化学工学論文集
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4 巻, 4 号
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  • 広瀬 勉
    1978 年 4 巻 4 号 p. 331-336
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    独立次元は問題に即して選びうるという考えに基づいて次の手順による次元解析が提案される.STEP1.できるだけ独立次元の数の少ない単位系でII定理に基づいて無次元数をつくる.STEP 2.適当な次元定数を導入して独立次元の数の多い新しい単位系に物理量を換算し無次元数を書き直す.STEP3.導入した次元定数の値が変化しても物理現象の量的関係に変化をもたらさないことが明らかなとき, その次元定数を含む無次元項は相関から除外される.
    この方法は現象が微分方程式で書かれているか否かにかかわらず等しく適用される.また正規解にとどまる系のみならず, 相似解に至る系についても同じ手順が適用される.こうして境界層など指向性を持つ問題には, 群論的手法その他の方法と同様の有用性を発揮する.次元解析がこのように柔軟性をもった工学的解析法であることが, 2~3の例を通して示される.
  • 萩原 豊
    1978 年 4 巻 4 号 p. 337-341
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    ポットスチルを用いて, 残留空気圧力範囲1.0×10-3~3.5×10-1mmHgでE.H.P. (di-2-ethyl hexyl-phthalate) とmT.C.P. (m-tricresyl-phosphate) の単独系ならびにE.H.P.-mT.C.P.2成分系の蒸留実験を行った.次の知見を得た. (1) 分子とう蒸発の伴わない蒸発領域においては, 比揮発度の値は理論値に等しい.分子とう蒸発開始点で, 比揮発度の値は理論値からはずれて, 小さくなり, 同蒸発完成点で, その値は最小となる.分離の立場から考えれば, 分子とう蒸発の発生は避けるべきである. (2) 2成分系における分子とう蒸発開始時の液表面温度は単独系のそれより低い。 (3) E.H.P.の液相濃度範囲が45~50mol%で, 2成分系内の低沸点成分 (E.H.P.) の蒸発速度は最大値を, 高沸点成分 (mT.C.P.) は最小値を取る.しかし, 蒸発速度に及ぼす液相濃度の影響は, 液表面温度のそれと比較して非常に小さい.
  • 佐藤 真士, 伊ヶ崎 文和, 外山 茂樹
    1978 年 4 巻 4 号 p. 342-349
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    海水淡水化多段フラッシュ蒸発装置の部分負荷シミュレーションプログラムを作成し, シミュレーション結果と3,000m3/日テストプラントから得た実験結果とを比較検討した.その結果, 次のことが明らかになった.1) 部分負荷運転では低温段にフラッシュしない非有効段が生じる, 2) この非有効段の数は部分負荷の程度が高いほど多くなる.3) 部分負荷における造水比は非有効段が生じるために著しく低下する.4) 非有効段における段間レベル差は大きく, 液レベルが急激に高くなる.5) 第8段付近の液レベルの変化が激しく, これが部分負荷における安定運転に限界を与える.
  • 中村 克孝, 渡部 孝
    1978 年 4 巻 4 号 p. 350-354
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    任意枚数の羽根を有する縦型の撹拌式薄膜蒸発器内の軸方向下降流れの理論解析に関しては, KernとKarakasにより先駆的な研究がなされた.ところが彼らは, 撹拌羽根前面に常に液すみ肉が生じている大きな供液量の場合のみを扱った.熱的諸問題を除外した場合について, 著者らは臨界供液量以下の供液量についても適用できる理論式を導いた.これらの理論式は, 従来の実験値の無次元表示されたものと比較された.
  • 岡本 幸道, 西川 正史, 松田 一秀, 橋本 健治
    1978 年 4 巻 4 号 p. 355-360
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    拡散実験により邪魔板条件下の乱流拡散係数を測定することは不可能に近い.そこで, 本研究では, 熱フィルム流速計による乱流測定を通じて乱流拡散係数を算出する方法を用いた.その算出に際し, 乱れに関するLagrangian scaleとEulerian scaleの関係について仮定を設けた.
    測定は, 邪魔板の無い場合および邪魔板を挿入した場合について行い, それぞれの場合の乱流拡散係数の槽内分布を得た、また, それぞれの場合ともに, 乱流拡散係数は撹拌レイノルズ数Reに比例することを実験により確かめた.なお, 本研究で得た邪魔板の無い場合の測定値は, 山本らの拡散実験による測定値とだいたい一致する傾向にあったが, Reが50,000以下では本測定値の方がかなり小さめとなった.
  • 都田 昌之, 米原 潤, 前田 四郎
    1978 年 4 巻 4 号 p. 361-365
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    球形ガラス, 非球形ガラス, 方解石, 塩基性珪酸鉛粒子などを用い, 低流速における水平固液混相流の実験を行い, 圧力損失および管内粒子濃度について実験的検討を行った.
    修正フルード数が1以下の領域において, 圧力損失の変化の仕方が二とおりあることがわかった。この領域においては, しゅう動流に用いられる圧力損失の式が適用されないことが明らかとなった.また固定層を伴う流れの圧力損失を表す実験式を提案した.
    管内粒子濃度と吐出粒子濃度との比, CT/CSは固定層を伴う流れの場合には流速の低下とともに増加する傾向を示す.一方, ロッドライクフローやパルストフェーズフローの場合には, 流速の低下にともないCT/CSは減少することがわかった.
  • 今野 宏卓, 栗山 雅文, 浅野 政裕, 原田 英二
    1978 年 4 巻 4 号 p. 366-371
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    空気中に加熱した銅円管を設置し, 針電極との間にコロナ放電を起こした場合の管外熱伝達について実験的に検討した.測定管には直径がおのおの10, 20, および40mmの肉厚銅円管を用い, 針電極に負の直流高電圧を印加して実験を行った.
    コロナ風の速度は針電極ピッチ p や電極間間隙 H にかかわらずコロナ電流の1/2乗に比例し, 局所速度と最大速度の比 Ux/Un は無次元距離 x/H の関数で示される.ここで x は針電極直下からの管軸方向距離である.
    コロナ放電下の熱移動速度は電極間間隙が広く, かつ針電極ピッチが小さくなるほど増加する.しかし, 両者の比 H/P が0.7以上になると間隙およびピッチの影響は見られなくなる.また, 平均ヌッセルト数とコロナ電流の1/2乗とは両対数紙上で直線関係を示した.
  • 沢田 達郎, 丁子 哲治, 島田 昌次郎
    1978 年 4 巻 4 号 p. 372-376
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    Escheriehia coli BBの増殖における温度のシフトダウンの影響が連続培養で研究された.実験値の動的挙動が遅れ時間の関数をMonodの式に導入することによってよくシミュレートされた.
    培地の中にグルコースが十分あるとき, 増殖速度は増殖温度の突然のシフトによって菌のDNA含有量を変えずに瞬間的に変化した.一方, 制限グルコース濃度のとき, 増殖速度と菌のDNA含有量の変化は速やかではなく, かなり遅れた.DNA含有量の差が大きくなるにつれて新しい増殖状態に達する時間が増加したことから, 遅れ定数の値は最初と最後の定常状態における菌体のDNA含有量の差に関係するように思われた.
  • 諸岡 成治, 池水 喜義, 加藤 康夫
    1978 年 4 巻 4 号 p. 377-380
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    溶存オゾンの自己分解速度を液温3~35℃, pH2~9で測定し, 次の実験式を得た.
    -dC/dt=ka0 [OH-] 0.28C1.5+kb0 [OH-] 1.0C1.0
    ここに
    ka0=4.6×1013exp (-17.9×103/RT)
    kb0=1.8×1018exp (-20.6×103/RT)
    C=オゾン濃度 [mol/l], [OH-];OH-イオン濃度 [mol/l], R=気体定数 [cal/mol・°K], T=絶対温度 [°K], t=時間 [sec].
  • 鈴木 正昭, 神沢 淳
    1978 年 4 巻 4 号 p. 381-385
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    プラズマ炉などで見られる熱プラズマ流と被熱物体間の熱移動現象を調べていくうえに, イオンと電子の再結合反応を知ることが必要である.これまでに熱プラズマのような衝突が支配的なプラズマに関しての再結合反応のデータはほとんどない.そこで大気圧弱電離プラズマ流を用い, 流れ中におかれたテスト部前後の荷電粒子密度の減少を測定し, 再結合係数を求めてみた.その結果, 気相における再結合係数はT =340~500Kで, α=3.0×10-13~4.0×10-14m3・s-1となって解離再結合をしていること, 表面においてはある程度触媒的であるが, 完全ではないことなどがわかった.
  • 城塚 正, 須藤 雅夫
    1978 年 4 巻 4 号 p. 386-393
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    光開始連鎖反応に与える不均一光強度分布の影響を検討する目的で, 部分照射攪拌槽を用いて, 攪拌速度ならびに照射体積を変えてメチルメタアクリレート光増感重合反応を行った.循環モデルに基づく照射領域ならびに暗領域での無次元化基礎式を用いて理論的解析を行った.低重合率における実験結果 (重合初速度, 数平均重合度, ならびに分子量分布) に対する考察から光反応装置の循環時間分布を用いた計算法の有効性が論じられ, 光照射部分が小さい場合よりむしろ大きい場合によく一致することがわかった.
  • 城塚 正, 須藤 雅夫
    1978 年 4 巻 4 号 p. 394-399
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    可視光を利用した染料増感フェノール分解反応を8個のタングステンランプを用いた外部照射気泡塔で行った.体積平均光吸収速度は, 光線が反応器中心軸に放射状に入射するという外部集中光モデルの簡単化式で立式できることを理論的に検討した.フェノール光分解初速度の実験結果から, pH=10, ガス流速U=4.35cm3/secで, メチレンブルー, ローズベンガル, ならびにエオシンYを用いた場合の平均量子収率が算出された.さらに, 反応抑制効果について考察し, 設定した反応機構で充分説明できることを知った.
  • 小幡 英二, 渡辺 治夫
    1978 年 4 巻 4 号 p. 400-405
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    固体濃度の関数である固体流束曲線に代わって, 供給スラリーで得られる回分沈降曲線による連続シックナー操作の解析を研究した.これはKynchの理論に基づくTalmage-Fitchの手法を発展させたものである.
    本報の解析により, 定常操作時の槽内濃度分布および最適な操作条件を図的に予測できる.予測された槽内濃度分布は未負荷操作から過負荷操作の広範囲にわたって, 炭酸カルシウムスラリーによる実験結果とよい一致を示した.回分沈降曲線による解析は, 回分沈降曲線が固体流束曲線に比べ簡単に作製できる点で, 固体流束曲線による解析より優れている.
  • 河村 光隆, 外山 茂樹, 内田 邦夫
    1978 年 4 巻 4 号 p. 406-412
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    都市固形廃棄物熱分解炉用の圧縮型供給装置を開発した.供給装置は圧縮室と押し上げ機構から成り立つ.この供給装置を用いて, ごみの圧縮特性を試験した.ごみの圧縮挙動は, 圧力上昇は緩慢でごみ粒子が移動して粒子間空隙を埋める第I期と, ごみ粒子自身が収縮し, 圧力が急激に増大する第II期とに分類される.第II期については川北の式で表される.80Kg/cm2の圧縮圧力ではごみにはまだ弾性的性質も残存し, 圧力を除くと元へ復元する傾向を示す。圧縮したごみを円筒形の中を上方へ押し上げるのに要する力は, 水分60%以上では3Kg/cm2以下であった.
  • 古閑 二郎, 山口 賢治, 井上 一郎
    1978 年 4 巻 4 号 p. 413-418
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    水平回転円筒型混合機の断面における混合-偏析過程は, セミ・マルコフ過程の理論を適用して記述することができる.固体粒子の運動の特性は, 半径方向の推移確率と循環時間分布とによって示される.各種の球粒子について, これらの特性因子を実測した.
    その特性因子より平衡時の混合物における着目粒子の空間的な分布を理論的に求め, それを濃度分布に変換した.
    その結果, 密度の異なる2成分系混合物の場合には, 軽い粒子は循環流れの外側に, 反対に重い粒子は不動点付近に偏析する傾向を確かめた.
  • 吉田 英人, 藤井 謙治, 米本 良行, 増田 弘昭, 井伊谷 鋼一
    1978 年 4 巻 4 号 p. 419-424
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    バーチュアルインパクターの分級性能に及ぼす直進流量, スリット間隔, 流体粘度, 分級管肉厚の影響を理論的に検討した.その結果50%分離慣性パラメータはスリット間隔の減少と共に小さくなり, 一方直進流量および流れレイノルズ数の低下と共に大きくなる, また分級管肉厚はあまり分級効率に影響しない.実験にはスピニングディスクより発生する3~4μmの粒子を用いスリット間隔が分級効率に及ぼす影響を調べた.実験結果はポテンシャル流を仮定した理論計算とほぼ一致した.また分級性能は従来の衝突板を用いるインパクターに比べ多少劣る.実験条件によっては下部捕集円管入口先端内壁に粒子が集中して沈着する場合もあり, この量も実用上無視できない.
  • 宇敷 建一, 久保 清和, 平野 茂樹, 井伊谷 鋼一
    1978 年 4 巻 4 号 p. 425-430
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    リボンを気流に垂直に配置した場合の慣性と重力による捕集効率を数値的に求めた.下降流と水平流では, リボン両端に接する2本の粒子軌跡が限界軌跡であり, これらの間の粒子はすべて捕集される.しかし, 上昇流では2本の限界軌跡の間の粒子であっても捕集されない場合がある.
    上昇流では, 円板や円筒の場合と同様捕集効率は極大値を有するが, 上下の限界慣性パラメータ付近で下降流や水平流の場合より急激に減少する.粒子流体抵抗がストークス域からずれると, 捕集可能な慣性パラメータ範囲は概して広くなる.
    下降流での慣性パラメータに対する捕集効率の変化は単調で, フルード数の減少とともに捕集効率は増大する.しかし, 粒子流体抵抗のストークス域からのずれが大きくなるとその傾向は小さくなる.
    水平流でもフルード数の減少とともに捕集効率は増大するが, 粒子流体抵抗のストークス域からのずれが大きい場合には, 一部でこの傾向の逆転が見られる.
    すべての場合に実験結果と計算値とはほぼ一致しており, 理論計算は妥当と考えられる.
  • 兵働 務, 山中 朗, 近藤 和生, 中塩 文行, 片岡 健, 西機 忠昭, 上山 惟恒
    1978 年 4 巻 4 号 p. 431-438
    発行日: 1978/07/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
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