ナノメーターサイズの粒子(ナノ粒子)は凝集力が非常に強く, その分散の良否が加工工程あるいは焼結体などの最終製品に大きな影響を与える. したがって, ナノ粒子の分散技術は産業界において重要な要素技術として位置付けられている.
本研究では, ナノ粒子の分散が可能である高圧湿式ジェットミルを用いて, SiO
2(一次粒子径:約20 nm)およびAl
2O
3(一次粒子径:約13 nm)を水中へ分散させ平均粒径と操作条件の関係および平均粒径と生成サスペンション粘度の関係を考察した.
体積平均径(
dv)は両粒子とも処理圧力(
P), 通過回数(
N)および粒子濃度(
C)の増加に伴い減少するが, 一次粒子径までは減少しない. SiO
2の場合, 凝集粒子径は一次粒子径の5.9-7.4倍, Al
2O
3の場合は6.5-8.1倍となり, 一次粒子径が小さいほど分散が難しい. 各種条件において,
dvとエネルギー散逸速度(ε)は両対数紙上では直線関係を示し, その傾きは−0.03である. 生成サスペンションのレオロジー特性については, 両粒子とも
N=0では塑性を示すが,
N≧1では擬塑性を示し,
Nの増大とともに擬塑性の程度は減少し,
N≧10では見かけ上ニュートン性を示す.
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