化学工学論文集
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32 巻, 3 号
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移動現象,流体工学
  • 川崎 博幸, 山本 辰美, イスル シーックアラッチ, 熊澤 英博
    2006 年 32 巻 3 号 p. 207-210
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
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    孔配置の異なる多孔板を用いた場合の気泡塔(直径0.32 m)における平均ガスホールドアップと液混合時間について実験的に検討した.孔径は0.5 mm,孔数は88であり,使用した多孔板上の孔配置は次の4種類である.
    Type A: ピッチ30 mmの正三角形配置
    Type B: ピッチ7 mmの正三角形配置
    Type C: 直径0.256と0.288 mの同心円上に等間隔
    Type D: 塔壁に偏ったピッチ10 mmの正三角形配置
    すべての実験において,静止液高さは0.64 mとし,この条件下で平均ガスホールドアップと液混合時間を測定した.4種類の多孔板による平均ガスホールドアップはガス空塔速度の増大とともに増加し,多孔板上の孔配置がガスホールドアップに強く影響した.Type Cの多孔板を使用した場合の平均ガスホールドアップは本実験下のガス空塔速度の範囲にわたってもっとも大きかった.もっとも小さかったのはType Dの多孔板を使用した場合であった.しかしながら,本実験条件下での液混合時間にはほとんど影響せず,ほぼ一定の液混合時間を示した.
  • 門叶 秀樹, 原田 英二, 栗山 雅文
    2006 年 32 巻 3 号 p. 211-214
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル 認証あり
    垂直円管内を下降する固液混相流の圧力損失と乱流遷移に及ぼす分散媒粘度の影響について実験的に検討した.
    分散媒の空塔速度を用いて定義した管摩擦係数を,同様に定義したレイノルズ数に対してプロットする方法によって,圧力損失に及ぼす液粘度の影響の評価を試み,管摩擦係数がレイノルズ数と良好に相関できることを示した.この整理に基づき,管摩擦係数および乱流遷移レイノルズ数の実験式を提出した.
粉粒体工学
  • 井上 毅, 加納 純也, 齋藤 文良
    2006 年 32 巻 3 号 p. 215-219
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル 認証あり
    軟質ポリ塩化ビニル(PVC)として,農業用ビニルシートを用い,可塑剤(フタル酸エステル(FAE))含有および可塑剤除去の二種類のサンプルを調製した.おのおののサンプルを水酸化ナトリウム(NaOH)と,サンプル中の塩素(Cl)に対するNaOH中のナトリウム(Na)が所定のモル比となるように混合して,遊星ミルにより,室温にてメカノケミカル(MC)処理し,PVCとNaOHとのMC脱塩素反応に及ぼすFAEの影響を検討した.FAEが存在すると,MC脱塩素反応は阻害されるが,NaOHの添加量を増加することで,脱塩素率は大きく向上する.MC反応そのものは,FAEの存在に無関係であり,かつ,MC処理しても,FAEが水相側に溶出することはない.
  • 石川 敏, 下坂 厚子, 白川 善幸, 日高 重助
    2006 年 32 巻 3 号 p. 220-226
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
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    ふるい分けによる粒子群の形状分離を目的に,針状粒子のふるい分け機構を解析した.
    まず,規則的な円筒形状のモデル粒子を用い,ふるい分け速度に及ぼす振動条件と粒子形状の影響を考察した.垂直振動の場合,粒子は網面に対して主に垂直に配向するため,長軸径の影響をほとんど受けずに短軸径により分離された.一方,水平振動の場合は粒子が長くなるほどふるい分け速度が低下するため,長軸径による分離が可能であった.分離長軸径は目開き寸法ならびに粒子と網面のなす仰角により決まり,この仰角は粒子の網面に対する相対速度に支配されることがわかった.
    つぎに,実在する針状粒子の例として竹繊維粒子を用い,その形状分離を試みた.竹繊維粒子の粒子径分布は対数正規分布にしたがい,粒子の形状を角丸四角柱に近似すると形状指数により分離限界径(短軸径,厚さ)を推定できた.さらに,条件を適切に選択してふるい分けることにより,竹繊維粒子を長軸径により分級することも可能となった.
  • 石川 敏, 吉田 友一, 下坂 厚子, 白川 善幸, 日高 重助
    2006 年 32 巻 3 号 p. 227-235
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
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    ふるい分け過程における微粒子の透過モデルに基づき,ふるい分け速度の推算を試みた.この微粒子透過モデルは,(1)振動粗粒子群,(2)粒子群とふるい網面の境界,(3)ふるい網目に対する三つの確率モデルからなる.まず,振動粗粒子群を単純立方格子と仮定し,粒子群における微粒子通過確率を空隙率の関数として表現した.空隙率の変動機構はシミュレーションより,また微粒子濃度の影響は実験より明らかにした.つづいて粗粒子の網面における挙動を解析し,粒子群と網面の境界における通過確率を求めた.さらに,網目における微粒子の通過確率をより正確に得るため,振動条件の影響を考慮に入れた.これら三つの確率モデルからなる推算式により,微粒子の質量割合が10%以下の操作条件において,ふるい分け速度の予測が可能となった.
分離工学
  • 三村 富雄, 熊沢 英博, 八木 靖幸, 高品 徹, 吉山 隆士, 本田 昭洋
    2006 年 32 巻 3 号 p. 236-241
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
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    主要なCO2化学吸収液6種の反応速度特性試験を温度298 Kで行った.実験は平面撹拌槽で実施され,気液の水平界面が完全に平滑であることを目視確認した.
    試験した吸収液は2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP),KS-1液,モノエタノールアミン(MEA),メチルアミノエタノール(MAE),メチルジエタノールアミン(MDEA)およびジエタノールアミン(DEA)である.MAEとKS-1吸収液は反応速度特性が良く,これらのCO2吸収速度は従来の代表的吸収液であるMEAと比べて大きかった.
    また,反応速度定数を簡易に求める方法についても検討した.CO2とアミンの反応速度定数を求めるには,反応速度特性試験に加えて,物理吸収試験が必要である.この比較的困難な実験を行うことなく,計算で反応速度定数を求めることができた.このような計算は,分子量が60–120で,アミン濃度が1.4 kmol·m−3以下の希薄溶液について可能となる.
    MAEの反応速度定数は298 Kで7.99×103 m3·kmol·s−1, KS-1の反応速度定数は4.71×103 m3·kmol·s−1と算出され,MEAの反応速度定数(3.63×103 m3·kmol·s−1)より大きい結果が得られた.
  • 関野 政昭, 松井 洋一, 藤原 信也
    2006 年 32 巻 3 号 p. 242-245
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
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    中空糸型逆浸透モジュールにおいて既に著者らは広範な実データとの整合性に優れたFCPモデルを提案している.しかし,当モデルの物質移動相関式において,物質移動係数より算出される膜面での境膜厚みが,平均の中空糸間々隙長を逸脱するという矛盾を内包していた.そこで,実際の逆浸透モジュールの中空糸膜配置に近似して,二段階の物質移動機構からなる集合体モデルを考案しこれを検証した.その結果,この集合体モデルによれば,集合体界面の境膜厚みは平均の集合体間々隙長より十分に小さく見積られ,物理的齟齬のないことが確認された.
熱工学
  • 坂田 太郎, 岩瀬 徹哉, 神原 信志, 守富 寛
    2006 年 32 巻 3 号 p. 246-252
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル 認証あり
    加圧流動層ボイラに用いられる摩耗防止用カバー付き層内伝熱管の設計手法を確立するために,入熱2 MWthの加圧流動層試験装置を用いて伝熱管のカバーと伝熱管の隙間(ギャップ)内に存在する粒子層の有効熱伝導度を測定した.伝熱管は,カバー無し伝熱管およびギャップ長の異なる2種類のカバー付伝熱管を用いた.ギャップ長が増加するとギャップ内に存在する流動媒体粒子の充填率は増加し,粒子層有効熱伝導度も増加した.この実験に加え,小型粒子層有効熱伝導度測定装置および常圧流動層におけるギャップ内粒子層有効熱伝導度の測定を行い,幅広い粒子温度範囲での粒子層有効熱伝導度を得た.ギャップ内粒子層有効熱伝導度に及ぼすギャップ長の影響は,Kunii–Smithによる充填層有効熱伝導度推算式の形状係数β=3.4とすることで予測できることがわかった.
  • 中尾 一成, 尾崎 永一, 弓倉 恒雄, 池内 正毅, 山中 晤郎, 辻森 淳, 平田 雄志
    2006 年 32 巻 3 号 p. 253-261
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル 認証あり
    平滑管,コルゲート管,針状らせんフィン付き管を用いたLiBr–水系垂直流下液膜式吸収器の熱物質移動特性を1次元差分モデルを用いて数値解析した.管外径12 mmの上記吸収伝熱管について温度,濃度および水蒸気吸収速度の流下方向局所分布を実操作条件下で調べ,針状らせんフィン付き管の性能が他の管に比べて優れていることを明らかにした.また,これらの吸収伝熱管について,全長4 mの条件下で多管分割の影響を調べた結果,管を分割しない1本の長尺管が最大の出力,蒸気吸収量を与えることが分かった.
    さらに,針状らせんフィン付き管の性能に及ぼす水蒸気温度や管内冷却循環水の入口温度の影響を考察し,水蒸気温度が高いほど,また,冷却循環水の入口温度が低いほど,これらの温度に対して熱出力,水蒸気吸収速度および熱出力温度が直線的に増加するが,一方,熱出力温度の水蒸気温度に対する昇温幅は直線的に減少することが分かった.また,水蒸気温度や管内冷却循環水の入口温度に対して実操作条件を設定したときの昇温幅は約20–30 Kとなり,針状らせんフィン付き管は第二種吸収式ヒートポンプに要求される性能を満足することが確認できた.
  • 中尾 一成, 尾崎 永一, 弓倉 恒雄, 池内 正毅, 山中 晤郎, 平田 雄志
    2006 年 32 巻 3 号 p. 262-268
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル 認証あり
    針状らせんフィン付き管の管外液膜熱伝達特性に関するフィン効率や伝熱促進効果を実験的に検討した.管外径12 mm,ダブル巻きフィンでは,フィン効率は流量にかかわらず0.14と小さいが一定値を示し,伝熱面積拡大への寄与は約2倍強であった.また,実伝熱面積基準の管外液膜熱伝達率は平滑管と比較して約2–3倍の値を示し,フィンによる伝熱促進の効果がある.特に低膜レイノルズ数領域で顕著な伝熱促進が認められた.さらに,液膜熱伝達特性の改善にはフィンと伝熱管壁間における接触熱抵抗の軽減による効果が大きいことが分かった.
  • 松下 洋介, 小山 敦暢, 菅原 孝世, 両角 仁夫, 青木 秀之, 三浦 隆利
    2006 年 32 巻 3 号 p. 269-273
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,非圧縮性流体解析において,ガス燃焼や微粉炭燃焼解析で考慮される15化学種(N2, O2, CO, CO2, H2, H2O, SO2, H2S, CH4, C2H2, C2H4, C2H6, C3H4, C3H6, C3H8)を対象とし,化学種の質量保存式およびエネルギー保存式から得られる化学種のモル分率およびエンタルピーから温度を算出する方法について検討した.
    化学種のモル分率およびエンタルピーから温度を算出する場合,熱容量を一定として温度を算出すると多大な誤差が生じるため,熱容量の近似式を積分して得られるエンタルピーと温度の関係を表す多項式を解くことにより温度を求めることが望ましい.熱容量を温度に関する3次以下の多項式で近似した場合,エンタルピーと温度の関係を表す多項式は温度に関する4次以下の多項式となるため,代数的に温度を算出できるが,熱容量を4次以上の多項式で近似した場合,Newton法などの繰り返し計算を用いて温度を算出する必要がある.熱容量の温度に関する多項式の次数が大きくなるにつれて計算負荷は大きくなるが,エンタルピーと温度の関係を表す多項式の次数が4次の場合,温度算出に代数方程式の解法と繰り返し計算を用いた解法では,計算負荷は同程度であった.
反応工学
  • 佐藤 剛史, 横山 裕之, 三木 英了, 伊藤 直次
    2006 年 32 巻 3 号 p. 274-280
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル 認証あり
    不飽和アルコール脱水素反応のモデル反応として,流通式反応器を用い,CuO/ZnO触媒によるcis-3-hexen-1-olの脱水素反応を行った.反応温度は438–458 Kとした.主生成物はcis-3-hexenal, 1-hexanol, hexanalであり,反応経路は1)cis-3-hexen-1-olの脱水素反応によるcis-3-hexenalの生成,2)脱水素反応で生成した水素とcis-3-hexen-1-olの水素化反応による1-hexanolの生成,3)cis-3-hexenalの水素化反応,4)1-hexanolの脱水素反応によるhexanalの生成であった.hexanal収率がもっとも高く,収率は最大80%以上となった.
    熱力学物性が未知であるcis-3-hexen-1-olとcis-3-hexenalの物性値を推算し,それに基づき全反応の自由エネルギーを計算した.反応平衡計算の結果,本温度領域ではhexanalが非常に安定であり,実験結果と同様の傾向であった.また,438–458 Kにおける実測値を相関する反応速度定数の実験式を提出した.
  • 小布施 洋, 脇田 正明, 中山 哲, 北野 清之, 畠 康彦, 細見 正明
    2006 年 32 巻 3 号 p. 281-287
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル 認証あり
    高濃度の有機窒素化合物および無機塩類を含む産業廃液の模擬液を用い,商業規模のダウンフロー反応器による有機窒素化合物の超臨界水酸化特性について検討した.産業廃液中の窒素化合物のモデルとしてはN,N-ジメチルアセトアミドを用いた.反応温度642°C,反応圧力23.44 MPa,空気比1.2,廃液供給流量6.5 kg/minの反応条件ではアンモニウムイオンおよびシアン化物イオンが処理液中の主な残留窒素化合物であったが,これらの残留量低減には反応温度および空気比を高めることが有効であった.特に空気比の効果が顕著であり,654°C,空気比1.3の条件で全ての分析項目(TOC,NH4+,CN,NO2,およびNO3)が分析下限値未満となった.また,処理液中の残留窒素化合物濃度が最小となる最適流量(5.1 kg/min)が存在することがわかった.廃液供給流量の多い条件(6.5 kg/min)ではアンモニウムイオンおよびシアン化物イオンが,少ない条件(4.1 kg/min)では硝酸イオンおよび亜硝酸イオンが主な残留物質であった.さらに廃液中に無機塩類が存在することでアンモニウムイオンおよびシアン化物イオンの分解が大幅に促進されることがわかった.
生物化学工学,食品工学,医用工学
  • 佐藤 尚志, 田谷 正仁
    2006 年 32 巻 3 号 p. 288-292
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル 認証あり
    ブラックライト照射下のTiO2懸濁系において,モデル夾雑有機物としてグルコースまたはエタノールを添加し,大腸菌ファージMS2に対する不活化試験を行った.有機物質の非存在下では,ファージ相対力価の片対数プロットは1次反応速度式に従って直線的な低下を示したのに対し,有機物質存在下では,曲線的なプロフィルを描いて減少したことから,有機物質の添加による不活化速度論の変化が示唆された.そこで,シリーズイベントモデルに基づいた速度論解析を行ったところ,試験した範囲では,有機物質濃度の増加とともに致死反応段数nが増加し,見かけの不活化速度定数k′は減少した.このことから,反応液中に含まれる有機物質は,ファージ粒子表面に吸着して活性酸素種に対するスカベンジャー効果と,活性酸素種による酸化反応からファージ粒子を保護する効果をもたらすものと考察した.この考察は,グルコースの存在下で,反応温度(T=283–313 Kの範囲)の増加とともにn値が低下しk′が増加する結果とも一致するものであった.
マイクロシステム,ナノシステム
材料工学,界面現象
  • 松山 祥孝, 小寺 省吾, 澁谷 崇, 永井 正敏
    2006 年 32 巻 3 号 p. 297-302
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,単層樹脂スペーサー型複層ガラスにおける樹脂スペーサー材料への水蒸気吸着量を用いて寿命予測シュミレーションにより,樹脂スペーサーの寿命が最長化するゼオライト量の最適化を行った.まずゼオライト添加量10–40 wt%での水蒸気吸着量をもとに寿命予測を行った.添加量20 wt%, 40°C, 95%RH条件下では最小の水蒸気透過係数Pm, 1.0×10−19 g·cm·cm−2·s−1·Pa−1を示した.25°C 50%RH環境下では3 mm厚スペーサー中のゼオライトが水蒸気で飽和に達する時間は55000 hであった.ゼオライト添加量が20 wt%以下の場合,水蒸気透過係数は温度に対して正の相関があるが,30 wt%を超えると温度に対して負の相関を示した.さらに,20 wt%ゼオライト中にタルクおよび炭酸カルシウムを添加した場合の水蒸気吸着量の影響を検討した結果,タルクの添加は,見掛けの水蒸気透過係数を変えずに飽和吸着量を大きくすることがわかった.
環境
  • 安井 晋示, 白井 裕三, 布川 信, 天川 正士
    2006 年 32 巻 3 号 p. 303-309
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル 認証あり
    地球温暖化ガスであるSF6ガスを水素化分解して,フッ素を乾式で固定化・再資源化する技術開発に向けて,固定化炉におけるHFガスと炭酸カルシウムの気固反応特性を調べた.
    固定化炉内において未反応の炭酸カルシウムが含まれる反応帯の体積を,固定床反応モデルを用いてHFガス破過特性から推定した結果,実測値と良く一致した.また,HFガスの反応速度は,ガス境膜拡散と生成物層内拡散を組み込んだ未反応核モデルを用いた速度式で表すことができることを明らかにし,それぞれの速度係数を得た.この速度式と速度係数を用いて,反応帯通過時間を実測値より大きめに推定することで,固定化炉反応管の設計に必要な反応帯体積を見積もることができる.
  • 南 亘, 金 煕濬
    2006 年 32 巻 3 号 p. 310-313
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル 認証あり
    使用済みハロカーボンの無害化処理のため,TiO2および殺菌灯を用いて,光触媒分解反応実験を行った.化学物質の置換基の違いによる分解速度の解析のため,対象とする化学物質は,構造が同じで置換基が異なるHCFC-22,四塩化炭素,メタンを用いた.それぞれの物質の分解反応速度解析をおこなった.主な結果として,分解率はHCFC-22が最も大きく,次いでメタン,CCl4の順であった.光触媒反応の反応次数は本実験条件範囲では一次であった.総括的反応速度定数から求めた活性化エネルギーはそれぞれHCFC-22が13.7 kJ·mol−1,CCl4が66.1 kJ·mol−1,メタンが16.6 kJ·mol−1であった.
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