イオンは溶液中で存在すると考えられるが, 塩に見られるように固体中にも多く存在する。しかし, イオンが移動できるようになると機能材料として魅力が広がる。イオン伝導性高分子はこのようにイオンを安定に存在させ, しかも高速移動できるような材料である。まだ, 充分に実用化に耐える物性がでていないが, 将来のテクノロジーを支える材料になることは確実である。ポリエチレンオキシドは塩をよく溶解させイオン移動能力も高いので, 期待される材料であるが, イオン伝導度に上限がある。限界を乗り越えるために, 電荷を結合させたり, 架橋させたりする努力が行われている。一方, 近年注目されてきている室温溶融塩の概念を高分子に導入し, 新しいイオン伝導体の設計につなげる試みもある。
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