化学工学論文集
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41 巻, 4 号
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編集ノート
移動現象,流体工学
分離工学
  • 佐々木 貴明, 内山 翔一朗, 藤原 邦夫, 須郷 高信, 梅野 太輔, 斎藤 恭一
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 4 号 p. 220-227
    発行日: 2015/07/20
    公開日: 2015/07/20
    ジャーナル 認証あり
    酸性抽出試薬であるリン酸ビス(2-エチルヘキシル)(HDEHP)を,6-ナイロン繊維上に接ぎ木した高分子鎖に0.43 mol/kg-productの密度で担持した.HDEHP担持繊維充填カラムに負荷したネオジムとジスプロシウムイオンとを,3種類の濃度の塩酸を使った溶出クロマトグラフィーによって分離した.さまざまな空間速度および総負荷量であっても,HDEHP担持繊維充填カラムは,HDEHP担持ビーズ充填カラムと比較して,溶出クロマトグラムにおいて高いピークおよび小さい半値幅を示した.これは,イオンの拡散物質移動距離が短く,カラム体積あたりの表面積が大きいためである.担持されたHDEHPの漏出は検出されなかった.
  • 廣田 雄一朗, 田村 真吾, 下山 裕介, 伊東 章
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 4 号 p. 228-232
    発行日: 2015/07/20
    公開日: 2015/07/20
    ジャーナル フリー
    近年,マイクロ波加熱(MW加熱)を利用した新たなゼオライト膜の開発が進められており,合成時間が短縮されることが報告されている.しかしながら,MW加熱がゼオライト膜形成過程におよぼす効果はいまだ明らかになっていない.本報告では,マイクロ波加熱および電気炉加熱(CE加熱)を利用し,濃度の異なる2種類の合成溶液からゼオライト類似化合物SAPO-34膜を合成し,その形成過程を比較した.その結果,MW加熱を利用することで,合成溶液の濃度によらずSAPO-34膜の初期形成が加速された.また,希薄溶液を用いた場合において効果が顕著であることを確認した.4条件の比較から,MW加熱の特徴の一つである急速加熱効果により,合成溶液が結晶化温度に素早く加熱された結果,SAPO-34膜の形成が加速されることがわかった.
熱工学
  • 稲垣 照美, 篠原 智哉, 李 艶栄
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 4 号 p. 233-240
    発行日: 2015/07/20
    公開日: 2015/07/20
    ジャーナル 認証あり
    密閉容器内の自然対流熱伝達に関しては,従来からさまざまな研究が展開されてきた.しかしながら,比較的大きなレイリー数や乱流域に対する考察・伝熱データベースが圧倒的に少ないのが現状である.また,密閉容器内の乱流自然対流熱伝達を解明することは,相変化蓄熱を利用した実用大型熱輸送システムの高効率化,大型建築構造物の高断熱化,電子デバイス冷却の高性能化などを考察するうえで重要となる.したがって,本研究では,左右両側壁面を等温加熱・等温冷却した正方密閉矩形容器内の乱流自然対流熱伝達について,LIFとPIVを併用した実験および数値シミュレーションの両面から検討を加えることにした.その結果,正方密閉矩形容器内に生起する乱流域の自然対流熱伝達に関する実験およびLES(Large Eddy Simulation)を援用した数値シミュレーションは,これまで提案されている伝熱相関式と良好な一致を示した.また,正方密閉容器内部の伝熱・流動現象をPIV(粒子画像流速計,Particle Image Velocimetry)法とLIF(レーザー誘起蛍光温度計,Laser Induced Fluorescent)法により可視化計測した結果,それらは数値シミュレーションによる速度・温度場と良好な一致を示した.
反応工学
  • 小林 大祐, 樋渡 良輔, 朝倉 義幸, 松本 秀行, 黒田 千秋, 嶋田 友一郎, 大竹 勝人, 庄野 厚
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 4 号 p. 241-245
    発行日: 2015/07/20
    公開日: 2015/07/20
    ジャーナル 認証あり
    超音波乳化法は界面活性剤使用量を削減させて液滴径の小さいエマルションを得られるため有用である.さらに,低周波数から高周波数の超音波を逐次的に照射することにより,液滴径が100 nm程度のナノエマルション調製が可能である.本研究では,水中にトルエンが分散したO/Wエマルションを超音波乳化法,および機械的乳化法により調製し,周波数が20 kHzの超音波では100 nm程度のエマルションを調製することが可能で,ホモジナイザーに比べて乳化作用が強いことを明らかにした.さらに,機械的乳化により粗エマルションを調製した後に超音波を照射する逐次プロセスによるエマルション調製では,粗エマルションの液滴径と第二段階で照射する超音波周波数の関係が生成エマルションの液滴径に影響をおよぼすことを明らかにした.
マイクロシステム,ナノシステム
  • 宮林 圭輔, 殿村 修, 谷口 智, 長谷部 伸治
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 4 号 p. 246-252
    発行日: 2015/07/20
    公開日: 2015/07/20
    ジャーナル 認証あり
    気液スラグ流を伴う単一T字マイクロリアクタを対象に,フィードの圧力変動データに基づく気液スラグ長さ推定手法がこれまでに開発されている.本研究では,その推定手法を4並列T字マイクロリアクタに適用し,各圧力データの振動周期が各スラグ生成の周期と一致することを確認し,気液スラグ長さを推定できることを示した.さらに,マニホールド式流体分配器の入口1点に設置した圧力センサで取得されるデータをフーリエ解析することにより,並列リアクタの圧力振動周期を推定でき,並列数に応じて増加する流量センサや圧力センサ数を削減できることを示した.そして,4並列T字マイクロリアクタにおいて閉塞によるスラグ長さシフトが生じた場合を例として,流体分配器入口圧力と気体および液体の総供給流量の測定データのみを用いて,正常リアクタと閉塞リアクタのスラグ長さを誤差5%以内の精度で推定できることを示した.
材料工学,界面現象
  • 松尾 郁哉, 久保 翔平, 甲原 好浩, 武井 孝行, 吉田 昌弘
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 4 号 p. 253-258
    発行日: 2015/07/20
    公開日: 2015/07/20
    ジャーナル 認証あり
    エレクトロニクス産業において,さまざまな電子デバイスの封着に使用される“封着加工用ガラス”の開発が進められている.本報では近年脚光を浴びている4Kテレビや有機ELディスプレイ(OLED)の無アルカリガラスの封着に使用できる封着加工ガラスの調製および特性評価を行った.これら電子デバイス中の無アルカリガラスの封着加工ガラスとしては,(1)アルカリ金属類を含まないこと,(2)低融性を有すること,(3)低熱膨張性を有すること,(4)高耐水性を有することが求められる.それらを満たす原料として4種の金属酸化物(V2O5, ZnO, TeO2, (ZrO)2(HPO4)2)を用い,さまざまな組成のガラスを調製し,封着加工用ガラスとしての有用性を評価した.評価項目は,熱特性評価,熱膨張特性評価,耐水試験,粉末X線回折による構造評価,封着試験,封着強度試験である.調製したガラスの中で低融性,高耐水性かつ低熱膨張性を有するガラスの組成は,40 wt%V2O5–10 wt%ZnO–40 wt%TeO2–10 wt%(ZrO)2(HPO4)2および40 wt%V2O5–8 wt%%ZnO–40 wt%TeO2–12 wt%(ZrO)2(HPO4)2であった.しかし,これらのガラスは無アルカリガラスとの熱膨張係数の差が大きいため,粉末低熱膨張セラミックフィラーであるリン酸タングステン酸ジルコニウム(Zr2(WO4)(PO4)2, ZWP)を添加することで熱膨張特性の改善を行った.ZWPを添加することでそのガラスの熱膨張係数を低下させることができ,無アルカリガラスの封着強度を向上できた.
環境
  • 野中 利瀬弘, 高橋 秀明, 加藤 貴宏, 菅原 勝康
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 4 号 p. 259-264
    発行日: 2015/07/20
    公開日: 2015/07/20
    ジャーナル 認証あり
    本研究は,溶融飛灰に含まれる有用金属を効率よく分離精製するプロセスを開発するために必要な基礎データの取得を目的として,2種の溶融飛灰を単独,もしくは塩素化促進剤を添加して加熱したときの鉛の塩化揮発挙動を調べた.また,逐次抽出法を組み合わせることにより,加熱に伴う鉛化合物の形態変化を詳細に追跡した.電気抵抗式ならびに直接ガス化溶融炉から発生した2種の溶融飛灰試料に含まれる鉛は,主にPbCl2やPbO, PbSなどの化合物形態で存在していることがわかった.また,加熱時の鉛の揮発反応は,試料中の鉛形態の組成に大きく依存することが明らかとなった.PbOは,灰中の塩素化合物と反応しPbCl2へ変化した.鉛の塩化揮発は,873 K付近で進行しはじめ,加熱温度の上昇とともに増大した.これに塩素化促進剤としてポリ塩化ビニルを添加した場合,PbCl2の生成量が増大し,気相への鉛の揮発反応が促進された.さらに,溶融飛灰を単独加熱したときには固相中に安定化していたPbSは,ポリ塩化ビニルを添加することで,効率的に塩素化できることが明らかとなった.
広領域,その他
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