化学工学論文集
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6 巻, 3 号
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  • SUS304とSUS316の割れ発生に及ぼす環境条件の影響
    竹本 幹男
    1980 年 6 巻 3 号 p. 221-226
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    オーステナイトステンレス鋼SUS 304とSUS 316の応力腐食割れに及ぼす環境条件の影響について研究した.
    SUS 316は42%, 38%沸騰塩化マグネシウム溶液で孔食を伴う特異な割れを生じ耐割れ抵抗性は著しく劣るが, 低濃度・低温度域ではSUS 304よりはるかに優れている.定歪試験による応力腐食割れ限界応力は, 塩化マグネシウム濃度が42~30%の範囲では, 溶液の沸点と試験温度の差に比例して上昇する.
    SUS 316は60℃, SUS 304は40℃以下の試験温度では割れを生じない.装置の使用温度における割れ発生時間を定量的に推定するため, Larson-Miller型パラメータや移動係数を用いたマスター・クラック・カーブを提唱した.マクロブランチングや孔食を伴う割れなど, 割れパターンや形態に及ぼす環境条件の影響について論じた.
  • 川島 陽介, 中川 正義, 井内 哲
    1980 年 6 巻 3 号 p. 227-233
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    2次元T型直角合流路における流れの様相を実験的に求め, 運動量理論より評価される合流損失および損失に及ぼす合流後の流れの影響を検討した.結果は次のようである.
    運動量理論より計算された合流損失係数は, 実験結果よりかなり小さく, また, 主流損失係数η13の計算値は, 管断面積比mが変わってもほとんど変わらなかった.
    この運動量理論の不備な点は, 合流後の流れの影響を考慮することによって改善された.
  • 松崎 晴美, 黒田 修, 高橋 燦吉
    1980 年 6 巻 3 号 p. 234-240
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    気泡攪拌式電気透析槽透析室内の流れを2次元の気液混相流れと考え, 気泡の液流攪拌効果を流体力学的に検討した.
    その結果, 透析室構造(スペーサの有無), 膜間隔および流動状態によらず, 単位比電導度あたりの限界電流密度と単位長さあたりの圧力損失が比例関係にあること, また, この特性に基づき, 気泡攪拌効果は気泡群の形状抵抗による圧力損失の増加分で表されることを明らかにした.
  • 新井 紀男, 加藤 善規, 架谷 昌信, 杉山 幸男
    1980 年 6 巻 3 号 p. 241-247
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    上部のふく射熱源によりステップ加熱される光学的に厚い半透過性液体層における熱移動の非定常特性が理論的ならびに実験的に検討された.
    層内の非定常熱移動に関する基礎微分方程式が誘導され, MultibandモデルおよびPlanck meanモデルに基づいて理論解析された.Multibandモデル(calc.I) およびPlanck meanモデル(calc.II)を用いた層内の液体温度分布の経時変化に関する計算結果は, ふく射熱源として赤外線ランプ, 液体試料としてジエチルフタレートを用いて得られた実験結果と比較的良好な一致を示したが, calc.Iの方がcalc. IIよりも実験結果との対応性がよりよいことが明らかとなった.
  • 和泉 健吉, 山田 章, 沢 俊雄, 高橋 燦吉
    1980 年 6 巻 3 号 p. 248-254
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    多段フラッシュ蒸発式海水淡水化装置における伝熱管表面でのスケール生成を造水量100m3/d, 10段フラッシュ蒸発器を用いて試験検討した.
    100時間連続運転試験において, 硫酸カルシウムスケールの析出はみられなかったが, 蒸発器のブラインヒータと凝縮器に多量のアルカリスケールが生成した.アルカリスケールの主成分は低温域では炭酸カルシウム, 高温域では水酸化マグネシウムであった.
    アルカリスケールの生成はブライン中の炭酸物質の解離平衡に関係している.浸管式蒸発缶では伝熱管表面でブラインが蒸発するが, フラッシュ蒸発器では伝熱管内でブラインの蒸発は起きないので, フラッシュ蒸発器での炭酸物質の挙動は浸管式蒸発缶での挙動と異なる.スケール析出速度データを用いてフラッシュ蒸発器における炭酸物質の物質収支を計算し, 炭酸カルシウムと水酸化マグネシウムの表面晶析速度係数kRをブライン温度の関数として得た.
  • 加藤 覚, 稲積 彦二, 鈴木 孝典, 羽田 豊
    1980 年 6 巻 3 号 p. 255-260
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    濡れ壁塔を用いて, 乱流で流れる気流中への2成分系混合液の蒸発実験を常温, 常圧のもとで行い, 各成分の物質移動速度を測定して, 従来提案されている分子拡散に対する対角化法の拡張適用性を検討した結果, 拡散成分の濃度が希薄な範囲でも適用できない場合があることを示し, また, その適用できる条件範囲を実験的に確かめた.
    また, 一般化されたFickの拡散方程式を線型化した結果に基づく物質移動速度の近似表示法について考察し.比較的簡便な表示法を提案するとともに, その適用条件の判定方法を実測値に基づいて明らかにした.
    さらに, 実測値に基づいて, 3成分系気相における2成分の物質移動速度の取り扱いを1拡散成分と非拡散成分とから成る2成分系における一方拡散として扱いうる条件を確かめた.
  • 平田 彰, 服部 敏朗, 西村 建二
    1980 年 6 巻 3 号 p. 261-266
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    ここでは, 新しい抽出法として多重抽出法を取り上げた.本抽出法は, 2種以上の溶剤を用いることにより, 従来の, 相互不溶解系の2相間で行う抽出を, 正抽出-逆抽出…と幾重にも同時に行わせるという新しい接触様式を有し, 原料中の目的成分を濃縮分離する操作である.本報においては, 多重抽出法に関して単抽出の場合の抽出計算を示した.例として, 多重抽出法の中で最も簡単な二重抽出法を取り上げ従来法と比較し, また, 四塩化炭素中のアセトンを, 水相を介してベンゼン相中に抽出分離する実験を行った.その結果, 多重抽出法は従来法に比べて, 抽残液相溶質平衡濃度を著しく低くし最終の抽出液相溶質平衡濃度を著しく高めるのが可能であり, 従来法に比べてきわめて優れた抽出法であることが結論づけられた.
  • 後藤 圭司, 千葉 俊文, 鈴木 翼
    1980 年 6 巻 3 号 p. 267-273
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    球形粒子充填層の底圧分布を電算機シミュレーション実験から求めた.取り扱った充填層は次に示す代表的な3種である : 容器の中央から粒子を供給し, 壁効果のない場合(a)と壁効果を含む場合(b), 容器の周辺から粒子を供給した場合(c).ただし本報では垂直方向の粒子荷重のみを取り扱い, 壁と接触している粒子以外は容器断面横方向の力を無視した.
    その結果, いずれの充填層においても容器半径方向の平均粒子個数濃度分布はほぼ一様であった.しかし微視的には, 各粒子の荷重が粒子供給位置から遠ざかる方向に拡がるような充填構造になっていることがわかった.すなわち, 充填構造の非等方性が粒子充填層の底圧分布を左右する重要な因子になっていることを確かめた.
  • 狩野 武, 竹内 文章, 杉山 弘記, 山崎 永司
    1980 年 6 巻 3 号 p. 274-280
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    本論文は粉粒体のプラグ輸送方式の経済的仕様条件に関する研究である.
    まず単一プラグを輸送するのに必要な空気圧力についての理論式を示した.次に内径66, 78, 99mmの輸送管を用いて, 炭酸カルシウム単一プラグの水平, 鉛直輸送実験を行い, その結果と比べて理論式が妥当であることを確かめた.これらから本研究の結論として, プラグ輸送の経済的仕様条件を示した。
  • 桜井 正明, 原納 淑郎
    1980 年 6 巻 3 号 p. 281-287
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    ミクロセルロース・硫酸アルミニウム攪拌系において生成するフロック粒子の, 密度, 粒径分布, および最大成長径を実験的に求めた.
    その結果, (1) 攪拌速度に関連して, フロックの密度・粒径分布・最大成長径に履歴現象が見られること, (2) 最大成長径の経時変化を見ると, ある時点で極大値をとるが, 最終的にはより小さな定常値におちつくこと, がわかった.
    これらの知見をもとに, (1) 合一モデル (2) 分散モデル (3) 分裂モデル (4) 機械的シネレシスモデルの四つのモデルによってフロック成長過程の説明を試みた.
  • 油川 博, 小渕 博夫, 小林 一正
    1980 年 6 巻 3 号 p. 288-293
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    タンパク質のようなコロイド溶液を限外濾過法で分離, 濃縮する場合, 濾過膜面に堆積したコロイド粒子は濃縮されてゲル状となり, きわめて大きな濾過抵抗を示す.このゲル層の生成を低減させ, 濾液流束の増大をはかる方法として電気限外濾過法があるが, その特性や装置設計の基礎となる工学的研究はきわめて少なく, 工業的規模での実用化も行われていない.
    本研究は, 電気限外濾過を次の三つの過程に分けて解析した.すなわち, 1) 濃度分極層成長過程, 2) ゲル層形成過程, 3) 定常過程.これらの各過程における濾液流束について解析した結果を, 牛血清アルブミン(B. S. A)のコロイド溶液を用いて実験的に検討した.また, 定常過程における濾液流束と消費電力について実験的検討を行った.
    研究結果によれば, 電気限外濾過は限外濾過に比べて優れた特性を有することが明らかとなった.
  • システムの設計および運転段階のための利用
    横山 真一郎, 早川 豊彦
    1980 年 6 巻 3 号 p. 294-300
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    Fault Tree Analysis (FTA) は, 解析の範囲・規模や使用目的に応じて定性的・定量的な評価に用いられる.本研究では, 時間経過とともに変化するシステムの危険性度合を管理するために, すでに提案されているFTの動的理論に着目し, 重要度による定量的評価方法と組み合わせて, その有用性を, FTモデルを使い実際の数値計算により確かめた.その際通常用いられている指数分布の故障モデルのほかにより一般的利用を考え, 種々の故障パターンを含んだWeibull分布の故障モデルも扱った.すなわち, まず重要度に対する故障法則の頑健性を検討し, 指数分布・Weibull分布モデル両者の違いを明らかにした.次に, FTAを設計段階および運転段階のそれぞれにおいて, 時間経過に伴いシステムの危険性度合やその時点の各要素の重要度の数値計算を行い, それら計算の必要性を検討し, 運転段階におけるFTAを用いた安全管理の一方法を提案した.また, 重要度の計算時間は, 通常の単位機器の故障モデルとして十分な大きさと思われる論理ゲート数が10位のFTなら数秒程度であった.
  • 新井 紀男, 林 義次, 架谷 昌信, 杉山 幸男
    1980 年 6 巻 3 号 p. 301-307
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    余剰活性汚泥の熱分解実験を回分式反応炉を用い, 400~1,200℃の熱分解温度において行った.生成した分解ガス, ガス液, タールおよびチャーの収率, 組成に与える反応温度の影響を検討し, 本実験範囲内において次の結論を得た.
    1) 余剰活性汚泥の熱分解は, 約400℃付近から進行しはじめる.
    2) 生成ガス量は, 熱分解温度のほぼ2乗に比例して増加し, 主成分はH2, CO, CH4, CO2である.熱分解温度が1,000℃以上で生成したガスは, 高発熱量が4,000kcal/Nm3程度であった.
    3) タール収率は, 600~800℃の温度範囲において最大となる.
    4) チャー収率は, 600℃以上では, 熱分解温度にほとんど影響されず, 約48wt%(乾き汚泥基準)とほぼ一定となる.また, 生成チャーの高発熱量は, 1,650~2,200kcal/kg-charあった.
  • 今野 宏卓, 原田 英二, 都田 昌之, 栗山 雅文, 猿田 真司, 今石 宣之, 藤縄 勝彦, 広田 昇治, 福井 啓介, 今田 順一, ...
    1980 年 6 巻 3 号 p. 308-326
    発行日: 1980/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
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