「いのち」は, よくローソクの炎に例えられる。燃えつづけるローソクは決して同じではないのだが, 一見同じように見える。しかし, ある任意の一瞬に炎を作りあげている物質は, 次の瞬間には消えてしまい, 新しい物質に置きかえられている。この化学的に活性な, こうこうと輝く炎の中心部に存在しているものは, 物質(モノ)ではなくその形(コト=状態)である。生命とそれ自身も, はるかに複雑ではあるが, ろうそくの炎と同じような状態で存続していくのである。このようなわけで, 「生きている」ということが, ローソクの炎を「形」として見ていることと同じであると言われるのである。
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