化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
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36 巻, 3 号
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編集ノ-ト
粉粒体工学
  • 芝田 隼次, 山下 大輔, 村山 憲弘, 馬渕 亮, 熊谷 拓也
    原稿種別: 報文
    専門分野: 粉粒体工学
    2010 年 36 巻 3 号 p. 157-161
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2010/05/20
    ジャーナル 認証あり
    ヘキサメタリン酸ナトリウムを添加して,分散させた酸化亜鉛粒子の電場内での運動挙動を調べるために,粒子径の異なる酸化亜鉛粒子の電気泳動移動度とゼータ電位におよぼすpH,温度,電解質濃度の影響について検討した.ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液中の酸化亜鉛粒子のゼータ電位の絶対値はpH 9で最大となり,高いpHの領域ではNaOHによる電気二重層の圧縮のために減少した.粒子の電気泳動移動度は懸濁液の温度の上昇にともなって増加した.懸濁液の温度の上昇により溶媒の粘性率が低下し,粒子に作用する粘性抵抗力が小さくなるためである.電気泳動移動度は粒子径が5.39 μmまでは粒子径の増加にともない増加し,それ以上の粒子径になると減少した.イオンに作用すると考えられる電気泳動効果および非対称効果は小さな粒子に対して強く作用して,粒子の電気泳動を妨げるためである.一方,ある粒子径以上になると電気泳動効果および非対称効果が作用しなくなり,粘性抵抗力が支配的になるためである.
  • 木村 悟, 大平 勇一, 小幡 英二
    原稿種別: ノート
    専門分野: 粉粒体工学
    2010 年 36 巻 3 号 p. 162-166
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2010/05/20
    ジャーナル 認証あり
    テーパー角付き固液流動層による等密度浮上性粒子の粒径分布測定について実験的に検討した.固液密度比が0.125のグラスバブルズK1–水系,固液密度比が0.760のパラフィン–24 wt%塩化ナトリウム水溶液系で実験を行った.テーパー角付き固液流動層からの小粒子の流出はなく,本測定法によって求めた粒径分布はレーザー回折散乱法によって求めた粒径分布とほぼ一致した.測定可能な粒径範囲は最大粒径と最小粒径の比で5–6倍であった.テーパー角付き固液流動層を均一流動化状態で操作することで浮上性粒子の粒径分布を測定できる.
分離工学
  • 大島 達也, 坂本 俊彦, 立山 穂津美, 大榮 薫, 馬場 由成
    原稿種別: 報文
    専門分野: 分離工学
    2010 年 36 巻 3 号 p. 167-173
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2010/05/20
    ジャーナル 認証あり
    食品廃棄物の抽出物からの回収を目的として,Cu(II)を担持させたセルロース系キレート吸着剤(Cu-CF)によるカルノシン等のヒスチジン含有ジペプチドの吸着について検討した.カルノシンは金属アフィニティーに基づいて効率的にCu-CFに吸着された.Cu(II)を担持させたセルロース吸着剤への(Cu-CF)カルノシンの吸着速度は,Cu(II)を担持させたポリスチレン系キレート吸着剤(Cu-PS)よりも大きかった.カルノシンの吸着率は中性から弱アルカリ性条件下で最大値を示し,吸着は共存する大過剰の塩化ナトリウムの影響を受けなかった.ヒスチジン含有ジペプチドは他のアミノ酸から選択的に吸着され,ウナギ魚腸骨の煮汁の組成に基づく模擬液からも選択的に吸着された.Cu(II)担持セルロース吸着剤に吸着されたカルノシンは酢酸などの脱離剤を含む水溶液と接触することで液中に脱着された.
  • 中田 章博, 吉岡 朋久, 金指 正言, 都留 稔了
    原稿種別: 報文
    専門分野: 分離工学
    2010 年 36 巻 3 号 p. 174-180
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2010/05/20
    ジャーナル 認証あり
    ミクロポーラスシリカ膜の細孔構造,および膜構造特性と気体透過性の関係について分子動力学シミュレーションを用いて検討した.仮想シリカ膜は修正Born–Mayer–Huggins(BMH)二体ポテンシャルとStillinger–Weber(SW)三体ポテンシャルを用いて溶融急冷法により作製した.本研究においては,二種類の仮想シリカ膜モデルを作製した.一つはシリカポリマーにより形成されたネットワーク細孔モデル,もう一つはネットワーク細孔と粒界細孔を模した貫通孔的な細孔から成る二元的細孔モデルである.各仮想膜内における気体透過シミュレーションは非平衡分子動力学法を用いて行った.透過分子はHe,CO2とし,300–800 Kにおいて透過係数を算出した.ネットワーク細孔モデルにおいてはCO2の透過は確認できず,Heの透過特性は実測データと良好に一致した.これらの結果は本研究において作製したネットワーク細孔モデルの定性的な妥当性を示している.一方で二元的細孔モデルにおいてはCO2の透過が確認でき,粒界細孔の存在が仮想膜内の気体透過性に影響を及ぼしていることが示された.これに加え,CO2の透過特性は実測の傾向と一致し粒界細孔を模した貫通孔的な細孔の定性的な妥当性が示された.
    しかしながら,二元的細孔モデルにおけるHe, CO2の透過係数は実測データと一致せず,実測データよりも大きかった.粒界細孔一つに対するネットワーク細孔で構成される膜面積の割合を増やすことで,実測データに近づくことから本研究で作製された二元的細孔モデルは単位膜面積当たりのネットワーク細孔の割合を過小評価したモデルであると考えられる.シミュレーションにおける各気体の透過係数の絶対値が実測の透過係数に一致するように膜面積を補正すると,1辺が8.5–12.6 nmの正方形あたり一個の粒界細孔が存在するという結果を示した.このように分子シミュレーションによりネットワーク細孔/粒界細孔の存在割合といったシリカ膜のミクロ構造に関する知見を得ることができた.
  • 手塚 正博, 城 昌治, 代 英杰, 田中 俊逸, 若杉 郷臣, 西岡 健
    原稿種別: ノート
    専門分野: 分離工学
    2010 年 36 巻 3 号 p. 181-187
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2010/05/20
    ジャーナル 認証あり
    従来,天然物(液液および固液の混合物)から目的物質を回収するための物理的および化学的分離技術は,以下等の課題を抱えている.被捕捉物の捕捉材からの分離が困難.天然物の酸化,変性が進行する.天然物中において比重差の小さい成分の分離ができない.本方法は,上記従来技術の課題を解決する氷結晶をろ過材として,被分離混合物をろ過層を通過させる液とろ過層に捕捉する粘度大溶液および固形物として分離する.被分離混合物(液液混合物)を天然物代替物質および天然物とした基礎試験を行った.天然物イカゴロ(油エマルション)を被分離混合物とした試験において,油脂の捕捉(分離)率約87%の結果を得た.本方法の実用のための装置は,フイルタ氷生成機,分離機および融解タンクから構成される.
生物化学工学,食品工学,医用工学
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