ステンレス板担体に市販酸化チタン光触媒コーティング剤を塗布乾燥して調製した薄層光触媒を用い,発芽玄米製造における浸漬発芽工程排液の珪藻土ろ過により得た一般生菌含有溶液を,ブラックライトランプ照射下で不活性化した場合の光強度の影響について速度論的な観点から検討を行った.
菌の不活性化は352 nm照射光強度の影響を受け,ランプ本数を増やすほど誘導期が短くなり,不活性化はより速やかに進行した.
微生物の不活性化速度を決定する因子を有効光強度
Ieffおよび微生物濃度
Cと考え,誘導期が短い不活性化データに対して速度論的な解析を行った結果,反応速度式を次式で表現できた.
-dC/dt=
k·
Ieff·
Cここで有効光強度
Ieffは,受光強度
Iの下で光触媒表面上に生成した活性種を通して微生物不活性化に有効に作用する光強度と定義した.その絶対値は,ランプ本数一定の条件下,ランプ光触媒間距離
r2,溶液厚さ
lそれぞれが最小値(
r2=2.5×10
−3 m,
l=1.0×10
−3 m)の下での受光強度
Iを基準値とし,一般に,照射光強度
I0(
r2),溶液厚さ
lおよび溶液光吸収率μの関数と考えた.
有効光強度
Ieffは照射光強度
I0が大きくなるにつれて増加したが,有効光強度と受光強度の比度
Ieff/
Iはほぼ一定であった.
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