アクティブラーニングの代表的な実践例にPBL型授業がある。極めて論理的で参加したすべての生徒の興味を喚起し,深い学びにつながる授業を展開できる優れた手法の1つである。実践報告の例は未だ少数だが,本稿では具体的な実践例を報告し,教科書から探究活動への自主的な取り組みを促す一つの手段として紹介する。
高校化学も新しい学習指導要領が示され,探究的な学びが求められることになった。しかし,どうすれば生徒主体で深い学びができるのか。実際の現場で使えるヒントが少ない中,アメリカの実践1)に着目した。「論証」に重点を置きながら実験,考察をおこない,レポートの査読を通じて学び合う探究活動のあり方を紹介する。執筆は1を池本,2以降を小松が担当した。
探究の問い「もしも水が直線分子だったら?」に向き合う学びを紹介する。この取り組みは,国際バカロレアの探究を基盤とした指導および評価を取り入れた指導にヒントを得て実践した取り組みであり,課題に対する正答を求めるものではなく,課題に向き合うプロセスに意義があると考える。
生徒自身が実験プロセスをくみ,それを実践させるにはテーマの選定が重要になる。高校現場ではなかなか行えない単元である高分子分野の最後のまとめとして,生徒に「5種以上の合成高分子を各班で用意し,その判別と分離法を各物質で2種以上行いレポートせよ」という課題を課している。教師が気づかない様々なものを準備し,独自の分離法を提案してくる。その中から得られた新たな発見と,この実験後に生徒がどのような変化を見せるかをここで紹介する。
目で見える物体の運動は古典力学で厳密に説明できる。しかし,電子,原子や分子のように目で見えない粒子の運動は,古典力学では説明できない。古典力学とは異なる新しい理論,量子論が必要である。ここでは,量子論の誕生のきっかけとなった様々な実験と理論,(1)電磁波にはエネルギーがある(光電効果),(2)電磁波には運動量がある(コンプトン効果),(3)粒子には波長がある(ドブロイの物質波),(4)粒子には振幅がある(電子回折)について,わかりやすく説明する。
太陽のような高温,高圧の物体のもつエネルギーは連続である。核融合によって生まれたエネルギーを,あらゆる種類の電磁波として放射する。一方,孤立した原子のエネルギーは量子化されていて,ある限られた値しかとれない。その結果,エネルギーの高い原子はある限られたエネルギーの電磁波しか放射できない。また,ある限られたエネルギーの電磁波しか吸収できない。放射したり,吸収したりする電磁波の種類は元素の種類によって異なる。電磁波の種類を調べることによって,元素分析を行うことができる。
フレッシュクリームは,我々の日常生活で身近な嗜好食品として,洋菓子や料理など幅広い用途で使用されている。フレッシュクリームは生乳のみを原料とする制約があるため,生乳の産地や製造工程によってその風味,物性が変化する。本報では,特に生乳の濃縮やフレッシュクリームの殺菌,冷却履歴による影響について解説する。当社では,差別化した商品を発売すべくさらなる研究を進めている。