化学工学論文集
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30 巻, 3 号
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[特集] 流動接触反応技術の新たな展開
  • 筒井 俊雄, 中村 敏雄, 高塚 透, 牛窪 孝
    2004 年 30 巻 3 号 p. 247-248
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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  • 筒井 俊雄
    2004 年 30 巻 3 号 p. 249-255
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    高い選択性を示す流動層接触反応の設計と解析を行うために, ダイレクトコンタクトを考慮した包括的な流動層逐次反応モデルを構築し, エマルション相ガスの軸方向混合が無視できる場合(VUMEモデル)と完全混合の場合(PMEモデル)につき解析解を導出した. この反応モデルに基づき流動層接触反応の解析を行い, 反応性能を支配する基本パラメータとそれによる反応の相似性を明らかにした. 相似則に基づく検討と実反応結果との対比から, Dense bed zoneにおける反応には物質移動支配域と逆混合支配域のあること, 実反応はPMEモデルとよく一致することなどがわかり, また, 流動層接触反応性能, とくに逐次反応の選択性を高める上で, ダイレクトコンタクト粒子比率Ndc, 物質移動容量係数と反応速度定数の比Nmr, 触媒粒子の逐次反応速度定数比Nrrが重要であり, それらの協働効果としてきわめて選択的な流動層反応設計が可能であることを明らかにした.
  • 甲斐 敬美, 西江 強一, 高橋 武重, 中島 充幸
    2004 年 30 巻 3 号 p. 256-261
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    反応によってガス体積(モル数)が減少する反応を流動触媒層で行った場合の流動化状態を調べるために, ガラス製の反応器を使用して層内で起きる現象を観察した. その結果, 反応が進行すると, 条件によっては層上部の触媒粒子が凝集し, 流動化が停止して, 塔径大の粒子層の塊が流動化ガスによって持ち上げられることがわかった. このようにエマルション相が凝集することの原因の一つとして, エマルション相と気泡相のガス密度の違いが考えられるため, この影響について調べた. その結果, 本反応においては, ガスの密度差は原因とならないことがわかった. モル数減少反応が起きている場合の流動性の低下はエマルション相における反応にともなうガス体積の減少によって, 層が収縮し, 気泡の上昇が妨げられることが大きな原因と考えられる.
  • 伊藤 浩文, 大原 武, 渡邉 嘉之, 海野 洋, 石垣 慎也
    2004 年 30 巻 3 号 p. 262-266
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    炭酸ジメチル(DMC)は多彩な用途をもつ化合物である. 気相でのメタノールの酸化的カルボニル化反応でDMCを合成するための担体および触媒を開発し, 開発したCuCl2/NaOH/活性炭触媒に対して最適条件の探索を行った. 反応温度の制御と触媒再生のためには流動層反応器が適している. 小型(内径13.3 mm)とベンチスケール(内径53.5 mm)の流動層反応器を用いてDMCの合成反応を行った. ベンチスケール反応器を用いた実験は, 200時間以上の長期運転でも良好な反応成績を示した.
  • 池田 米一, 田代 眞治, 藤山 優一郎
    2004 年 30 巻 3 号 p. 267-271
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    下降流反応器, ダウナーは高い気固接触効率や選択性などの顕著な利点が期待されている. それを利用する接触循環プロセスにおいては触媒粒子を効果的に再生するとともに, 再生塔からダウナー上部へ円滑に輸送することが肝要である. このような背景から再生粒子の円滑な輸送を効果的に実現する上方へ断面積を絞ったコーン状フリーボードを有する二次元流動層実験装置を用いて粒子の上方への輸送特性を求め, さらにこの方式の新しいFCCプロセスへの適用性について検討した.
  • 斉間 等, 青野 利直, 浅見 幸雄, 信沢 達也, 鈴木 利英
    2004 年 30 巻 3 号 p. 272-276
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    流動層接触酸化反応装置を用いた無水フタル酸製造用触媒は, 操業当初, 粉砕したシリカに酸化バナジウムなどの活性成分を担持した触媒を使用していた. その後, 触媒の球形化, 活性成分へのセシウムの添加, アルカリ金属比率の調整などにより流動触媒と流動層の改良を行ってきた. 本報では, これらの触媒開発の経緯とともに, それらが流動層の操業に与えた影響について述べる.
  • 筒井 俊雄, 伊地知 和也, 池田 米一
    2004 年 30 巻 3 号 p. 277-284
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    重質油を高収率に軽質化するとともに副生コークを合成ガスや水素に連続的に転化する合理的なプロセス技術を確立するために, 流動層熱分解法の研究を行い, 従来困難であった, 流動層によるマイルドな液相熱分解が, 微粒の多孔質粒子を用いてその円滑な流動性と「粒子容量効果」を活用することにより可能となった.
    多孔質粒子の容量効果により, 供給された重質油は粒子細孔内に吸蔵されるため, 粒子表面は乾いた状態に保持され, 良好な流動状態を保ちつつ液相熱分解を比較的低温で安定に行うことができた. また, 容量効果の第2の効果として, 多孔質粒子のミクロポアあるいはメソポアにより熱分解による軽質化を著しく進行させることができることを明らかにした.
    熱分解反応結果に基づいて流動層熱分解の反応モデルを構築し, 反応条件と粒子細孔径が熱分解に及ぼす影響を定量的に表わすことができた. また, 細孔による熱分解促進効果は, 直径がnmないし10 nmオーダーの細孔内に吸蔵された液相のメニスカス曲面における蒸気圧降下によって説明することができた.
  • 松田 聡, 倉本 浩司, 鈴木 善三, 幡野 博之, 遠藤 茂寿, 桜井 志乃, 益山 忠
    2004 年 30 巻 3 号 p. 285-291
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    高濃度で大量に排出される自動車由来のNOxの高効率除去を目的として, 光触媒流動層による処理方法について検討した. 流動層での光触媒の取り扱いを容易にするため, Sol-Gel法あるいは機械的複合化法などの方法により複合化粒子を調整した. 実験では内径35 mm, 高さ1.2 mの気泡流動層を用い, 100 ppm程度のNOxを0 ppm近くまで処理できることを明らかにした. 生成物である硝酸により処理能力が急速に落ちることも確認した. 連続処理について確認するため, ライザー高さ1140 mm, 内径18 mmの小型循環流動層を用いた実験とシミュレーションについても検討した. その結果, 光触媒の円滑な供給・抜き取りによりNOxを効率的に連続処理できることを確認した. また, 希薄相での処理ではNOxと光触媒粒子との効率的な接触に関わる因子, 物質移動, 粒子循環量, NOx保持容量が重要であることを明らかにした.
  • 上村 芳三, 大江 浩之, 大角 義浩, 幡手 泰雄
    2004 年 30 巻 3 号 p. 292-297
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    回収プラスチックの新たな化学リサイクルプロセスとして, 2段噴流層プロセスを提案した. 第1段噴流層においては, プラスチックを媒体噴流層中に投入し, 熱分解する. 熱分解の結果生じた炭化水素ガスおよび蒸気を第2段噴流層に送り, 熱/接触分解することにより水素と炭素を得る. 本論文では, 第2段の基礎データを得るために, エタン, エテンおよびプロペンをアルミナボールを噴流媒体とする噴流層反応器中(カラム高さ600 mm, 内径21.6 mm, SUS304製)で分解した. 炭化水素の種類, 炭化水素分圧, 媒体へのニッケルメッキの有無, 温度, ガス空塔線速度が炭化水素の分解挙動に及ぼす影響を検討した. 主生成物は水素と炭素であった. ニッケルの媒体への付加により接触分解反応は進行した.
  • 和田 浩之, 大角 義浩, 伊地知 和也, 根津 修美雄, 上村 芳三, 幡手 泰雄
    2004 年 30 巻 3 号 p. 298-299
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    シラスからシラスバルーンが製造されることは広く知られている. 本研究ではシラスバルーンのさらなる機械的強度の増加などの高付加価値化を達成し, 需要の拡大を目指して粒子径20 μm以下のシラスマイクロバルーン(Shirasu microballoon;SMB)の製造を行った. すなわち, ライザー下段温度を変化させて, それがかさ密度, モルフォロジーに及ぼす影響を検討した. 結果として1175 Kの時にかさ密度が最も小さく, 粒子径が20 μm以下のシラスマイクロバルーンを製造することができた.
移動現象、流体力学、混合
  • 古畑 朋彦, 新井 紀男, 片桐 晴郎, Jim KOK, Theo van der MEER
    2004 年 30 巻 3 号 p. 318-324
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    コンピュータの低価格化と高性能化に伴い, 熱流体の分野においても, 燃焼装置などの開発に際して市販の熱流体解析ソフトウエアを用いた数値シミュレーションが広く利用されている. その推算精度に関しては, 実験結果や他の解析ソフトウエアの計算結果との比較による検討がしばしば行われているが, 実際にソフトウエアを用いて計算しようとする際に有用となる情報が公表されることは少ない.
    そこで本研究では, 円筒燃焼炉内の非燃焼乱流噴流を対象として, 市販の熱流体解析ソフトウエアによる数値シミュレーションを行い, その計算結果を著者らが以前報告した実験結果および著者らのオリジナルソフトウエアによる計算結果と比較し, 推算精度の検討を行った. その結果, ほぼ同じ乱流モデル, 計算格子, 境界条件, 離散化スキームを使用しても, 著者らのオリジナルソフトウエアと市販ソフトウエアで同一の計算結果が得られないことや, 高精度な離散化スキームや詳細な計算格子の使用が必ずしも計算結果の精度向上に結びつかないことを示した. 本研究で示した結果は, 市販の熱流体解析ソフトウエアを実際の燃焼装置開発などに適用する際の参考になるものと思われる.
  • 田中 邦明, 熊沢 英博
    2004 年 30 巻 3 号 p. 325-331
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    ナノメーターサイズの粒子(ナノ粒子)は凝集力が非常に強く, その分散の良否が加工工程あるいは焼結体などの最終製品に大きな影響を与える. したがって, ナノ粒子の分散技術は産業界において重要な要素技術として位置付けられている.
    本研究では, ナノ粒子の分散が可能である高圧湿式ジェットミルを用いて, SiO2(一次粒子径:約20 nm)およびAl2O3(一次粒子径:約13 nm)を水中へ分散させ平均粒径と操作条件の関係および平均粒径と生成サスペンション粘度の関係を考察した.
    体積平均径(dv)は両粒子とも処理圧力(P), 通過回数(N)および粒子濃度(C)の増加に伴い減少するが, 一次粒子径までは減少しない. SiO2の場合, 凝集粒子径は一次粒子径の5.9-7.4倍, Al2O3の場合は6.5-8.1倍となり, 一次粒子径が小さいほど分散が難しい. 各種条件において, dvとエネルギー散逸速度(ε)は両対数紙上では直線関係を示し, その傾きは−0.03である. 生成サスペンションのレオロジー特性については, 両粒子ともN=0では塑性を示すが, N≧1では擬塑性を示し, Nの増大とともに擬塑性の程度は減少し, N≧10では見かけ上ニュートン性を示す.
  • 山口 佳子, 高木 史典, 山下 健一, 清水 肇, 前田 英明, 外輪 健一郎, 草壁 克己, 山崎 吉一, 諸岡 成治
    2004 年 30 巻 3 号 p. 341-345
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    マイクロチャネル内の流体は, その低レイノルズ数のために層流が保たれることが広く知られているが, 屈曲構造を持つマイクロチャネルにおける流体挙動はほとんど明らかにされていなかった. ここでは, ヘアピンカーブ構造を持つマイクロチャネル内の2層流体の流体挙動を掴むために, 共焦点蛍光顕微鏡による流体挙動の3次元的直接観察と, 3次元数値流体力学シミュレーションとを行った. これらの結果, 流速が速い場合, カーブにおける慣性力の影響により2層流の界面は大きくゆがみ, 界面面積の増大を生むことが明らかになった. 界面面積の増大は3倍以上にもなることがあることが示された. 界面面積の増大はそれを通した物質拡散を促進し, 化学反応に影響を与える. このことは, マイクロ流路を化学反応場として利用する際には, 流体挙動および混合挙動を把握した上でチャネル構造の設計および作製を行う必要があることを示唆する.
  • 大平 勇一, 高橋 洋志, 高橋 衛, 安藤 公二
    2004 年 30 巻 3 号 p. 360-367
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    平均粒径28 μmの微粉炭—水系の石炭スラリーを用いて, 二重管型気泡塔の環状部外壁の熱伝達係数を環状部の水平方向温度分布と熱移動量の測定から決定した. ガス吹き込みの無いスラリー系の伝熱挙動は液単相の挙動と類似している. すなわち, その熱伝達係数は液単相の推算式に石炭スラリーと水の粘度比を導入して推算できることを明らかにした. 気液系およびガス—石炭スラリー系では熱伝達に及ぼすガスホールドアップの影響が液速度やスラリー速度に比べてより顕著である. 結果として, ガス—石炭スラリーの環状壁における熱伝達を支配する主たる要因はガスホールドアップである.
  • 相田 真男, 望月 雅文
    2004 年 30 巻 3 号 p. 376-380
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    不完全な邪魔板条件の撹拌槽において, 固体的回転部分半径の変化と撹拌所要動力の変化との関係を仮定し, 山本の相関式(Yamamoto, 1961)をもとに, 撹拌槽形状と操作条件から液自由表面形状を算定する修正山本式を提案した. この修正式による推定値は, 平パドルを用いたKamei et al. (1999)の固体的回転部分の半径に関する実験値と実用範囲(b/D<0.16, b: 翼高, D: 槽径)で良好に一致した. また, 修正式により算定した液高と生産工程の撹拌槽における実測値とは大略一致し, 修正式の実用範囲での有用性を明らかにした.
触媒、反応、反応器設計
  • 都留 稔了, 山口 浩司, 吉岡 朋久, 浅枝 正司
    2004 年 30 巻 3 号 p. 346-352
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
    ジャーナル 認証あり
    水素選択透過性を有する多孔質分離膜を用いた膜型反応によるメタン水蒸気改質反応のモデル化を行い, 膜透過選択性, Damkohler数Da(=反応速度/原料供給速度)およびPermeation数θ(=透過速度/原料供給速度)に対するメタン反応率, 水素収率の依存性を検討した. 水素選択性はメタン反応率および水素収率には大きな影響を与えないものの, 水素選択性が高いほど高純度水素を得ることができる. さらに, 原料ガスに酸素を加えた改質反応, および, 膜非透過ガスの酸素燃焼を考慮した熱収支の計算を行った. 膜反応器の非透過流を酸素燃焼させた場合, 水蒸気改質の場合でメタン反応率0.65程度, 酸素を添加した場合は酸素メタン供給比に依存しているものの, メタン反応率0.7-0.8において系全体が熱的に自立可能となることを示した.
分離工学
  • 楠瀬 泰弘, 横山 正人, 伊藤 寿夫
    2004 年 30 巻 3 号 p. 311-317
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
    ジャーナル 認証あり
    イオン交換樹脂を用いた発酵液の精製において, 菌体分離などの前処理を行わずに, 発酵液を直接処理できる新移動床法の検討を行った. 新移動床法は固定床法と異なり, 槽内で樹脂スラリーを撹拌しながらイオン交換反応を行うことを特徴としており, 菌体を含有した発酵液を供給しても菌体による閉塞は起こらないことを前報で実証している. しかし, 設備の動作安定性が悪く連続実験ができない, 溶離剤量が多いなどの問題があった.
    そこで樹脂の重力沈降を利用した沈降式分離装置を用いたところ, 設備安定性が増したため連続実験が可能になった. L-リシン発酵液を用いたパイロットテストでは, 12日間で15.4 tの精製L-リシンが得られた. また, 溶離液のL-リシン濃度, 溶離剤であるアンモニア量について, 前報と比べて改善することができた. 不純物除去性についても検討を行い, 樹脂に吸着するカチオン類の約90%を発酵液から除去できることがわかった. さらに新移動床法での廃液量は, 流動層法で樹脂を洗浄した場合に比べ少ないことから, 新移動床法が環境保護型プラントとして期待できることがわかった. 加えてイオン交換平衡が成り立つと仮定したモデル計算を行ったところ, L-リシン吸着量, アンモニア吸着量について計算値は実測値と良好に一致した. これより, モデルを用いたシステム最適化が可能であることがわかった.
  • 入谷 英司, 向井 康人, 片桐 誠之, 平野 達彦
    2004 年 30 巻 3 号 p. 353-359
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
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    凝集および吸着処理を併用したフミン質溶液のハイブリッド型限外濾過法を提案した. ポリ塩化アルミニウム(PACl)による凝集は, フミン質の中で比較的分子量の大きなフミン酸に対してとくに効果的であり, 一方, 粉末活性炭(PAC)による吸着は, 凝集しにくい, 比較的分子量の小さなフルボ酸にも効果があることがわかった. これらのことから予想されるように, 凝集と吸着の併用処理がフミン酸, フルボ酸の両者を含むフミン質の処理に極めて効果的であることが明らかとなった. また, これらの凝集, 吸着性能は試料液のpHによって大きく影響されることも示した. ついで, 凝集および吸着処理を併用したハイブリッド限外濾過を行うと, 高い濾過速度でフミン質を除去できることがわかった. この濾過特性には, PAClやPACの添加量が大きな影響を及ぼし, それぞれ最適添加量が存在することが示唆された.
  • 今駒 博信, 吉田 正道, 宮原 稔, 大村 直人
    2004 年 30 巻 3 号 p. 368-371
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
    ジャーナル 認証あり
    材料表面に移動抵抗をもつ親水性多孔平板の等材料温度乾燥においてregular regime(RR)曲線が現れる可能性に関して, 数値実験的, 理論的検討を行った. その結果, 第1に抵抗値一定では抵抗のない場合と同じ描き方でRR曲線が現れたのに対して, 抵抗値が乾燥とともに増加する場合には現れなかった. 第2に水分移動係数の含水率依存性が既知のとき, 流束比較法に基づいた乾燥特性関数で, 移動抵抗をもつ場合の乾燥速度と平均含水率の関係を良好に推定できた.
粉粒体工学、流動層
  • 小島 紀徳, 内山 剛史, 加藤 茂, 渋谷 博光, 上宮 成之
    2004 年 30 巻 3 号 p. 306-310
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
    ジャーナル 認証あり
    半導体産業の発展などから高機能なシリカ製品が注目されている. なかでも微粒シリカの用途は多岐にわたる. 現在の主な製造法では, 多くの問題がある. そこで本研究では, 液相法が主流であるアルコキシシランの加水分解を気相中において行い, 連続合成によりシリカ合成することを想定し, 操作条件が反応速度(粒子生成速度)および生成した粒子性状に与える影響を検討した. 反応条件を変えることで粒子径の制御が可能であることが示された.
  • 桂 典史, 下坂 厚子, 白川 善幸, 日高 重助
    2004 年 30 巻 3 号 p. 332-340
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
    ジャーナル 認証あり
    セルラーオートマトンを利用して, 新しい大規模粒子法シミュレーションを開発した. オートマトンルールは粒子の移動ルールと粒子間相互作用ルールとから成る. さらに粒子間相互作用ルールは, 衝突ルール, 静的接触ルールと衝撃力伝達ルールの三つのルールから成っている. 本シミュレーション法で重要である粒子間相互作用ルールは, 粒子要素法による粉体重力流動のシミュレーションから得られた粒子間相互作用力にもとづいて定量的に導いた. オートマトンシミュレーションの1ステップ相当時間を定義することによって粉体現象の時間発展のシミュレーションが可能になり, それにより流動過程における刻々の状態量を得ることができる. 本シミュレーションで得られる流動模様, 粒子間接触力分布や速度分布を実験値と比較し, 本シミュレーションの妥当性を確認した. 本シミュレーション法は, 実際の粉体現象の直接シミュレーション法としての可能性を持っている.
  • 會田 忠弘, 上林 里栄, 東出 剛, 伊波 興祐, 樋口 健志, 佐藤 志美雄
    2004 年 30 巻 3 号 p. 372-375
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
    ジャーナル 認証あり
    雲母粉末を粒状と扁平な粒子が生成する2種類の方法で粉砕後, シランカップリング剤を用いて疎水化し, エマルション化剤としての特性を検討した. 疎水化された雲母は安定なO/W型液滴を形成するが, W/O型液滴は形成しなかった. 液滴の径は疎水化雲母粒子の添加量の増加および粒子径の減少に伴い数百μmから百μm以下へ減少した. さらに, 液滴径は同じ添加量でも扁平な粒子を用いた方が小さかった. 疎水化雲母粒子を用いスチレン液滴を形成後, UV照射により重合した. 得られたポリスチレンビーズのSEM像より, 疎水化雲母はその平坦な面を油—水界面上に横たえる形で付着しているものと考えられた.
  • 蓑嶋 裕典, 松嶋 景一郎, 篠原 邦夫
    2004 年 30 巻 3 号 p. 381-384
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
    ジャーナル 認証あり
    噴霧乾燥造粒法で得られる顆粒の評価にあたり, 内部空隙率は顆粒の強度や溶解性などに影響を及ぼす重要な因子である. 顆粒内部の空隙率は, 通常, 水銀ポロシメータを用い測定される. しかし, 測定が煩雑であること, また, 穴のあいた顆粒, 割れた顆粒, および強度の弱い顆粒などにおいては正確な値が必ずしも得られない.
    そこで, 本報告では, 測定された顆粒の粒度分布と計算される噴霧液滴径から, 顆粒内部空隙率を推算する方法を検討した. その結果, 内部空隙率は, 粒度分布を個数基準で評価した場合, 大きな誤差を生じるが, 質量基準のメディアン径で評価した場合, 妥当な値を示した. これより, 水銀ポロシメータでの測定が困難な中空顆粒から中実顆粒に対して有用と思われる顆粒内部空隙率の推算方法を考察した.
安全、環境、エネルギー
  • 高田 誠, 細見 正明, 戸田 久之
    2004 年 30 巻 3 号 p. 300-305
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/21
    ジャーナル 認証あり
    気相中有害化学物質の除去技術として, 活性炭による吸着除去法が用いられている. とくにダイオキシン, PCBは厳しい排出管理が要求されており, ゴミ焼却炉, PCB処理施設では活性炭吸着装置は必要不可欠な設備である. しかし, 毒性も高く, 異性体数の多いダイオキシン, PCBを用いて実際に試験を行うことは難しい. そのため気相中での吸着に関する基礎的な知見が不足している.
    今回, ラボスケールのカラム流通式吸着実験装置を製作し, 実際にPCBを用いてPCB蒸気の活性炭への吸着特性を明らかにした.
    破過曲線を作成した結果, D2CBs, T3CBs, T4CBsの順で破過が進行していることがわかった. さらに異性体ごとに破過曲線を作成したところ, 破過時間に明らかな差が見られた. 各異性体の蒸気圧と 破過時間に着目すると, 蒸気圧が高い異性体から先に破過していることが確認できた.
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