化学工学論文集
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30 巻, 1 号
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移動現象,流体力学,混合
触媒,反応,反応器設計
  • 安廣 祥一, 申 永植, 今石 宣之, 秋山 泰伸
    原稿種別: 研究論文
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    三塩化シランを原料としたシリコンエピタキシャル膜成長過程における水平型枚葉式反応器内のガス流れ, 温度場および濃度場の挙動と成膜特性の関係について3次元数値解析を用いて詳細な検討を行った. 成膜速度分布の均一化に, 流路高さを小さく保つこと, 反応器内のガス流入速度を上げること, サセプタを回転させること, 三塩化シラン濃度を高く保つこと, が効果的である. 比較的, 低い流入速度, 低い三塩化シラン濃度の場合でも, 入口流路を3分割し, 各流路幅, 各ガス流入速度を調節することで, 成膜基板上の自然対流の発生位置と強度を制御することが可能で成膜速度分布の均一化に有効である. また, サセプタ回転による成膜速度均一化作用は基板中心付近に関しては効果が無いために, 反応器中央流路部で流速を減少させることは避けるべきである.
  • —炭種, 乾留条件, ガス化剤の影響—
    森本 達也, 荒木田 和正, 亀谷 知彦, 小田 廣和
    原稿種別: 研究論文
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    石炭炭化物のガス化過程における細孔構造の変化および反応速度との関連性は, 炭種, 乾留条件 (昇温速度, 到達温度など), ガス化剤, 反応温度などに依存するが, これらの因子を系統的に検討した研究例は少ない. 本研究では石炭化度の異なる二種の石炭から様々な乾留条件でチャーを調製し, それぞれのチャーについて, CO2および空気ガス化過程における細孔構造の変化挙動を気体吸着法により追跡した. 反応性の低いチャーほどN2表面積の増加が顕著であった. N2吸着等温線を基に細孔径分布の解析も併せて行った. 空気ガス化ではCO2ガス化よりも細孔の拡大が顕著であった. 軟化溶融性を示す石炭チャーは, 非軟化溶融炭チャーに比べて明確な細孔の拡大·合一を示さなかった. チャーのガス化過程における細孔表面積の変化と反応速度の相関性を検討した. 非軟化溶融炭チャーではCO2ガス化速度, 軟化溶融炭では空気ガス化速度がマイクロ孔表面積と良く対応した. また空気ガス化では, 反応速度がメソ孔表面積とのみ相関性を示すチャーもあった.
分離工学
  • 松本 幹治, 柚木 徹, 中村 一穂
    原稿種別: 研究論文
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 79-86
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    不織布フィルターのろ過特性や細孔径分布との関係を調べるため, 繊維径, 目付量, 空隙率の異なった多数のステンレス製不織布フィルターを用い, 流体透過法による平均細孔径の測定, バブルポイント法による最大細孔径, 顕微鏡観察による繊維間距離分布の測定, ラテックス粒子チャレンジ試験による最大通過粒子径の測定を行い, それらの関係を求めた. 流体透過法により求めた平均細孔径は繊維径に比例し, 空隙率の増加につれて増加したが, 同一空隙率では目付量に依存しなかった. バブルポイント試験により求めた最大細孔径は, 空隙率の増加につれて増加し, また, 目付量に依存した. すなわち, 同一空隙率では目付量が大きくなるにつれて最大細孔径は減少した. フィルター断面の観察から求めた繊維間距離の分布はΓ分布に従い, Γ分布から求めた平均繊維間距離と空隙率の関係は平均細孔径と空隙率の関係にほぼ一致した. 粒子チャレンジ試験による最大通過粒子径(すなわちフィルターにより99%阻止される粒子の粒子径)は空隙率の増加につれて増加したが, 目付量の増加につれて漸減した.
  • 今駒 博信, 河村 和彦, 久保 和也, 大村 直人
    原稿種別: ノート
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 91-94
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    ポリビニルアルコール(PVA)水溶液で湿ったガラス微粒子充填層を用いて, マイクロ波乾燥と熱風対流乾燥を交互に繰り返す逐次乾燥実験を行ったところ, 初期含水率が限界含水率以上の試料で, 表面付近以外の含高分子率分布が平坦な乾き試料が得られた. これは, 試料底部ほど含高分子率が低下する熱風対流乾燥法や試料中央部の含高分子率が低下する熱風対流-伝導乾燥法では見られなかった現象であり, 材料内部の蒸発が盛んであるマイクロ波乾燥ならではの結果といえる. これまでにない含高分子率分布を与える乾燥法として逐次乾燥法が有効であることが示唆された.
  • 山川 哲, 押手 浩之, 片山 晃治, 二見 達, 大川 朋裕, 西沢 恵一郎
    原稿種別: ノート
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 95-97
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    double Y型マイクロリアクタによる水と有機溶媒の分離について検討した. 粘性率がほぼ等しい水とシクロヘキサンを汎用のリアクタに等しい流速で供給すると, 目視的には層流が観察されたが, 排出液は両者の混合物となった. これは, ガラスチャンネル内壁が親水性であるためと考えられる. そこで,チャンネル中央に等間隔で不連続な仕切壁を設けた破線状ガイドライン構造としたところ, 分離能は飛躍的に向上した.
  • 今駒 博信, 河村 和彦, 坪田 圭司, 久保 和也, 大村 直人
    原稿種別: ノート
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 98-101
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    ポリビニルアルコール水溶液(PVA)またはスチレンブタジエン系ゴムラテックス(SBRL)で湿ったガラス微粒子層を用いてマイクロ波併用熱風対流乾燥実験と熱風対流乾燥実験を行い, 乾燥速度と乾き層内含高分子率分布を測定した. 比較対照のため水で湿った場合の実験も行った. 併用乾燥所要時間は対流乾燥所要時間の40-80%程度に短縮され, マイクロ波併用の効果が認められた. 併用乾燥, 対流乾燥ともに初期含水率の低下とともに乾燥速度は増加し, SBRLの乾燥速度がPVAよりも大きくなったが, 表面付近の含高分子率はSBRLで高かった. 併用乾燥では対流乾燥に比して含高分子率分布が平坦化する傾向にあり, これもマイクロ波併用の効果だろう.
粉粒体工学,流動層
  • 池野 栄宣, 多田 豊, 平岡 節郎, 池井 正輝, 周戸 祐介
    原稿種別: 技術論文
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    物性の異なる3種類の粉体によるろ布圧損の実験結果から, バグフィルターの圧力損失パラメーターである比抵抗αと汚れろ布抵抗ζdに対するろ過速度uと含塵濃度cの影響を求めた.
    粉塵層の空隙率が 0.5以上で形成される粉体の比抵抗αは, ほぼろ過速度の1/2乗に比例して増大し, 含塵濃度の1/3乗に比例して減少した. また, ろ布圧損のモデル式とKozeny-Carman式に基づき, 比抵抗の実験値から求めた(1-ε)/ε3の値を粉体物性と運転条件を用いて相関し, 得られた相関式より比抵抗αの実験式を与えた.
    α=1.15×1011(Dv/Ds)3Dv-3/4ρs-2/3c-1/3u1/2μ1/2
    本実験式は,比抵抗 αの実験値を±25%の誤差で推算できることを示した.
    一方, 汚れろ布抵抗ζdは, ろ過速度と含塵濃度の影響はほとんど見られず, 各粉体ごとに一定値を示した.
    ろ過操作中の比抵抗のろ過速度変化に対する依存性を考慮した場合,多室バグフィルターの圧力損失値は,依存性を考慮しなかった場合のそれより僅かに大きな値を与えた.しかし,両者の圧力損失の時間変化挙動にはあまり影響を与えないことが分かった.
  • 池野 栄宣, 多田 豊, 平岡 節郎, 池井 正輝, 周戸 祐介
    原稿種別: 技術論文
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    バグフィルターにおいて, 払落とし操作後のろ過面に残留する粉塵量が場所によって差異があるとして, ろ過面が粉塵の残留した汚れろ布抵抗ζDを有するろ過面と清浄ろ布状態まで払落とされた清浄ろ布抵抗ζCを有するろ過面の2面で構成されているとする斑落ちモデルを提示した. その面積比率をεD対εCとしてこのモデルに基づく数値計算を行った結果, 回分運転における本体圧力損失の時間変化の計算結果が全時間領域で実測値と良好に一致することを示した.
    また, 回分運転から得られた比抵抗α, 汚れろ布抵抗ζD, 清浄ろ布の面積比εC, 清浄ろ布抵抗ζCを用いて3列構成バグフィルターの連続運転における本体圧力損失の時間変化挙動を数値計算した結果, 汚れろ布抵抗ζDを補正することにより実測値を精度よく表すことができることを示した.
    ろ過操作中のろ過速度変化に対応する比抵抗αの速度依存性を考慮した場合の回分運転における本体圧力損失値は, 速度依存性を考慮しなかった場合のそれとほとんど変わらないことが分かった. また, 連続運転型である3列構成バグフィルターの汚れろ布抵抗ζDは, 速度依存性を考慮しなかった場合のそれより僅かに小さな値を与えた. しかし, 本体圧力損失の時間変化挙動は比抵抗αの速度依存性にはあまり影響を受けないことが分かった.
  • 野澤 靖夫, 神谷 誠太郎, 佐塚 泰之, 宮城島 惇夫, 園部 尚
    原稿種別: 研究論文
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    水難溶性薬物の溶解促進を目指す薬物粒子微細懸液の調製と, その長期安定保存を目的とする凍結乾燥再水和処理による微細懸濁液の粒子径の保持に及ぼす糖類の添加効果について調べた. 水難溶性薬物グリセオフルビンをモデル薬物として用い, その大豆水添レシチンとの混合物を超高圧乳化分散することで, 懸濁粒子径は約60 nmにまで微細化した. このものの凍結乾燥再水和物は, とくにスクロース, トレハロースおよびキシリトールを添加した場合, 元の平均粒子径に近い微細懸濁液に復元した. 復元に必要な最少の糖濃度は糖により異なるが, 三種の糖ではそれぞれ3, 3および5 wt%の値を示した.
  • 布子 拓, 伊藤 竜生, ゴールマン ボリス, 篠原 邦夫
    原稿種別: ノート
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 102-104
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    被覆型徐放粒子の溶出曲線は主に拡散型を示す. その一方, シグモイド型の溶出曲線は様々な溶出特性に対応できる. そこで, 被覆型徐放粒子の溶出曲線をシグモイド型に改良するために, 被覆粒子群の間隙を微粒子分散充填材で埋めた構造体を作製し, その微粒子体積割合と被覆粒子充填構造が溶出特性に与える影響について検討した. その結果, 構造体の溶出曲線はシグモイド型を示した. 初期溶出速度は充填材中の微粒子体積割合を低く, 被覆粒子間の空隙率を高くすることにより遅くなったが, 被覆粒子層高には依存しなかった.
  • —長時間のシミュレーションによる装置内粒子挙動の解析—
    秋山 聡, 小澤 和三, 吉田 英人
    原稿種別: ノート
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 108-111
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    高速回転する羽根により発生する旋回流を利用した高速回転式粉砕機において, 羽根傾斜が粉砕粒子へ及ぼす影響を検討した. 長時間のシミュレーションにより粒子挙動を解析し, 前報で得られた実験結果と比較した. そして, 粉砕物の細かさは, ローター内で粒子が受ける衝突エネルギーの積算値に関連があることがわかった. また, 傾斜角30℃の羽根は, 粒度分布の幅を狭く, 微細に粉砕できることがわかった.
安全,環境,エネルギー
  • 梶谷 史朗, 松田 裕光, 鈴木 伸行, 原 三郎
    原稿種別: 研究論文
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    大規模発電用IGCCの開発が国内外で活発に進められている. いずれのサイクルにおいてもガス化炉内の圧力は3 MPa近くで, 最高温度は1700℃にまで達することがある. 本報告では, ガス化炉内で生ずる初期反応である熱分解の特性を検討した. 気流層型反応装置(PDTF)を用い, IGCCガス化炉内の石炭投入部付近の温度·圧力条件を想定した石炭急速熱分解実験を4炭種の石炭について行い, 熱分解条件(温度, 圧力, 昇温速度)が生成チャーのガス化反応性へ及ぼす影響を明らかにした. 実験の結果, チャーのCO2ガス化反応性は熱分解圧力によりほとんど変化しないが, 熱分解温度が高いほど低下した. また, 反応性に及ぼす昇温速度の影響も大きく, 1200℃以上ではPDTFで生成したチャーのガス化反応性は, 同じ温度で低速昇温により生成したチャーよりも大幅に高いことがわかった. これは, 熱分解温度が高くなると, あるいは昇温速度が遅くなると, 炭素の結晶構造が成長してガス化活性点が減少するためと推定される. 灰分の触媒作用が小さい炭種では, 炭素構造とガス化反応性との間によい相関が得られた. 一方, イオン交換性カルシウムを多く含む炭種では, 1600℃の高温まで加熱して炭素構造が発達しても, 急速昇温で生成したチャーは触媒作用を維持して高い反応性を示すことが明らかになった.
  • 山本 剛, 大本 宣仁, 宍戸 文彦, 青木 秀之, 三浦 隆利
    原稿種別: 研究論文
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    環境汚染物質の排出低減および省エネルギーを実現するためには, すす生成機構を解明することが重要である. これまで数多くのすす生成に関する研究が行われてきたが, すすが生成される過程は高温ガス中であるため, その生成機構は未だ明らかにされていないのが現状である. そこで, 本研究ではプラズマにより加熱されたアルミナ反応炉において, ベンゼン熱分解反応によるすす生成実験を行うとともに, Discrete-Sectional法を適用することによりベンゼン熱分解反応, 核生成反応, 表面成長反応および凝集を考慮したモデルを構築し, 炉内滞留時間および反応ガス濃度がすす生成機構に及ぼす影響について検討を行った. その結果, 炉内滞留時間が長いほど, また反応ガス濃度が高いほど, 粒子径が大きくなるとともに粒子径分布の幅が狭くなることが示された.
  • 古林 通孝, 長井 健一
    原稿種別: 研究論文
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 54-64
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    活性炭への1,2,3,4-テトラクロロジベンゾパラジオキシン(T4CDD)吸着に対する活性炭粒径の影響を固定床流通系実験により明らかにした. 活性炭へのT4CDD吸着における境膜物質移動は充填層の通気抵抗から算出される有効粒子径で整理できるが, 粒内物質移動については活性炭表面の粗さに影響され, 有効粒子径が等しくても活性炭表面が粗い粒子の方が大きくなる.
    物質移動と直線平衡を適用した活性炭へのダイオキシン類吸着モデルを用いて, バグフィルタ上流に活性炭を吹き込む方法や活性炭吸着塔でのダイオキシン類除去性能を定量的に推定した. このとき細孔径2-50 nmの表面積が181 m2/gの活性炭の吸着係数は, ガス温度 170℃において6.1×105 m3/kgと推定された.
  • 成 昊鎮, 野田 玲治, 伊藤 一郎, 堀尾 正靱
    原稿種別: 研究論文
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    高価で複雑な従来の都市ごみ焼却飛灰中のダイオキシン類および重金属の無害化方法に代わる方法として, 本研究では, 焼却炉で飛灰ペレットをリバーニング処理する簡便かつ安価にダイオキシン類を分解し, 重金属を安定化させる方法について, とくに重金属の揮発·溶出挙動の検討を行った. 飛灰, セメントおよび水の混合物に薬剤(Na3PO4)を添加したものおよびしないものについてペレット化し, ラボスケールの気泡流動層炉にて, リバーニング処理を行った. 薬剤添加しないものに対してリバーニング処理しなかった場合は, Pbの埋立基準がクリアできなかったが, リバーニング処理により, すべての飛灰ペレットは重金属についての埋立基準をクリアすることができた. とくに薬剤を添加しない場合でも 700-900℃におけるリバーニング処理により, 重金属溶出は大幅に減少した. リバーニング処理により, 飛灰中のCaはAl, Si, Mg, Clなどと反応して鉱物を形成し不溶化することで溶出液のpHが低下することがわかった. リバーニング処理における重金属揮発の抑制には,飛灰のペレット化および少量のNa3PO4の添加が効果的であることがわかった.
  • 田中 耕太郎, 中桐 俊男, 藤井 孝博, 本多 武夫
    原稿種別: 研究論文
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    アルカリ金属熱電変換(AMTEC)のカソード側電極内の物質移動とその経時変化特性は出力性能に大きく影響する要因である. Mo電極の性能は1100 K以上の温度域で急激に劣化することが既に報告されている. しかしより低い温度域では, Mo電極の高い初期性能はより長時間維持される可能性がある. 本研究では温度範囲900-1050 Kにおいて, Na低圧蒸気雰囲気を利用する電極評価セル(SETC)による実験を実施した. 電極の限界電流密度を測定し, Na物質移動特性を自由分子流と仮定した無次元形状係数Gにより評価した. Mo電極部温度904 K, 1007 K, 1056 Kの作動条件において, 約100-150時間でGはそれぞれ20, 78, 122の一定値に収束する結果を得た. 904 Kの測定結果よりAMTEC 出力特性を検討すると, 従来のTiN電極(G = 150)と比較してMo電極は約50%の出力増加が期待できることを明らかにした.
  • 藤田 昌史, Kyoungrean KIM, 大門 裕之, 藤江 幸一
    原稿種別: ノート
    専門分野:
    2004 年 30 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/12/07
    ジャーナル 認証あり
    植物性タンパク含有廃水の生物分解性を短時間で向上させる方法として, 高温高圧水処理の適用の可能性を検討した. まず, モデル廃水として豆乳を用いた. 300℃, 9 MPaで7.4分間の処理を行ったところ, BOD1は未処理の豆乳より約2倍高い値を示し, 生物分解速度の向上が認められた. 分子量分布を測定したところ, 低分子化が進んでいたことがわかった. また, 未処理の豆乳のD-BOD5/D-CODCr比が0.54であったのに対し, 処理後には0.80にまで達していた. 生物分解性が向上したと判断される. 次に, 実廃水として豆腐製造廃水を用いて, 上記と同様の条件で処理を行った. 豆腐製造廃水のD-BOD5/D-CODCr比が0.49であったのに対し, 処理後には0.70にまで達していた. 以上のことから, 既存の生物処理プロセスの前段で植物性タンパク含有廃水の生物分解性を短時間で向上させる方法のひとつとして, 高温高圧水処理が有効となることが明らかとなった.
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