化学工学論文集
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6 巻, 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 藤吉 一誠, 桜井 泰
    1980 年 6 巻 6 号 p. 551-556
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    分相ガラスの酸処理について検討した.多孔質層の形成速度は初期に化学反応律速であった.多孔質層がある程度形成されると, 速度過程は溶解反応と酸の拡散の両者に依存した.反応速度は酸濃度の平方根に比例した.多孔質層の厚みの増大は擬定常拡散近似によってよく説明でき, これにより決定した酸の有効拡散係数は次式で表された.
    Deff=5.71×10-4exp (-4,530/RT) [cm2/sec]
    Deffは二つの要因に影響されると考えられる.すなわち, (1) 細孔内に充満したホウ酸生成物 (2) 多孔質層の屈曲性である.これに関して, 酸処理時間の異なる各種の多孔性ガラスの細孔構造を窒素吸着実験によって調べた.
  • 洪 公弘, 山崎 量平, 高橋 孝広, 神保 元二
    1980 年 6 巻 6 号 p. 557-562
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    2次元および3次元流動層を用い, 種々の粒子に対する最小流動化流速を温度条件を変えて測定した.その結果最小流動化時の空隙率 (εmf) は温度の増加とともに変化することが明らかになった.温度増加に伴うガス粘度および最小流動化時の空隙率の変化を考慮すれば, 最小流動流速の実験結果は従来のKunii-Levenspiel式に良好に一致する.温度増加に伴う最小流動化時の空隙率の増加は粒子径により異なり, またそれは粒子の付着力に関係している.振動法および引張り破断法により測定した粒子付着力は温度とともに増加する.
    温度増加に伴うガス粘度と最小流動化時の空隙率の変化を考慮した最小流動化流速の実験式を新しく提出した.
  • 高橋 照男, 宮原 敏郎, 千歳 重雄, 寺門 洋
    1980 年 6 巻 6 号 p. 563-568
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    定ガス流量で単一ノズルより生じる気泡に液を並流, 向流および十字流に流した場合の気泡容積を理論的に考察した.
    実験では孔径0.111, 0.169, 0.303cmの3種類のノズルを用い, 液物性を変化させ, 各流れ形式で液流速を0~40cm/sと変化させて気泡容積を測定した。なお向流の場合は15cm/sまでであった.さらに実測値と理論値との比較を試み, 比較的良好な一致を示すことを明らかにした.液流速が増すにつれ並流, 十字流では液静止の場合より液流速とともに気泡容積は小さく, また向流では大きくなり, 十字流の場合に最も小さい気泡が得られる.さらに理論値を得るに必要な補正係数の実験式を各流れ形式に対して得た.
  • 油谷 暢悦, 乙竹 直
    1980 年 6 巻 6 号 p. 570-578
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    固液流動層の層膨張が, 統計力学的概念を用いて解析された.
    本研究では, 個々の粒子と局所での流体との組み合わせからなるセルが確率的挙動をとることを前提にして, 必要な粒子速度分布関数は指数関数で定義した.その関数形は層膨張曲線から実験的に決定した.
    その結果, 次のような指数型分布関数が得られた.
    p (Usi) dUsi=1/Us-Uscexp (-Usi-U8c/Us-Usc) dUsi
    さらに, 最小浮遊速度Uscは終末速度のみによって推算可能であることが示されている.ここで, Usi : 瞬間粒子速度, Us : 空塔速度.
  • 加藤 康夫, 籠 運弘, 内田 和道, 諸岡 成治
    1980 年 6 巻 6 号 p. 579-584
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    固定層から流動層にわたる広い流動範囲で気・液・固系の層と塔壁間の複合伝熱係数を測定し, 塔径 (0.12および0.052m), 気体流速, 液体流速, 伝熱部位置, 粒子種類および液粘度の影響を調べた.
    液体として水を用いる場合, 直径0.12mの塔における伝熱係数は, 気体流速を一定に保って液体流速を増していくと, 初め増加して極大値に達し, 次いで極小値になった後急速に増加した.さらに液体流速を増すと層は安定な3相流動層となり, 液体流速の増分に対する伝熱係数の増加割合が減少し, ついには気泡塔の伝熱係数になる.
    一方, 直径0.052mの塔で液として水を用いた場合および直径0.12mの塔で液体粘度を3.6×10-2Pa・sとした場合の伝熱係数には極大・極小値は現れなかった.
  • 今石 宣之, 鈴木 康夫, 宝沢 光紀, 藤縄 勝彦
    1980 年 6 巻 6 号 p. 585-590
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    液柱塔および濡れ壁塔で6種の界面活性溶質を水溶液から放散させ, その時の液側物質移動係数を, トレーサ物質としての酸素の同時移動速度から測定し, 気液系界面攪乱現象の基本的特性について検討した.
    攪乱によるenhancement factor RとMarangoni数の間の一般的相関式R= (Ma/Mac) nを得た.ここでnの値は0.4±0.1なる一定値をとることが明らかにされた.臨界Marangoni数Macを推算するための図表を提出した.
  • 倉前 正志
    1980 年 6 巻 6 号 p. 591-596
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    粒子層のような多孔質固体内の不飽和流に関して, 多孔質固体の空隙を立方格子型のモデルで表現し, 微視的な流れの特性や水分の配置などを考慮に入れて電算機シミュレーションにより解析し, 多孔質固体内の液状水移動の機構や移動現象を定量的に記述しようとする場合の諸係数のみかけの特性などについて具体的に検討した.その結果, このような位相幾何学的な空隙モデルは比透過率や水分拡散係数の含水率依存性に関する挙動をかなりよく説明できることが示された.
  • 高橋 正博, 伊藤 弘, 竹内 寛
    1980 年 6 巻 6 号 p. 597-601
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    湿式脱硫の再生反応機構を明らかにするために, 濡れ壁塔によりヒドロキノンおよびp-キノンのアルカリ水溶液中への酸素の吸収速度を298.15Kで測定した.
    実験結果は, 不可逆2次反応を伴うガス吸収理論と比較された.その結果, 2次反応速度定数がpH9.6~10.75の範囲内でOH-濃度の2乗に比例し, pH10.75以上で12.1m3/mol・sになることを見いだした.さらに, ヒドロキノン溶液による酸素の吸収速度は, 反応生成物としてのp-キノンが, 加水分解によってヒドロキノンに転化するため, 2次不可逆反応と仮定した吸収速度の計算値より大きくなる.また, NaSHの存在は, キノン系化合物による酸素の吸収速度を増大する.
  • 豊倉 賢, 佐藤 晶英, 内山 誠, 田和 健次
    1980 年 6 巻 6 号 p. 602-608
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    流動種晶における2次核発生速度と, その種晶の成長速度を硫酸銅5水塩一水系, 硫酸マグネシウム7水塩-水系それぞれについて測定した.実験装置としては, 篩分した種晶を用いた小型流動層型晶析装置を使用した.また, 発生した核は顕微鏡により観察し直接計数した.
    2次核発生速度と結晶成長速度は過飽和度の指数関数で相関され, 2次核発生速度に対する指数として, 硫酸銅5水塩-水系で1.6, 硫酸マグネシウム7水塩一水系で3.8を得た.この硫酸銅5水塩-水系での指数1.6はその結晶成長速度に対する指数とほぼ同一であった.一方, 硫酸マグネシウム7水塩-水系での指数3.8は成長速度に対する指数と異なっていた.また, 前研究におけるカリ明礬12水塩-水系での指数の関係は硫酸マグネシウム7水塩-水系と同じ傾向があった.
    これら3系の2次核発生の機構に対して, 中井の方法により計算した界面エネルギーと比較検討した.
  • 黒田 正和, 武井 章, 油川 博, 杉山 幸男
    1980 年 6 巻 6 号 p. 609-613
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    中温メタン発酵における酸生成およびメタン発酵速度についての基礎的知見を得ることを目的として研究が行われた.メタン発酵における速度は酢酸を基質とし, 一方酸生成における速度は畜産廃棄物を基質として測定され, それぞれの過程における速度式が得られた.消化液のpHが pH=7~8に維持されれば酢酸濃度10,000PPmでも基質阻害は見られない。酢酸のガス収率は55%であった.
  • 加藤 康夫, 石丸 明, 門根 秀和, 諸岡 成治
    1980 年 6 巻 6 号 p. 614-620
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    気体および液体の分散器として内径5.8~25mmの気液同時吹き込みノズルを用いた気泡塔におけるガスホールドアップ, 気泡径, 気液界面積, 液の軸方向混合拡散係数および物質移動の容量係数について実験的に検討した.
    ガスホールドアップは気体および液体の流量の増加と共に増加する.同一流量ではノズル径が小さいほどガスホールドアップは大きい.体面積平均径は噴出液流速が大きいほど小さいが, 気体流速の増加と共に多少増加する.また, 液粘度を増すとガスホールドアップは大きくなり, 平均気泡径は小さくなる.これらの結果をもとに, 気液界面積の新しい相関式が得られた.
    液の軸方向混合拡散係数は気体流速, 液体流速およびノズル径の関数として測定された.
    銅イオンを触媒として含む亜硫酸ソーダ水溶液中への酸素の吸収速度ならびにイオン交換水中への炭酸ガスの吸収速度を測定し, それぞれ液相側物質移動容量係数を得た.さらに, 気液界面積と液相側物質移動容量係数から算出した液相側物質移動係数は, 既往の文献中の実験値とよく一致した.
  • 種々の分解装置における分解速度の相違
    稲葉 敦, 井上 博愛
    1980 年 6 巻 6 号 p. 621-627
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    315℃から390℃の温度域において, 同一のポリスチレン試料を, 3種類の異なる分解装置で分解した.
    石英スプリングノミランスによる減圧下での微量分解実験からは, 第1次分解生成物の生成速度が測定され, この活性化エネルギーは39.3kcal/molであった.
    常圧下で気液界面積の小さい長管型攪拌槽では, 2次分解生成物の生成速度に影響された分解速度が測定された.この分解速度は, 1次分解速度よりも小さく, 活性化エネルギーは54.2kcal/molである.
    通常の分解炉に近い攪拌槽では, 減圧高回転撹拌のもとで第1次分解速度が測定され, 常圧低回転攪拌のもとでは2次分解生成物の生成速度に影響された分解速度が測定される.常圧の場合は, 分解生成物の移動過程は, 分解生成物の発泡という形式で行われているために装置形式の影響を受けにくいものと思われる.
    分解装置や操作条件の相違と, 熱分解速度や生成物分布との関係を, 実験により, 定性的に把握することができた.
  • 青木 隆一, 村田 博, 本間 宏, 和田 英夫
    1980 年 6 巻 6 号 p. 628-634
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    球形ストッパーを用いた付着性粉体のプラグ状空気揚送に関する実験研究を, 試料粉体として小麦粉, ストッパーとしてピンポン玉を使用して行った.プラグと管壁面との間の摩擦応力τwは, プラグ層高Hsおよびプラグ速度Usが小さいほど小さくなるという実験結果から, Hs, Usおよびτwに関する実験式を得た.また, 上昇中のプラグにおける粉体圧の理論式とプラグ差圧の実測結果から, プラグの流動性の目安となる粉体応力比kを求めた.さらに, 定常揚送の可能な全範囲の実験データから, 層高が小さく, また, 輸送限界風速付近での低速輸送という条件で最も効率が高くなることが示された.
  • 吉岡 直哉, 葭村 雄二, 大石 剛司
    1980 年 6 巻 6 号 p. 635-642
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    清浄な粒子充填層の示す懸濁粒子捕集能力すなわち初期の濾過係数を軌道理論から推算する場合, 非球形の懸濁粒子の代表径としては等体積球相当径 (Coulter Counterにより測定される粒子径) あるいはStokes径を用いればよいことがわかった.懸濁粒子-炉材間の電気二重層による反発力が無視でき, さらに懸濁粒子の炉材に対する付着効率が1である場合, この理論効率は厳密には5個の無次元群 (修正付着力群, 修正重力群, さえぎりパラメータ, 桑原流れパラメータおよび vander Waals力に対する遅延パラメータ) により図式表示される.また初期濾過係数を通常の濾過操作条件の範囲内でこれらの無次元群の関数として表す近似式を求めた.付着効率が1以下の場合, 懸濁粒子の炉材に対する付着力を考慮して理論効率を修正すれば, 実測値をある程度説明できることがわかった.
  • 白戸 紋平, 村瀬 敏朗, 渥美 邦夫
    1980 年 6 巻 6 号 p. 643-650
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    高度の固液分離装置として広く利用されている圧搾型フィルタープレスの操作は, 通常, 炉過圧力pfによる1次炉過期間, 圧搾圧力pe (>pf) による2次炉過期間および圧密期間より成り立っている.工業炉過理論とTerzaghi圧密論 (クリープ効果を無視) に基づいて, 炉室厚さ, pf, pe および排出ケークの脱水度が与えられた場合について, 時間あたりの平均スラリー処理量を最大にする最適操作条件を求め, 炉室厚さによって決まる濾過・圧密所要時間θeHと除滓などに要する雑時間θdとの比が, 操作の最適化を検討する上で重要であることを示した.
    圧力pfの定圧濾過と圧力peの定圧圧搾を行い, 二つの濾液量曲線iυf VS. θfと処理スラリー量Ls vs.圧搾時間θeLs曲線を描けば, 任意の圧密比まで脱水する場合の全脱水時間θt vs.処理量Lsを作図法で決定でき, この曲線に接線法を適用すれば, 最大の平均処理量と最適操作時間を図的に決定できる.実験事実に基づいた本法は, クリープ効果を持つ原料の脱水操作の最適条件の近似的決定にも適用できると考えうる.
  • 高橋 勝六, 大坪 藤夫, 竹内 寛
    1980 年 6 巻 6 号 p. 651-656
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    攪拌槽を用いて乳化剤としてSpan 80を添加したケロシン中に分散した水滴 (W/Oエマルジョン) および水中に分散したW/Oエマルジョン滴 ((W/O) /Wエマルジョン) の滴径を測定した.
    W/O系での滴径分布は対数正規分布で表される.W/Oおよび (W/O) /W系での体面積平均径は攪拌速度, 攪拌翼径および乳化剤濃度によって変化した.乳化剤濃度の依存性は, 動的条件で測定した界面張力の変化と一致した.乳化剤を添加したW/O系では滴の合一が起こりにくいので, 滴径は分散相分率によって変化せず, ウェーバー数に対する平均径の依存性も乳化剤無添加系に対する文献値より大きくなった.
  • 葭村 雄二, 福村 研一, 吉岡 直哉, 迫原 修治, 海野 肇, 明畠 高司, 長瀬 洋一, 河村 祐治, 吉迫 敬史
    1980 年 6 巻 6 号 p. 657-665
    発行日: 1980/11/10
    公開日: 2009/10/21
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