高温場での石灰石による脱塩酸反応に関する温度依存性とガス雰囲気の影響を調べることを目的として,過渡現象を含む石灰石によるHCl吸収特性およびCaCl
2からのHCl放出特性の双方に関する実験的検討を行った.各実験は,石灰石またはCaCl
2の粒子試料で構成される固定層反応系出口のガス中HCl濃度をHCl分析計により連続測定することによって行われた.その結果,HCl吸収・放出反応ともにCaCl
2の融点1,045Kが大きく影響しており,HCl吸収においては923-1,023Kの温度域に最適温度があること,HCl放出において1,045Kを超えると放出量が著しく増加することがわかった.また,共存ガスによってもHCl吸収・放出特性は影響を受け,S0
2はHCl吸収反応に干渉すること,あるいはときとしてこれを抑制すること,ガス中に含まれる水分濃度が高いほどHCl放出量は多いことが確認された.
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