化学工学論文集
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29 巻, 6 号
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熱力学,物性,分子シミュレーション
  • 田中 邦明, 伊部 博之, 熊沢 英博
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 熱力学,物性,分子シミュレーション
    2003 年 29 巻 6 号 p. 740-747
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    従来,エマルションの生成を扱った研究はミクロンサイズの生成滴を対象にしたものが主であり,サブミクロンサイズの液滴からなるエマルションの生成を扱った研究は,最近,高圧ホモジナイザーを利用した研究が何点か報告されているものの少ない.
    本研究ではサブミクロンサイズの液滴からなるエマルションの作成が可能である高圧湿式ジェットミルを用いて水中油滴型(o/w)エマルションを作成し,平均滴径と操作条件の関係と,生成滴の経時変化を速度論モデルを基に検討した.
    体積基準の滴径分布は対数正規分布に従い,通過回数を増加させると,微細液滴の増加のため滴径分布は二元分布を示した.通過回数が1回の場合,分散相分率が大きいほどd32は大きくなるが,σgは変わらなかった.全実験条件において個数基準の最大滴径(dmax)はdmax=1.76d32という比例関係が成り立つ.また,低界面活性剤濃度,低分散相分率のときのみd32は処理圧力の約− 0.6乗に比例する.
    液滴の合一により滴径分布は経時変化を示す.合一過程は二次過程により記述でき,条件により急速な合一と緩慢な合一の二つの過程からなると推測される.高処理圧力,高界面活性剤濃度,低分散相分率および多通過回数の時には緩慢な合一過程のみが認められ,合一速度定数は界面活性剤濃度が高いほど減少し,分散相分率が大きいほど合一速度定数は増加することが明らかとなった.
  • 島田 直樹, 冨山 明男, Iztok Zun, 浅野 浩幸
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 熱力学,物性,分子シミュレーション
    2003 年 29 巻 6 号 p. 778-786
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    点電極プローブを用いて気泡塔模擬装置における気相体積率の三次元分布を測定した.さらに,著者らが開発した(N+2)-field model(NP2モデル)を用いて気泡-液相間運動量輸送項および乱流渦粘性に関する各種相関式の感度解析を実施した.実験と計算の比較により,(1)気泡径依存性を考慮した揚力係数,および大きさに基づく気泡の分類が非均質気泡流の数値予測に不可欠であること,(2)仮想質量係数および気泡誘起渦粘性係数は計算結果にほとんど影響を及ぼさないこと,(3)液相渦粘性係数評価にせん断誘起乱れを考慮すると乱流エネルギーを過大評価することを確認した.また,気泡誘起乱れが乱流分散力に及ぼす影響と気泡クラスターへの後続気泡の加速接近によるみかけの抗力係数低減のモデル化が予測精度向上のためにとくに重要な課題であることを確認した.
  • 中村 裕計, 社河内 敏彦, 楠田 敦
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 熱力学,物性,分子シミュレーション
    2003 年 29 巻 6 号 p. 836-842
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    高温空気噴流は,一般に,乾燥,焼成,粉体処理,滅菌などで利用されているが,流れ場と温度場の特性およびそれらの関係については十分解明されているとはいえない.
    本研究では,高温空気噴流を利用した熱可塑性微粉粒子(複写機のトナー)の表面改質,球形化装置の性能の改善・向上を目的とし,まず,円管ノズルからの高温噴流(300°C)が静止大気中で拡散する様子を速度場および温度場の測定から実験的に明らかにするとともに,それらの関係を示した.また,噴流の半径方向への拡散を制御するため,リング状の絞りをノズル出口近傍に設置し(リングノズル)その影響を明らかにした.次いで,前記の微粉粒子の球形化装置において球形化特性に及ぼすノズル形状の影響を検討し,球形化に適したノズル形状(最適な絞りを有するリングノズル)を明らかにした.
触媒,反応,反応器設計
  • 大川 和男, 天丸 清, 林 勝, 平田 雄志
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 触媒,反応,反応器設計
    2003 年 29 巻 6 号 p. 727-733
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    抗精神病薬Zotepine合成におけるアルキル化反応機構について検討した.2-chloro-10,11-dihydrodibenzo[b,f]thiepin-11-one(CT)のアルキル化反応を炭酸カリウムを塩基として用い固液2相状態で行った.反応場および反応速度の検討から,CTの脱プロトン化およびアルキル化反応が炭酸カリウム粒子表面上で生じていることが分った.反応の律速過程は炭酸カリウム粒子表面でのCTの脱プロトン化反応であり,また,反応速度は炭酸カリウムの粒径が小さくなるにつれて増加した.さらに,粒径分布の測定から,添加した水によって炭酸カリウム(粒径250–400µm)の破砕が促進され,その結果,反応速度が向上することを明らかにした.反応の進行は,破砕による炭酸カリウム粒子の表面積の増加を総括反応速度式中に考慮することによって良好に表現できた.
材料工学,デバイス
  • 椋田 隆司, 河合 隆範, 及川 栄輝, 加々良 耕二
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 材料工学,デバイス
    2003 年 29 巻 6 号 p. 734-739
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    バミカミド塩酸塩にはA形晶(1水和物),B形晶(1.5水和物),C形晶(2水和物),D形晶(3水和物)の水和物結晶が存在する.これら水和物結晶の粉体特性および晶析挙動を調べ,濾過性がよく,粉塵爆発の危険性の最も小さなC形晶を選択し,その析出条件の設定を行った.C形晶は水和物結晶の中で最も溶解度が低い安定形であった.種晶無添加の場合,D形晶が析出し,その後溶媒媒介転移でC形晶に転移した.ところが,晶析温度から濾過温度に冷却する過程でD形晶が析出し,製品結晶に混入した.D形晶の析出を抑制するために,D形晶の過溶解度を求め,その過溶解度以下の領域で操作を行うことにより,D形晶の混入しないC形晶の製造条件を確立した.
    以上の実験結果に基づき,1,500l晶析槽でスケールアップ実験を行った結果,べンチスケールでの結果を再現でき,D形晶を含まないC形晶を製造することができた.
  • 吉村 保廣, 青野 宇紀, 時末 裕充
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 材料工学,デバイス
    2003 年 29 巻 6 号 p. 748-752
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    磁気ヘッドを搭載する浮上スライダと磁気ディスクとの粘着を低減するため,スライダに各種表面処理を施した.1mass%のフルオロカーボン系シリコンアルコキシド溶液に浸漬/加熱処理したスライダの鉱油接触角はほぼ70° となった.この浸漬/加熱プロセスで処理したスライダを磁気ディスク装置で実装試験した結果,未処理スライダに比べて粘着力が約80%低減し,表面処理の粘着低減効果を確認した.また,この処理の前にスライダ表面に紫外線照射した場合はほぼ80° となり接触角が増大した.
分離工学
粉粒体工学,流動層
  • 芝田 隼次, 藤井 勝也, 蓬莱 賢一, 村山 憲弘, 山本 秀樹
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2003 年 29 巻 6 号 p. 753-759
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,α-Al2O3粒子懸濁液の分散性を明らかにするために,分子量,添加量およびpHの異なるいくつかのポリアクリル酸水溶液にα-Al2O3粒子を添加し,懸濁液中の微粒子の平均粒子径,懸濁液の沈降体積,濁度およびゼータ電位などの物性を測定した.水溶液中のα-Al2O3粒子の分散性におよぼすポリアクリル酸の効果とその作用機構をポリアクリル酸の分子長さおよび溶存状態の観点から検討した.
    Al2O3粒子の懸濁液に対して,平均粒子径,勇断応力,界面沈降速度,濁度などの物性を評価した結果,いずれの方法も微粒子の凝集・分散挙動を明確にできる方法であることが確かめられた.懸濁液に添加するポリアクリル酸の分子量および添加量を変化させると,Al2O3懸濁液の凝集・分散挙動は大きく変化した.ポリアクリル酸の分子量が20,000以下では,低い添加濃度域では微粒子は凝集し,高い添加濃度域では微粒子は分散した.分子量が450,000の場合では,高分子添加濃度にかかわらず凝集する傾向を示した.pHの変化によるポリアクリル酸の形態とAl2O3粒子の凝集・分散現象についても明らかにした.
  • 下坂 厚子, 鈴川 寿規, 白川 善幸, 日高 重助
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2003 年 29 巻 6 号 p. 802-810
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    セラミックス顆粒の最適な力学条件を予測するために,粉体シミュレーションを用いた顆粒の力学特性と顆粒層の圧縮特性の関係を明らかにする新しい手法を提案した.
    まず,有限要素法による成形体内応力解析に必要な顆粒層の力学特性値(ヤング率および歪み硬化率)を得るために,3次元粒子要素法を用いた三軸圧縮シミュレーションを行った.シミュレートされた偏差応力と歪みの関係は実験結果とよく一致した.ヤング率および歪み硬化率をこれらの偏差応力-歪み曲線群より最小主応力と歪みの関数として得,顆粒層を圧縮性の弾塑性体として有限要素法により成形体の応力解析を行った.
    これにより,単一顆粒の力学特性と圧縮顆粒層内応力分布との関係の検討が可能となり,任意の力学特性を持つ顆粒について行った解析結果は,均質な成形体を得るための顆粒設計に有用な知見を与える.
  • 下坂 厚子, 山本 優子, 白川 善幸, 日高 重助
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2003 年 29 巻 6 号 p. 811-818
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    粉体圧縮成形におけるスプリングバック抑制のために,粉体シミュレーションを用いた新しい力学的手法により顆粒特性とスプリングバックの関係を定量的に明らかにした.
    まず,実験から顆粒調製条件によって顆粒力学特性は大きく変化し,圧縮特性およびスプリングバックに多大な影響を与えることを確認した.次に,単一顆粒の力学特性を考慮した有限要素法による粉体圧縮成形およびスプリングバック挙動のシミュレーションを行った.得られた応力-歪み曲線およびスプリングバック値は実験結果と良い一致を示し,本手法の妥当性を確認した.
    任意の力学特性を有する顆粒についてシミュレートした結果,圧縮初期で十分な再配列を起こし圧縮中期に均一な応力を伝達し圧縮後期で大きな塑性変形を生じる顆粒が,成形体の均質性をたかめ,さらにはスプリングバックを抑えることを明らかにした.本手法はスプリングバックを抑制するための顆粒設計に対して有用な情報を与える.
生物化学工学,食品工学,医用工学
  • 礒脇 明治, 大鳥 聡, 松尾 由美, 東條 角治
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生物化学工学,食品工学,医用工学
    2003 年 29 巻 6 号 p. 760-763
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    プレドニゾロンをモデル薬物として経皮吸収製剤のin vitro/in vivo/in silico評価を行った.ヘアレスマウス皮膚を用いたin vitro実験を行った結果,促進剤を添加しないコントロール群に比べ,促進剤としてポリオキシエチレンオレイルエーテル(POE)とミリスチン酸イソプロピル(IPM)を併用することによりプレドニゾロンの皮膚透過速度は約444倍大きくなった.このPOEとIPMを併用した製剤をラット腹部皮膚に貼付した結果,約2時間の時間遅れを経て9時間程度ほぼ一定濃度を維持した.この濃度は経口投与1時間後から2時間後までの濃度範囲と同等であった.さらにヘアレスマウス皮膚in vitro透過実験から得た透過パラメータを用いてラット腹部皮膚貼付時の血漿動態をシミュレーション(in silico実験)した結果,ラット血漿動態をほぼ予測可能であった.以上の結果から,透過促進剤にPOEとIPMを併用することで,経口投与に匹敵する血漿中濃度を持続可能なことが確認された.さらにコンピューターシミュレーションにより,アニマルスケールアップが可能であることが示唆された.
安全,環境,エネルギー
  • 大佐々 邦久, 近森 善行, 岩井 志帆, 坂田 智美
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2003 年 29 巻 6 号 p. 764-768
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    廃水中の有機塩素化合物の処理を目的に,溶解性アルミニウム電極を用いた電解浮上分離特性について基礎的検討を行った.有機塩素化合物として用いた2,4,5トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)および2,4,6トリク口口フェノール(2,4,6TCP)の分離に及ぼす,捕集剤である界面活性剤の種類や濃度,消費電力およびpHなどの影響を実験的に調べた.その結果,セチルトリメチルアンモニウムブロミドやトリメチルステリアルアンモニウムクロリドのようなカチオン性界面活性剤の添加が有機塩素化合物の分離に有効であることが分かった.カチオン性界面活性剤の最終残留率は約5%以下まで減少した.分離過程は実験的に一次速度式で表された.カチオン性界面活性剤の濃度が大きくなるにつれて,速度定数は増大し,有機塩素化合物の最終残留率は低下した.また速度定数は消費電力の増大とともに増加すること,およびpH約9で最大値に達することが分かった.
  • 渡辺 敦雄, 小原 敦, 田嶋 直樹, 村松 武彦, 迫田 章義
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2003 年 29 巻 6 号 p. 769-777
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    ポリ塩化ビフェニル(polychlorinated biphenyls)の無害化処理が世界的に加速している.筆者らは処理温度と圧力が低い氏i株)O線分解および触媒分解を併用(以下,光/触媒法という)した無害化プラントを開発した.まず氏i株)O線分解法単独の場合の分解進行に伴う分解率の低下要因の分析を基に反応速度式をモデル化した.続いてPd/C触媒分解法は塩素密度の高いPCBのオルト位の塩素を残す形で分解反応が進むことと,NaClの析出が高濃度PCBの触媒分解率低下の原因であることを推定し,両手法を500ppmレベルで組み合わせた光/触媒法が反応速度的に最適であることを予測した.これらの予測結果に基づき最終的に75°C,大気圧環境下での反応による光/触媒法による実規模装置による確証試験を実施し,反応速度定数0.132min− 1を達成し,目標値0.101min− 1(2時間で10,000ppmから0.05ppmに分解)を上回ることを確認した.分解反応生成物に関しても,光/触媒法では有害性高分子塩素化物などの未知の物質は生成しないことも確認し.光/触媒法の有効性を確認した.
  • 中山 勝也, 田中 誠基, 田島 善直, 小島 義弘, 小澤 祥二, 松田 仁樹, 高田 満
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2003 年 29 巻 6 号 p. 787-794
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    都市ごみ溶融飛灰に塩化剤として廃塩酸を含浸させ,飛灰中に含まれるCa分(Ca(OH)2)が銅,鉛,亜鉛の塩化揮発挙動におよぼす影響について模擬飛灰・都市ごみ溶融飛灰を用いて検討した.
    その結果,Ca(OH)2を含有しない模擬飛灰に対し塩酸含浸・加熱処理(1,123K)を行ったところ,銅,鉛および亜鉛の揮発率は96%以上となった.一方,Ca(OH)2量が増加するにつれて鉛,亜鉛および銅の揮発率は低下した.塩酸含浸処理後のCa(OH)2含有模擬飛灰とCaCl2含有模擬飛灰の銅,鉛および亜鉛の揮発挙動がほぼ一致したことから,塩酸によって模擬飛灰中のCa(OH)2がCaCl2の生成を介して重金属の塩化揮発に作用したことが推測された.Ca含有量の異なる都市ごみ溶融飛灰に対し,重金属およびCa含有量に対して1.2当量の塩酸含浸・加熱処理を行ったところ,飛灰種によらず鉛,亜鉛は99%以上の揮発率が得られ,銅の揮発率は10–20%から35–60%に向上した.銅は,Ca含有量の多い都市ごみ溶融飛灰ほど,揮発が進みにくいことがわかり,実験後の固体残渣表面のSEM/EDS観察結果により,加熱処理中にCaCl2溶融物の生成が推測されたことから,これらのCaCl2溶融物が,本実験温度(1,123K)では蒸気圧が低いCuCl2の表面を覆うことによって揮発阻害を及ぼしたことが考えられた.
  • 原田 陽介, 山下 拓也, 山本 剛, 青木 秀之, 三浦 隆利
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2003 年 29 巻 6 号 p. 795-801
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    石炭ガス化炉における炉内壁への粒子付着現象を対象として,固体粒子の壁面到達量の推算方法を開発した.過去に直管中を流動する粒子群が壁面に到達(付着)する割合を粒径毎に測定した研究が存在する.従来の二流体モデルの支配方程式を,解析対象に従って簡略化して解析を行うことにより,それらの測定値を再現することができる.本研究においては,この手法を用いて壁面近傍の気相流れ場に温度勾配が存在する系において数値計算を行い,熱泳動力が粒子の壁面到達量を増大させることを直接数値計算DNS(Direct Numerical Simulation)による計算結果との比較により確認した.
  • 井上 元, 新山 寛治, 松隈 洋介, 峯元 雅樹
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2003 年 29 巻 6 号 p. 823-828
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    高性能でかつ安全性に優れた固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell: PEFC)を実現するために,著者らがこれまで作成したPEFC反応流動解析モデルを用い,5種類(並行流路型,2種類の蛇行流路型,そして2種類の半蛇行流路型)のセパレータ形状に対して,ガスの均一配流,電流密度分布と温度分布の均一化,圧力損失の低減,そして滞留水排出性の観点から総合的な評価を行った.その結果,並行流路型は流量の不均一が著しく,そのため電流密度分布が大きく,滞留水の排出が困難であることが,また,蛇行流路型は圧力損失が大きくなりやすいことがわかった.これらに対して並行流路型と蛇行流路型を組み合わせた形として考案した半蛇行流路型の場合,他と比較して温度分布が均一になり,耐久性の面で優れていることがわかった.
  • 黄 定国, 會田(村形) 忠弘, 樋口 健志, 佐藤 志美雄
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2003 年 29 巻 6 号 p. 829-835
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    3種類のリグニンを太平洋炭と幌内炭のCWMに添加し,その分散剤としての特性を粘度変化から検討した.炭種に関わらず,どのリグニンにおいても添加量が約6mg/g-coalでCWM粘度は最低となり,最適であることが分かった.粘度が1,000mPa· sに達する実用上の最大石炭濃度をこの最適リグニン添加量において調べると,太平洋炭では無添加時の58.3wt%から65.7wt%,幌内炭では59.2%から67.3%まで増加した.石炭粒子へのリグニンの吸着量を調べると,どのリグニンにおいてもほぼ6mg/g-coalの添加量で吸着量は飽和に達し,最適添加量と一致した.また,リグニン吸着による石炭粒子のゼータ電位の変化は,3種類のリグニンの内,スルホン化リグニン以外は見られず,リグニンによる石炭粒子の分散は主として立体反撥効果によるものと考えられた.さらに,経済的な観点からリグニンと分散能力の高いPSSNaの併用効果について検討した.その結果,リグニン添加によりPSSNaの分散効果はむしろ低下した.これは,リグニンが石炭粒子上にPSSNaよりも選択的に吸着するためと考えられた.
  • 永田 良一, 阪井 努, 権藤 晋一郎, 上村 芳三, 幡手 泰雄
    原稿種別: ノート
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2003 年 29 巻 6 号 p. 843-846
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    前報ではMnO2粗粒子のポリ塩化ビニル固定化膜と溶存酸素センサからなる過酸化水素センサについて報告した(Nagata et al., 2000).本研究では,400mesh節下のMnO2粒子をセンサの作製に使用した.このセンサを用いて,酸化性物質の共存ならびに種々の水質がセンサの定常応答値,Rs,におよぼす影響等を調べた.以下の結果を得た.1)400mesh館下のMnO2粒子を用いたことで,H2O2蒸留水溶液に対するセンサの感度は前報に比べて2倍以上向上し,その温度依存性は298Kを基準に288Kから308Kで10Kの上昇あたり約10%増加した.2)酸化性物質の蒸留水溶液に対するRsは無視小であった.酸化性物質とH2O2が共存する場合,Rsは4%以下の影響を受けた.水道水,NaClO水あるいは塩素水のH2O2水溶液に対するRsはH2O2の蒸留水溶液に対するRsよりも4–11%低下した.一方,H2O2の海水溶液では,H2O2の蒸留水溶液に対するRsとほぼ同値であった.
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