核医学
Online ISSN : 2189-9932
ISSN-L : 2189-9932
53 巻, 1 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
総説
  • 東 達也, 池渕 秀治, 内山 眞幸, 織内 昇, 絹谷 清剛, 細野 眞
    2016 年 53 巻 1 号 p. 27-43
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/09
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:我が国では急激な甲状腺癌の増加やRI 内用療法施設の実稼働ベッド数の減少などから,RI内用療法施設への入院待ち待機時間が延長し地域格差が広がっており,その現状はがん対策推進基本計画がめざす「医療の均てん化」とはほど遠い状況にある.2015 年国会においてRI 内用療法に関連する質問主意書が提出され,これに対しRI 内用療法は重点的に取り組むべき課題であるとの政府答弁がなされており,今後の研究・診療の推進等が期待されている.本稿では医療経済的考察も含めて我が国におけるRI 内用療法の現状と問題点をとりまとめ,甲状腺癌の将来的な疾病状況を予測の上,これに対応可能なRI 内用療法環境を提示し,欧米諸国の現状との比較も交えて,我が国のRI 内用療法のあるべき将来像を見据えた提言を行う.
  • 川﨑 友裕
    2016 年 53 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:冠血行再建術の適応決定は従来冠動脈造影(CAG)による形態学的狭窄度による判断が中心であったが,近年は心筋血流イメージング(MPI)や冠血流予備比(FFR)などによる生理学的な虚血の評価が重視されるようになってきた.安定狭心症患者を対象としたCOURAGE 研究はpercutaneous coronary intervention(PCI)による予後改善効果は認められなかったが,治療前後でMPI による虚血の評価を施行した患者で予後との関連を検討したCOURAGE Nuclear substudy では,MPI の虚血改善が予後に関与することが示された.一方,FAME 研究やその後のFAME2 研究ではFFR ガイドのPCI の有用性が示されるなど,PCI 治療においてはFFR を用いた虚血評価の有用性が浸透してきた.MPI とFFR はいずれも虚血の評価法ではあるが虚血の異なる側面を捉えているため,その有用性については対立関係で論じられることもある.そこで本稿では両者の特徴について概説し,さらに両者を組み合わせた治療戦略について考察する.
原著
  • 田村 美香, 中駄 邦博, 鶴原 領子, 河村 奈緒子, 川岸 志津, 古田 康, 杉江 広紀, 佐藤 寧, 櫻井 正之
    2016 年 53 巻 1 号 p. 53-60
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:①目的 ヨウ素制限食(LID)の指針となる小冊子を作成して患者に栄養指導を行い,その有用性について検討した.②方法 LID 前後で尿中ヨウ素濃度(UIC)を測定し,UIC 変化を調べ内用療法当日のUIC と頸部残存組織における放射性ヨウ素摂取率(RU)の関係について検討した.また,LID の実践に影響する患者側の臨床的,社会的因子について検討した.また,栄養指導とLIDの実践に対する患者の感想に対するアンケート調査を行った.③結果 LID 実施後のUIC の平均値はLID 前の15%に低下した.治療当日のUIC とRU の間には有意な負の相関が認められた.年齢・LID 前のUIC とLID の成功との間には有意な関連性が認められた.アンケート調査では,患者の84%で小冊子がLID を行うのに役に立った,80%が専用レトルト食品を使用せずに独力で調理できた,と回答した.④結論 LID はアブレーションを行う患者の体内ヨウ素量を減少させる.栄養士の介入は,LID の実施を容易にすると思われる.
技術報告
  • 脇 厚生, 橋本 裕輝, 鈴木 寿, 水川 陽介, 木下 俊明, 市原 広信, 金子 いづみ, 岩隈 佳寿子, 河村 和紀, 張 明栄, 藤 ...
    2016 年 53 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:PET 薬剤を院内製造する際,「無菌性の確保」が大きな課題となる.その実現には,無菌操作が可能な衛生環境の構築と,手間とコストがかかる厳密な衛生管理が必要となる.また,その結果として生じる作業効率の低下等の対応も必要である.我々は,これらを同時に克服し,クリーンベンチ等をグレードA とする一般的な衛生環境整備と比較し,より高精度の無菌性確保を可能とする装置(PET 薬剤製剤化用グレードA 無菌アイソレータ)を開発した.この装置は給排気HEPAユニット,陽圧設定高気密装置,過酸化水素による除染装置,および自己遮蔽付き自動分注装置から成り,微生物から庫内を完全に分離した環境下で,作業者はグローブを使用し作業を行う.最終製剤化の工程は自動でろ過滅菌,分注および滅菌フィルター完全性試験が被曝なく行われる.この装置により,病院内PET 施設で,容易に医薬品レベルの高い無菌性の確保が可能になると期待される.
  • 鹿島 文, 東野 博, 阿部 充伯, 中田 茂, 貞徳 みちこ, 川条 文隆, 田中 政行, 池水 暁彦, 神田 恭子, 伊田 勝典, 藤枝 ...
    2016 年 53 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/21
    ジャーナル オープンアクセス

    要旨:アデノシン負荷心筋血流イメージングにおける,カフェイン摂取制限12 時間以上24 時間未満の症例[Good control(Good-C)群,226 例]と24 時間以上の症例[Excellent control (Exc-C)群,503 例]の心拍数増加反応を比較した.Exc-C の心拍数(bpm)は負荷前 63.7±9.5,1 分 66.4±10.6,2 分 72.3±11.2,3 分 75.6±11.7,4 分 79.2±12.9,5分 79.4±12.6,6 分 79.4±12.5,Good-C の心拍数は負荷前 63.7±10.0,1 分 65.3±10.5,2 分 70.6±11.4,3 分 73.3±11.6,4 分 76.7±12.2,5 分 76.8±12.4,6 分 77.0±12.3 であった.Exc-C の心拍数はGood-C に比べて,3 分(p = 0.013),4 分(p = 0.012),5 分(p = 0.009),6 分(p = 0.016)で有意に高かった.アデノシン負荷におけるカフェイン摂取制限は24 時間以上の制限が望ましいと考えられた.

報告
  • (公社)日本アイソトープ協会 医学・薬学部会 放射性医薬品安全性専門委員会, 松田 博史, 荒野 泰, 岡沢 秀彦, 水村 直, 横山 邦彦 ...
    2016 年 53 巻 1 号 p. 9-20
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:本調査は,平成26 年度に投与された放射性医薬品に関連して発生した副作用事例の発生頻度とその内容を調べる目的で実施された.調査は,調査票を核医学診療施設に送付して回答を求めるアンケート方式で実施した.調査対象1,244 施設のうち,992 施設より回答が得られた.副作用事例は9 件報告された.回答を得た992 施設における放射性医薬品の投与件数は1,091,011 件であった.副作用発生率は100,000 件あたり0.8 件であった.不良品事例は3件報告され,発生率は100,000 件あたり0.3 件であった.
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