市販ホエイ粉末を固形濃度5.34%に溶解した還元ホエイ溶液0.1 tonを有効膜面積7.4 m
2のエレメントを装着したナノろ過装置に供給流量1 m
3/hで通液し,操作温度10℃,操作圧力1.2 MPaでホエイ重量比で約2.2倍まで回分濃縮し透過流束の変化を測定した.この透過流束の変化の予測を目的として,ホエイのナノろ過濃縮工程に関して新規な理論的解析を試みた.
解析に当たりホエイ中の溶質量
Aを,ナノろ過膜(NF膜)を透過する画分量
Ap(透過溶質量:Na,K,Clなどのイオン性低分子物質が主体となって構成する溶質量)とNF膜を透過しない画分量
Ar(非透過溶質量:タンパク質,乳糖などの高分子物質が主体となって構成する溶質量)に分けられるものとした.透過溶質は,NF膜を挟む濃度差による浸透圧差はあるが,濃度分極層を形成しないものとし,非透過溶質は濃度分極層を形成するものとして解析した.浸透圧πは,凝固点降下法により測定された水基準溶質mol濃度
C′を用い,これにガス定数
R,絶対温度
Tおよび水の密度
Gを乗じて求めた.濃度分極式と輸送方程式から非透過溶質の物質移動係数を求めて濃縮倍率ごとの透過流束の変化を予測できることが判明した.
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