近年電子機器製品が普及し,今後もその需要が増えると予想する.電子機器内で使用される接着ガラス材料は有毒性の酸化鉛が含まれており,その鉛ガラスと代替可能なガラスの調製に取り組んだ.本報では金属酸化物(Li
2B
4O
7, BaO, P
2O
5)からなる封着加工用紛体ガラスを調製し,封着加工用鉛フリーガラスとしての可能性を評価した.特に応用範囲が広がる透明性の高い封着加工用鉛フリーガラスの調製を目指した.組成が(30–80 mol%)Li
2B
4O
7–(10–40 mol%)BaO–(10–40 mol%)P
2O
5のガラスのガラス転移点,ガラス軟化点,結晶析出点,熱膨張係数,耐水試験,透過率,接着強度の測定を行った.それらのガラスに第4成分目としてAl
2O
3を所定量添加することで,透過率,耐水性を市販の鉛ガラス以上に向上させることができた.また,被封着材として一般的に広く利用されているソーダライムシリカ板ガラス(熱膨張係数:7.50×10
-6˚C
-1)と同等の熱膨張係数をもつガラスを調製できた.さらに,その鉛フリーガラスは,市販の鉛ガラス(1.63 kgf/cm
2)以上の封着強度(6.64 kgf/cm
2)を示した.
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