化学工学論文集
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34 巻, 6 号
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移動現象,流体工学
  • 久保 建二, 小路 克利, 鈴木 洋
    原稿種別: 報文
    専門分野: 移動現象,流体工学
    2008 年 34 巻 6 号 p. 545-550
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2008/12/03
    ジャーナル 認証あり
    ディスク型エレメントによる静止型ミキサー「分散君」のエマルション分散メカニズムを明確にし,その諸特性を検討した.本静止型ミキサーはコンパクトで,1–600 μmまでの任意の粒子径をもつ分散が可能な分散機である.通過する流体の速度やエレメントの孔径を変えるだけで簡単に粒子径がコントロールできる.分割と合一,細孔壁とのストレスならびに衝突と渦によるキャビテーションにより分散する.本静止型ミキサーの圧力損失,細孔内流速,エレメント組数の関係ならびに平均粒子径と細孔内流速との関係を得た.本静止型ミキサーは良好な分散が得られる.
  • 亀井 登, 加藤 禎人, 多田 豊, 村井 孝臣, 安藤 淳一
    原稿種別: 報文
    専門分野: 移動現象,流体工学
    2008 年 34 巻 6 号 p. 551-556
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2008/12/03
    ジャーナル 認証あり
    種々の撹拌翼を装備した乱流撹拌槽の粒子浮遊状態を,固液間物質移動係数をイオン交換樹脂法により測定することで検討した.その結果,粒子浮遊限界回転数以下の見かけの物質移動係数はPvb/D)で相関できることがわかり,粒子浮遊限界回転数でのPv値を統一的に求められることを示した.また,これまで粒子分散には適さないと言われてきた放射流翼でも翼取付け位置を適正化することにより,良好な粒子分散が得られることがわかった.
  • 望月 雅文, 佐藤 寛之, 土居田 勇樹, 齊田 靖治, 天沼 隆史, 高橋 友哉
    原稿種別: 報文
    専門分野: 移動現象,流体工学
    2008 年 34 巻 6 号 p. 557-561
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2008/12/03
    ジャーナル フリー
    通気攪拌槽における羽根面上の圧力を,小型圧力センサを用いて測定する新しい方法を開発し,以下のことを明らかにした.1)通気により羽根後面にキャビティーが形成されると,無通気時に比較して,羽根後面の圧力は上昇し,その圧力変動は減少した.2)同一操作条件のもとで,通気時における無通気時からの動力の降下が形状抵抗の減少であることを実験的に明らかにした.3)羽根面上の圧力データが既存の翼の性能向上や新型翼開発に有効な指針を与えることを明らかにした.
  • 加藤 禎人, 多田 豊, 原田 拡, 長津 雄一郎, 中谷 哲治
    原稿種別: ノート
    専門分野: 移動現象,流体工学
    2008 年 34 巻 6 号 p. 562-565
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2008/12/03
    ジャーナル 認証あり
    ボルテックスリングが液体混合に及ぼす効果を検討した.円形のパイプからボルテックスリングを発生させ,容器内の流速を測定した結果,ボルテックスリングの流速はほとんど減衰しなかった.また,同じ平均流量でリングが発生する系とリングが発生しないジェット撹拌とを比較した結果,リングを発生する系のほうが混合時間が短くなった.これにより,ボルテックスリングが混合促進効果を持つことが実験的に明らかとなった.
熱工学
  • 五十嵐 誠, 玉木 章吾, 藤井 優子, 松下 洋介, 青木 秀之, 三浦 隆利, 武 幸一郎, 浜野 秀光
    原稿種別: 報文
    専門分野: 熱工学
    2008 年 34 巻 6 号 p. 566-570
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2008/12/03
    ジャーナル 認証あり
    本論文では,CO2冷凍サイクルを実験的に検討した.具体的には CO2質量流量,高圧側圧力および冷媒量が,冷房成績係数,蒸発器の交換熱量および圧縮機所要動力に及ぼす影響の検討を行った.その結果,CO2質量流量が増加するほど冷房成績係数は減少し,蒸発器の交換熱量は増加することを確認した.また,圧縮機回転数によらず,冷却器出口圧力が8.3 MPa近傍で冷房成績係数は極大を示した.冷却器出口圧力を測定することで冷房成績係数を向上させることが可能である.さらに,冷媒量によらず圧縮機所要動力は冷却器出口圧力に対して単調増加することがわかった.冷媒量の増加に対して冷房成績係数および蒸発器の交換熱量は増加した.
反応工学
  • 黒岡 武俊, 山﨑 量平, 劉 貴慶
    原稿種別: 報文
    専門分野: 反応工学
    2008 年 34 巻 6 号 p. 571-579
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2008/12/03
    ジャーナル 認証あり
    GeldartのA粒子を流動化粒子に用いて層内気泡の諸量の空間分布を測定し,それらについて理論的に検討を加えた.さらにそれらの塔断面平均値に関する推算モデルを提出してそのモデルの妥当性を検討した結果,以下の知見を得た.
    1)局所の気泡頻度,気泡分率の塔半径方向分布は放物線状である.
    2)気泡弦長,気泡上昇速度は塔半径方向でほぼ一様である.
    3)断面平均の可視気泡流速はガス流速のほぼ70%である.
    4)これら気泡諸量の断面平均の実測値は本研究で提出された推算モデルによる値と良好に一致する.また,このモデルは気泡の分裂を生じない粒子についても,その気泡径を十分な精度で推算する.
材料工学,界面現象
  • 今木 卓弥, 峯 浩二, 久保 英明, 佐藤 善之, 猪股 宏
    原稿種別: 報文
    専門分野: 材料工学,界面現象
    2008 年 34 巻 6 号 p. 580-586
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2008/12/03
    ジャーナル 認証あり
    スフィンゴリピッドE(以下,SLE)は,細胞間脂質の保湿成分セラミドをモデルに合成したセラミド機能物質である.このSLEの融液を超臨界二酸化炭素場で冷却晶析することによりSLEの板状粒子が生成し,さらに大気圧まで減圧することによりSLEの板状粒子粉体が,凝集の抑制された粉体状態で得られることを見出した.また,この際の冷却と減圧条件の操作により,生成板状粒子の粒子径と凝集状態が制御できることがわかった.得られたSLEの板状粒子粉体は感触が良いこと,また有機溶剤を使用しないプロセスで製造された人体への安全性の高い素材であることなどから,保湿効果を有する化粧品原料などへの用途展開が期待できる.
  • 沖 和宏, 長坂 雄次
    原稿種別: 報文
    専門分野: 材料工学,界面現象
    2008 年 34 巻 6 号 p. 587-593
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2008/12/03
    ジャーナル フリー
    リプロン・レーザー表面光散乱法(以下,リプロン法)は強制励起等の外乱付与を行う必要がなく,非接触でかつ高速に,液膜のごく表面の情報を取り出すことが出来るため,表面物性計測において,非常に魅力のある強力な計測ツールである.本研究では,新たに開発したリプロン・レーザー表面光散乱測定装置を用いて,機能性フィルムの製造などで多く用いられるポリマー有機溶剤液の測定を目的に,アセチルブチルセルロース(CAB)ポリマーのメチルエチルケトン(MEK)溶液の表面物性測定を行った.接触式測定法(Wilhelmy Plate法)では,ポリマー濃度を変化させても表面張力に変化が見られないが,リプロン法を使って,数10 kHzの周波数帯域で計測を行ったところ,ポリマー濃度の増加に従って,表面張力が低下していく傾向が見られた.ポリマーの液膜表面への吸着モデルを検討したところ,計測したリプロンの数10 kHzの周波数帯域では,リプロン波の変調速度がCABポリマーが液膜表面に吸脱着する時間に比べ圧倒的に速いために,CABポリマーの表面への吸脱着が間に合わず,あたかも不溶性分子膜のように振舞っていると推定されることがわかった.そのため,CABポリマー濃度,分子量の違いによる液膜表面へのポリマーの吸着量変化が,表面張力の低下と対応して,表面弾性率の変化として観察されることがわかった.よって,この表面弾性率の変化に着目することで,従来は測定困難だった低表面張力,低粘度である低濃度のポリマー有機溶剤液の液膜表面へのポリマーの吸脱着のし易さを計測・評価する新しい手法として活用できると考える.
  • 谷口 泉, 矢野 太朗, Zhang Lianqi Zhan
    原稿種別: ノート
    専門分野: 材料工学,界面現象
    2008 年 34 巻 6 号 p. 594-597
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2008/12/03
    ジャーナル 認証あり
    硝酸リチウムと硝酸マンガンを量論比で蒸留水に溶解させた前駆体溶液を用いて,噴霧熱分解法により,マンガン酸リチウムを合成した.X線回折パターンから,0.045から0.9 mol/Lの濃度の前駆体溶液から合成された試料は,単相の立方晶スピネル構造を有することが明らかとなった.また,0.045 mol/Lの前駆体溶液から合成されたLiMn2O4粒子の幾何平均径は,0.57 μmであるのに対し,0.9 mol/Lの前駆体溶液から合成されたそれは,1.11 μmであった.
    合成した試料はリチウム二次電池の正極活物質として用いられた.Li|1M LiClO4 in EC : DEC=1 : 1|LiMn2O4の電気化学セルを用いた充放電試験は,室温でさまざまな充放電速度のもとで行われた.合成された試料の放電容量とレート特性は,試料の粒子径により大きく影響を受けた.
環境
  • 長田 昭一, 景山 広樹, 島 大祐, 松田 仁樹
    原稿種別: 報文
    専門分野: 環境
    2008 年 34 巻 6 号 p. 598-605
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2008/12/03
    ジャーナル 認証あり
    廃棄物を処理するシャフト炉式ガス化溶融炉における低沸点重金属類の炉内揮発挙動を解明するために,炉内の多段セル分割による平衡反応モデルを構築して,PbおよびNa, K等の低沸点金属類の揮発分布挙動を解析し,これらの多成分金属の揮発量の平衡計算結果とパイロットプラントで得られた実測データとの比較,検討を行った.
    その結果,シャフト炉内におけるNa, KおよびPbの揮発は,温度域ごとに塩化揮発あるいは還元揮発が優先的となり,約1173 Kまでは塩化物による揮発が主体であるが,温度上昇とともに金属状態の揮発に変化した.
    また,揮発率に及ぼす溶融炉運転条件として酸素分圧と塩素濃度に着目し,ガス・スラグ間平衡計算を行った結果,Pbの塩化揮発率は含有塩素量の増加とともに増大し,Pbの金属状態の揮発は酸素分圧1.0×10−7 MPa以下で支配的となった.さらに,パイロットプラント試験および実験室規模の溶融実験結果より,酸素濃度の低下によってスラグ中のPb濃度は減少する結果が得られた.また,スラグの塩基度が高くなるとスラグ中のPb残留率は減少することが認められた.これらの実測データは,本研究で提案したシャフト炉平衡反応モデルを用いて得られたPbの揮発挙動を比較的良く表現できることがわかった.
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