日本東洋医学雑誌
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44 巻 , 4 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
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  • 大久保 喜雄, 関口 守衛
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 501-507
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    我々は in vitro で小青竜湯および麦門冬湯の好酸球への生存率および脱顆粒への効果につき検討した。ヒト好酸球を種々の濃度の小青竜湯および麦門冬湯と recombinant human interleukin-5 (rhIL-5) 存在下 (100pg/ml) および非存在下で37℃, 5%CO295% air 条件下で培養し, 4日後に好酸球の生存率を算定した。
    小青竜湯および麦門冬湯両者は1000μg/mlの濃度で有意に好酸球の生存率を抑制した (それぞれp<0.05)・脱顆粒の測定のため, ヒト好酸球を種々の濃度の小青竜湯および麦門冬湯と15分間37℃, 5%CO295% air 存在下で培養し, さらにその後卵白アルブミン (OVA), ヒト免疫グロブリンG (hIgG) またはヒト分泌型免疫グロブリンA (hsIgA) でコーティングした sepharose 4Bと4時間培養した。その後培養上清を採取してラジオイムノアッセイにより好酸球の脱顆粒を示す eosinophil cationic protein の量を測定した。 OVA, hIgGおよびhsIgAによる好酸球の脱顆粒は小青竜湯 (それぞれ40μg/ml, p<0.05; 200μg/ml, p<0.05; 200μg/me, p<0.05) により有意に抑制された。 OVAによる好酸球の脱顆粒は麦門冬湯 (1000μg/ml, p<0.05) により有意に抑制された。これらの結果はさらに研究が必要であるが小青竜湯および麦門冬湯の両者のうち特に小青竜湯はアレルギーの治療に対して有用である可能性があることを示唆する。
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  • 飯島 宏治, 鳥居塚 和生, 田中 盛久, 丁 宗鉄
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 509-516
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    産地, 基原等の異なる数種の当帰 (7種) および朮 (蒼朮5種, 白朮2種) を用いて, マクロフアージの免疫複合体結合能に対する作用について比較検討を行った。当帰あるいは朮によるマクロファージの免疫複合体結合能の増加作用は, 当帰単独では奈良県産および北陸産大和当帰が最も強い作用を示し, また北陸産大和当帰においては, ひげ根部よりも主根部に, より強い作用が観察された。朮においては, 安徽省の小漢蒼朮に最も強い作用が観察された。一方, 当帰と蒼朮を同時に煎じた場合の結合能増加作用は, その組み合わせによって変化することが観察され, 必ずしも単独で作用の強いものの組み合わせが, 強い作用を示すわけではなかった。これらの成績から, 複数の生薬を組み合わせた場合の変化も考慮に入れた品質評価法を確立する必要性が示唆された。
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  • 藤田 仁志
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 517-520
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    喘鳴 (stridor) を認める2歳以下の乳幼児55例に, 辛夷清肺湯 (ツムラエキス製剤) の治験をおこなった。著効26例・有効16例・無効3例で非常に効果があった。統計学的には副鼻腔炎の合併や他剤の併用に有意差を認めなかった。乳幼児の喘鳴は治療に難渋する事が多く, 辛夷清肺湯の効果は注目に値する。
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  • 柴原 直利, 伊藤 隆, 嶋田 豊, 松田 治己, 寺澤 捷年
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 521-526
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    茯苓桂枝甘草大棗湯が奏効した気管支喘息・過敏性腸症候群の合併例を報告した。症例は54歳, 女性。反復する腹痛および咳嗽発作を主訴として当科に入院。腹痛発作に関しては過敏性腸症候群, 咳嗽発作は気管支喘息と診断し, 腹痛に対し烏頭桂枝湯・赤丸料・解急蜀椒湯を, また咳嗽に対しては苓甘姜味辛夏仁湯・蘇子降気湯などを逐次投与したが無効であった。本例の腹痛・咳嗽発作の際には発汗が著明であること, 心窩部より咽喉に衝き上がるような感じを伴っていること, 頭頸部・胸部の熱感とともに腹中に冷えがあると訴えること, また腹候で臍上悸・臍下悸が著明であったことから, この発作時の病態を咳嗽・腹痛も含めて奔豚気病の範疇に入るものと考えた。そこで茯苓桂枝甘草大棗湯に転方したところ, 両者ともにこの一方剤で改善が得られた。一見すると二病症の併存と思われる病態であっても, 漢方医学的に単一のものとして対処しうる病態がある。
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  • 寺澤 捷年, 松田 治己, 嶋田 豊, 島田多 佳志, 柴原 直利
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 527-534
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    症例1は70歳の女性。4年前からの動悸を主訴に来院。約1年前から動悸発作が頻回に出現。ホルター24時間心電図検査で上室性不整脈を指摘されたが, 不整脈と動悸との間には時間的関連はなかった。易驚性・焦燥感と共に心下痞〓・臍上悸があり肘後方・奔豚湯加茯苓・白朮を投与した。1週間後には動悸の頻度は減少し, 2週間後にはほぼ消失した。
    症例2は41歳の男性会社員。全身倦怠感, 上半身の異常発汗, 手指の疼痛を主訴に来院。6年前に手掌・足蹠に紅斑が出現し, また両手指に疼痛が出現。4年前に手足末端の腫脹が現れ, その後増悪した。下垂体腺腫に伴う末端肥大症と診断され, 1992年3月に下垂体腺腫摘出術を受けた。術後に全身倦怠感・上半身の異常発汗が出現し, 休職を余儀なくされた。上熱下寒の著しいことと発作性の異常な発汗を奔豚気病と捕らえ, 肘後方・奔豚湯加茯苓・白朮・黄耆を投与したところ1週間後には下肢の冷えが消失し, その後関節症状・異常発汗も軽快して, 復職可能となった。
    症例3は32歳の主婦。右肩胆間部痛と頭痛を主訴に来院。10年前に右肩押骨を打撲。以後, 此の部の鈍痛が出没していたが, 7年前の出産後から, 右肩脾骨に接する労脊柱筋の激痛が出現。激痛は背筋に沿って放散し, 頭痛も伴う。上熱下寒・臍上悸・痃癖を目標に肘後方・奔豚湯を投与したところ著効を得た。
    これら3症例の経験と文献的考察から肘後方・奔豚湯の適応病態を次のように考察した。(1) 驚愕・恐怖・抑欝などが誘因となって発症することが多い。(2) 発作性の動悸・頭痛・のぼせ感を来す。(3) 腹部より上行する不安感が起こる。(4) 病位は太陰病期で, 虚証。(5) 気虚の症候がある。(6) 臍上悸・心下悸がある。(7) 心下痞〓・心窩部膨満感があり, 痃癖を伴うことが多い。
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  • 宮崎 瑞明
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 535-540
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    平成4~5年に当院で経験した小児マイコプラズマ肺炎で, CRPが陰性化するまで西洋薬を投与し, この時点で咳嗽と口渇の認められた19例に麻杏甘石湯エキスを1日2~3g投与したものを漢方併用群とした。千葉市立海浜病院小児科の西洋薬で治療した小児マイコプラズマ肺炎の軽症例16例を西洋薬治療群とした。使用抗菌剤はリカマイシン, 又はミノマイシンの内服で, 診断はペア血清のマイコプラズマ抗体価 (CF, HA) 4倍以上を基準とした。漢方併用群は全例, 麻杏甘石湯2~4日の投与により咳嗽が消失した。漢方併用群の平均抗菌剤投与日数は7.1±1.3日, 平均咳嗽消失日数は10.2±1.2日であり, 西洋薬治療群のそれぞれ10.8±2.0日, 12.3±4.7日と比べ短かった (P1<0.0001, P2=0.06)。小児マイコプラズマ肺炎の回復期にみられる咳嗽, 口渇を麻杏甘石湯の主証と一致すると考え, 本方投与によりこれらの症状が改善した。麻杏甘石湯がマイコプラズマ肺炎の咳嗽に有効であることが示唆された。
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  • 岩崎 勲
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 541-546
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    急性感染症に小柴胡去半夏加括樓根湯を使用し有効であった3例を報告した。症例は急性肺炎とAGMLを合併した例, 胆管炎から敗血症を併発した例, 水腎症に急性腎孟腎炎を併発した例でいずれも小柴胡湯証を呈しながらも強い渇を示していた。抗生剤や輸液も併用したが主要な効果は本方剤によると思われた。本方剤は小柴胡湯より半夏を抜き人参を1. 5倍に増量し括樓根を加えたものである。
    小柴胡湯条文の中で本方剤に関連した部分について,先人たちの見解を検討した。
    小柴胡去半夏加括樓根湯と金匱要略の柴胡去半夏加括樓湯との異同について考察し, 病態に若干の差があることを見た。
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  • 伊藤 隆, 今田屋 章
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 547-551
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    我々は茯苓四逆湯がステロイド依存性喘息に対して有効であることを報告したが, 本疾患における目標には不明の点が多い。今回本方剤が奏効した三症例を報告する。第1例: 66歳男性。肺気腫合併。prednisolone 30mg/日服用。第2例: 45歳女。自律神経失調症合併。prednisolone 7.5~15mg/日服用。第3例: 61歳女。糖尿病合併。prednisolone 10mg/日服用。3例とも四診所見により適合したと思われる方剤を投与しても無効な点, 第2, 3例ではさらに電気温鍼耐久時間が長い点により虚寒証の併存がそれぞれ推測された。いずれの症例においても本証の目標とされている「脈の微弱」「手足の冷え」はみられなかったが, 茯苓四逆湯の投与により発作状態の改善を得た。これらの病態は併病あるいは潜証と考えられたが, その原因として併用しているステロイド剤の影響を推測した。
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  • 藤森 勝也, 荒川 正昭
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 553-560
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    症例は41歳, 男性。平成2年11月頃より食欲不振, 胃部膨満感が強く, 各種検査の結果, 腸上皮化生を伴う慢性胃炎, 軽度うつ状態と診断され, 各種西洋薬を試みたが, 症状は軽快しなかった。平成4年6月19日, 当院外来を受診した。心窩部のつかえ感と胸脇苦満があり, 上部消化管内視鏡検査で, 胆汁逆流と腸上皮化生を伴う慢性胃炎を認めた。それまでの内服薬に, ツムラ柴胡桂枝湯エキス顆粒7.5gを加えたところ, 1週間で症状は著しく改善し, 約5ヵ月で体重は55kgより58kgに増加した。20週後の内視鏡検査では, 胆汁逆流は減少し, 腸上皮化生を伴った慢性胃炎は軽快していると判断された。組織学的検討では, 腸上皮化生を伴う萎縮性胃炎は進行していると判断された。柴胡桂枝湯は, 本例において, 著しく自覚症状を改善させ, 体重増加をもたらしたが, これは, 胃粘膜の組織学的改善によらず, 患者の心理面や消化管の運動機能に影響した可能性が推定された。
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  • 桂 敏夫
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 561-568
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    全頭型ないし汎発型の円形脱毛症は治癒し難しくかつ再発をくり返して治り難いものである。その病因及び治療法には諸説あり, 種々の工夫がなされているが決定的に確定したものはなく, かつ必ず治るという方法もない。たまたま条件の酷似した2少女に遭遇した。西洋医学的にも最先端の治療をうけながら困惑していたところを柴胡桂枝湯加竜骨牡蛎の内服により相当改善されつつある。円形脱毛症に関する病因論, 治療について文献より考察を進め, かつ症例について説明をし, 本方の有用性について述べた。
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  • 前田 繁男, 無敵 剛介
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 569-574
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    変形性膝関節症は中・高齢者に多い慢性に経過する疼痛性疾患であるため, 長期服用しても副作用の少ない漢方製剤の有用性が期待されている。我々は高齢者の変形性膝関節症に対して八味地黄丸 (エキス製剤) を中心に, X線学的な変形の程度を参考に関節局所と全体的な証を診て種々のエキス製剤を併方し漢方製剤の有効性を検討した。変形の程度が軽い場合は補剤のみで対応できる場合が多いが, 変形が強く局部に湿熱を有する場合には清熱利水の効のある寒性の薬を併用するとかなり高度に変形した例にも対応できるものと考えられ漢方薬の変形性膝関節症に対する積極的な応用が望まれる。
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  • 中川 定明, 酒井 恒美
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 575-578
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    脳に主病変のある剖検例92例の副病変が, 「いわゆる五臓六脈」の機能系に対応する構造系の7つの臓器・組織群に分布する頻度をX2検定法で統計学的に比較した。その結果, 中医学の「いわゆる肺」・呼吸機能系に対応するI群臓器・組織の副病変が最も頻度が高く, それはV群, III群・II群と統計学的検定で有意差がなかった。「いわゆる肝」に対応するIV群の臓器・組織の副病変頻度は最も少なく, 「脳髄」に対応するVII群以外のいずれの群の副病変頻度とも有意差があった。これらの統計的解析は脳疾患と全身諸臓器の副病変との密接な相関を示し, 中国伝統医学の洞察 (心身一元) が現代医学の進歩に照らしても的を射ていることを示唆した。
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  • 飯塚 美伸, 浜田 明子
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 579-582
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    当院繁用の漢方製剤中の電解質濃度 (Na, K, Cl) を測定し, 臨床的問題について考察した。被検試料は葛根湯, 八味地黄丸, 大柴胡湯, 小柴胡湯, 柴胡加竜骨牡蠣湯, 半夏瀉心湯, 小青竜湯, 小半夏加茯苓湯, 当帰芍薬散, 加味逍遥散, 桂枝茯苓丸, 麦門冬湯, 十全大補湯, 柴朴湯, 温経湯, 牛車腎気丸, 柴苓湯である。電解質は各製剤の蒸留水溶解液を自動分析装置で測定した。各製剤中NaとCl濃度は極めて低濃度であった。K濃度 (mEq/L) は0.18~0.83であった。比較的低含量であったのは小半夏加茯苓湯 (0.18), 桂枝茯苓丸 (0.24), 麦門冬湯 (0.34) で, 比較的高含量であったのは小青竜湯 (0.83), 半夏瀉心湯 (0.79), 牛車腎気丸 (0.76), 十全大補湯 (0.76) であった。したがって, 今回測定の漢方製剤は他の摂取食品とのバランス, 漢方製剤の減量投与などの考慮をすれば腎障害患者でもあまり問題はないと思われる。
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  • 日笠 穣, 山本 巌, 成川 一郎
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 583-587
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    葛根湯など辛温解表薬の内服の際には, 経験的に温服が重要とされているが, 冷服との効果の差についてはほとんど報告はない。冷温水や温食物が体温に与える影響についても同様である。温服の意義を考察するために, 60℃の温湯180ml, 10℃の冷水180mlを成人10名に飲ませ, 鼓膜温を測定した。さらに70℃の汁400mlを含む天ぷらそばを食べた際の鼓膜温の変化も測定した。
    温湯の内服では8名に発汗があり, 鼓膜温の変化は一定の傾向は見られなかった。天ぷらそばの摂取では, 鼓膜温が0.73℃上昇した。10℃の冷水では鼓膜温が0.52℃低下した。葛根湯の内服では, 鼓膜温に変化は認められなかった。
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  • 松多 邦雄, 顧 旭平
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 589-592
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    中国の新しいリウマチ治療中成薬―オオヒ冲剤が奏効した慢性関節リウマチ (RA) の1例を報告する。症例は53歳の男性, 平成1年から発症し, いろいろな抗リウマチ剤に反応せず, 活動性の高度な状態が続いた。ステロイド, 免疫抑制剤, 非ステロイド性消炎鎮痛剤, 加工附子などで治療していたが十分な効果が得られず, オオヒ冲剤を加えたところ, RAの活動性が顕著に低下し, これに伴って貧血も徐々に改善した。また食欲が増進し, 全身的な健康状態も改善し, 日常勤務ができるようになった。日本にはRAの漢方治療剤としては麻黄剤や附子剤が広く用いられその効果が報告されているが, 新しい中国のリウマチ治療中成薬―オオヒ冲剤の日本での治験は報告されていない。この報告は日本で初めて, 抗リウマチ剤としてのオオヒ冲剤の有効性を示すものである。
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  • 中川 定明
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 593-602
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    『ヒポクラテス全集』には「黄色と黒色胆汁・粘液・水」の異常が疾患をひき起こすという「液体病理学説」がうたわれていたが, 中国伝統医学でも「気」「血」「水」が互いに密接に関連すると考えてきた。「気」の概念は『ヒポクラテス全集』にも, それ以後の西洋医学にもないが, 体液病理説をとなえた点では古代ギリシャの医学と中国伝統医学には類似点があると考えられる。「気」に関しては近年, 精神と肉体の密接な相関が還元的・分析的な西洋医学であきらかになって, ある意味で中国伝統医学の洞察に近づいている。現代の中医学の機能的「五臓六脈」と西洋医学の解剖学的「臓器組織」は, まったく別の概念であることを認めたうえで, 東西両医学に共通する「医学の基盤」を求める目的で, 中医学の機能的な概念である「五臓」に相当する西洋医学の構造的な実体としての「臓器組織」を, 同数・同列の「人体の範疇」すなわち「医学の基盤」として比較・対照することを試みた。東西医学の理論の場をできるだけ合理的に対照しようとするこの試みは, 西洋医学を学んだ者が, 中医学ひいては漢方医学を理解するために役立つステップであると考える。
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  • 桑木 崇秀
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 603-606
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    漢方は本来“証”によって方剤を選ぶべきであるが, 実際には病 (症) 名治療である程度効を奏することもある。そこで日本においてしばしば病 (症) 名治療として用いられる方剤の構成生薬の薬性, 薬向を調べ, 病 (症) 名治療が随証治療と一致する可能性を検討した。
    まずしばしば病名治療的に用いられるケース12を選んで, 適応と考えられる%を考察した。その結果, 例えば感冒初期 (表証) に葛根湯 (昇浮性・温性・潟性) は, 虚証 (自汗) や熱証に不適のことから, 適応はせいぜい50%位であるが, 気管支喘息 (間歇期) に柴朴湯は80%程度の適応と判断した。また大黄甘草湯・芍薬甘草湯のように, 頓服的ないし対症的に用いられる方剤の場合は, 特に“証”を考えないで用い得ることを明らかにした。
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  • 木下 恒雄
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 607-611
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    柴葛解肌湯 (浅田家方) は小柴胡湯と葛根湯の合方から人参と大棗を去り石膏を加えた合方的薬方であり, 薬方の構成や出典の記載内容から太陽病と裏的少陽証の併病に運用されるべきものと思われる。一方, 併病の治療において, このような病態に対しては太陽病と陽明病の治療原則に倣い先表後裏で対応するのが原則と思われるが, 本方証では例外的に表裏双解的効果を狙ったものと思われる。呈示した, かぜ症候群の症例は当初麻黄湯証と思われたが, 初診の翌日には裏的少陽証への転属すなわち太陽病と裏的少陽証の併病に移行したと診断した。そこで本方を用いたところ, 短時日で症状軽快をみた。このことは太陽病と裏的少陽証の併病の一病態に対する本方の有意性の一端を示すものではないかと思われる。併病治療に際しては治療原則を勘案の上, 本方証の如き例外的な薬方の運用もあることを念頭に置いておくべきではないかと思う。
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  • 広部 千恵子
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 613-616
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    漢方薬を勉強するものにとって起源植物を知ることは大切である。この方法として一般には〓葉を観察したり薬用部分を観察することが行われている。
    しかし〓葉の保存は度々の薬剤散布や, 破損の補修など手のかかることが多く, 実際にはあまり効果的に行われていない。植物標本のこの欠点を除くために今回事務用ラミネーターを用いて標本をシールしてほぼ完全に防湿, 防虫効果を得ることができた。
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  • 岡田 稔, 永井 吉澄, 伊藤 敏雄, 茂木 十郎, 福田 真三
    44 巻 (1993 - 1994) 4 号 p. 617-638
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
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