化学工学論文集
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38 巻, 2 号
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編集ノ-ト
物性,物理化学
移動現象,流体工学
  • 小川 浩平, 黒田 千秋, 吉川 史郎
    原稿種別: 報文
    専門分野: 移動現象,流体工学
    2012 年 38 巻 2 号 p. 80-86
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル 認証あり
    撹拌槽を乱流域で操作する場合,一般に翼の回転速度が速くなることにより,混合の進行,熱・物質の移動現象や反応の進行が促進され,操作としてプラス因子に対する期待が増加する.一方,翼の回転速度が速くなることにより,翼による動力消費の進行,流体による抵抗や翼の後背に生じるキャビティーによる翼の損傷の進行,成長した結晶の翼による破壊の進行が促進され,操作としてマイナス因子に対する不安も増加する.そこでこれらのプラス因子とマイナス因子をともに考慮して,情報エントロピーという新たな視点から人間味,すなわち期待度や不安度を加味した最適な翼回転速度の決定方法について,著者らが5種の典型的汎用撹拌翼を用いて得ている総括混合性能の実験結果に基づいて検討を行い,新たな決定方法を提案した.
  • 加藤 禎人, 中岡 梓, 古川 陽輝, 多田 豊, 高 承台, 李 泳世
    原稿種別: ノート
    専門分野: 移動現象,流体工学
    2012 年 38 巻 2 号 p. 87-89
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル 認証あり
    軸流翼として代表的なプロペラ翼を備えた乱流撹拌槽の撹拌所要動力に与える邪魔板挿入深さの影響を実験的に検討した.プロペラ翼の動力数は前報(Kato et al., 2009)の相関式を邪魔板挿入深さで修正することにより相関可能であった.さらに,この相関式はプロペラ翼の吐出方向によらず成立した.
分離工学
  • 関 信夫, 木下 貴絵, 齋藤 仁志, 越智 浩, 岩附 慧二, 大川 禎一郎, 大西 正俊, 田村 吉隆, 伊東 章
    原稿種別: 報文
    専門分野: 分離工学
    2012 年 38 巻 2 号 p. 90-101
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル 認証あり
    市販ホエイ粉末を固形濃度5.34%に溶解した還元ホエイ溶液0.1 tonを有効膜面積7.4 m2のエレメントを装着したナノろ過装置に供給流量1 m3/hで通液し,操作温度10℃,操作圧力1.2 MPaでホエイ重量比で約2.2倍まで回分濃縮し透過流束の変化を測定した.この透過流束の変化の予測を目的として,ホエイのナノろ過濃縮工程に関して新規な理論的解析を試みた.
    解析に当たりホエイ中の溶質量Aを,ナノろ過膜(NF膜)を透過する画分量Ap(透過溶質量:Na,K,Clなどのイオン性低分子物質が主体となって構成する溶質量)とNF膜を透過しない画分量Ar(非透過溶質量:タンパク質,乳糖などの高分子物質が主体となって構成する溶質量)に分けられるものとした.透過溶質は,NF膜を挟む濃度差による浸透圧差はあるが,濃度分極層を形成しないものとし,非透過溶質は濃度分極層を形成するものとして解析した.浸透圧πは,凝固点降下法により測定された水基準溶質mol濃度C′を用い,これにガス定数R,絶対温度Tおよび水の密度Gを乗じて求めた.濃度分極式と輸送方程式から非透過溶質の物質移動係数を求めて濃縮倍率ごとの透過流束の変化を予測できることが判明した.
  • 吉田 博明, 天野 佳正, 町田 基
    原稿種別: 報文
    専門分野: 分離工学
    2012 年 38 巻 2 号 p. 102-109
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,硝酸酸化とその後の脱気処理により,細孔構造が同等で異なる表面酸性官能基量をもつ活性炭を調製し,それらを吸着剤として用いて11種類の芳香族化合物の吸着実験を行った.吸着実験を通じ,活性炭表面の酸性官能基の有無と,吸着質として用いた芳香族化合物の芳香環に結合した置換基のもつ性質が,吸着に及ぼす影響を調べるとともに,吸着形態を考察した.表面酸性官能基をもつ活性炭(DAOx)は,官能基をもたない活性炭(DAOxOG)よりも,芳香族化合物に対する吸着親和力が小さいことがわかった.しかし,ニトロベンゼンのような双極子モーメントの大きい芳香族化合物は,フェノールのような双極子モーメントの小さい芳香族化合物とは対照的に,溶質が高濃度になるにつれてDAOxへの吸着量がDAOxOGと同程度になるほど増加する傾向を示した.芳香族化合物は主に活性炭のグラフェン層にπ–π相互作用により平面的に吸着していると予想されるが,双極子モーメントの大きい芳香族化合物は,DAOxへの吸着形態がDAOxOGとは異なり,細孔内の酸性官能基上に形成された水クラスターに,置換基を下にして直立に近い状態で吸着すると推測された.擬二次速度定数を比較すると双極子モーメントの大きい芳香族化合物は,小さいものよりもDAOxにおける速度定数が小さいため吸脱着過程において細孔内で拡散しにくいことがわかった.
プロセスシステム工学,安全
  • 高井 努, 野田 賢, 樋口 文孝
    原稿種別: 報文
    専門分野: プロセスシステム工学,安全
    2012 年 38 巻 2 号 p. 110-116
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル 認証あり
    イベント相関解析法には,イベント発生点間のタイムラグの分散が大きいと,物理的に関係を有するイベント間であっても,バイナリ変換時のタイムウィンドウ幅を適切に選ばなければ,イベント発生系列間の類似性を誤判定してしまう問題があった.このような問題に対して,適切なタイムウィンドウ幅を自動的に選択し,イベント発生系列間の類似性を正しく判定できる新しいイベント相関解析法が提案されている.本論文では,この新しいイベント相関解析法を,代表的な大規模化学プラントであるエチレンプラントの運転ログデータに適用し,従来のイベント相関解析法では類似度を低く推定していたタイムラグの分散が大きいイベント間の類似度を,タイムウィンドウ幅を自動調整することで正しく評価できることを確認した.また,類似度の評価結果に基づきグループ化されたイベント群を詳しく分析した結果,プラント運転ログデータから迷惑アラームや定型操作を抽出できることを示した.
材料工学,界面現象
  • 佐藤 洋, 泰良 知, 菅原 勝康
    原稿種別: 報文
    専門分野: 材料工学,界面現象
    2012 年 38 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル フリー
    卑金属電極型積層セラミックコンデンサー(Base-Metal-Electrode Multi-layer Ceramic Capacitors, BME-MLCCs)の端部電極に適用可能な,薄くかつ緻密な銅およびニッケル金属膜を低温で得ることを目的として,有機金属化合物を出発原料とし液相法により金属膜前駆体を調製した.そしてこの前駆体の熱処理に伴う化学形態や形状の変化を調べた.前駆体を窒素気流中,200℃から300℃で加熱処理することにより,銅およびニッケルの単金属膜ならびに合金膜を得ることができた.溶媒として用いたテトラエチレングリコールの量が,酢酸銅一水和物および酢酸ニッケル四水和物に対して3 molから4 mol添加したときに緻密な金属膜が得られた.また銅前駆体とニッケル前駆体の混合比を変えることにより,銅ニッケル合金膜の組成を任意に制御できることが明らかとなった.MLCC端部に前駆体を塗布して熱処理を行ったところ,内部電極中への銅の拡散およびBaTiO3層でのクラックの生成なしに,均一かつ薄いBME-MLCCsの端部電極を500℃で形成しうることがわかった.
エネルギー
  • 松下 洋介, 光原 乃里子, 松田 誠一郎, 原田 達朗, 熊田 憲彦
    原稿種別: 報文
    専門分野: エネルギー
    2012 年 38 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル 認証あり
    到着ベースで水分を約56 wt%含む豪ビクトリア州の褐炭であるLoy Yang炭の基礎的な乾燥挙動を検討した.水分計を用いてハロゲン熱源により試料を加熱し,50–90℃の温度一定条件あるいは1–100℃/minの昇温速度一定条件下において乾燥による重量減少を測定し,乾燥速度を求めた.温度一定条件下では,加熱期間後に恒率乾燥期間と減率乾燥期間を示す乾燥の代表例である木材の乾燥挙動とは異なり,加熱期間後に乾燥速度は乾燥初期に最大値を示し,乾燥の進行に伴い緩やかに減少した.温度一定条件下の測定結果から乾燥速度の定式化を試みた.その結果,乾燥速度は乾燥率Xの関数(1−X)0.25に比例し,比例定数である乾燥速度定数は温度に比例して増加する式で表現可能であった.温度一定条件と昇温速度一定条件下において,乾燥速度式から予測した乾燥による重量減少を測定結果と比較することで定式化の妥当性を検討した.乾燥の条件によらず,乾燥速度式を用いて予測した乾燥による重量減少は,乾燥後期において重量減少を若干過大に見積もるものの,乾燥前期と中期において測定値と良好に一致した.さらに,測定値と乾燥速度式から温度一定条件下において種々の乾燥率を達成ために要する時間を算出した.その結果,乾燥温度が低いほど,各乾燥率を達成するため乾燥時間は増加した.また,乾燥温度が低いほど,高い乾燥率を達成するために要する時間は飛躍的に増加することがわかった.
環境
  • 飯塚 淳, 本間 雅人, 早川 康之, 山崎 章弘, 柳沢 幸雄
    原稿種別: 報文
    専門分野: 環境
    2012 年 38 巻 2 号 p. 129-134
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル 認証あり
    コンクリートスラッジ中のカルシウムを利用した二酸化炭素固定プロセスを想定し,そのための基礎データ取得を行った.想定するコンクリートスラッジを利用した二酸化炭素固定プロセスの主要操作は,水希釈と撹拌によるコンクリートスラッジ中のカルシウム分の抽出過程と,残渣分離後の抽出水と二酸化炭素との反応による炭酸カルシウム析出過程である.想定するプロセスの基礎データの取得を目的として,コンクリートポール/パイル工場から排出された実際のコンクリートスラッジを用い,カルシウム抽出速度に対する水希釈率(重量比で3–50倍)と一回の抽出操作時間(5–40 min)の影響を検討した.水希釈後水中のカルシウム濃度は上昇し,抽出液中に二酸化炭素を吹き込むことで炭酸カルシウムの析出が行えることを確認した.実験を行った範囲では,水稀釈率が20,一回の抽出処理時間が5 minの場合にカルシウム抽出効率が最大となった.二酸化炭素とカルシウム含有溶液からの炭酸カルシウム生成は,これまでに多くの研究例があり,また種結晶などの追加による加速が容易である.以上から,二酸化炭素固定のための安価なカルシウム源としてコンクリートスラッジを利用することが可能であると期待される.
  • 大平 勇一, 若狭 学, 島津 昌光, 小幡 英二
    原稿種別: ノート
    専門分野: 環境
    2012 年 38 巻 2 号 p. 135-138
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル 認証あり
    マグネサイトに硝酸マグネシウム6水和物を添加して製造した軽焼マグネシアの反応性について検討した.その結果,280メッシュを通過したマグネサイトの反応率は0.070であり,マグネサイトを加熱することで反応率は高くなることがわかった.マグネサイトに硝酸マグネシウム6水和物を添加した場合,短時間の加熱では反応率の高い軽焼マグネシアが得られる.
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