化学と教育
Online ISSN : 2424-1830
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64 巻 , 12 号
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化学教育 徒然草
ヘッドライン:いまどきの大学化学教育
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講座:ご当地の化学
  • 門馬 綱一
    2016 年 64 巻 12 号 p. 612-615
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/06/01
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    千葉石は,メタンなどの天然ガス分子を含む特殊な新鉱物である。しかもそれらのガス分子は副成分としてごく微量含まれるのではなく,結晶を構成する本質的成分として,重量にして一割近い量が含まれる。無機結晶中に気体分子を保持できる理由は,千葉石の主成分であるケイ素と酸素がサッカーボールのようなカゴ状の骨格構造を形成しており,そのカゴの中に気体分子が捉えられているからである。こうした物質はシリカクラスレートと呼ばれ,その構造は,次世代燃料として期待の高まる天然ガスハイドレートの結晶構造とよく似ている。従来,自然界におけるシリカクラスレートの産出は1種類のみしか知られておらず,その産出も非常に稀であると考えられてきた。しかし,千葉石の研究からは,シリカクラスレート鉱物が,全地球規模で生じている堆積岩中からの有機物の分解脱ガス過程を記録した重要な指標鉱物である可能性が見えてきた。

  • 伊藤 美千穂
    2016 年 64 巻 12 号 p. 616-619
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/06/01
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    日本古来の奥ゆかしい伝統に,沈香*1などの香木を穏やかに暖めて立ち上がる芳香を“聞く”香道がある。また,西洋でアロマセラピーが提唱されるより以前に,北宋の詩人である黄庭堅により香の精神的・身体的効能を謳った漢詩「香十徳」*2が書かれており,日本でも広く知られていた経緯がある。しかし,現代の薬学分野では,主に再現性や定量性の問題からにおい自体やにおい成分の薬理効果などは研究対象になりにくいものとされ,これらについての研究は精力的には進められてこなかった。

    他方,においの効果に興味を持った著者らはマウスを使ったにおい成分の経鼻吸収モデルを構築し,香道で用いられる沈香の芳香成分に強い鎮静作用があることを明らかにした。さらに沈香等の薫香生薬類やハーブ類の精油等からのにおい成分の摂取がマウスの行動に与える効果を行動薬理的に解析することにより,これらのにおいの中の活性成分の詳細な検討や,薬としての応用の可能性について研究を行っている。

シリーズ:教科書から一歩進んだ身近な製品の化学 ―匠の化学―
  • 吉岡 幸雄
    2016 年 64 巻 12 号 p. 620-621
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/06/01
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    絹,麻,木綿など天然の素材に,伝統的な日本の色を染めてゆく。赤は紅花(花びら),黄色は刈安(葉と茎),藍色は蓼藍,紫は紫根(紫草の根)など,すべて自然界に存在するものが日本古来の伝統色の源泉である。地下100メートルから汲み上げられる京都伏見の水が天然の素材に絶妙な影響を与えつつ,ゆっくりと自然に寄り添いながら,その美しい色調が醸し出される。伝統を次の世代の人々に継承していく視点も交えて,近年著者の感じていることを記してみたい。

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