近ごろ臨教審その他いろいろの機会に, 従来にまして個性を伸ばす教育, 独創性を育てる教育が叫ばれるようになってきた。当然あがるべくしてあがった声ではあるが, 叫ぶだけでは効果があがるとは思えない。我が国の化学教育(広く理科教育)の中でも, 従来にまして, もっと自分で考える能力を育てることが, 直接そのまま個性を豊かにし, 独創性を伸ばすことになると考えられる。中高校時代の頭のやわらかいころから, いろいろ考えると, 疑問も生まれ, 理解も深まり, 化学の面白さがわかってくるという実感を植えつけることである。そのための具体的提案として, 大学入試には, 教科書持参でも十分問題になる種類のものを少なくとも半分は出題し, 受験技術のおしつけを改めるべきであり, まず先生方が手抜きをせず, 頭を使うことであると考えられる。
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