日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
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59 巻 , 4 号
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原著
  • 矢久保 修嗣, 木下 優子, 安藝 竜彦, 太田 浩
    59 巻 (2008) 4 号 p. 595-600
    公開日: 2009/01/15
    ジャーナル フリー
    患者から身体所見を得ることは臨床では極めて重要である。漢方医学でも日本で発達してきた腹部の独特な触診を行う腹診が伝えられてきている。腹診は患者の腹部を医師が触診し,腹証という腹部にみられる所見を得る方法である。しかし,この腹診の教育では,学生に手から得られる感覚を教育することや,典型的な腹証を用意することなど困難がある。このため,典型的な腹証の教育ができるようなシミュレータの作成を行った。これは心下痞こう,胸脇苦満,小腹硬満,腹直筋攣急など,患者の腹部にみられる特定部位における医師が触知する抵抗感や,小腹不仁では抵抗減弱感を再現した。また,心下部振水音は,適切な手技により心窩部における拍水音が聴かれるように工夫した。下腹部にみられるお血の圧痛に関して,導電性ゴムを用いて特殊なスイッチを作成し,電子音発生装置を組み込むことにより,小腹硬満モデルに臍傍,回盲部,S状結腸部の圧痛所見を加えた。この腹診教育用シミュレータにより,患者の腹部から得られる所見を学生は体験として学ぶことが可能となり,漢方医学における腹診の教育に効果を発揮することが期待される。
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  • 及川 哲郎, 伊藤 剛, 星野 卓之, 早崎 知幸, 高橋 裕子, 八代 忍, 五野 由佳理, 小田口 浩, 花輪 壽彦
    59 巻 (2008) 4 号 p. 601-607
    公開日: 2009/01/15
    ジャーナル フリー
    漢方薬を運用する際の臨床的な使用目標の科学的妥当性に関し,消化管機能との関連において記述した報告はほとんどない。我々は以前より,半夏厚朴湯が機能性ディスペプシア(functional dyspepsia=FD)患者の消化管機能に影響を及ぼし,消化器症状を改善させることを報告してきたが,今回半夏厚朴湯の使用目標の有無と消化管機能,消化器症状の関連について検討した。
    FD患者における胃排出能は,半夏厚朴湯服用により増加した。このうち,半夏厚朴湯の代表的な使用目標である「咽中炙臠」を有する症例では,「咽中炙臠」のない症例に比べて,胃排出能の有意な増加と消化器症状の有意な改善が認められた。一方腸管ガスについて,腹部単純レントゲン写真から算出した指標gas volume score(GVS)は,FD患者において半夏厚朴湯服用により減少した。このうち,半夏厚朴湯の使用目標のひとつである「腹満」を有する症例においては,「腹満」を認めない症例に比較してGVSの減少が顕著であった。
    これらの結果から,FD患者における半夏厚朴湯の臨床効果は,「咽中炙臠」や「腹満」といった伝統的に用いられてきた半夏厚朴湯の使用目標の有無と密接に関連すること,またこれらが科学的妥当性に裏付けられた,漢方処方運用における有用な使用目標である可能性が示唆された。
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  • 鈴木 達彦
    59 巻 (2008) 4 号 p. 609-615
    公開日: 2009/01/15
    ジャーナル フリー
    『古今方彙』は甲賀通元により編纂され,江戸時代に最も広く流布した処方集である。著者は,『古今方彙』の各版本を検討し,以下の結果を得た。
    1.甲賀通元は,『刪補古今方彙』の底本となる『古今方彙』を書肆(書店,出版社)梅村から受け取り,それを編纂した。
    2.原『古今方彙』は1692年頃に書肆梅村が出版した。本書は縦型の版本で,調査中もっとも処方数が少なく,1263処方を収載している。
    3.1696年頃に梅村が,原『古今方彙』の増補版を出版した。本書は横型の版本で,本書には原『古今方彙』の処方がほぼ含まれていて,さらに273処方が増補されている。
    4.梅村の依頼により甲賀通元が,348処方を増補して,1733年に『刪補古今方彙』を出版,さらに,43処方を増補して,1747年に『重訂古今方彙』を出版した。『重訂古今方彙』は,1780,1808,1862年に重版された。
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臨床報告
  • 牧野 健司
    59 巻 (2008) 4 号 p. 617-622
    公開日: 2009/01/15
    ジャーナル フリー
    妊婦に対する薬物治療は,母体および胎児に対する安全性を考慮しなければならない。漢方治療といえども,妊娠中の安全性は確立されていない。したがって,重篤な疾患以外では,薬剤の投与を控えることになり,妊婦のQOLが損なわれる恐れがある。妊婦に対して,危険性に問題のない治療法があれば,福音となると考えられる。そこで,安全性を考慮した漢方治療の1つの試みとして,アレルギー性鼻炎,蕁麻疹,アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の6症例に,食品としても使用される生薬を用い,治療を行ったところ,有効性が認められ,かつ問題は生じなかった。食品としても使用される生薬の安全性の基準を考え,本報告の症例に用いた生薬に対して検討を加え,文献的考察も行った。最後に,今回使用した生薬以外で食品として用いられるものを表にして示した。
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  • 関矢 信康, 檜山 幸孝, 並木 隆雄, 笠原 裕司, 地野 充時, 林 克美, 小暮 敏明, 巽 武司, 柴原 直利, 喜多 敏明, 平崎 ...
    59 巻 (2008) 4 号 p. 623-631
    公開日: 2009/01/15
    ジャーナル フリー
    防已黄耆湯は『金匱要略』を原典とする処方で,水太り体質を目標に肥満,浮腫,関節炎等に用いられてきた。我々は,その条文にある風湿あるいは風水と考えられる症候を目標に防已黄耆湯を投与して奏効した5症例を経験した。これらの症例では自覚的に汗をかきやすい・盗汗,身体の冷えおよび夕刻の症状悪化が共通しており,他覚的には脈状が浮・弦・渋,右寸口の緊張が弱いことが共通していた。この経験を基に,これらの症候を満たす10症例に防已黄耆湯エキスを投与したところ,8例で有効であった。このことから本方証の決定に当っては,風湿・風水の病態を念頭に置いた問診と特徴的な脈状が重要であると考えられた。
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  • 古谷 陽一, 津田 昌樹, 森 昭憲, 小尾 龍右, 引網 宏彰, 後藤 博三, 嶋田 豊
    59 巻 (2008) 4 号 p. 633-640
    公開日: 2009/01/15
    ジャーナル フリー
    症例1は91歳男性,多発性脳梗塞のためX‐1年9月から胃瘻状態。咳嗽と発熱を繰り返すため,X年9月から週2回,太谿と尺沢に補法で置鍼を行った。抗生剤の投与日数は治療前6.3日/月,治療中1.2日/月で,発熱日数は治療前2.7日/月,治療中0.6日/月となった。
    症例2は81歳男性,右視床出血のためX年6月から胃瘻状態。症例1と同様に鍼灸治療を同年12月から開始した。抗生剤の投与日数は治療前8日/月,治療中1日/月で,発熱日数は治療前4.5日/月,治療中0.6日/月となった。
    症例3は93歳男性,認知症のためX‐1年11月から経鼻経管栄養状態。X年2月から症例1と同様に鍼灸治療を開始した。抗生剤の投与日数は治療前9日間/月,治療中2日/月で,発熱日数は治療前10日間/月,治療中1.3日/月となった。
    今回の経験から,高齢者の経管栄養患者における反復性気道感染に対して鍼灸治療の有用性が示唆された。
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  • 小川 恵子, 並木 隆雄, 関矢 信康, 笠原 裕司, 地野 充時, 中崎 允人, 永嶺 宏一, 寺澤 捷年, 秋葉 哲生
    59 巻 (2008) 4 号 p. 641-645
    公開日: 2009/01/15
    ジャーナル フリー
    我々は,短腸症候群を漢方治療で安定した状態に管理できた1例を経験した。症例は,74歳,女性。主訴は,重症下痢,腹満感,腹痛である。23歳で結核性腹膜炎と診断され,26歳時,腸閉塞により小腸・大腸部分切除術を受け,短腸症候群となった。60歳,漢方治療目的に,当院受診。茯苓四逆湯を投与したところ,腹痛・腹満・下痢ともに改善した。さらに,蜀椒を加味することにより,大建中湯の方意も併せ持つ方剤とした。茯苓四逆湯加蜀椒にて,経過を見ていたところ,64歳には,体重45kgと,術後初めて術前体重に戻った。短腸症候群は,予後の悪い疾患ではあるが,本症例は14年間漢方治療で安定した経過を得ることができた。
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  • 大野 賢二, 寺澤 捷年
    59 巻 (2008) 4 号 p. 647-649
    公開日: 2009/01/15
    ジャーナル フリー
    手術適応がある4歳男児の小児陰嚢水腫に対して漢方治療が奏効した一症例を経験した。左陰嚢水腫の診断で手術を勧められたが,五苓散エキスを投与し水腫が縮小した。幼稚園入園と同時に増悪したため小建中湯エキスに転方したところ水腫が消失,再発も認めず経過良好である。このことから手術適応のある陰嚢水腫でも希望があれば一定期間,漢方治療を試みる価値があり,治療の際には利水剤の他に小建中湯も鑑別にあげるべき処方になりうると考えられた。
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東洋医学の広場
  • 若山 育郎, 形井 秀一, 北小路 博司, 粕谷 大智, 山口 智, 赤尾 清剛
    59 巻 (2008) 4 号 p. 651-666
    公開日: 2009/01/15
    ジャーナル フリー
    鍼灸は我が国に伝来以来1500年にわたって独自の発展を遂げてきた。その間,現代に至るまで,鍼灸は原則的に個人の力量に頼る医療であったが,現代医学にチーム医療という概念が浸透し始めてきたこともあり,鍼灸についてもチーム医療の一員として取り入れている施設が少しずつ増えてきている。特に近年大学病院などで鍼灸の応用が始まっているのはその現れである。そうした大学病院で,どのような疾患に対して鍼灸が用いられ,どのようにその効果を評価しているのかという点を明らかにするとともに,現代医療において鍼灸が果たすべき役割を考えてみる目的で,鍼灸を積極的に取り入れている4つの代表的な大学病院の状況を報告した。
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