化学工学論文集
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27 巻, 5 号
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[特集] 化学装置内の移動現象に関する数値解析と可視化計測法
  • 阿部 芳久, 菊池 俊之, 中西 秀夫, 渡辺 隆行
    2001 年 27 巻 5 号 p. 535-539
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
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    引上げ法によるシリコン単結晶の大型化・高品質化にともない,シリコン融液を保持する石英ルツボの高品位化が強く要求されている.一般に石英ルツボは石英粉をアークの発生する熱を利用して溶融成形される.本研究では,アーク溶融炉内の熱的環境を把握するために,電極間のアークに起因する高温ガス流れに着目し,その流れをプラズマ流として捉えることにより数値解析ツールを構築した.解析対象には炉内のガスと加熱される原料および炉体を考慮した.解析モデルの妥当性を検証するために,アークによって加熱される石英原料層の温度上昇を熱電対にて測定した.電極位置をパラメータとした測定結果は数値計算結果と良好に一致し,また石英原料の溶融経過も実操業と適合したことから,計算モデルの妥当性が示された.
  • 有馬 博史, 森山 伸也, 佐藤 恒之, 今石 宣之
    2001 年 27 巻 5 号 p. 540-546
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    熱CVDにおける熱拡散の効果を検討するため,部分加熱された水平型矩形流路内の熱拡散分離現象について実験及び数値計算による解析を行った.実験は,He-SF6,またはNe-SF6の2成分混合ガスを用いて実施した.混合ガスを溶融石英キャピラリー(内径75μm,長さ900mm)で四重極質量分析計(QMS)に導入し,流路内各所の局所濃度を測定した.複雑な流れ場内での熱拡散に対する3次元数値解析を,コントロールボリューム法で行った.熱物性値が既知のこれらの系では,数値計算結果は実験結果と良好に一致した.
  • 平野 博之, 仁木 滉, 河野 敏行, 岡本 直孝
    2001 年 27 巻 5 号 p. 547-553
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
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    本論文は,流れ場の数値計算アルゴリズムとして広く用いられているSIMPLE法を用い,閉領域内の自然対流を数値計算する際に必要となる線形システムの解法に,最近開発された前処理付反復法を適用し,この効果について検討したものである.計算の結果,特に圧力補正値の線形システムに含まれる係数行列のように対角優位度が低い場合,この対角優位度を上げるように変換を行って計算効率を高める前処理は,非常に有効であることがわかった.さらに本論文でとりあげた計算例において,速度,圧力補正値そして温度を合わせた線形システムを解くのに要した時間を検討した結果,従来の約1/2.3の時間で解を得ることができた.本論文で用いた前処理は,もとの線形システムに対して前処理のための行列を乗じ,係数行列が対角優位となるように変換するという方法であり,この前処理行列は特別な演算を全く必要とせず,もとの係数行列から簡単に求めることができる.
  • 湯 晋一, 中野 良徳, 梅景 俊彦
    2001 年 27 巻 5 号 p. 554-559
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
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    Re=4,500で,多数の渦が形成され変動流が支配的な邪魔板なし撹拌槽の瞬時の流れを3次元ナビエ・ストークス式を直接数値計算することにより求めた.本計算では慣性項の差分には4次の中央差分,それ以外の空間微分項には2次の中央差分を用い,時間発展項には2次のルンゲ・クッタ法を用いた.計算にはマルチブロック法を用い,一定角速度で回転する複雑形状の翼,翼を支える円板を含む領域を回転円筒座標系で表わし,その他の領域は静止円筒座標系で計算した.流体の静止状態から撹拌翼が回転を開始して12回転程度,実時間に換算して約64秒(流体が水の場合)間の現象を明らかにした.計算結果の可視化によって渦の生成,干渉,合一のおおよそのメカニズムを明らかにすることが出来た.時間平均速度分布や乱流強度分布の計算結果は実験結果と良く一致し,本計算方法及び結果によって実際の邪魔板なし撹拌槽の流れ場を表現できることがわかった.
  • 湯 晋一, 梅景 俊彦, 川上 伸一郎, 城野 祐生
    2001 年 27 巻 5 号 p. 560-565
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
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    比較的小粒子と考えられるB粒子の気泡流動層をDEMを用いたLagrangian形粒子の運動方程式及びNavier-Stokes式を抗力と揚力でTwo-waycouplingすることにより数値計算した.ほぼ同一条件の実験と比較検討し,実際の気泡流動層中の粒子群と気流の運動を表現することを示した.よって,流動特性値,例えば平均速度や変動速度強度分布を正確に計算によって表現することが出来,気泡の形成,合一,破裂のメカニズムも明らかに出来ることを示した.計算結果を用いて,運動エネルギー収支式を計算した結果,気泡流動層における非常に高い変動速度強度はその大部分が圧力勾配・速度相関によって作り出され,気流と粒子の相互影響によって消散されることが分かった.流動層中の粒子群は最終的には連続体モデルで考える必要があると思われるが,その時圧力を含んだ項のモデル化が重要である.
  • 牧野 司, 海瀬 卓也, 佐々木 健志, 大村 直人, 片岡 邦夫
    2001 年 27 巻 5 号 p. 566-573
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
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    本研究の目的は,アスペクト比2のテイラー渦流反応装置に層流条件下で存在する孤立混合領域(IMR)を観察することである.IMRは,レイノルズ数が200以下で装置環状部の上下循環流にそれぞれトロイド渦形状で明瞭に観察された.滑らかな表面の回転内円筒では単純なトーラス構造が観察され,表面に突起を設けた内円筒では細いトーラスが中心トーラスをスパイラル状に囲む構造が観察された.また突起の数が異なれば,レイノルズ数が極近い条件でも,細いトーラスの数が異なることを確認した.したがって,IMRの構造は突起付きの内円筒の回転により生じる周期的な摂動に依存すると考えられる.ラグランジェ法を用いた数値計算より得た仮想流体粒子の2次流循環1周期当たりの摂動回数neが細いトーラスの数と対応することがわかった.このことから,IMRの幾何学構造はポアンカレ・バーコフの定理の適用により,理解可能であることがわかった.
  • 吉田 英人, 秋山 聡, 福井 国博, 谷口 悟, 宮武 淳
    2001 年 27 巻 5 号 p. 574-580
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
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    サイクロンの捕集箱入口に設置した円錐体の効果及び新形式サイクロンを用いた高精度分級径制御に関して,実験及びシミュレーションにより検討した.サイクロン捕集箱入口に設置した円錐体は,捕集箱内部の気流を減衰させ,一度捕集箱内へ入った粒子の再飛散程度を低減できる.
    その結果,円錐体を設置したサイクロンの分離径は,設置しない場合よりも小さくなり,実験値は数値シミュレーション結果とほぼ一致した.
    捕集箱入口に設置した円錐体の外周に特殊形状のリングカバー部を設けた新形式のサイクロンでは,分級径を2~40μmの広い範囲で高精度に移動することができる.
    ブローアップによる粒子の分離径移動に関しては,サイクロン流入部から入った流体の捕集箱内への流入程度と関係している.可視化実験より,捕集箱内への流体流入程度が少ないと分離径が大きくなった.
  • 鈴木 洋, 杉山 隆英
    2001 年 27 巻 5 号 p. 581-587
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    本研究は,吸収式冷凍機吸収器・蒸発器内の不凝縮性ガス非定常拡散挙動について非定常2次元計算を行い検討した.特に,不凝縮性ガスの初期条件による差異について注目し,実験結果との比較を行った.その結果,不凝縮性ガスが初期条件として容器内に一様に分布する場合には,不凝縮性ガスの平均濃度が5vol%まで,吸収器の総括熱伝達率の減少が顕著ではないのに対し,不凝縮性ガスを実験と同様に蒸発器上方の一点より注入した場合には,不凝縮性ガスの平均濃度が3vo1%の場合においても非常に低い総括熱伝達率を示し,実験結果と面致した.したがって,不凝縮性ガスの拡散挙動には,初期分布の影響があることがわかった.また,不凝縮性ガスの非定常拡散挙動を詳細に調べた結果,注入条件では,高濃度の不凝縮性ガスの存在により,吸収器上部の吸収能が急減し,一様分布の場合に観察された不凝縮性ガスを取り込む循環領域が崩壊するため,低濃度で総括熱伝達率が急減することがわかった.
移動現象,流体力学,混合
  • 両角 仁夫, 深井 潤, 宮武 修
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2001 年 27 巻 5 号 p. 636-641
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,環状同軸周囲気流を伴う乱流液体噴流の変動特性および液滴生成特性に及ぼす周囲気流の影響を実験的に検討した.まず,液体噴流挙動を高速度ビデオカメラにより撮影し,画像処理によって噴流表面位置の経時変化を測定した.次に,得られた噴流表面位置の経時変化をフーリエ変換して,噴流表面変動のスペクトル特性を求めた.その結果,噴流下流に向かって変動成分のスペクトル強度は大きくなることが示された.このとき,ある特定の周波数の変動成分が最も成長し,周囲気流速度の増加に伴いその周波数は高くなった.また,噴流の変動モードに関する自己相関関数を求めた結果,噴流軸に対称な変動モードには周期性が見られるのに対し,非対称な変動モードは不規則性であった.さらに,最も成長した液体噴流の変動成分が,噴流の分裂に寄与していることがわかった.
  • 吉田 和広, 平野 義男, 藤井 宏記, 都留 稔了, 浅枝 正司
    原稿種別: ノート
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2001 年 27 巻 5 号 p. 657-660
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    ゾル–ゲル法によるシリカ中ジルコニア膜を応用した充填層型膜反応器の性能を,メタンの水蒸気改質反応により実験的に検討し,シミュレーション結果と比較検討した.膜反応器により平衡反応率以上のメタン反応率が得られ,比較的高純度の水素製造が可能であった.膜反応器の性能解析結果は実験結果と比較的良く一致した.メタンの水蒸気改質反応においては分離膜の水蒸気透過性を小さくすることが重要と考えられる.
触媒,反応,反応器設計
  • 近藤 尚, 守富 寛, 義家 亮, 西村 誠
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 触媒,反応,反応器設計
    2001 年 27 巻 5 号 p. 624-628
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    高温場での石灰石による脱塩酸反応に関する温度依存性とガス雰囲気の影響を調べることを目的として,過渡現象を含む石灰石によるHCl吸収特性およびCaCl2からのHCl放出特性の双方に関する実験的検討を行った.各実験は,石灰石またはCaCl2の粒子試料で構成される固定層反応系出口のガス中HCl濃度をHCl分析計により連続測定することによって行われた.その結果,HCl吸収・放出反応ともにCaCl2の融点1,045Kが大きく影響しており,HCl吸収においては923-1,023Kの温度域に最適温度があること,HCl放出において1,045Kを超えると放出量が著しく増加することがわかった.また,共存ガスによってもHCl吸収・放出特性は影響を受け,S02はHCl吸収反応に干渉すること,あるいはときとしてこれを抑制すること,ガス中に含まれる水分濃度が高いほどHCl放出量は多いことが確認された.
  • 佐藤 伸明, 佐伯 孝, 大門 裕之, 藤江 幸一
    原稿種別: ノート
    専門分野: 触媒,反応,反応器設計
    2001 年 27 巻 5 号 p. 652-656
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    高温高圧水(温度200~400°C,圧力1.5~33.8MPa)中におけるポリビニルアルコール(PVA)の分解挙動について解析を行なった.反応後の溶液に含まれる成分について定性を行なった結果,酢酸,ギ酸,炭酸のほか,ベンズアルデヒド,ベンゾフェノン,アセトフェノンといった芳香族化合物が生成していることを確認した.これらの生成物の構造から,高温高圧水中においてPVAは側鎖の脱離や熱分解などのラジカル的な反応によって環化が起きることが示唆された.
材料工学,デバイス
分離工学
  • 三村 富雄, 野条 貴司, 飯島 正樹, 光岡 薫明
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 分離工学
    2001 年 27 巻 5 号 p. 588-592
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    排ガス量555m3/hの条件下で高さ約25mのパイロットスケールの吸収塔を用いて,LNG火力発電所排ガスに対する炭酸ガスの分離・回収を行った.とくに回収システムから外部に放出されるアミン量と運転条件の関係および吸収塔水洗部二段化のアミン口ス量に及ぼす効果について実験的に検討した.その結果から吸収塔ガス温度を下げれば吸収塔出口アルカリ濃度が下がること,また,水洗部アルカリ濃度が低い時に吸収塔出口アルカリ濃度が下がることを確認した.
    次に設備面では水洗部2段化が吸収塔出口アルカリ濃度の低減に著しい効果があることを確認した.このようなアミン口ス低減により,アルカノール系ヒンダードアミンである吸収剤KS-1について吸収塔出口アルカリ濃度が2.3~10.4ppm,平均アミン口ス量が0.11gアミン/kgC02ときわめて少なくなり良好な結果がえられた.このようなアミン口スは従来と比べて約1/20のレベルであり,環境面とコスト低減面で望ましい効果を与える.
粉粒体工学,流動層
  • 佐俣 満夫
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2001 年 27 巻 5 号 p. 610-615
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    エアロゾル粒子のサンプリング個数についてモンテカルロ法を用いて数値実験を行った.その結果,サンプリングされた粒子数は対象空間が一様ランダムでも粒子密度分布をもっている場合でも時間的に定常であれば共にポアソン分布に従い,時間的に変動のある場合ではサンプリングによる分散は常にサンプリングされた平均粒子数より大きいことがわかった.また対数正規分布による粒径分布をもった粒子群が分散する空間からサンプリングされた粒子群の粒径パターンについて検討した結果,重量基準の場合には捕集重量10μg以下になると重量中位径に誤差が現れるようになり,捕集重量が減少するほど粒径は小さく評価される傾向が認められた.
  • 永田 良一, 古賀 啓太, 権藤 晋一郎, 上村 芳三, 幡手 泰雄
    原稿種別: ノート
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2001 年 27 巻 5 号 p. 648-651
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    アルギン酸ナトリウム水溶液の液滴を回転ノズルから生成させ,その液滴を塩化カルシウム水溶液に滴下して微小なアルギン酸カルシウムゲル粒子を調製した.この方法により,ほぼ均一な大きさの小さなアルギン酸カルシウムゲル粒子を調製できることがわかった.調製したアルギン酸カルシウムゲル粒子の平均粒子径は0.27~2.08mmであり,既往の液一液系で提案された液滴径を算出するための計算式による計算値とほぼ面致した.なお,均一な大きさのアルギン酸カルシウムゲル粒子の調製条件は(ノズル内径2×(回転加速度)/(アルギン酸ナトリウム水溶液の粘度)の値が約4.5×10-5m4/(kg・s)以下の場合であった.
プロセスシステム工学
  • 渡邉 教博, 小野 秀隆, 中村 成章
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: プロセスシステム工学
    2001 年 27 巻 5 号 p. 642-647
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    ごみ焼却炉の燃焼制御系ではカオスが発生することがある.ごみ燃焼制御においてカオス振動は好ましくない挙動であるため,カオスが発生しないような新たな制御系の開発が望まれている.本研究ではごみ燃焼制御系の開発に用いることを目的として,プラントの運転データに基づいた構造的にも理解し易いモデルを構築した.さらに,得られたモデルを用いて制御系のシミュレ-ションを行い,カオス解析によってプラントデ-タとの比較を行った.その結果,両者の蒸気流量は埋め込み次元,フラクタル次元,最大リアプノブ指数が同じであるカオス振動であることが確かめられた.
安全,環境,エネルギー
  • 大屋舗 卓也, 板谷 義紀, 松田 仁樹, 架谷 昌信
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 5 号 p. 593-598
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    高汎用性・環境低負荷型産業廃液処理システムの実現に向け,同軸三重円管型気液混焼バーナーに循環流動層・尿素水溶液噴霧による脱硝を組み合わせた廃液焼却システムを提案した.廃液焼却時に排出が予想されるNOxおよびSO2に着目し,以下の検討を行った.まず,尿素水溶液噴霧下における脱硝特性におよぼす固体粒子の影響について検討した結果,粒子による温度低下が尿素による脱硝効果を阻害するが,粒子の供給位置および供給速度の制御によって脱硝効果の低下を大幅に軽減できることが明らかになった.次に,石灰石による,Ca/S比と乾式脱硫特性との相関を求めた.本実験においては,およそCa/S=5.0で脱硫率は約93%に達した.このような脱硫率の挙動は脱硫剤粒子内既反応層の有効拡散係数を仮定したモデルにより説明しうることが明らかとなった.以上の結果から,石灰石投入による本システムにおける同時脱硫・脱硝の可能性が示された.
  • 李 炳大, 細見 正明
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 5 号 p. 599-603
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    ベンゾ(a)ピレン[B(a)P]汚染土壌のエタノール洗浄液(初期濃度=62.3—108.5mgL-1)の浄化方法として,ハイブリット処理(いわゆる,フェントン酸化一生物処理)を検討した.99.8%以上のB(a)Pがフェントン酸化により類似1次反応に従い分解された.GC-MSやHPLC-UV分析を行った結果,B(a)Pの分解生成物として,B(a)Pよりも毒性が低いB(a)P-1,6-ジオン,B(a)P-3,6-ジオン,B(a)P-6,12-ジオンが確認された.フェントン酸化後のB(a)P-1,6-ジオン,B(a)P-3,6-ジオン,:B(a)P-6,12-ジオンは,B(a)Pよりも容易に生分解されることも明らかとなり,ハイブリット処理がエタノール洗浄液中のB(a)P除去に適用可能であることが示唆された.
  • 成瀬 一郎, 樋口 篤志, 柳野 秀朗
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 5 号 p. 604-609
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    都市ごみのサーマルリサイクル技術の1つとして開発されたRDFの基礎的な脱塩特性に関する知見を得るために,実際の廃棄物から作られたRDFと塩素源とその含有率が可変できる模擬RDF単一ペレットを用いて塩素源(ポリ塩化ビニルおよび塩化ナトリウム)の差異による脱塩特性の違いを実験および化学平衡計算により明らかにした.
    結果として,RDFの燃焼に伴う塩化水素ガスは,主に,揮発分放出段階で放出する.脱塩特性は,塩素源の差異に依存する.塩素源が有機系塩素の場合,脱塩率は温度に依存し最適脱塩温度が存在する.この理由は,低温域では脱塩速度が塩化水素ガス放出速度より遅くなること,逆に高温域ではチャー燃焼過程中に脱塩反応によって生成した塩化カルシウムが分解してしまうことに依る.一方,塩素源が無機系塩素であるNaClの場合,NaClの融点付近で融解し,ガス状のNaClまたはNa2Cl2として蒸発するので,塩化水素ガスの生成はほとんど無い.
  • 大屋舗 卓也, 武井 勝, 板谷 義紀, 松田 仁樹, 架谷 昌信
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 5 号 p. 616-623
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    尿素水溶液噴霧による無触媒還元脱硝法におけるN0還元反応機構の解明を目的として反応動力学的解析を行った.流通管型反応器を用いた実験結果との比較によって,反応の第1段階である尿素分解機構に対する考察を行い,計算モデルの妥当性を示すとともに,感度解析の手法を用いて主要な反応ルートを決定した.その結果,1molの尿素から,NH3 2molを生じる分解モデルに比べ,それぞれ1molずつのNH3およびHNC0を生じる分解モデルの方が,妥当性が高いことが分かった.また,感度解析の手法により,尿素の分解によって生じたNH3が0HラジカルによってNH2となり,NOとの反応によってNNHを経てN2に至る一連の反応ルートを明らかにした.また,N0濃度減少後のNH3およびHNC0の消費反応ルートを明らかにした
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