相同性の高いウイルス間での型特異的抗原の精製に有用であった.さらにウイルス粒子の精製に応用しHTLV-II粒子を精製することが出来た.
移動現象,流体力学,混合
  • 松田 充夫, 多田 豊, 平岡 節郎, 毛利 之彦, 李 泳世
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2001 年 27 巻 2 号 p. 259-264
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    3種類の翼形状の攪拌槽装置におけるLDVによる二次元速度分布測定と可視化を行い,攪拌槽内流動に見られる長周期ゆらぎ現象と流動状態との関係を調べた・速度時系列に対し乱れの統計解析と周波数解析を行った.その結果,翼回転数が0.667~2.00 s-1において,羽根通過周期の約20~30倍に相当する低周波領域の顕著な流速変動周波数fuが存在し,その周期は羽根回転数に比例していた.この周期と回転数との比例定数は,翼形状に固有であり,羽根の種類,羽根枚数および羽根の取付け位置に依存した.さらに,羽根通過周期の約100~300倍に相当する低周波領域における顕著な流速変動群(周波数fL,fs)が存在し,その周期は翼回転数に比例するが,その比例定数は,羽根形状と羽根枚数に依存し,羽根の取付け位置依存性は小さかった.周波数fuの変動の周期は,流れの可視化から,シャフトを横切る流れの周期に一致した.長周期変動の周期は,羽根の通過により生じた大規模流れパターン変化に対応していることがわかった.
  • 露木 敏勝, 飯田 嘉宏, 奥山 邦人
    原稿種別: ノート
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2001 年 27 巻 2 号 p. 275-277
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    水平円柱伝熱面からの沸騰伝熱を促進するために可動粒子層を設ける技術による核沸騰伝熱の無次元整理式について検討し,先に得られた実験結果に基づいて整理式を得た.同式は±40%の範囲内で実験デ-タを整理できた.
  • 山根 岳志, 吉田 正道, 宮下 尚
    原稿種別: ノート
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2001 年 27 巻 2 号 p. 278-281
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    密閉矩形容器内にNa2CO3水溶液を2層に濃度成層させた系を取り上げ,側方から加熱冷却させることにより発生する二重拡散対流に対して,ホログラフィー実時間干渉法を適用し,現象の非定常可視化実験を行った.干渉縞形状,並びに本現象に関する既存の知見より,温度,濃度によって,屈折率は同じであっても対応する密度が異なるが,本系で得られる干渉縞はほぼ密度分布とみなせることが分かった.その結果層間の物質移動に伴う密度分布変化の詳細説明がなされた.
材料工学,デバイス
プロセスシステム工学
  • 佐藤 千恵, 大谷 哲也, 西谷 紘一
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: プロセスシステム工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 265-271
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    重合プロセスの銘柄変更は,銘柄や負荷の変更によりプロセスのダイナミクスが大きく変化するため制御が難しい.本報では,制御系設計のための効果的な非線形物理モデルの利用法を提案する.まず,McAuley et al.(1995)に基づいてポリエチレン気相重合プロセスの非線形物理モデルを導いた.パラメ-タの値は,実際のプロセスの挙動に合うように文献などを参考に調整する.そして,プロセスのダイナミクスの非線形性の特徴を明らかにした.そして,先に導いた非線形物理モデルを用いたプロセスシミュレータを開発した.次に,銘柄変更のための2自由度積分型最適サーボ系による多変数性状制御系を設計する.先に導いた非線形物理モデルを使って対象プロセスを2入力2出力の性状動的モデルで表す.2つの入力は,水素とブテンのフィードで,2つの出力は,ポリマ-性状のメルトインデックスと密度の積算値である・性状動的モデルを銘柄変更における目標銘柄まわりで線形化し,2入力2出力の線形モデルに対して2自由度積分型最適サーボ系を設計する.そして,開発したシミュレータを用いて銘柄変更のシミュレーションを行い,PIDコントローラを複数用いる多重ループ性状制御系より良好な結果が得られることを確認した.
  • 花熊 克友, 山本 順三
    原稿種別: ノート
    専門分野: プロセスシステム工学
    2001 年 27 巻 2 号 p. 272-274
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    自己回帰モデル,ニューラルネットワークモデル,カオス理論を用いた時系列データの予測が提案されているが,アルゴリズムが煩雑である・本論文では,アルゴリズムが簡単な最近隣法を検討し,仙台市月平均気温の予測に適用した.その結果,最近隣法は自己回帰モデルと同程度の予測性能があることがわかった.
生化学,食品,医療
  • 大川原 真一, 矢野 明久, 小川 浩平, 谷口 興一
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 生化学,食品,医療
    2001 年 27 巻 2 号 p. 228-235
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    赤血球変形能の定量的指標として・被剪断応力が15Paおよび40Paにおける赤血球の伸張度DI15およびDI40を新たに提案し・現存する血液粘度計(Ogawa et al., 1991)から得られる高い剪断速度領域(約1,000~10,000s-1)の全血流動特性から赤血球変能および血漿粘度μ,を予測することを試みた.変形能および血漿粘度を人工的に調整することにより,赤血球の体積分率(Hct)が既知であれば非ニュートンモデルのパラメータ値の組合せが変形能および血漿粘度の組合せと一対一に対応することを明らかにした.この事実に基づいて構成されたニューラルネットワークは入力にHct,ビンガム粘度μB,降伏応力,指数則モデルの指数nを持ち,出力に各DIおよびμpを持つ.μpに関しては実用的な精度が得られなかったが,変形能の予測に関しては臨床応用が期待できる結果を得た.
安全,環境,エネルギー
  • 平林 大介, 黄 立維, 松田 仁樹, 棚橋 尚貴
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 2 号 p. 208-216
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    流動層灰,循環流動層灰ならびに微粉炭燃焼灰などの各種石炭灰に含有される石灰分の塩化水素ガスに対する乾式反応剤への適用性に関する実験的検討を行った.これらの塩化水素反応実験は,44~63μmにふるい分けした試料を充填したガス流通式反応装置を用いて反応温度473~1,073K,塩化水素濃度1,000ppmの範囲で行った.
    その結果,石炭灰による塩化水素転化率は石炭灰に含有される石灰含有量と関係があり,高カルシウム含有灰ほど増加する傾向が認められた.また本実験条件下では,石炭灰は673~873Kにおいて塩化水素に対する反応活性の極大を示した.塩化水素反応後の灰試料についてSEM/EDXによる表面元素分布観察結果より,一部の石灰分は硫黄分,珪素分と溶融性非結晶酸化物,溶融性酸化物,硫酸塩を形成しており,これらは塩化水素反応性の失活の一因になっていることが認められた.
  • 青木 修一, 粂 康孝
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 2 号 p. 217-222
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    ラジアントチューブバーナから発生する騒音の予測を行うため,燃焼時の排気口付近における騒音と管内における局所音圧分布を測定し,騒音発生のメカニズムを明確にした.騒音の予測には伝達マトリクス法を用いて解析結果と実験と比較し,解析精度の検証を行った.前報においては,管形状の比較的単純な管内燃焼器を対象に解析を実施した.解析の結果,出口付近での騒音の傾向は把握できたものの,共振周波数付近における騒音レベルの解析精度については不十分であった.
    そこで本報では,管内で発生した騒音が出口付近に到達するまでの減衰率を算定し,これを考慮した.その結果,理論解析結果と実験結果との共振周波数付近における騒音レベルはバーナ周囲雰囲気温度やバーナへの入熱量を変化させた場合においても比較的よく一致し,本研究で用いた手法は今回取り上げたラジアントチューブバーナの騒音特性の解析に活用できることを確認した.
  • 瀬谷 彰利, 只野 一郎
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 2 号 p. 223-227
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    リン酸形燃料電池は,発電により蒸発するリン酸を補う余剰リン酸をセル内に貯蔵している.発電中の余剰リン酸のセル内での分布を検討するため,小型セルを発電停止後ただちに各構成部材に解体してリン酸量を測定した.その結果,余剰リン酸は,発電中に燃料極側へ偏在していることが確認された.この現象は余剰リン酸のリン酸イオンが空気極から燃料極へ移動することによりイオン電流の一部を分担しているためと推定される.ただし,この余剰リン酸の偏在により空気極,燃料極の各触媒層,マトリックスの機能は大きな影響を受けないと考えられる・しかし,このような余剰リン酸の発電中の燃料極側への偏在を前提に余剰リン酸量の設計,セル構成部材の毛細管力の設計が必要であることがわかった.
  • 古林 通孝, 篠原 力男, 長井 健一
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 2 号 p. 236-242
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    固定床流通系により,活性炭の1,2,3,4-テトラク口口ジベンゾパラジオキシン(T4CDD)の吸着除去性能を調べた.活性炭のT4CDD吸着除去性能に対する,通ガス時間,T4CDD入口濃度,活性炭使用量,活性炭粒径,ガス温度およびガス空塔速度の影響を明らかにした.吸着除去性能に対するこれらの影響は,ガス境膜と細孔内の物質移動モデルにより説明できた.活性炭のT4CDDの吸着除去性能は,1,2,3-トリク口口ベンゼンや二酸化硫黄が気相に共存しても影響を受けることはなく,また塩化水素が気相に共存すると吸着除去性能は向上する.
  • 横田 守久, 西村 龍夫, 川崎 裕太郎, 林 正巳
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 2 号 p. 243-250
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    熱天秤は固体燃料の燃焼性を評価する優れた方法である.しかし粒子の燃焼状態を直接観察できない欠点がある.本研究では,熱天秤測定およびその測定条件と同一の温度・雰囲気環境を再現した場での粒子燃焼可視化実験を組み合わせた新しい実験手法を提案した.石油コークス,グラファイト,ガス化炉残さの熱天秤測定と共に燃焼形態を可視化した.本実験で使用した石油コークスは粒子径減少・密度一定の燃焼形態をとり,表面反応機構で燃焼が進行する事が分かった.グラファイトは粒子径及び粒子密度が減少する燃焼形態,またガス化炉残さは燃焼率60%までは粒子径一定,密度減少,燃焼率60%以上で粒子径の減少が起こる燃焼形態であった.石油コークスの燃焼速度は酸素濃度に関し1次であり,粒子外表面積基準で定義した次の速度定数を得た.
  • ――周囲水温および配置角度の影響
    廣瀬 宏一, 北沢 信高, 横山 孝男
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 2 号 p. 251-258
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    近年,エネルギー需要の平準化に用いられる氷蓄熱システムの1つであるカプセル型氷蓄熱システムについて,楕円形状カプセルを用いてモデル化し,水平楕円管内の氷の融解熱伝達について,管の周囲の熱媒体としての水との複合熱伝達問題として,実験および数値解析の両面から研究を行った・実験においては,氷の融解面形状を写真撮影し,その経時変化を追跡した.数値解析においては,水は4℃付近で最大密度を有するという密度反転を考慮し,楕円管内・外に境界固定法を適用することにより,融解面形状の時間変化および流れ場.温度場を非定常的に解析した.実験による融解面形状の時間変化および融解率の時間変化と数値解析結果を比較し,良い一致を得た.また,周囲水温および楕円管の配置角度をパラメータとして変化させ,融解面まわりの平均Nu数の変化を明らかにすることにより,配置角度の変化を利用した融解熱伝達に対するパッシブな伝熱制御の可能性を指摘した.
  • 窪田 光宏, 横山 邦明, 渡辺 藤雄, 小林 敬幸, 架谷 昌信
    原稿種別: ノート
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 2 号 p. 285-287
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    CaO/CaCO3系高温ケミカルヒートポンプの放熱時の熱回収機能の検証を日的として,熱交換パイプを備えた充填層型反応器を用いた実験的検討を行った.その結果,本系の昇温能力が確認されると共に反応熱回収が実証された・また,圧力調整により昇温温度の制御が可能となる.回収熱量は熱交換媒体流量,反応圧力の上昇と共に増大する.粒子径に対しては回収熱量が最大となる最適粒子径が存在することなどが明らかとなった.
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