ポリイミド粒子はジアミンとテトラカルボン酸二無水物のそれぞれの溶液を室温下で超音波照射しながら沈殿重合してポリアミド酸粒子を調製し,次にそれを加熱イミド化して得ることができる.この方法で得られるポリイミド粒子の特長は粒子径分布が比較的狭く,サイズや形態が前駆体のポリアミド酸粒子に依存することである.また,ポリアミド酸粒子は反応に用いる溶媒の種類によって生成するサイズが異なり,この現象を利用することによりサイズ制御が可能であると考えられる.しかし,反応溶媒が粒子サイズに影響を及ぼす因子についての検討はなされていない.
そこで,本研究ではポリイミド粒子の前駆体であるポリアミド酸粒子のサイズ変化に及ぼす反応溶媒の影響について溶解パラメータ(Solubility Parameter)を用いて検討した.その結果,ポリアミド酸粒子のサイズは反応溶媒とポリアミド酸とのHansen 溶解度パラメータ(Hansen Solubility Parameters, HSP)距離と相関することがわかった.また,HSPを構成するエネルギー項の中で分散力に由来するエネルギーδ
dが粒子サイズに影響を及ぼす支配的な因子であることがわかった.これらより,ポリアミド酸粒子の沈殿重合法において,反応溶媒とポリアミド酸のそれぞれのHSPが粒子サイズの制御に利用できることがわかった.
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