低熱量ガス化ガス中のH
2Sの高温直接除去剤として, Fe
2O
3を取り上げ, 熱天秤を用いて反応温度600~900℃にて, Fe2O3とH
2Sを含む低熱量ガス化ガスとの反応実験を行った結果, 本実験範囲内で次に示す主な知見を得た.
1) Fe
2O
3の還元。硫化同時反応における重量の経時変化は, 還元および硫化個別の結果を単純に加え合わせたものに近い特性を示した.
2) Fe
2O
3の還元時における最終還元率は0.95±0.05, またFeとSの硫化の最終段階における化学量論比はFeS1.1±0.1程度となった.
3) Fe
2O
3の還元反応および還元生成鉄の硫化反応に関する化学反応速度の活性化エネルギーとして, 13.0kcal/mol, 1.5kcal/molをそれぞれ得た.
4) 硫化反応に関して, 粒径1.1mm以下では反応律速, これ以上では拡散抵抗の影響を考慮する必要があることが認められた.なお, 有効拡散係数を反応生成物内マクロポアの空隙率の2乗で相関した場合, 総括反応速度解析結果と実験結果との対応はほぼ良好であった.
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