化学工学論文集
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41 巻, 2 号
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編集ノート
物性,物理化学
  • 大田 昌樹, 林 美佳, 佐藤 善之, 猪股 宏
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    柑橘果皮に含まれる機能性成分の濃縮分離を目的とし,溶解度パラメータを指標とする分画法を整備した.まず,凍結粉砕した柑橘果皮より各種溶剤を用いて抽出実験を実施したところ,カロテノイドとしてキサントフィル5種とカロテン2種,クロロフィル2種,フラボノイド10種がそれぞれ同定された.各種抽剤による抽出率と溶解度パラメータの関係をプロットし,ガウス波形を用いて相関した結果,相関精度は対象とする物質に依存したがおおむね良好であった.さらに,得られた波形のピークトップを溶解度パラメータとして実験的に推定する方法論を適用したところ,上述した成分について溶解度パラメータの定量化に成功した.本法は,標準試薬が入手困難な場合の溶解度パラメータの実験的推定法として有効である.
移動現象,流体工学
  • 足立 高弘
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 78-82
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    著者らは,円すいの頂角を下にして水に浸し回転させると,液膜流が円すい表面に沿って上昇し,やがてミストとなって周囲に噴霧される現象を見いだし報告を行ってきた.本研究では,そのミスト生成機構を用いて,水系に酸素を効率よく溶解させる方法の開発を行った.水系を撹拌すると酸素の溶解が促進し,溶存酸素濃度が増加することが知られている.本研究では,円すいを回転させることで水系を撹拌させる効果と,ミストの生成により気液界面の面積が増加し,大気中の酸素を吸収し水系に輸送する効果により溶存酸素の溶解量が増大することを明らかにした.さらに円すいの回転数の増加に伴い,流れのパターンが定常流から振動流に遷移することで酸素の移動が促進されることを明らかにしたのでここに報告する.
  • 井上 義朗
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 83-90
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル フリー
    流体混合におけるパターンの時間変化は,流体物質自身の動きとは異なるように見えることが多く,非定常流れでは特にその傾向が強い.もともと混合パターンとは無数の流体粒子の集合体としての形の動きに関するものであるため,その動きを有限個の流体粒子の動きに還元することはできない.また,混合パターンは時間経過とともに,初期パターンに依存しない共通の形に近づく性質を持っている.これは,流れ場に固有のパターン生成速度場が潜在的に存在することを強く示唆している.しかし,これまでの流体力学は,これらの問題を明快に説明するのに適した枠組みにはなっていない.本論文では,混合パターンの動きを直接支配する新しい速度ベクトル場を導入することにより,流体混合現象を従来とは異なる面から捉えるとともに,その本質をより明確にする.
  • 古川 陽輝, 加藤 禎人, 南雲 亮, 多田 豊
    原稿種別: ノート
    2015 年 41 巻 2 号 p. 91-94
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    平底円筒槽に設置されたコンケーブタービン翼の撹拌所要動力が測定された.これまで,コンケーブタービン翼の動力は類似形状であるタービン翼の撹拌所要動力と同程度であると考えられてきた.そのため,詳細な動力は測定されていない.本研究では,コンケーブタービン翼の無通気時動力を測定し,コンケーブタービン翼の動力数は亀井・平岡の式(Kamei et al., 1995, 1996)を修正することで推算可能であることが明らかにされた.さらに,邪魔板有りの場合,Rushtonタービン翼と比較してコンケーブタービン翼の動力数は約0.5倍であった.
粉粒体工学
  • 石山 新太郎
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 95-99
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    570,000 Bq/kgを超える村道脇や原野ならびに校庭の三箇所から採取した高濃度放射能汚染土壌の再生ならびに大幅減容化を目的とした解砕洗浄法による解砕洗浄フィールド試験を福島県下で実施し,各汚染土壌からの放射能汚染鉱物相回収のための最適化処理条件の探索を行った結果,下記成果を得た.(1)解砕洗浄処理時の土壌スラリーの最適pH値は,汚染土壌により異なり,校庭土壌の場合11,山中原土壌では10.5,村道脇土壌では10.7程度とすることがのぞましい.(2)解砕洗浄時の固形分濃度は最大50%以下とし,その際1h以上の処理操作が必要である.(3)上記(1)–(2)解砕洗浄条件下で各種土壌の解砕洗浄を行った場合,すべての土壌の粒度を10 µm以下に微細化でき,その結果再生土壌の洗浄率を向上させることでその後の大幅減容化処理に貢献できることがわかった.
  • 有馬 謙一, 土山 佳彦, 鈴木 武志, 澤津橋 徹哉, 垣上 英正, 木下 正昭, 石井 弘実
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 100-106
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル フリー
    世界の採掘可能な石炭資源約9000億tの約半分は,亜瀝青炭,褐炭などの高水分炭である.特に褐炭では重量の半分近くが水分であるため,褐炭を高効率かつ大容量で予備乾燥させ,発電効率を向上させる技術が望まれている.蒸気を流動化ガスとする流動層乾燥方式は潜熱回収が可能であり,高効率な褐炭乾燥法に適していると考えられる.一方,褐炭には親水性の官能基が多く存在し,また多くの細孔が存在するため,乾燥が進み水分が減少するにしたがって,水分の蒸発温度と蒸発潜熱が上昇する.蒸気流動層乾燥装置においては,このような褐炭の乾燥特性を考慮して,乾燥段階に応じた適正な乾燥条件を与えることが必要である.
    本研究では,過熱水蒸気を流動化ガスとするバッチ式の流動層基礎試験装置により,3種類の褐炭を使用して水蒸気温度,粒径を変化させ,乾燥特性を把握する試験を実施した.その結果,今回試験に使用した褐炭では,限界含水率は約35%-dryであること,含水率を10%-dryとするために必要な流動層の温度は115˚Cであることなどを明らかにした.さらに,褐炭粒子の乾燥をモデル化し,流動層温度,蒸発潜熱を含水率の関数として与えることにより,蒸気流動層における乾燥特性を精度よく予測することが可能であることを明らかにした.
分離工学
  • 川原 正人, 水野 秀明, 山田 眞, 松岡 英司, 中村 一穂
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    燃料用エタノールはガソリンに混合して使用されることを目的とし,日本では2011年に制定されたJIS K2190により,その品質が定められている.発酵によるエタノール製造では,発酵工程で生成するさまざまな不純物を分離精製工程で除去し,エタノールを精製する必要がある.本報告では廃木材を原料とするバイオエタノール製造プラントの分離精製プロセスにおけるエタノールの品質管理および有機不純物の改善の検討を行った.その結果,分離精製プロセスへの供給液である発酵液は,原材料である廃木材の質や量の変動に影響されバッチごとに性状や有機不純物濃度が変動し,製品エタノールの品質項目のうち酸度と硫黄分の製品品質を改善する必要があることがわかった.そこで,品質向上の対策として,還流液のpH制御を行った結果,製品中の酸度,電気伝導率,水分および硫黄分が改善された.さらに,プロセス中の有機不純物の同定およびその挙動を分析し,製品中の有機不純物濃度は,5.0±2.0 g/Lで,プロパン-1-オール,2-ブタノール,アセタールが有機不純物の主成分であることがわかった.これらの濃度低減のため,蒸留塔からのフーゼル油抜出しの有効性について調査した.抜出したフーゼル油中には,有機不純物が多く含まれ,フーゼル油抜出しが,製品品質の改善に有効であることがわかった.
  • 向井 康人, 裴 海燕, 井上 正浩, 佐藤 康行, 藤井 亮児, 赤地 利幸, 加藤 寛之
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 113-120
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    焼結金属フィルターによる微粒子懸濁液の濾過特性におよぼす媒液環境の影響を明らかにするため,菌体の一種であるBacillus atrophaeusを種々のpHの水や種々の濃度の有機溶媒水溶液に分散させて試料液とし,焼結金属フィルターによる濾過実験を行い,粒子捕捉性能の指標となる菌体粒子の対数減少値LRVを測定した.水系において,pHが小さいほど,フィルターと菌体粒子のゼータ電位の絶対値は小さくなり,フィルターと菌体粒子との間の静電的反発力は減少した.また,有機溶媒水溶液系についても,有機溶媒濃度が大きくなるにつれて,フィルターと菌体粒子のゼータ電位の絶対値は小さくなり,さらに液体の誘電率も減少するため,フィルター–菌体粒子間の静電的反発力は減少した.その結果,菌体粒子はフィルターに阻止されやすくなり,LRVは増加する傾向を示した.また,フィルター–菌体粒子間相互作用をDLVO理論に基づいて解析し,LRVとの定量的な関係について考察した結果,焼結金属フィルターの菌体粒子捕捉特性は,フィルターと菌体粒子との間に働く界面化学的相互作用によって総括的に説明することができることを明らかにした.
熱工学
  • 鈴木 慎太郎, 稲垣 照美, 李 艶栄, 原田 滉士, 井澤 幸貴, 山内 紀子
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 121-130
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    本研究は,ナノ流体の一つであるカーボンナノチューブ分散流体の熱物性を評価し,その熱輸送プロセスとしての水平密閉矩形容器内自然対流の伝熱特性を実験的に検討したものである.ここでは,これまで著者らが構築した信頼性の高い熱物性計測システムを援用しながらカーボンナノチューブ分散流体の熱物性値とその温度依存性を定量的に同定するとともに,未解明な自然対流による熱輸送機構について考察を進めた.同時に,カーボンナノチューブ分散流体の流動特性についても熱的な観点から考察した.その結果,カーボンナノチューブ分散流体の熱物性値やその温度依存性を同定するとともに,本研究で使用したカーボンナノチューブ分散流体が非ビンガム流体であることを提示した.また,カーボンナノチューブ分散流体は,高い熱伝導性を示す流体であるが,高粘性効果により対流が抑制され,その結果として自然対流の熱伝達率が劣化することを明らかにした.
  • 稲垣 照美, 柏 拓貴, 李 艶栄
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 131-139
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    本研究は,相変化蓄熱媒体の1つである硫酸ナトリウム10水和物の液相状態における熱物性を評価し,その熱輸送プロセスとしての水平密閉矩形容器内自然対流の伝熱特性を実験的に検討したものである.ここでは,実使用形態に合わせた熱輸送プロセスに必要不可欠な伝熱データベースの充実を図るために,これまで著者らが構築した信頼性の高い熱物性計測システムを援用しながら硫酸ナトリウム10水和物の熱物性値とその温度依存性を定量的に同定するとともに,未解明な熱輸送機構について考察を進めた.すなわち,実測した熱物性値に基づいて水平密閉矩形容器内自然対流の熱伝達率を再整理することで,従来から提案されている伝熱相関式と比較・検証しながら液相状態下の自然対流の伝熱特性を解明した.その結果,硫酸ナトリウム10水和物の熱物性値に対する温度依存性を解明するとともに,新たに実測した熱物性値を適用することにより液相状態下の自然対流熱伝達が先に提案されている水平密閉矩形容器内自然対流熱伝達に関する伝熱相関式と良好な一致を示すことを明らかにした.この結果は,同定した熱物性値の有効性を示唆するものである.
  • 有馬 謙一, 福田 憲弘, 高島 竜平, 香月 紀人, 澤津橋 徹哉, 木下 正昭, 石井 弘実
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 140-147
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    世界の可採石炭埋蔵量は約9000億トンであり,約半分は亜瀝青炭,褐炭などの高水分炭と言われている.特に褐炭では重量の半分近くが水分であるため,褐炭を高効率かつ大容量で予備乾燥させ,発電効率を向上させる技術が望まれている.蒸気を流動化ガスとする流動層乾燥方式は潜熱回収が可能であり,高効率な褐炭乾燥法に適していると考えられる.蒸気流動層乾燥装置では層内伝熱管に飽和温度150˚C程度の水蒸気を供給して褐炭粒子を間接加熱し,乾燥させる.ところが,褐炭粒子は幅広い粒度分布を有するとともに水分含有率が高く付着性を有しているため,蒸気流動層乾燥装置の設計においては,流動特性とともに伝熱特性を精度よく評価する必要がある.
    本研究では,窒素を流動化ガスとする基礎試験装置により,水分含有量の異なる2種類の褐炭を用い,流動化ガス速度,層内伝熱管のピッチを変化させて,管外伝熱係数への影響を把握した.さらに,伝熱面積の増加を目的に伝熱管にフィンを取りつけ,フィン間隔を変化させ,その効果を把握した.その結果,管外伝熱係数は粒子の見かけ密度と粒径を水分含有量の関数として与えることによりAndeen and Glicksmanの式で予測できること,伝熱管密度が大きくなったときの管外伝熱係数は付着性のない粉体ではやや増加するが,付着性のある粉体では低下すること,伝熱管フィン有効度はフィン表面伝熱係数が平滑管表面の伝熱係数と同一であると仮定して計算した値に比べると小さいことを明らかにした.
反応工学
  • 西田 哲, 納土 亮, 牟田 浩司, 栗林 志頭眞
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    近年開発された非平衡プラズマジェット化学蒸着(Chemical Vapor Deposition, CVD)法は通常の非平衡プラズマCVD法に比べおよそ1000倍の速さで製膜を行うことができる手法である.本手法では高速噴流を用いることにより高速製膜を実現しているが,その要因としては高速噴流により基板近傍での物質移動が促進されるためと考えられている.また,噴流の速度が速いため主噴流内では原料ガスの分解があまり進行しない.そのため噴流が基板に衝突後,装置内での滞留中に原料ガスの分解が進み生成した製膜前駆体が再度主噴流に巻き込まれ基板に到達し製膜が起こることが示唆されている.本研究では装置内圧力が製膜速度に与える影響を確認するため,非平衡プラズマジェットCVD法によるシラン/水素系での製膜実験において装置内圧力を133から800 Paの間で変化させた実験を行った.実験の結果,267 Pa以下の低圧側では高速製膜現象は起こらず,装置内圧力の増加に伴い製膜速度が上昇することが確認された.またラマン分光法により得られた膜の結晶性を測定したところ267 Pa付近で結晶性が増加することがわかった.クヌーセン数により流れの状態を評価し,CHEMKINによる反応計算で製膜前駆体濃度の圧力依存性の推定を行ったところ,圧力変化に伴い装置内のガス流れが遷移流となったためガス流速が低下していること,それに伴い基板近傍の物質移動速度が低下し製膜速度が減少した可能性が示唆された.また,結晶性に影響がある製膜前駆体のSiH2濃度の推算から流速低下により反応がより進行し,原料ガスの分解が進行したことと圧力低下によりSiH3の濃度が低下しSiH2の濃度が増加したため結晶性が変化した可能性が示唆された.
  • 小林 大祐, 坂本 理彰, 松本 秀行, 高橋 智輝, 黒田 千秋, 大竹 勝人, 庄野 厚
    原稿種別: ノート
    2015 年 41 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    ポリピロールなどの導電性高分子の単分散微粒子合成が求められている.本研究では,超音波の乳化作用,および化学反応促進作用に着目し,水溶媒系におけるポリピロール微粒子合成を行い,照射する超音波周波数が生成粒子形態,および収量におよぼす影響を調べた.酸化剤が低濃度で超音波照射を行いながら重合反応させると,室温条件下においても単分散な微粒子を合成でき,超音波照射により撹拌に比べて反応が促進されることが明らかとなった.ソノケミカル効率の高い周波数では,生成ポリピロール微粒子の平均粒子径が小さくなり,収量も多くなった.一方,20 kHzではソノケミカル効率は低いが,収量は多くなり反応が促進された.
生物化学工学,食品工学,医用工学
  • 林 浩之輔, 友添 祐介, 永井 賢治, 平石 佳之, 神谷 典穂
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    生体試料中の生体分子を検出する免疫測定法に用いることを目的として,標識酵素であるペルオキシダーゼと抗体結合性タンパク質からなる融合タンパク質を,Brevibacillus choshinensisB. choshinensis)を宿主とするタンパク質分泌発現系を用いて調製した.ペルオキシダーゼには,Arthromyces ramosus由来ペルオキシダーゼ(ARP)を用い,抗体結合性タンパク質には,protein Gおよびprotein Aの抗体結合性ドメインを用いた.これらを融合した融合タンパク質(ARP-PG)のB. choshinensisによる分泌発現を試みたところ,その培養上清の可溶性画分に活性体として発現した.得られたARP-PGを用いて固相免疫測定を行い,メンブレン膜上に固定された抗原を,一次抗体を介して特異的に検出できることを示した.以上のことから,固相免疫測定に応用可能なペルオキシダーゼと抗体結合性タンパク質の融合タンパク質を,B. choshinensisを用いたタンパク質分泌発現系を用いて調製することに成功した.
材料工学,界面現象
  • 鶴田 公平, 久保 翔平, 松尾 郁哉, 備孝 一郎, 甲原 好浩, 大角 義浩, 武井 孝行, 吉田 昌弘
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 162-166
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    近年電子機器製品が普及し,今後もその需要が増えると予想する.電子機器内で使用される接着ガラス材料は有毒性の酸化鉛が含まれており,その鉛ガラスと代替可能なガラスの調製に取り組んだ.本報では金属酸化物(Li2B4O7, BaO, P2O5)からなる封着加工用紛体ガラスを調製し,封着加工用鉛フリーガラスとしての可能性を評価した.特に応用範囲が広がる透明性の高い封着加工用鉛フリーガラスの調製を目指した.組成が(30–80 mol%)Li2B4O7–(10–40 mol%)BaO–(10–40 mol%)P2O5のガラスのガラス転移点,ガラス軟化点,結晶析出点,熱膨張係数,耐水試験,透過率,接着強度の測定を行った.それらのガラスに第4成分目としてAl2O3を所定量添加することで,透過率,耐水性を市販の鉛ガラス以上に向上させることができた.また,被封着材として一般的に広く利用されているソーダライムシリカ板ガラス(熱膨張係数:7.50×10-6˚C-1)と同等の熱膨張係数をもつガラスを調製できた.さらに,その鉛フリーガラスは,市販の鉛ガラス(1.63 kgf/cm2)以上の封着強度(6.64 kgf/cm2)を示した.
エネルギー
  • 山本 剛, 岩間 佳穂, 今里 亮介, 朝熊 裕介
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 2 号 p. 167-172
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    化石燃料の枯渇化が叫ばれている昨今,これまで利用されてこなかった低品位燃料の利用拡大が望まれているが,これらを有効に利用するためには燃焼促進を行う必要がある.そこで本研究では,マイクロ波による燃焼促進効果を調べるため,メタン–空気予混合火炎にマイクロ波を重畳し,その効果について検討を行った.その結果,生成ガス濃度分布から,すべての条件においてマイクロ波を重畳することにより,供給したメタンと酸素の消費速度が速くなるとともに,二酸化炭素の生成速度が速くなった.また,燃料過剰領域である当量比1.1では,二酸化炭素に加えて水素および一酸化炭素の生成速度が速くなった.これらのことから,マイクロ波を重畳することにより燃焼が促進されることが示された.分光器による自発光強度の結果から,燃焼反応過程で重要な役割を持つOHラジカルおよびCHラジカルは,燃焼火炎にマイクロ波を重畳することにより,燃焼ノズルから10 mmの位置において増加し,燃焼ノズルから25 mmの位置において減少した.このことから,燃焼火炎にマイクロ波を重畳することにより燃焼反応が促進され,火炎が短くなることが示唆された.
広領域,その他
  • 中山 政行, 一寸木 修二, 小山田 大和, 関谷 庸, 溝辺 薫, 田隈 広紀, 亀山 秀雄
    原稿種別: ノート
    2015 年 41 巻 2 号 p. 173-177
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/03/20
    ジャーナル 認証あり
    地域における再生可能エネルギーの普及・定着に向け,小田原市久野地域の久野川(準用河川)を対象に,マイクロ水力発電システムの導入実験を実施した.地域の要望であるエネルギーの地産地消を実現させるためには,住民レベルで実行可能な導入手順や機器の提示,方法論などが必要とされている.
    本稿では,具体的な導入手順や機器の提示,方法論を例証することを目的に,エネルギー利用プランの検討や電力量の試算,発電ポテンシャルの測定,適正技術の選定を実施し,マイクロ水力発電システムの導入実験を試みた.これらの活動を通して,地域におけるマイクロ水力発電システム導入に有効な一手順が例証されたため報告する.
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