日本東洋医学雑誌
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51 巻, 2 号
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  • 2000 年 51 巻 2 号 p. 185-219
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 矢船 明史
    2000 年 51 巻 2 号 p. 221-224
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本学会誌に掲載される論文では統計学的検定が用いられるが, 検定結果の解釈については必ずしも適切ではない。そのために, 結論の妥当性に問題がある論文も認められる。本論文では, 本学会誌に掲載される論文における検定結果の解釈に関する注意点について概説し, 検定と推定の適切な使い分けについても言及する。
  • 坂田 幸治, 金 成俊, 山田 陽城
    2000 年 51 巻 2 号 p. 225-232
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    ミネラル成分やpH値の異なる4種のミネラルウォーターと水道水を用いて, 小柴胡湯及び小柴胡湯加竜骨牡蠣を煎じた際に得られる抽出エキス量やサイコサポニン含量を測定し, 比較検討した。高い硬度を持つミネラルウォーターで小柴胡湯及び小柴胡湯加竜骨牡蠣を煎じた時, 他のミネラルウォーターや水道水に比べ, 抽出エキス量は最も多くサイコサポニンb2含量は最も低いことが認められた。一方, 小柴胡湯加竜骨牡蠣は小柴胡湯単独に比べ総サイコサポニン含量が著しく低下していた。以上より, ミネラルウォーターによる漢方薬の煎出は煎出液中の内容に変化を及ぼし, 治療効果に影響を与える可能性が考えられる。また, 臨床上患者には漢方薬の煎出時に用いる水として極端に硬度の高いミネラルウォーターの使用は, 通常飲料水として用いる水での場合と大きく異なる可能性があり, 注意する必要があると考える。
  • 鈴木 雅雄, 江川 雅人, 矢野 忠, 苗村 健治, 山村 義治
    2000 年 51 巻 2 号 p. 233-240
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    慢性閉塞性肺疾患は日常生活動作が強く制限される疾患である。本疾患に対し鍼治療を行い, 呼吸器症状が改善した一症例を経験したので報告する。症例は70歳の男性, 主訴は労作時呼吸困難。現病歴は93年8月に呼吸困難を訴えて当院内科を受診し, 肺気腫及び気管支喘息と診断された。薬物療法開始後も症状はしばしば増悪した。97年2月より在宅酸素療法 (HOT) が開始された。鍼治療は, 〓より併用を開始した。所見では Hugh-Jones 分類V度。%肺活量63.5%, 1秒率29.4%, PEFR: 84.81/分 (朝), 93.51/分 (夜)。鍼治療は, 中府, 中院, 関元, 尺沢, 肺兪を基本穴とし, 置鍼術は10分間とした。治療効果判定のため反復法を採用し, 呼吸器疾患日誌から症状点数を算出した。日常生活上の呼吸状態を Visual Analog Scale (VAS) により評価した。14ヵ月間に60回の鍼治療を行い, 治療期間中には症状の改善が認められた。無治療期間中には症状再燃が観察された。本症例では鍼治療の併用により呼吸器症状及び呼吸機能の改善がみられ, 慢性閉塞性肺疾患の進行例において鍼治療の有効性が示唆された。
  • 長坂 和彦, 引網 宏彰, 巽 武司, 土佐 寛順, 寺澤 捷年
    2000 年 51 巻 2 号 p. 241-246
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    1994年4月から1998年3月までの4年間に受診した慢性関節リウマチ46例を検討した。効果判定にはランスバリー指数変法を用いた。20例はランスバリー指数変法が治療前の25%以下に改善し, 11例は無効であった。西洋薬を服用していた32例中24例は西洋薬を中止あるいは減量できた。漢方治療1年後の時点でランスバリー指数変法は43から20%に改善し, Steinbrocker の Class 分類は2.3から1.8に改善した。
    附子は40例に用いた。このうち13例に副作用を認めたが, 全例減量することにより改善した。黄耆の副作用は2例にみられた。
    奏効することが多かったのは, 防已黄耆湯加味で, 次いで桂枝加苓朮附湯加味であった。防已黄耆湯は, 黄耆と防已を通常量より多く用いると奏効率が高まった。また,桂枝加苓朮附湯単独では十分な効果が得られない場合は, 防已黄耆湯を合方すると有効性を高めることができた。
    慢性関節リウマチは漢方薬の効果が十分に期待できる疾患であると考える。
  • 新井 信, 佐藤 弘, 代田 文彦
    2000 年 51 巻 2 号 p. 247-254
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    軽症のSLEと診断され, 顔面, 頭部および背部の皮疹と脱毛を主訴に来院した26歳の女性患者に対し, 小柴胡湯合黄連解毒湯加〓苡仁を用いて治療した。その後の経過として, 紅斑, 脱毛, 光線過敏症などの皮膚症状が消失したうえ, 初診時に640倍を示していた抗核抗体が約2年後には陰性化した。さらに, 約1年間休薬しても皮膚症状が再燃せず, 抗核抗体もほとんど再上昇しなかった。調べ得た限り, SLEに対して漢方薬単独で治療して抗核抗体が陰性化した報告, 小柴胡湯合黄連解毒湯あるいはその加味方で治療した報告はなかった。
    以上のことから, 本例は軽症のSLEの一部, あるいはSLEと診断できず, 西洋医学的にステロイド治療の対象とならない疑SLE症例に対して, 漢方薬を試みる価値があることを示唆する興味深い症例と考えられた。
  • 夏秋 優, 武田 裕美子, 矢野 倫子
    2000 年 51 巻 2 号 p. 255-259
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    顔面の皮疹に対して紫雲膏, 太乙膏を外用していたところ, 激しい皮膚炎を生じた50歳の女性症例を報告した。皮膚炎はステロイド療法にて約2週間で略治し, 以後, 再発を認めていない。パッチテストの結果, 紫雲膏, 太乙膏, およびそれらの成分である紫根とミツロウで陽性反応を認めた。このことから, 自験例はこれらの外用剤によるアレルギー性接触皮膚炎と診断した。漢方外用薬による接触皮膚炎は少ないものの, 使用中に皮膚症状が悪化した場合はその外用剤による接触皮膚炎を疑う必要がある。
  • 前田 學
    2000 年 51 巻 2 号 p. 261-267
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    27例の足底疣贅や指の尋常性疣贅に対してビスコクラウリン・アルカロイド製剤と漢方製剤 (十味敗毒湯) 内服及び紫雲膏外用の併用療法を試み, その臨床的効果を検討した結果, 27症例中, 1ヵ月以内に略治した著効例は7例 (25.9%), 3ヵ月以内に治癒した有効例は12例 (44.5%) で, 3ヵ月以上の治療を要したやや有効例は8例 (29.6%) であり, 無効ないし悪化例は見られなかった。また, 紫雲膏外用2ないし4週間後に採取した5例の病理組織所見では角質及び表皮細胞全体に膨化と融解・裂隙形成を認めたことより, 有効かつ有用な治療法の一つと考えられた。
  • 萬谷 直樹, 笠原 裕司, 新谷 卓弘, 嶋田 豊, 伊藤 隆, 寺澤 捷年
    2000 年 51 巻 2 号 p. 269-277
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    脳血管障害後に発症した嚥下障害を伴う高齢者の誤嚥性肺炎に対して, 清肺湯が有効であった2例を報告した。症例1は83歳女性。1996年より多発性脳梗塞と腰痛症で近医に入院し, 約2年間の経過で寝たきり状態となった。1998年1月当科関連の長期療養型病院へ転院。5月より嚥下困難と喀痰が出現し, 8月には胸部レントゲン写真で肺炎像を認め経管栄養管理となった。以後抗生剤投与にもかかわらず, 月間に8~18日発熱しCRPも5mg/dl以上であった。清肺湯開始後, 月間の発熱が0~2日となりCRPも陰性化した。症例2は93歳男性。1999年1月, 右視床出血を発症。経口摂取開始後に何度も誤嚥性肺炎を起こした。同院に転院時の喀痰から P. aeruginosa とMRSAが培養され, 嚥下造影では気管への流入を認め, 抗生剤投与で軽快するも再燃を繰り返した。清肺湯とクラリスロマイシン (CAM) の併用により, 発熱の頻度は減少しCRPも陰性化。しかしCAM単独や清肺湯単独では再燃し, 両者の併用により寛解を維持している。
  • 松田 三千雄
    2000 年 51 巻 2 号 p. 279-285
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    漢方薬で短期間に外用ステロイドのリバウンドを乗り切れたアトピー性皮膚炎の3症例を報告する。皮膚局所の証は紅斑を熱と考え清熱剤を, 紅斑落屑局面を虚熱と考え滋陰と清熱の生薬で構成されてる漢方薬を, 滲出傾向, 浮腫傾向, 苔癬化を水毒と考え利水剤を選択した。冷えや倦怠感等の全身症状を伴う例ではさらに腹診, 舌診, 脈診, 問診などから随証的に処方を選択した。症例1は19歳女性で冷えを伴う例である。十全大補湯と白虎加人参湯と猪苓湯で一週間後に著明に改善した。症例2は19歳男性, 実証で皮膚の水毒が中心の例で五淋散と猪苓湯と三物黄苓湯で1ヵ月で略治した。症例3は25歳男性, 皮膚の水毒と全身的陰虚が主体の例で, 六味丸と猪苓湯と三物黄苓湯で1ヵ月で略治した。
  • 浅岡 俊之
    2000 年 51 巻 2 号 p. 287-293
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    東洋医学に関する教育が学生の意識に与える影響を明らかにするため, 本学の全学年にアンケート調査を実施し, その結果を解析した。教育経験者では東洋医学への興味が増し, 将来の診療に取り入れる希望が増していた。東洋医学治療の経験がある学生にも同様の結果があらわれた。各学年間での比較では, 高学年ほど東洋医学への興味が高かった。アンケートの結果からは, 将来の診療に適切に東洋医学を取り入れるには, 大学において卒前教育が必要であり, また標準となりえる教科書の存在が望まれることが推察された。
  • 2000 年 51 巻 2 号 p. 295-297
    発行日: 2000/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
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