化学工学論文集
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47 巻, 6 号
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編集ノート
[特集]SDGsの達成に向けた環境化学工学の役割
  • 2021 年 47 巻 6 号 p. 177
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
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  • 黒沢 厚志
    原稿種別: レビュー
    2021 年 47 巻 6 号 p. 179-183
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    持続可能な開発目標は,社会経済や環境に対する包括的な目標群であり,パリ協定が目指す気候変動影響の緩和対策をも包含している.その達成時点は2030年を想定しているが,超長期的な気候変動対策との関係性も深い.気候変動対策の学際的評価には,統合評価モデルと呼ばれるツールが活用されるが,その利用は,エネルギー,水,土地利用,経済成長などを含む,目標間のトレードオフや相乗効果を評価するためにも有効である.持続可能な開発目標すべてを,工学的アプローチのみで解決できるものではないため,社会科学を含めた学際的アプローチが必要となる.持続可能な開発目標達成には,システム設計,建設,運用のすべてにおいて,物質収支,エネルギー収支,熱力学,システム工学などの方法論の集合体である化学工学の果たす役割が今後とも不可欠である.

  • 高橋 伸英, 内田 耀
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 184-190
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    正味の二酸化炭素排出量をゼロにするカーボンニュートラルの達成に向けて,また,2030年までを目標年限とする持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: 以下,SDGs)の達成に向けて,再生可能エネルギーのより一層の導入拡大が求められている.その中でも,今後の太陽光発電の導入形態として農地を利用した営農型発電(ソーラーシェアリング)が期待されているが,営農を適切に継続するためには,パネル下の日射量に与える影響をあらかじめ把握しておくことは重要である.そこで本研究では,営農型太陽光発電を実施している水田にて,パネル下における日射量を測定するとともに,それを予測するモデルの構築を行った.その結果,太陽追尾型の可動式のパネルについて,その下の農地面における日射量変化をよく再現できるモデルを構築した.また,そのモデルを使用し,太陽を追尾し東西,あるいは,南北方向にパネルを回転制御した場合の農地面日射量の空間分布への影響を予測した.その結果,東西制御の場合,日積算の農地面日射量は空間的に一様であるが,南北制御では場所により変動することが明らかとなった.また,東西制御の方が農地面日射量は少なくなる一方,パネルによる発電量は東西制御の方が大きくなることを明らかにした.

  • 藤井 祥万, 宮川 大河, 中垣 隆雄, 兼松 祐一郎, 菊池 康紀, 濱田 洋輔
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 191-199
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
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    脱炭素社会および持続可能開発目標達成のために,産業排熱や再生可能エネルギーの融通拡大が急務である.未利用熱の融通を拡充するためには,未利用熱発生地と熱需要の間にある時空間的なギャップを解消する蓄熱輸送技術が必要であり,ゼオライトを用いた蓄熱輸送システムに着目した.本研究では蓄熱・出熱のうち,蓄熱側に着目し未利用熱を蓄熱する向流接触式移動床蓄熱装置(ヒートチャージャー)を考案し,ケーススタディとして検討している製糖工場で実環境下においてフルスケールの約1/400規模の実証試験と数値解析によるフルスケールモデルの設計を実施した.実証試験では0.75 kWの連続的な蓄熱に成功した.また,蓄熱装置の性能を予測する数値解析モデルを開発し,充填層半径方向の充填層有効熱伝導を考慮した定常一次元モデルで試験結果を模擬できることを明らかにした.妥当性を確認した定常一次元数値解析モデルを用いてフルスケールのヒートチャージャーを設計した.設計パラメータを整理し,各ゼオライト流量において蓄熱に必要な補助動力を最小化するように可変パラメータである充填層高さ,蓄熱ガス流量を決定する手法を確立した.

  • 大石 義彦, 北林 真, 河合 秀樹, 吉田 静男
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 200-205
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    零度以下の環境で稼働する水素吸蔵合金を用いてヒートポンプシステムを構築し,平衡水素圧力から温度上昇を推定する方法を見出すことを目的とした.本報では,熱駆動式の水素吸蔵合金ヒートポンプを用いて空焚きおよび水加熱の昇温実験を行った.その結果,ヒートポンプの運転過程において,貯蔵水素圧力と温度上昇の2つの状態量が高い相関関係であることがわかった.温度上昇にともない平衡水素圧–合金組成–等温線図が変化する合金の性質によらず,水素圧力の変化の状態量の反応のみで温度上昇の実験値を基に予測式を作成できることを示した.また,水の加熱実験において,合金格納容器周りに水を入れたことにより水素吸蔵合金が冷却され,水素を吸蔵するための容量が保たれたことにより空焚き状態と比べて発熱量が大きくなった.

  • 阿部 雅弘, 野口 美由貴, 山崎 章弘
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 206-210
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    アルミノシリケートで構成されるアモルファスな無機ポリマーであるジオポリマーを素材として,基材を用いない自立型無機多孔膜の作製を試みた.アルミノシリカ源としてメタカオリンを用い,水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウムとシリカゲルおよび水を混合し,ジオポリマー構造生成のための原料ペーストとした.ペースト原料を二枚のガラス板間にキャストし,挟み込むことで膜を作製し,その後一定温度で養生することにより自立型のジオポリマー膜とした.ジオポリマーペーストの固液比,ペースト原料中のSi, Al, KもしくはNaの比を様々に変化させることでジオポリマー膜の物理的構造の制御を試みた.その結果,SiO2 : Al2O3 : K2Oのモル比が65 : 22.5 : 12.5, 原料固体と水のモル比が0.5の場合に安定なジオポリマー膜を作製することができた.作製した膜の細孔径分布は,同一原料組成の場合でも,養生温度によって異なり,養生温度が75°Cおよび100°Cの場合は,20–30 nm付近にピークを有したが,25°Cの場合には細孔径9 nmのピークと20–30 nm付近の二つのピークが見られた.作製したジオポリマー膜を通してのガス透過速度は,透過ガスの分子量の平方根の逆数と平均細孔径,空隙率の積に比例し,Knudsen拡散が支配的であることが確認できた.

  • 松井 和希, 田中 学, 渡辺 隆行
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 211-216
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    六フッ化硫黄(SF6)はその工業的利用価値の高さの反面,温室効果係数がCO2の約24,000倍と非常に高い値を有しているため適切な処理が求められている.本研究では,新規の熱プラズマ発生手法であるロングDCアークを用い,分解補助ガスとして水蒸気,H2,およびO2を添加した条件でのSF6分解処理を行った.ロングDCアークは300 mmの電極間に5 kW程度の出力で発生させた.水蒸気添加とH2添加の場合99%以上の分解率が得られたのに対し,O2添加の場合は最大でも89%程度の分解率であった.副生成物として,過剰な量のH2添加の場合ではH2Sが,O2添加の場合では温室効果を有するSO2F2が検出された.これら有害副生成物の抑制には,強い酸化雰囲気であること,またフッ化の原因となるFラジカルをHラジカルと再結合させHFとして回収することが望ましい.分解率,副生成物抑制の観点から,反応場中のHとFのモル比が等量比以上である十分量の水蒸気添加がSF6の安全かつ完全な分解には最も理想的であることが見出された.

  • 井坂 和一, 豊田 透花, 大前 周平, 高橋 悠, 大坂 利文, 常田 聡
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 217-223
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    高濃度窒素排水の処理方法として,嫌気性アンモニア酸化(アナモックス)反応を用いた排水処理システムの実用化が進められている.化学工場の排水や天然ガス採掘で発生するかん水などは,37°Cを超える高水温になる場合がある.さらに国内の夏季気温が40°Cを超えることがあることから,高温条件がアナモックスプロセスへおよぼす影響について,実排水処理を想定した長期的な影響評価が必要である.本研究では,アナモックス細菌を包括固定化担体と付着固定化した異なる2種類の担体を用いて連続試験を行い,高温条件がアナモックス活性へおよぼす影響を評価した.その結果,包括固定化担体を用いた試験系では,37°C条件とすると活性は徐々に低下し,窒素変換速度は1週間で37%低下した.また,38°C条件に設定すると,1週間で49%の窒素変換速度の低下が確認された.付着型担体を用いた試験系においても,37°C条件とすると活性の低下傾向が確認された.16S rRNA遺伝子に基づくアンプリコンシーケンシング解析により,アナモックス細菌の優占種は“Candidatus Kuenenia stuttgartiensis”であることが明らかとなった.これらの結果から“Candidatus Kuenenia stuttgartiensis”を優占とするアナモックスプロセスでは,37°C以上の運転は困難であり,36°C以下で運転する必要性が示された.さらに,高温条件下におけるアナモックス反応比について調査した結果,アンモニアの除去量(ΔNH4+)に対する硝酸の生成量(ΔNO3)の比(ΔNO3/ΔNH4+)およびアンモニアの除去量(ΔNH4+)に対する亜硝酸の除去量(ΔNO2)の比(ΔNO2/ΔNH4+)は,共に低下する傾向が確認され,高温による活性低下を検知する1つの指標が示された.

  • 土屋 宏典, 淵田 茂司, 所 千晴
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 224-230
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    石炭火力発電所排水やガラス製造排水にはセレン(Se),ホウ素(B),フッ素(F)などの非金属有害元素が含まれている.それぞれの元素除去に最適な除去剤が異なることから,これらを同時に処理することは難しい.本研究では,MgOとFe(II)を用いこれら有害元素を同時に処理可能な条件を検討した.Se(VI),B, F, SO42−が共存する模擬排水に異なる条件でMgOとFe(II)を添加した.その結果,Mg/Feモル比10の条件でSe(VI) 1 mg dm−3, B 300 mg dm−3, F 10 mg dm−3をいずれも排水基準値以下まで除去できた.得られた沈殿物の粉末X線回折および走査型電子顕微鏡による分析結果から,同一粒子中にFe(II),Fe(III), Mgを含む水酸化物および層状複水酸化物が生成し,各元素が除去されることがわかった.さらに,MgO粒子の周囲にこれら沈殿種が生成することで,懸濁液中粒子の粒子径が約300 µmと大きくなり沈降性が向上することがわかった.よってこの処理プロセスではSe(VI), B, Fを同時に除去できるだけでなく,生成する殿物の固液分離性も向上できると考えられる.

  • 平尾 充, 松岡 光昭, 村山 憲弘, 飯塚 淳
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 231-236
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    副生石膏や使用済み石膏を出発原料に用いて,懸濁液中でエトリンガイトを効率よく合成する方法を確立することが目的である.エトリンガイトの出発原料の溶出性に着目し,様々な焼成温度(400–1000°C)で処理した石膏や非晶質Al(OH)3に対して,pH 12のNaOH水溶液への溶出性を調べた.エトリンガイト生成におよぼす原料の溶出性の影響について検討した.エトリンガイトを用いて,希薄水溶液中の有害陰イオン種(B, As(III), Cr(VI), Se(IV))の除去能を調査し,一般的な方法で得られるエトリンガイトの除去能と比較した.

    Al3+源が可溶なNaAlO2の場合,二水石膏および焼成温度400°Cの石膏から1 hという短い時間でエトリンガイトが合成できた.600°C以上の焼成でも,24 hまで撹拌時間を延長することにより,エトリンガイトの生成が確認された.非晶質Al(OH)3およびその焼成物を用いた場合,エトリンガイトの生成に長時間を要した.焼成温度が高いほど,Al3+の溶解速度が小さくなった.懸濁液中でのエトリンガイト生成の観点から,石膏からのCa2+の溶出性よりもAl3+源からのAl3+の溶出性の方が支配的であることが示唆された.エトリンガイトの合成条件を制御して,石膏の反応性を高めることにより,陰イオン除去材の効率的な合成方法を確立できる可能性が示された.

  • 石井 駿, 田嶋 翔太, 髙谷 雄太郎, 淵田 茂司, 所 千晴
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 237-244
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    シリカスケールは地熱発電所の還元井閉塞を招くことから操業上における深刻な問題として知られている.これまで多くの対策が検討されてきたが,未だ根本的な解決には至ってない.本研究では地熱水のpHと温度の調整によるスケール生成抑制を目指して,共存元素系(Mg, Al, Fe)でのシリカ重合に対するpH(3, 6, 9)と温度(298–353 K)の影響を速度論的に評価した.実験の結果から,シリカと共存元素の濃度挙動はpHと温度によって大きく変化することが確認された.pH 3ではシリカの重合および共存金属元素の濃度減少は認められなかった.一方,pH 6およびpH 9ではシリカの重合が生じ,核成長速度についてはpH 9の方が大きかった.また,非共存系との比較により,共存系では各成長速度の増大を確認した.加えて,共存系では非共存系で観察された誘導期間(溶存シリカ濃度の低下がない)が観測されなかった.これらの速度定数の増大と誘導期間の欠如は,共存金属元素がシリカ重合過程における核生成とその成長に寄与していることを示唆している.また,速度定数や平衡濃度については温度依存性を確認することができた.以上の結果から本研究では,酸添加コストなどを考慮し,中性付近のpHにおいて還元温度と還元時間の調整を併せることでスケール生成量を抑える処理を提案する.

  • 荒木 貞夫, 翁 凱偉, 平野 茂, 山本 秀樹
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 245-250
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    パーフルオロカーボン(PFC)は様々な産業で用いられているが,大気に放出する際には分解処理を施す必要がある.現在,多くの分解プロセスには水との加水分解反応が用いられており,フッ酸の生成が免れない.そこで,我々はモルデナイト(MOR)を触媒として用い,CaOとの反応によるCF4分解を提案している.本研究では,ペレット化を目的として,ゼオライトとカルシウム化合物の混合時における水の添加と無機バインダーがおよぼすCF4分解特性への影響を確認した.カルシウム化合物にCaCO3,無機バインダーにアタパルジャイトを用いるとドライ状態で混合したMOR/CaOと比較して,同等以上のCF4分解特性を示した.水に対してCaCO3の溶解度が低いために,水添加時にMORの酸特性に影響をおよぼさなかったと考えられる.また,アタパルジャイトの繊維形状によるペレット内部への拡散性の向上も一因と考えられる.

移動現象,流体工学
  • 松岡 杏奈, 朝山 真輔, 森川 議博, 古川 陽輝, 加藤 禎人, 高 承台
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 251-256
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    2液混合型接着剤およびシーリング材等の2液硬化性樹脂の混合に,日本ソセー工業(株)のダイナミックミキサー(WONDER MIX)が用いられている.WONDER MIXの性能向上を目指して,新たに数種類のエレメントを試作・検討し,混合性能を評価した.その結果から,逆T字型の単位構造を交互に入り組むように配置したエレメント構造を見出した.この新型エレメントは,現行エレメントと比較して,より低回転での混合および短いエレメント長さでの混合を可能とする.

  • 西田 亮太, 小出 千尋, 古川 陽輝, 加藤 禎人, 加藤 好一, 根本 孝宏, 吾郷 健一, 高 承台
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 257-261
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    HRX300は液自由表面から液跳ねによって蒸発を促進し,かつ高い混合性能を示す.これらの性能を混合時間,撹拌所要動力,液跳ね量を測定することによって評価した.乱流条件下では,HRX300の無次元混合時間はSuper-Mix MR205と同等であった.また,HRX300の撹拌所要動力はSuper-Mix MR205の相関式によって相関できた.さらに,HRX300は液高さが変化しても,高い液跳ね性能を持つことがわかった.

熱工学
  • 稲垣 照美, 李 艶栄
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 262-272
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究は,工場や商業・民生施設などの様々な環境から排出される廃熱エネルギーを有効資源として再活用する方法の一つとして潜熱蓄熱技術に着目したものである.著者らは小型分散化オフィスや家庭向けに使用済み熱エネルギーを有効に蓄熱しながら再利用する方法としての蓄熱技術「低位熱エネルギー向け潜熱蓄熱式熱交換システム」を新たに考案し,エネルギーの有効利用や省エネルギー技術の観点から多段型潜熱蓄熱式熱交換システムに関する設計指針の確立を目指した.ここでは,融点の異なる潜熱蓄熱物質であるカプリン酸,ラウリン酸,ミリスチン酸をそれぞれ水平円筒熱交換器内に充填し,直列に接続した三段型潜熱蓄熱式熱交換システムを実際に構成して性能評価実験を行った.その結果,三段型潜熱蓄熱式熱交換器の融解・凝固プロセスにおける温度挙動,出入口温度差,温度効率などの特性が,単段型あるいは二段型潜熱蓄熱式熱交換器のそれと類似することを確認した.また,潜熱蓄熱式熱交換器の多段化により常温付近まで熱エネルギー回収が進展し,回収熱量の向上が期待できる.

反応工学
  • 小林 信介, 戸野部 悠, 神谷 憲児, 張 百強, 板谷 義紀, 須網 暁, 中川 二彦
    原稿種別: 報文
    2021 年 47 巻 6 号 p. 273-280
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/20
    ジャーナル 認証あり

    噴流層プラズマリアクターを用いたポリプロピレン(PP)粒子のDBD(Dielectric Barrier Discharge)プラズマ処理を行い,処理条件が粒子表面電荷に与える影響について検討を行った.実験では,プラズマ処理時間,印加電圧などのプラズマ条件およびガス流量や充填粒子数,粒子径などの流動化条件を変化させ,処理PP粒子の表面電位測定を行った.その結果,噴流層プラズマリアクターによりPP粒子表面への荷電制御が可能であることが明らかになった.ただし,ガス流量,印加電圧により粒子表面電位は大きく異なっており,ガス流量については噴流層リアクター全体で粒子が流動化する場合において最も表面電位が高くなった.印加電圧の昇圧により粒子表面電位は高くなるが,印加電圧に対する粒子の表面電位には最大値があり,高電圧の印加においては逆に粒子表面電位が低下する傾向が見られた.充填粒子数や粒子径によっても表面電位は異なっており,充填粒子数が多く,また粒子径が大きいほど表面電位が大きくなることがわかった.

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