日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
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48 巻 , 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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  • 津谷 喜一郎
    48 巻 (1997 - 1998) 5 号 p. 569-598
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    WHO西太平洋地域事務局の伝統医学担当医官としての, 種々の状況における演者の経験は多様なものであった。その中でしばしば演者は, 伝統医学の“普及”が先か“評価”が先かという論争に巻き込まれた。しかし, 中医学の“普及”に対し強い政策を採る中国も1990年代となり, 中医学に臨床疫学の手法を取り入れるようになった。本講演で, 演者は臨床薬理学者としての立場から, 東アジアに焦点を当て伝統医学の現状を述べ将来へのプランを提示した。まず, 臨床薬理学と臨床疫学の関係についてふれ, 無作為化比較試験 (randomized controlled trial: RCT), プラセボ, 種々のバイアスとそれを減ずるための手法など, この領域の基本的コンセプトについて述べた。研究デザインによるエビデンスの違い, 前後の比較の問題点などについて紹介した。「エビデンスに基づいた東洋医学」(Evidence-based Oriental Medicine: EBOM) を提示し, その基本となる臨床試験の文化的受容性と実行可能性について論じた。また古典が形成された時代における有効性や安全性についての情報の蓄積のパターンと, 産業化された現代のそれのと比較を行った。Number needed to treat (NNT) のコンセプトの紹介を通じて, 集団に効くことと個人に効くことの違い, また東洋医学の評価においてソフトデータをエンドポイントとしての重要性を論じた。エビデンスを臨床の現場にどう適用するかについて述べ, エビデンスがない場合にはそれを作る方向, すなわちエビデンスに対しバイアスをもった医学 (Evidence-biased medicine) が望まれるとした。厚生省は1989年に漢方エキス製剤の再評価プログラムをスタートさせた。これは, WHOによる herbal medicine の評価に関する活動などの世界的な流れを汲むものである。漢方エキス製剤の臨床試験に関する情報や, 有害事象・副作用情報の公開の必要性を, 医薬品行政の情報公開とともに論じ, また単一事例法を紹介した。日本東洋医学会が, 今後の漢方薬の評価の戦略づくりにおいて演ずる役割に期待を表明した。
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  • 山下 仁, 丹野 恭夫, 一幡 良利, 西條 一止, 高橋 昌巳
    48 巻 (1997 - 1998) 5 号 p. 599-608
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    灸が末梢血の白血球動態に与える影響を明らかにするため, ウサギに4点各10壮, ヒトに8点各10壮の米粒大透熱灸を行い, 白血球数, 白血球分画の経時的変化を観察した。ヒトにおいてはフローサイトメトリーによるリンパ球サブポピュレーションの解析も行った。ウサギの平均白血球数は施灸群・対照群とも施灸後一過性に増加したが, 施灸群の方が平均増加量は大きかった。ヒト施灸群の白血球数と分画は変化しなかったが, 施灸後24時間の平均T細胞百分率が減少した。また施灸群のCD4/CD8比の平均は施灸後2時間で増加し24時間後に減少し, その変化は有意であった。一方, 対照群のCD4/CD8比に有意な変化は認められなかった。4週間連続施灸は白血球数, 分画, リンパ球サブポピュレーションに影響を与えなかった。このことから灸により生体の免疫機構は少なくとも一過性に影響を受けることが示唆された。
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  • 日沖 甚生, 大萱 稔, 舘 靖彦, 村嶋 洋司
    48 巻 (1997 - 1998) 5 号 p. 609-613
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    芍薬甘草湯による副作用を呈した4症例を報告した。患者はすべて女性で年齢は60歳以上, 中間証から虚証であった。低カリウム血症が4例, 脱力感が3例, 浮腫が1例にそれぞれ認められた。副作用に対する治療は, 全例に対し芍薬甘草湯の投与を中止し, 過度の低カリウム血症を来した2症例に対してはカリウム製剤の投与を施行した。その結果血清カリウム値の是正に比例して, 脱力感と浮腫は改善した。過去の報告を含めて検討した結果, 芍薬甘草湯による副作用が発症する危険因子として, 患者が女性, 高齢者, 虚証, 水毒傾向であることなどが考えられた。
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  • 塩谷 雄二, 寺澤 捷年, 伊藤 隆, 嶋田 豊, 喜多 敏明
    48 巻 (1997 - 1998) 5 号 p. 615-623
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎は東洋医学的に風湿熱・血熱・血虚・〓血などと捉えられている。一般に温清飲, 治頭瘡一方, 消風散, 十味敗毒湯, 越婢加朮湯, 白虎加人参湯, 駆〓血剤などの方剤が広く用いられているが, 成人型のアトピー性皮膚炎の治療は容易ではないというのが実状である。これまでアトピー性皮膚炎の治療とされているものでは, アトピー性皮膚炎に特有の皮膚の乾燥症状 (ドライスキン) が改善されないことが多く臨床上の課題である。
    今回, 治療に難渋していた乾燥性紅斑型の5症例に対して加減一陰煎加亀板膠の加減方に転方したところ奏効が得られた。加減一陰煎加亀板膠は養血潤燥, 養陰生津, 養陰清熱の働きがあり, 皮膚の炎症だけでなく, ドライスキンも改善され, ステロイド外用剤の離脱が比較的容易にできた。
    アトピー性皮膚炎患者の皮膚はドライスキンによってバリアー機能が障害され, 汗, 衣服, 掻破などの機械的な刺激, あるいはダニなどの環境アレルゲン因子に対して敏感になっている。そのため, 治療としては消炎だけでなく, ドライスキンも改善しなければ, アトピー性皮膚炎の治療とはならない。ドライスキンは表皮角層の水分量の減少が主因であり, 治療上考慮されなければならない重要な側面であると考える。
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  • 長坂 和彦, 土佐 寛順, 巽 武司, 嶋田 豊, 伊藤 隆, 寺澤 捷年
    48 巻 (1997 - 1998) 5 号 p. 625-632
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    茯苓四逆湯はその条文に「発汗若シクワ之ヲ下シ, 病仍解セズ煩躁スル者」と記されている。今回我々は交通事故を契機に出現した自律神経失調, 精神症状に伴う愁訴を煩躁と解釈し茯苓四逆湯を投与し奏効した4症例を経験した。これら症例の経験と文献的考察より茯苓四逆湯を精神科疾患に投与する場合の適応病態を以下のように考察した。
    (1) 恐怖, 動悸, 抑うつなどのため精神的に内向した状態にあり, 発陽することが必要な病態が存在する。
    (2) 全身倦怠感や食欲不振など気虚の病態が存在する。
    (3) 頭重感, めまいなどの水滞の病態が存在する。
    (4) 心下病鞭, 臍上悸が存在する。
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  • 澤井 孝之, 木村 泰治郎
    48 巻 (1997 - 1998) 5 号 p. 633-635
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    乾癬性関節炎の患者4例にヨクイニン湯を内服させ, 関節痛に対する効果を調べた。4例とも治療による関節痛の改善をみた。副作用は全く認められなかった。4例中3例において, ヨクイニン湯の内服によりコルチコステロイド, エトレチナート, 非ステロイド系消炎鎮痛剤 (NSAIDs) を中止できた。残りの1例はヨクイニン湯のみで, 関節痛のコントロールが可能であった。4例ともヨクイニン湯の内服中に乾癬皮疹に変化は認められなかった。
    ヨクイニン湯は乾癬性関節炎の関節痛に対して第一選択の薬剤になり得ると思われた。
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  • 三浦 於菟, 興津 寛, 武島 英人, 赤池 正博, 斎藤 輝夫, 岡田 研吉, 白石 佳正, 渡辺 裕
    48 巻 (1997 - 1998) 5 号 p. 637-642
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    〓血証盗汗の記載の嚆矢は, 王清任『医林改錯』と唐宗海『血証論』であるが, その病態説明は少ない。そこで血府逐〓湯加減・抵当丸・桃核承気湯加減で盗汗が消失した〓血3症例 (女性) に基づき, 東洋医学的病態を考察した。その共通病態は熱証 (夏季の発病, のぼせ, 盗汗時のほてりなど) と下焦の〓血証 (下腹部脹満、少腹急結, 頻尿など) であった。その病態理論は以下のように考えられた。睡眠中は衛気が血分に入る。このため, 体表の衛気は虚となり発汗しやすい状況となっている。血分の衛気は〓血の存在のために鬱し, 夜間に〓血の熱はさらに強まる。この熱が津液を温め蒸し, その結果津液が外に押し出されて盗汗が生じる。これより, 熱証が〓血盗汗の前提条件と思われた。また下焦=肝とすれば, 血は夜間肝に帰ることより, 下焦の蓄血で出現し易いとの仮説も考えられた。以上より, 盗汗の原因のひとつとして〓血を考慮することも必要と思われた。
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  • 48 巻 (1997 - 1998) 5 号 p. 643-649
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
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