日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
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41 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 山田 光胤
    1990 年 41 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 土佐 寛順, 栗林 秀樹, 寺澤 捷年, 檜山 幸孝, 松田 治己
    1990 年 41 巻 2 号 p. 77-86
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    過敏性腸症に対する香蘇散の使用目標を明確にするため, 本方が有効であった過敏性腸症10症例につき, その自覚症状, 漢方医学的症候, 注腸造影所見について検討した。その結果, (1) 間歇的な腹痛や腹満がある。(2) 顔色は青白いが若干の上衝傾向がみられる。(3) 皮膚は軽度に粗造である場合が多い。(4) 脈は弦やや弱。(5) 腹力は中等度よりやや軟。(6) 心下部 (剣状突起直下) の圧痛。(7) 腹動 (臍上悸, 臍下悸) が明らか。(8) 右に軽度の胸脇苦満。(9) 腹直筋の緊張は原則としてみられない。(10) 軽度の臍傍圧痛を右に認めることが多い。(11) 便通による分類からは不安定型に有効。(12) 注腸造影所見では脾彎曲・肝彎曲の屈曲が強く, 収縮が高度である。以上の12項目が本証として示唆された。また, 過敏性腸症の治療に香蘇散が適応となるものがあることを, はじめて報告した。
  • 岡 佳恵, 岡 孝和
    1990 年 41 巻 2 号 p. 87-89
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    漢方治療により症状が改善した心因性発熱の一例を経験したので報告した。
    熱型は往来寒熱の状態ではなかったが, 症状や胸脇苦満などの理学的所見より小柴胡湯を投与したところ解熱傾向がみられ, 小柴胡湯が本症例に有効であったと考えられた。
    また, 患者の自覚症状は, たびたび変化したが, 受容的態度で患者の訴えを受けとめ「証をとる」ことを通して, 適切な漢方治療を試み, 常に積極的に治療関係を保てたことも, 治療的に有意義であったと考えられた。
  • 三潴 忠道, 檜山 幸孝, 土佐 寛順, 寺澤 捷年, 山谷 眞己, 高井 里香
    1990 年 41 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    ヘルペス脳炎に罹患した4歳男児例に西洋医学的治療とともに和漢薬治療を併用し, 臨床症状の明らかな改善をみた一例を報告した。本例は脳炎発症後アシクロビルによる治療を受け一旦は軽快したものの再燃し, 再度アシクロビル等による治療を受けた。これにより脳炎は軽快したが後遺症として重篤な精神・神経症状を呈したため, 発症約3ヵ月後より和漢薬治療の併用を開始した。まず甘麦大棗湯の服用開始後, 脈診等の軽い刺激によっても誘発されていた四肢のバリスムス様運動が消失した。ついで証により小柴胡湯合桂枝加芍薬湯も併用したところ, 発作性に発していた奇声が消失し, 四肢の協調運動も一層改善した。2処方はともに神経の過剰興奮状態に対して応用されるが, 甘麦大棗湯は外界からの刺激に対する過剰反応の抑制に, 小柴胡湯合桂枝加芍薬湯は自発的な神経系の異常興奮に, それぞれより有効である点で相違があるものと考察された。
  • 小畑 伸一郎, 木村 圭志, 前田 和弘
    1990 年 41 巻 2 号 p. 99-101
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    65歳男性, 食欲不振を主訴とし血小板減少を指摘される。PA-IgGの高値などより特発性血小板減少性紫斑病と診断された。プレドニゾロン40mg/日の投与により血小板数は増加し12.4万となった。プレドニゾロンを減量し, 25mgにて血小板数は5.3万となった。ステロイド剤の減量により血小板数の減少が認められることからステロイド剤の減量が困難であった。このため漢方製剤の併用を試みた。柴苓湯 (ツムラ) を併用し経過をみたところ, プレドニゾロンを12.5mgに減量しても血小板数は10万を保ち通院加療にて経過良好となった。柴苓湯にはステロイド効果の増強作用が知られており特発性血小板減少性紫斑病のステロイド減量に有用と思われた。
  • 櫻井 重樹, 常田 享詳, 谷岡 浩
    1990 年 41 巻 2 号 p. 103-111
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    我々は手術創部痛に対して柴胡桂枝乾姜湯が著効を示した症例を偶然の機会に経験した。そこで手術創の痛みを訴えて来院した10症例に, 柴胡桂枝乾姜湯証の有無と無関係に主訴を目標として本薬方 (虚寒状態の強いものには附子を加えた) の投薬を試みた。証を無視しての使用であったが, 本薬方は手術創部痛に対して10例中8例に有効であり, 実証と考えられる患者にも効果がみられた。手術の1ヵ月~15ヵ月後に本薬方が投薬されたが, 投薬開始時期による効果の差はみられなかった。効果の発現は投薬後5日から2週間以内にみられ, 疼痛の消失は投薬後5日から6週間で得られた。疼痛消失後, 本薬方を中止しても疼痛は再発しなかった。有効例の手術部位は胆嚢摘除術, 胃切除術, 子宮全摘除術, 肺葉切除術であり, 無効例2例は乳癌の拡大根治術であった。疼痛が手術創に限局している場合に本方剤は有効であることが示唆された。
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