日本東洋医学雑誌
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55 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 寺澤 捷年
    2004 年 55 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    漢方医学は証に基づく個の医療の体系である。他方, EBMは個のゆらぎを消去して集団としての有効性を求める手法であって本質的には両者はなじまない。
    しかし個別的な事例での有用性を論じるだけでは, 漢方方剤の有用性を普遍的に呈示できないし, 特に行政当局を説得できにくい状況にあることも事実である。
    そこで本論では, この両者の矛盾を可能な限り歩み寄らせる方法論について論じた。
  • 2004 年 55 巻 1 号 p. 13-44
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 2004 年 55 巻 1 号 p. 45-124
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 別所 寛人, 川上 智津江, 西山 稔, 英 肇, 南條 輝志男
    2004 年 55 巻 1 号 p. 125-129
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    2型糖尿病における東洋医学の証と西洋医学的な臨床指標との関連性を明確にするために, 2型糖尿病患者の陰陽証あるいは虚実証の頻度ならびに各証とインスリン抵抗性 (IR) との関連性を検討した。65名の2型糖尿病患者 [男性27名 (平均年齢60.9±12.0歳), 女性38名 (64.9±8.4歳)] を陰陽証あるいは虚実証単独で分類した場合の頻度は, 陰証30.8%, 中間証32.3%, 陽証36.9%あるいは虚証30.8%, 中間証33.8%, 実証35.4%であった。また, 陰陽・虚実証を併用した分類における頻度は陽実証26.2%, 中間中間証21.5%, 陰虚証18.5%, 陽虚証10.8%, 中間実証7.7%, 陽中間証6.2%, 陰中間証6.2%, 中間虚証3.1%であった。
    一方, インスリン療法を除く2型糖尿病患者についてIRの指標である空腹時血漿インスリン値 (fasting plasma insulin level: F-IRI) と Homeostasis Model Assessment によるインスリン抵抗性指標 (HOMA-IR) を検討すると, F-IRIは実証群が虚証群 (p=0.044) に比し, 陽実証群が陰虚証群 (p=0.033) に比し有意な高値, HOMA-IRは陽実証群が陰虚証群に比し有意な (p=0.017) 高値であった。
    以上より2型糖尿病患者では陽証と陰証, 実証と虚証が同程度存在することが確認された。さらに, 陽証や実証を呈する2型糖尿病患者ではIRとの関連性を有することが示唆された。
  • 古谷 陽一, 谷川 聖明, 立野 豊, 寺澤 捷年
    2004 年 55 巻 1 号 p. 131-138
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    今回, 我々は黄耆桂枝五物湯が有効であった知覚異常の3例を経験したので報告する。
    症例1は70歳の女性, 1998年発症の帯状疱疹後神経痛 (左三叉神経領域) で, 左顔面のしび加れと痛みを主訴に●●●●●●に当科初診。黄耆桂枝五物湯を服用4週後にはしびれは初診時の5割に改善し, 6週後には約2割に軽減した。●●●●から, 六味丸を併用し, ●●●●にしびれと痛みはほぼ消失した。
    症例2は55歳女性, 1999年から両手にしびれがあり, 2002年3月に手根管症候群と診断された。同年4月に当科初診。黄耆桂枝五物湯を服用し1週間で, 手掌全体のしびれが指先だけになった。現在は同薬の服用に加え防已黄耆湯, 鍼灸治療の併用でしびれはほぼ消失した。
    症例3は72歳の女性、●●●●●●に帯状庖疹 (Th12, L1レベル) を発症。同年●●●から麻酔科で加療されたが, 改善がしないため, 同年●●●に当科を初診。黄耆桂枝五物湯を開始し23日後にはしびれと痛みは当科初診時の4割ほどに改善, 6週服用後は2割ほどに軽減した。
  • 小林 豊, 中田 真司, 喜多 敏明, 寺澤 捷年
    2004 年 55 巻 1 号 p. 139-145
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    慢性頭痛に対する茯苓四逆湯の使用経験を報告した。五症例すべてが, それまで受けてきた西洋医学的治療の効果が不十分で当科を受診しており, 煩燥を伴う激しい頭痛発作に対して茯苓四逆湯が有効であった。症例1から症例4までの四例は自覚的・他覚的に冷えを認め, なかでも症例1と症例3は背中に強い冷えを訴えた。煩燥を伴う激しい頭痛発作で, 強い冷えに侵されて生じたものに茯苓四逆湯が有効である可能性が示唆された。症例5は初診の時点で少陽病期実証と考えられたが, 茯苓四逆湯が奏効したことによって, 虚寒証が潜んでいることが判明したため, 潜証とその治療方剤としての茯苓四逆湯の重要性が改めて示唆された。
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