化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
38 巻, 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
編集ノ-ト
移動現象,流体工学
  • 加藤 禎人, 小畑 あずさ, 加藤 知帆, 古川 陽輝, 多田 豊
    原稿種別: 報文
    専門分野: 移動現象,流体工学
    2012 年 38 巻 3 号 p. 139-143
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2012/05/20
    ジャーナル 認証あり
    日本の撹拌機メーカーによって開発された多目的に使用可能な種々の大型2枚パドル翼について,撹拌所要動力を測定し動力相関を試みた.その結果,亀井・平岡らの相関式の係数を若干変更するのみで,検討したすべての大型翼の動力が,同一の式を用いて相関された.
  • 古川 陽輝, 加藤 禎人, 多田 豊, 高 承台, 李 泳世
    原稿種別: ノート
    専門分野: 移動現象,流体工学
    2012 年 38 巻 3 号 p. 144-147
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2012/05/20
    ジャーナル 認証あり
    邪魔板付き乱流撹拌槽では,パドル翼の取り付け位置によって動力数が変化する.動力数は,翼の槽底からの距離C/H=0.25で極小値を示し,C/H=0.4–0.7で極大値をとる.本報では,極小値をとるC/H=0.25と極大値を取るC/H=0.5の翼取り付け位置による動力変化のレイノルズ数依存性を明らかにした.その結果,層流域から遷移域までは動力数に差異は発生しないが,レイノルズ数が6000を超える乱流域で動力数が変化することがわかり,その原因は流動状態が変化するためであった.
  • 花田 敏広, 岡田 貴弘, 山田 崇, 李 勝利, 黒田 健司
    原稿種別: 報文
    専門分野: 移動現象,流体工学
    2012 年 38 巻 3 号 p. 148-154
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2012/05/20
    ジャーナル 認証あり
    連続的な混合・撹拌操作が可能となるインライン混合は省スペース,省エネルギーといった観点から今後一層重要となる工業的プロセスである.インライン混合に用いられる静止型ミキサ(スタティックミキサ)は通常連続流同士の混合を前提に設計されており,配管の径方向に対しての混合・撹拌作用しかもたなかった.そのため,定量ポンプなどで薬液をライン中に間欠的に注入する際に生じるような,流れ方向の混合ムラに対しては効果が見られない場合が多く,インライン混合における課題となっていた.
    本研究ではインライン混合・撹拌プロセスにおける流れ方向の混合ムラを低減することに目的に,流体を複数の流路に分割して,時間差をつけた後に再合流させることで流れ方向のムラを低減するという,従来のスタティックミキサとは発想の全く異なる新たなコンセプトによる静止型ミキサを開発し,その有用性について良好な結果を得たので報告する.
分離工学
  • 関野 政昭
    原稿種別: 報文
    専門分野: 分離工学
    2012 年 38 巻 3 号 p. 155-160
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2012/05/20
    ジャーナル 認証あり
    血液透析濾過処方において,特に中分子量領域の溶質の除去には限外濾過操作が欠かせない.そこでこの限外濾過による溶質除去効果について,膜の純水透過係数をパラメータに拡散除去能と対比して定量的解析を試みた.その結果,拡散除去支配の低分子量溶質の除去機構の場合と異なり,中分子量溶質では,拡散除去効果に加えて限外濾過効果が大きく溶質除去に寄与していることが定量的に確認された.また,バックフィルトレーションによる溶質の逆流現象も解析されており,溶質クリアランス値を増大させるためにはバックフィルトレーションを排した印加圧操作を行うことが望ましい.そのための指針となる限外濾過量とバックフィルトレーション量との関係も示した.
プロセスシステム工学,安全
材料工学,界面現象
  • 渡部 翼, 土岐 規仁, 横田 政晶, 清水 健司
    原稿種別: 報文
    専門分野: 材料工学,界面現象
    2012 年 38 巻 3 号 p. 167-171
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2012/05/20
    ジャーナル 認証あり
    近年,有機白色LED(WOLEDs)などに用いられる新規発光材料として,高効率発光体の開発が盛んに行われている.しかし,次世代発光体の創製には色純度や発光効率を向上させる必要がある.そこで,本研究では,無機ホスト-有機ゲストからなるハイブリッド構造に着目し,硫酸カリウム/ピラニンハイブリッド結晶を水溶液冷却法により作製した.得られたハイブリッド結晶は,有機ゲスト分子が無機ホスト骨格内に取り込まれた構造をしており,量子収率も中性条件において最大で83.5(%)と非常に高い値を示した.また,結晶生成段階におけるpHを調整することで発光色を淡青色から緑色の領域で制御することができた.このハイブリッド構造においては,発光中心であるホスト-ゲスト間相互作用による分子振動起因の無放射失活過程の軽減,および,発光中心である有機分子がホスト結晶骨格内に分散されたため,濃度消光やエキシマー形成による発光波長の変調をきたさなかった.これらの特性から,このハイブリッド構造を用いることで発光中心である有機分子の分子選択の幅が広がると期待される.
エネルギー
  • 鬼頭 毅, 小林 敬幸
    原稿種別: ノート
    専門分野: エネルギー
    2012 年 38 巻 3 号 p. 172-175
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2012/05/20
    ジャーナル 認証あり
    CaO/H2Oケミカルヒートポンプは蓄熱過程において,理論平衡温度に比べて高い蓄熱温度が必要となることが知られている.これまで酸化マグネシウムにハロゲン塩を加えて反応材料を複合化することにより脱水反応の反応速度を高め,蓄熱温度を低下させる手法が提案されている.本研究では,CaO/H2Oケミカルヒートポンプにおける蓄熱温度の低温化を目的として,酸化カルシウム-塩化リチウム複合反応材料を用いて実機相当の実験装置によるサイクル実験からその出力特性を評価した.その結果,酸化カルシウム単体では出力が不可能である643–663 Kの蓄熱温度においても,複合反応材料を用いることにより出力が可能であることが示された.また,連続サイクル実験では100回程度の繰り返しにおいて出力密度の履歴及び反応材料利用率に大きな変化はなく本反応材料における出力の安定性が示された.
環境
  • 村山 憲弘, 前川 育央, 後 裕之, 芝田 隼次, 宇田川 悦郎
    原稿種別: 報文
    専門分野: 環境
    2012 年 38 巻 3 号 p. 176-182
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2012/05/20
    ジャーナル 認証あり
    製鉄所から排出される製鋼スラグを原料に用いて,陰イオン交換体の一つである層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide, LDH)の合成を行った.LDHの金属イオン源となる成分をスラグから溶解するために,スラグの塩酸浸出を行った.スラグ浸出液からさまざまなpHで共沈法により合成した生成物に対して,結晶構造,熱重量変化などの物性や化学組成を調べた.水溶液中に存在するAs(III),B,Cr(VI)およびSe(IV)に対する生成物の除去能を検討した.
    2.0 mol/dm3 HClを用いて2.5 g/100 cm3の固液比にてスラグを浸出するのが適当であった.スラグの塩酸浸出液から得られる生成物はMg–Al系LDHとCa–Al系LDHを含み,pH 11以下ではMg–Al系LDHが,pH 12以上ではMg–Al系LDHとCa–Al系LDHの混合物がそれぞれ生成した.合成pHの調整によって反応液中のMgとCaの沈殿率を制御することが,浸出液から合成されるLDHの種類を決めるための重要な因子である.LDHによる有害陰イオン種の除去率は,Cr(VI)>Se(IV)>As(III)>Bの順に大きく,Feを多く含むスラグ由来の生成物はAs(III)に対する除去能が向上した.合成pHの違いによってスラグ由来生成物の陰イオン除去能は顕著に変化し,pH 10.5で合成した生成物の陰イオン除去能が最も高かった.スラグから陰イオン除去能をもつ層状複水酸化物が得られることがわかった.
  • 野田 直希, 伊藤 茂男, 植木 保昭, 義家 亮, 成瀬 一郎
    原稿種別: 報文
    専門分野: 環境
    2012 年 38 巻 3 号 p. 183-188
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2012/05/20
    ジャーナル 認証あり
    ホウ素化合物は一般的に揮発性が高いので,石炭燃焼排ガス中では,その一部がガス相へ移行する.しかし,ガス相への移行割合は炭種に依存し,その挙動は複雑である.よって,石炭燃焼場におけるホウ素の挙動を正確に解明するためには,ガス状ホウ素を高精度に測定する必要があり,本報では,石炭燃焼場を対象としたガス状ホウ素の測定法を開発した.実験は,ガス状ホウ素発生装置を試作し,模擬石炭燃焼排ガスや実際の石炭燃焼排ガスを用いて,吸収液の選定,配管材料などのサンプリング条件の最適化,ならびに確立した測定法の精度確認を行った.主な結果として,ガス状ホウ素の測定に最適な吸収液は硝酸酸性の過酸化水素水であり,また,ステンレス製のプローブやアルミナバインダを含むシリカ製フィルタ紙はガス状ホウ素を吸着するため,サンプリング流路や吸収液用のインピンジャーの最適な材質は石英ガラスあるいは四ふっ化エチレン樹脂であることならびにサンプリング流路は130℃以上に保温することにより高精度な測定が可能であることなどを明らかにした.
feedback
Top